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第4章 人間と魔族と見習い
彼と少女 3
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彼は、少女が言うには子供にしては"小綺麗過ぎる"と。
勿論、彼の"右目"は眩い金髪に隠れてしまっているから、"左目"しか見えていない。
しかし、その金髪と金の瞳は地上の中ではかなり貴重だと少女は言った。
そして、少女の言葉に引き寄せられ様に知らない子供達がどこからとも無く湧いてきた。
「お兄ちゃん!きれい!」
「ピカピカ!」
初めての賞賛に彼は再び落ち着きが無くなる。そんな彼を少女が背中で隠す。
そして、少女は子供達に言い聞かせる。
「お兄ちゃんは、貴方達とは違うの!お客様なの!ほら、行った行った」
彼は、少女に"助けられた"。
それは、彼が子供達の境遇を知った時、知った。だが、それはまだ少し後の話。
彼は少女が子供達を追い返す後、少女があくせく動き回る姿を狭い空間で左目だけで追いかけた。
そして、少女は一枚の埃のあまり付いていない新しい服を持って彼に近寄った。
「君、此処にいるならコレ着ないとダメよ?」
それは、一枚のフード付きのローブ。
少女は、それを前から彼に被せる。前のボタンを一つ二つ留め終わると顔を上げ彼の顔を見た。
「君の、髪も目もやっぱり綺麗だわ」
そう言って微笑んだ少女の瞳はどこか寂しげで暖かい矛盾した印象を覚えた。初めて会った少女は、"地上に落ちた"彼にとって最も"大切で必要不可欠"な存在となった。
勿論、彼の"右目"は眩い金髪に隠れてしまっているから、"左目"しか見えていない。
しかし、その金髪と金の瞳は地上の中ではかなり貴重だと少女は言った。
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「お兄ちゃん!きれい!」
「ピカピカ!」
初めての賞賛に彼は再び落ち着きが無くなる。そんな彼を少女が背中で隠す。
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そして、少女は一枚の埃のあまり付いていない新しい服を持って彼に近寄った。
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それは、一枚のフード付きのローブ。
少女は、それを前から彼に被せる。前のボタンを一つ二つ留め終わると顔を上げ彼の顔を見た。
「君の、髪も目もやっぱり綺麗だわ」
そう言って微笑んだ少女の瞳はどこか寂しげで暖かい矛盾した印象を覚えた。初めて会った少女は、"地上に落ちた"彼にとって最も"大切で必要不可欠"な存在となった。
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