転生後、神様の"少年"見習いってありますか？

第4章 人間と魔族と見習い

彼と少女 4

　それから少女とは長い様で短い時間共にいた。
　彼には、色や感情、例えば景色の綺麗さや空気の感覚。その感じ方全てが分からなかった。
　だから少女が何をやっても、彼にとってそれは正しいとしか理解出来なかった。
　少女の言う、彼の髪も瞳も"綺麗"と言った言葉も寂しそうな表情も理解は出来ない。しかし、彼は少女の顔に対して"見たく無いな"という漠然とした感覚だけは小さく彼に残った。
　そして、少女がくれたローブ。
　それは少女の言う"綺麗"がしっくりくる。その感覚は空で感じた事の無い感覚だった。

　彼は思った。

「君と、一緒に居て、いいかな？」

　少女は優しい目をして笑った。

「勿論、色々一緒に経験して行こうよ。」

　この日を境に長くて短い時間を共にした彼は、少女との時間を大切に過ごす。それは、彼にとって唯一幸せな"時間"。そして、世界で一番…辛かった思い出の"時間"。