叶わぬ願いと望まぬ結末

第11章 明かされる歴史 ラルトside

過去を写す魔法 4

「ラルフ様…私がお嬢様をちゃんと見ています。それにラルフ様も。」

「えぇ、今は私達が見てあげられる。だけれどいづれはあの子が独りになってしまうかもしれないのです。いつか彼らが…」

「ラルフ様…」

　ラルフが最悪な想像した現実。ミーラが独りになる事。それは、今現在母を失い、ゼーラルとも会えない今の現状ではないだろうか？独りぼっちの孤独は両親が居るラルトには分からない、分かり得ないものに違いない。そうラルトは感じた。
　それと同時にラルトは不思議にも思った。
ーーいつか彼らが、とは誰だ。

「ラルフ様は、娘であるミーラ様をたいへん可愛がっておいででした。そしてミーラ様もラルフ様を愛しておられます。ただ、バルンハルト殿に修行をつけられ始めてから優しく臆病なミーラ様は消えてしまいました。」

　ゼーラルが捕捉をしてくれ、状況が少しづつだが見えてきたように感じた。出来損ないと罵られ父親には弱いと言われ、小さな身体にキツい修行。心がきっと嘆く暇も無いのだろう。
　だから、ラルトは確信持って聞き返した。

「修行がそんなに…」
　辛かったのか？と問う前にゼーラルから返って来た。

「いいえ。ミーラ様はいえ、お嬢様はガルフ様からバルンハルトに修行をつけられて課題を与えられてから毎日辛かったと思います。」

　ゼーラルは言葉一つ一つを詰まらせながら話し出す。その姿にラルトは感じた。嫌な感じがしたのだ…