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第8章 勇者の覚悟 ラルトside
知らない事
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俺たち五人に課せられた命はただ一つ。
「魔界への通路確保、かつ魔王討伐」
王フィル・フィラータから命じられたその日から俺たちはパーティーを組み旅の支度の為にあえて宿に泊まる事になった。
王は、屋敷を用意してあるからと俺たちに言ったが旅支度をしなくてはいけないなら街に出て各々準備をした方がいいと俺たちは判断したのだ。
しかし、フードを被っていたバルンだけは「王直々に話がある」と言われ残った。
バルンと呼ばれた者が俺たちに合流したのはその日から3日後だった。
その為アミラ、ザルハルート、ダットと俺は軽く自己紹介も済ませ町の露店や道具屋をウロウロとし当分の食料と武具を揃え宿に戻ろうとした。
「これで、終わりかな?まだ必要なものはあっただろうか?」
と俺はザルハルートとダットに確認を取りつつ、買い占めた食料をどう運ぶか考えていた。すると横から食料を一つ手に取られた。
「食料はこれくらいで足りますが…薬草関係はもう少し多くても…」
アミラは次から次へと食料を手に取り手に吸い込んでいく。文字通り綺麗さっぱりに山ほどあったはずの食料がアミラの身体に入っていく。
驚きに一瞬固まってしまったが”はっ”とした俺はアミラに注目した。大きな盾を持っていたザルハルートや槍を持っていたダットは武器からして職業が分かるがアミラは分からなかった。
「食料等必要な物は私に渡してください。王から与えられた私達の保管庫に転移させます。私、魔術師なので」
そう、アミラは魔術師。しかも杖も要らない高位の魔術師だった。
だからほいほいと持った瞬間に無くなるのだと、まるでマジックの様だと驚きとどうなっているのかという好奇心が抑えられない俺。
しかし、俺以外は不思議さも感じないのか着実に準備を済ませていく。
「ラルトは、勇者候補なんだよな?」
「あぁ、ザルハルートもだろ?それからダット達も」
「…僕は、違う。」
「なんだ?ダットは違うのか?」
「”なんだ?”ではないでしょう?あなたも私もラルトさんとは違うしダットさんと同じでしょう?」
「あぁ、そういやそうだった。忘れてた、ははっ」
「みんなは違うってどういう事?俺達はみんな勇者候補じゃないのか?」
「ラルトは勇者候補じゃ無く、”勇者”なんだよ。なんでも召集される前日に他の勇者候補は不審死を遂げたらしい。」
俺は聞いていない。
俺は知らない。なぜ?なぜ勇者候補なのに?
しかも不審死って?どういう?
俺の頭には謎や疑問ばかりが浮かびザルハルート達がその後も話す内容が全く頭に入らない。
ただ、一言だけ確実に聞き取れた言葉があるきり。
”どうやら魔王の娘?とやらが人間の村を襲撃して勇者候補を片っ端から倒したらしい。だれも手に負えないくらい強かったそうだ。”
魔王の娘?魔王、魔族…なら…
”ミーラが、関わっている?!”
混乱している俺の頭に次に入って来たのはアミラの声。
「そこまであなたが知ってるなんて」
「ん?アミラも知らなかったか。あ?ダットも?やっぱりなー」
「…やっぱり?とは」
考え込む仕草がとても似合わないが、うーんと考え始めたザルハルートに俺たちは聞き入る。
「いやな、オレも知らなかったからよ。さっきバルンから急に言われてよ?聞いてみたらそんなことがあったなんてよー思ってもなかったからさー」
「そうゆう事。バルンさんは謎深い感じがするわね。まだ何か色々と知っているのかも知れないわね。」
ザルハルートに対しては気を抜いているのかアミラは敬語を一切使ってなかった。
そんな二人を余所にダットはつらつらと冷ややかに話し出した。
「お前は勇者。僕らはただの保護者みたいなものだ。…魔法力や力が以上だからと金で雇われた。それだけだ。」
俺はその言葉に何も返せなかった。
動揺が知らない情報が、知らない事が…
多過ぎだと俺は自分に言い聞かせたが、実際はこれ以上聞きたくは無かったのかもしれない。”ミーラに関わるから”…
「魔界への通路確保、かつ魔王討伐」
王フィル・フィラータから命じられたその日から俺たちはパーティーを組み旅の支度の為にあえて宿に泊まる事になった。
王は、屋敷を用意してあるからと俺たちに言ったが旅支度をしなくてはいけないなら街に出て各々準備をした方がいいと俺たちは判断したのだ。
しかし、フードを被っていたバルンだけは「王直々に話がある」と言われ残った。
バルンと呼ばれた者が俺たちに合流したのはその日から3日後だった。
その為アミラ、ザルハルート、ダットと俺は軽く自己紹介も済ませ町の露店や道具屋をウロウロとし当分の食料と武具を揃え宿に戻ろうとした。
「これで、終わりかな?まだ必要なものはあっただろうか?」
と俺はザルハルートとダットに確認を取りつつ、買い占めた食料をどう運ぶか考えていた。すると横から食料を一つ手に取られた。
「食料はこれくらいで足りますが…薬草関係はもう少し多くても…」
アミラは次から次へと食料を手に取り手に吸い込んでいく。文字通り綺麗さっぱりに山ほどあったはずの食料がアミラの身体に入っていく。
驚きに一瞬固まってしまったが”はっ”とした俺はアミラに注目した。大きな盾を持っていたザルハルートや槍を持っていたダットは武器からして職業が分かるがアミラは分からなかった。
「食料等必要な物は私に渡してください。王から与えられた私達の保管庫に転移させます。私、魔術師なので」
そう、アミラは魔術師。しかも杖も要らない高位の魔術師だった。
だからほいほいと持った瞬間に無くなるのだと、まるでマジックの様だと驚きとどうなっているのかという好奇心が抑えられない俺。
しかし、俺以外は不思議さも感じないのか着実に準備を済ませていく。
「ラルトは、勇者候補なんだよな?」
「あぁ、ザルハルートもだろ?それからダット達も」
「…僕は、違う。」
「なんだ?ダットは違うのか?」
「”なんだ?”ではないでしょう?あなたも私もラルトさんとは違うしダットさんと同じでしょう?」
「あぁ、そういやそうだった。忘れてた、ははっ」
「みんなは違うってどういう事?俺達はみんな勇者候補じゃないのか?」
「ラルトは勇者候補じゃ無く、”勇者”なんだよ。なんでも召集される前日に他の勇者候補は不審死を遂げたらしい。」
俺は聞いていない。
俺は知らない。なぜ?なぜ勇者候補なのに?
しかも不審死って?どういう?
俺の頭には謎や疑問ばかりが浮かびザルハルート達がその後も話す内容が全く頭に入らない。
ただ、一言だけ確実に聞き取れた言葉があるきり。
”どうやら魔王の娘?とやらが人間の村を襲撃して勇者候補を片っ端から倒したらしい。だれも手に負えないくらい強かったそうだ。”
魔王の娘?魔王、魔族…なら…
”ミーラが、関わっている?!”
混乱している俺の頭に次に入って来たのはアミラの声。
「そこまであなたが知ってるなんて」
「ん?アミラも知らなかったか。あ?ダットも?やっぱりなー」
「…やっぱり?とは」
考え込む仕草がとても似合わないが、うーんと考え始めたザルハルートに俺たちは聞き入る。
「いやな、オレも知らなかったからよ。さっきバルンから急に言われてよ?聞いてみたらそんなことがあったなんてよー思ってもなかったからさー」
「そうゆう事。バルンさんは謎深い感じがするわね。まだ何か色々と知っているのかも知れないわね。」
ザルハルートに対しては気を抜いているのかアミラは敬語を一切使ってなかった。
そんな二人を余所にダットはつらつらと冷ややかに話し出した。
「お前は勇者。僕らはただの保護者みたいなものだ。…魔法力や力が以上だからと金で雇われた。それだけだ。」
俺はその言葉に何も返せなかった。
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