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第10話

レミーの契約書 1

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 私は母さんから話しをしてもらい、迷いも不安も振り切った。そんな私は、少し気になる事がありバーネットとザティスを自室に呼んだ。
 バーネットはザティスを何故か憎らしい様子で横目に見ておりザティスは眼をうろうろさせながら顔を真っ赤にしていた。
 そんなにバーネットに会えることが嬉しいのだろうか?なら可愛い所もあるものだ。とレミーはニコニコしながら少しの間見入っていた。
 なにせ、こんな穏やかな夜を過ごすことが出来るとは思って居なかったし。彼らとこんな近くで話せるとは思っていなかったのだ。一時の安寧というものだろう。

「レミー?私に話とは?」
「あ、あぁ…実は。」

 ザティスの顔を見るとレミーから目を逸らし、真っ赤に顔を背けていた。何か言われたら不味いのだろうか?それでも。
 私はバーネットに打ち明ける事にした。もしかしたら私達の契約がどこかで広まってしまうかもしれない。本来の内容とは異なる内容が広まるかも知れなかったからだ。

「バーネット、私とザティスは契約をしているんだ。」

「契約?それは…」

 言うより早いとレミーは戸棚から一枚の紙を取り出してバーネットの目の前へ掲げた。

【契約書(婚約書)
”本契約は、双方の同意の元作成される。また本契約には条件を有している。
1.婚約期間中、花嫁の実家(現在アリッサ家)への支援等をバーン家は行う。
2.婚約期間中ではあるが、双方生活の自由を尊重する。
3.婚約期間の間、結婚もしくは破棄する場合双方の同意が必要である。
 以上の内容に相違なければ、サインをした後契約は成立される。】

 バーネットが誤解せず、ザティスがアタック出来る状態を維持するにはこれが的確で一番早いと思っていたレミーだが、契約書を読むバーネットをなぜかザティスは終わった事のような落ち着いた表情で見つめていた。
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