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第5章  異世界編  森の国

穏やかな温もり 4

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 ヨウの声は、ユキへまっすぐ届いた。
 だけど、何故ユキが離れると不安がるのか謎だった。意思の強い言葉も瞳も必死に抱きしめる腕も離せばユキが居なくなる事を拒絶しているかの様。ユキはヨウがただ、知らない世界でユキに初めて大丈夫な人に会ったから、そこから来る安心感そして失うかも知れない恐怖なのだと思っていた。が、もしかしたら違う何か理由があるのかも知れない…

 ユキは、ゆっくりヨウの両方に手を回して首にしがみつく様に身体を持っていった。
 ヨウは、一瞬だけびくりとしたが直ぐに離れない様により身体を密着させる形をとった。

「ユキ、君が居なくなるのは嫌なんだ。」

「ヨウ。…居なくならない、大丈夫」

「ユキ、本当に?絶対?」

「勿論、ヨウ一人じゃ心配じゃない。」

 ユキがそう言うとヨウは、「居なくならない」と何度も何度も小さな声で繰り返しユキを抱きしめる力を少しずつ抜いていった。
 そしてユキを見つめて笑顔を作った。

「良かった、もうあんなのは懲り懲りなんだ…良かった」

「あんなの?ってどう言う事?」

 ユキは、ヨウに現実世界で何かあったのか?それとも異世界に来てから何かあったのか?を聞いた。

「俺、助けられ無かった人が居るんだ…」

「助けられ無かった?どういう事?」

 ヨウは、ユキの手の小指を自分の小指に絡めてぽつりぽつりと話してくれた。繋がれた小指は、離れ難く隣に居る事を確かめ合う様にお互い離しはしなかった…
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