本より好きになれるなら

黒狼 リュイ

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第5話

名前の付かない感覚

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「ありがとう、レミー。君のおかげで俺は前に進めるよ!」
「俺?あぁ、そっちが素なのね?」
「あぁ、私という言い方は実はちょっと話しづらいんだ。君も敬語なんて使うよりそっちが砕けていてちょうど良いじゃないか。」
「えぇ、そうね。これからは敬語使うのやめにするわ。私も楽だし。なにより私と貴方はこれからはちゃんとした"協力者"だからね。」

 そう笑いながらお互いに手を取り合い握手をし、夕方にザティスは執事と一緒に本屋を後にした。
 その後私は、昼いっぱい休憩を頂いた為母さんに御礼と少々の小言を言われた。

「話しをするのは良いけど、貴方にはお客様が居たのよ?」
「あ…はい。」

 忘れていた訳ではなかったけど、後半あまりにもザティスの話に夢中になってしまって放置してしまっていた…ハルーが来ることを…

「ハルー何か言ってた?」
「いいえ、ただ。レミーにこれを。」

  母さんから渡されたのは一枚のカード。
 真っ白のベースに書かれた文字は一目見たレミーにとって謎であり、何故か不安を仰ぐ物であった。

「"約束はいつか果たされる"、ハルーは何を?」
「他には何も言わなかったわよ?それに彼どこか寂しそうな顔をしてさっき店から出て行ったわよ?」
「そぅ。ありがとう…母さん。」

 その日を境に私は店番の際に必ず彼の姿を探した。勿論ちゃんとお客様対応はしている。けれど彼の残したカードの意味を知りたかった。だからレミーはいつも持ち歩く読みかけの本に挟み一緒にカードも側に置いてた。しかしハルーは一週間以上店に訪れることは無かった。
 その一週間は、レミーにとってそう長くは感じていないはずだった。なにせザティスが毎日のようにレミーを訪ねて来ていたのだから。
 
 忙しいはずだから何も感じない。長く感じない…はずなのに…

(なんで店番の時間だけいつもより長く感じるんだろう?)
 
 書き置きの約束の意味
 ハルーが来ない日々と時間
 それは、レミーの心に鈍く深く響く感覚だけを残した。まるで空っぽの箱のようにまだ名も付けられない感覚だけをレミーに残したのだった。
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