叶わぬ願いと望まぬ結末

第23章 炎と聖剣

伸ばされた手は、救いか、破壊か 2

　目の前に見覚えのある手が現れた。その手は最近では当たり前になって来た手。彼女にあの日伸ばしたくて、でも結局伸ばせなかった手。ーー仲間たちの優しくて暖かい手だった。

「ラルっ！」

「間に合いなさい！トライアングルシールド！」

「今だ！勇者を！！」

　ザルハルート、ザルは力強くラルトをミーラから引き離す。そのタイミングでアミラは、防御壁をラルト達に三重構造のガチガチにかけた。ちょっとやそっとではきっと壊れないだろう程に強固にかけた。
　そして、ダットは自慢の槍でミーラの注意を引く。
　連携の取れた技とタイミング。ラルトは、安心感を覚え痛みに気を失いそうになる。
　そんな時、ひたすら力強い声が聞こえる。

「ラル！！お前っ！しっかりしろ！ラルっ」

「だ…いじょ…うぶ…聞こえるよ…ザル」

「ラルっ！アミラ、今のうちに回復を！」

「分かっているわ、焦らないで、戦士に祈りよ」

　ラルトの身体は、ザル達によりミーラの攻撃の届きにくい様な安全地帯に避難されアミラから暖かな光の治癒魔法をかけれていた。
　ーーその間にラルトは、少しだけ眠ってしまった。