転生後、神様の"少年"見習いってありますか？

第4章 人間と魔族と見習い

違った世界でお互いに 2

『ある日、たまたまその日だけは自分が自由に動けました。』

　彼は、リリサと共に買い出しに出かけた。少ないお金だけれど、いくつかパンは買える。リリサは、久々の彼との外出にはしゃいで、とても笑顔が綺麗だったと彼は言った。
　パンをいくつか買い、たまにはと何件か見て回る事にした二人はさまざまな場所を回った。
　その間彼は息切れ一つ無く、まるで初めて会ったあの日くらいに動き易かった。初めは疑問に思っていたが、リリサが楽しく笑っているなら良いかと放っておいた。
　それ程に彼にとってリリサの笑顔が大好きだったから。そして、リリサもまた彼がこんなに元気なのが嬉しかったのだろう。
　へそくりを取り出して、「たまには贅沢よ」とイタズラな笑みを浮かべたりしていた。

　そして、次の店へ向かおうとした瞬間。
　彼の頭に雷の様に痛みが走った。

「がっ！あ…あぁ…くっ」

　ズキズキと痛む頭に彼は驚きながらもただひたすらに痛みを我慢するしかなかった。
　その姿にリリサは、彼を楽な姿勢にと頭を冷やそうと手を尽くしながらも「大丈夫！ねぇ！返事してよ！？」と声を常にかけ続けた。

　時期に痛みが引いた彼は、右目を押さえていた…その右目からは血が流れ落ち止まらない。そして左目から涙を流していた。
　どちらもリリサが拭こうとするがいくら拭いても止まらない。
　そして、心配したリリサは彼の顔を覗き込もうとした瞬間、彼に身体をきつく抱き寄せられた。
　呆気にとられるリリサに、彼は苦しそうに呟いた。

ーーごめん…リリサ…ごめん…