本より好きになれるなら

黒狼 リュイ

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第13話

救いの手 2

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お待たせしました、ようやく彼が登場します!
彼らの話もとうとう終盤に差し掛かりました。彼らの行く末をどうぞ見守って下さい。
それでは、本編に行ってらっしゃいませ。
       ↓

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ハルーは、ゆっくりと確実に歩みを進める。その歩みを止めようと執事もメイドも身体に手を伸ばし、物理的に止める事を試みるがハルーは彼らに一瞥するだけで止まりはしない。そうして何人かは諦めざる終えぬ状態だった。そうして残る何人かは、精神論や理論的に止める様に働きかける。
 しかし、彼らにハルーは言う。その眼は光を感じられない程に冷ややかに鋭く。

「貴方達に時間を割くつもりはありません。僕は至急片付けなければならない案件があると言いましたが、貴方達があまりに遅いので無礼を承知で来ました。なのでいくら言われても僕は止まりません。諦めて下さい。」

 それは、ハルーとは思えないくらいに冷たい空気を感じた。同時にハル・ト・バーンという人はハルーでは無い人なのかもしれないと不安に感じる程に見知った彼の優しい声が一つもなく、冷ややかな端的な声だけがレミーの頭に耳に響き消えなかった。
 そんなハルーにレミーは目を向ける事が出来ない。何故だか不安が膨れて仕方ない。会いたくて会わなきゃ行けなくてここまで来たのに…

「ハ…ルー……?」
(だよね?間違い無いはずなのに…彼を…私は知っているのに…)

 どこか遠くに感じる…
(長く会えない男女が感じる、"遠くに感じる"という小説の意味が今なら分かる気がする。)

 レミーの頭に浮かんだ不安。
 伯爵家長男ハル・ト・バーン。もしかしたら今居る彼が本物で"ハルー"は私達の前に作られた偽物の存在なのでは無いだろうか?
 目の前のハルーに対し会えた嬉しさより、そんな不安がレミーを捉えて離さない。

 そして、扉に入って来た時からハル・ト・バーンが何を考え何を見ていたのか?あるいは今も…レミーは気付く事は無かった。
 そうして蒼色の瞳は行き場を失い、ただ虚無を感じる程の暗い蒼色に変わってしまっていた…
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