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第2章 あの世界とこの世界
俺はちゃんと居たんだ
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自分が見た世界が全てだとは思わない。
確かに世界は、目の前にある。しかし、それが全てでは無い。
俺は、小さな頃から「年寄り」だと言われていた。お人好しとか、世話焼きとか初めはそんな小さな一言から始まる愛称と似た様な個性だと思っていた。
いつからか、俺の個性だと唯一の個性だと自慢出来るくらいに言われていた。
ーーだが、違った。
それは個性でも、まして高評価の言葉でも何でもない。良い理由なんて一つも存在しない。
貴方は、分かるだろうか?
彼らが俺に言った言葉の真意を理解できるだろうか?
つまりは、利用価値のある人。
そう言われているのと同じ。答えは初めからずっと一緒。
ーーなんでも答えてくれる便利な人。
ーー利用価値の高い人。
俺は頼られる事が嬉しかった。誰かに相談されて誰かに頼られて力になれる。
昔からよくある正義のヒーロー。他の子供達と同様、俺も憧れていた。そのヒーローになれた気がして凄く嬉しかった。
だから、死を覚悟した筈なのに…
「助けて」に反応してしまった…
お人好しが発動下のかも知れない。けれど、あの頃の頼られた瞬間の嬉しさが思い出された。
何故だろうか?いや、きっとこれが俺なんだろうと思った。
だけど、彼はどうだっただろう?他の人達と同じだったのかも知れない。
「でも…今はもう…関係ないか…」
俺は昔を思い出し、冷ややかな笑みを浮かべる。俺はもう居ないのだから関係ない。
そう改めて思うと、何故か乾いた笑いと共に薄らとした涙が出て来た…
(なんだ、ちゃんと
あの世界に、悲しみなんてあったんだ…)
確かに世界は、目の前にある。しかし、それが全てでは無い。
俺は、小さな頃から「年寄り」だと言われていた。お人好しとか、世話焼きとか初めはそんな小さな一言から始まる愛称と似た様な個性だと思っていた。
いつからか、俺の個性だと唯一の個性だと自慢出来るくらいに言われていた。
ーーだが、違った。
それは個性でも、まして高評価の言葉でも何でもない。良い理由なんて一つも存在しない。
貴方は、分かるだろうか?
彼らが俺に言った言葉の真意を理解できるだろうか?
つまりは、利用価値のある人。
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だけど、彼はどうだっただろう?他の人達と同じだったのかも知れない。
「でも…今はもう…関係ないか…」
俺は昔を思い出し、冷ややかな笑みを浮かべる。俺はもう居ないのだから関係ない。
そう改めて思うと、何故か乾いた笑いと共に薄らとした涙が出て来た…
(なんだ、ちゃんと
あの世界に、悲しみなんてあったんだ…)
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