叶わぬ願いと望まぬ結末

黒狼 リュイ

文字の大きさ
上 下
43 / 138
第9章 結成勇者パーティー ラルトside

焚き火を囲んで

しおりを挟む
 その夜俺たちは、村外れに小さなテントを張り作戦を立てる為野営をしていた。

「さぁ、勇者ラルト。貴方はどうするのかい?」

 最初に口火を切ったのはバルン。まだ謎のあるバルンはまるでラルトの力量を図るかの如く聞いてくる。
 そのバルンの一言をきっかけにザル、アミラ、ダットから一気に注目される。だが、注目の目にはそれぞれ意思や意味が違って存在していた。

「作戦を立てなくては彼ら魔族に勝てないと俺は思う。」
「まぁ、ラルが言うならオレは構わないぞ!」
「ザルが良いなら私もその作戦とやらを聞くわ。」
「…僕は、内容による。」
「ありがとう。みんな。」

 普通に考えれば素直に皆んなの協力に感謝しかない。しかし、彼らの視線の意味に気付いている俺にはどうしてもこのまま作戦を立てる事が優先とは考えれない。
ーーやるなら協力して事に当たらなくてはいけない。だから…

「その前に皆んなの話しを聞かせてくれないか?」
「何よ、急に。今回に関係があるように思わないわ?」
「オレは、んー。ラルに話してないことは無いと思うけどな?」
「このバルンに秘密なんかないよぉ?」
「…お前が一番謎。」
 急に聞かせてくれと言って聞かせてもらえるとは思わない。だからこそ引けない。なにせ俺は、今回のブラック・ラビット討伐を機に彼らの戦い方、彼らとの連携の為に彼ら自身を知らなくてはいけないからだ。
「頼む。俺の事も話す!だから…」
 俺は、焚き火の周りに人数分ある程度離して配置された丸太から離れ暗がりの地面に頭を付け土下座した。彼らは一瞬驚き声を発しかけたが近くの村で子供達が眠っているだろう事を思い出し口には出さない。
 そして、つかの間の沈黙を破ったのはまさかのダットだった。

「…分かりました。そこまで言うのなら、僕から話します。」
「あぁ!ありがとうダット。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

処理中です...