叶わぬ願いと望まぬ結末

第6章 魔界と魔王ガルム

再会バルンハルト

ミーラの自宅はよくある屋敷ほど広くはなく、ごく普通の一軒家のような感じだ。
 魔界の家は大概こんな感じだが、家々を横切って奥へ進むとひときわ大きな城がある。
 それが通称”魔王城”。5人の使用人ゴーストと3人の吸血鬼が城を徘徊し侵入者を逃さない。

(ここへ来たのは私が産まれたばかりの時か…)

 辺りを見渡しながら進むミーラに対し城にいる使用人達は頭を下げ道を開ける。

(これなら確実に迷わなくてすみそうだ。…そういえば、バルンハルトは何処に…？)

 使用人達の作る道を歩き進んで行くと1人大きな扉の前に立つ者がいた。黒い羽根を生やした人物…
(バルンハルトか…)
 ミーラを発見したバルンハルトは、急に羽根を大きく広げ深々と頭を下げて言った。

「ようこそ、魔王の娘ミーラ様。お帰りをお待ちしておりました。ここから先へは私バルンハルトが魔王様まで案内させていただきます。」
「…バルンハルト。話し方がさっきとは違うんだが？」
「そうでしょうか？気になるなら元に戻すけど？」
「…いや、対して気にはならないから構わない。」
「そうですか。では、行きましょうか。」

 ミーラは、バルンハルトの案内の元、父ガルムの居る部屋まで歩き出した。