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4章.Tractus
終わらない宴*
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その夜は晩餐に招待され、ミカエルとルシエルは豪華な異国の料理を味わうことになった。
「控え目に食ったつもりだったのに…」
部屋に戻るとベッドに仰向きで倒れ込んだミカエルは、満腹でしばらく動けなかった。
ルシエルは先にシャワーを浴びて、用意された柔らかな生地の服を着てベッドで寛いでいる。ネグリジェというのだと、ルシエルが言っていた。
「一時食事していなかったから、以前より少しの量で満腹になるんだろう」
「そうかも。ようやく落ち着いてきたぜ」
ミカエルはのそりと起き上がり、シャワーを浴びに行った。
すっかり準備を済ませ、ルシエルと同じ格好で戻る。
すぐに戻ったミカエルに、ルシエルは肩をすくめた。ミカエルの烏の行水は相変わらずだ。
「……ミカ?」
ミカエルは当然のようにルシエルのもとへ行き、彼に跨った。
「今日も」
「あんなふうにされて、本当にまだヤりたいと思うのか」
ルシエルは呆れたように言い、湿った金髪を撫で上げた。タオルで拭いてやりたいところだが、ミカエルがタオルを持って来なかったのだ。
「おまえならいい」
「……俺は良くない」
「毎日されてたんだ。おまえもシてくれよ」
ミカエルには、自分の身体がどういう状態なのかわからない。少しでも可能性が上がるなら、何度だってルシエルに抱いてほしかった。
「あいつは俺の処罰を任されて、義務みてえな感じでやってたんだろ。一度で済むなら、それ以上やらねえと思う」
「義務、ね。案外悦くてヤっていたのではなく?」
ミカエルはムッとルシエルを睨みつけた。
最後の日は少し様子が違った気もするが、ヤグニエは必要に迫られてやっていたのだと思いたい。
「いい男だったのか」
ルシエルが嘲るように言う。
「……ちげぇっつの」
ミカエルは後ろに下がって彼のネグリジェの前を捲り、あまり反応していないそれを取り出した。
ルシエルが何も言わないので、そこへ舌を這わせて高めようとする。
「俺が、動く。それなら、いいだろ?」
見上げて言えば、ルシエルは肩をすくめた。
姿の良い男根を舐め上げているうちに胸が高鳴ってくる。
早くナカにほしい。たくさん突いてイかせてほしい。そうして彼の熱を奥に受け止めて――。
「……そんなに美味しい?」
「っん、はやく、ほし、」
うっとりと口に咥えて扱くミカエルに小さく息を吐き、ルシエルは綺麗な金髪を撫でた。
「もういい」
「ん、」
ミカエルは名残惜しそうに身を起こして手で持つと、自身のアヌスに宛てがった。
そうして身を落とし、ゆっくりとナカに入れこむ。
「っふ、ぅ…」
奥の慣れた場所まできても、まだ根元まで入っていない。昨夜の衝撃的な快感を思い出し、ミカエルは動きを止めた。
「まだ入りきってないけど?」
淡々と言われ、入口がキュッと締めつけてしまう。
ルシエルを見下ろすのも新鮮だ。
彼に跨っていることを改めて意識して、やっぱり締めつけてしまった。
「……ちょっと、息整えてからッ、」
言い終る前に腰を掴んで深く咥えこまされた。いきなりのことで、衝撃に息が詰まって声すら出ない。
「君が、動くんだろ?」
「っま、う゛…ッ、うごくっからッ…!」
下から突き上げられて身体が反った。
「後ろで腕を組んで」
「……あ?」
おもむろに言われ、その通りにすると、ネグリジェの腰布で両腕を縛って後ろで固定された。ミカエルのネグリジェは、はだけて腕に纏わりつくだけになっている。
「この方がそそる」
「……そうかよ」
ミカエルは何度か上下に身体を動かし、彼のをすべて挿れ込もうとしたが、やはり自分でやると加減してしまい、結局腰を持ったルシエルに身体を沈みこまされることになった。
「ヒッぁ、ふかっい゛ッ…アッ…ア゛」
「動きが止まってるよ」
「まっ、ぁっあしっ、あがんねっ…」
足の力が抜けて、身体を持ち上げられない。腕を後ろで縛られているため、それ以外の方法がなかった。
腰を落とされるのと同時に下から突かれる。
入ってきてはいけない奥まで届いて衝撃的な快感に襲われた。
「君は、マゾなのか? 自ら、これを提案するなんてっ」
「はっ? …アァッ…アッ…まッ…」
身体が痙攣している。
何度も快感が押し寄せて、ミカエルの思考は白に染まった。
「たしかに、ここを飾り立てたくなる気持ちもわかる」
「ン…」
長い指にそっと乳首を撫でられドキリとする。いつも澄ましている美麗な顔が、獰猛な目でミカエルを下から捉えていた。
「また言わせたほうがいい?」
「っん…」
ミカエルはナカを貫く彼の猛りをキュウキュウ締めつけながら頷く。労わるように腹を撫でられると、堪らない気持ちになった。
「……ミカ、ほしいか?」
かすかに浮かんだ彼の微笑にクラクラする。
ほわほわな頭で思考は定まらなかったが、ミカエルは何かを言えたと思う。彼の笑みが深まり、奥の奥まで一気に貫かれた。
最後のほうのことは覚えていない。
朦朧とする意識のなか、優しい手に頭を撫でられたような気がする。
意識が戻ったとき、ミカエルは暗闇の中にいた。
知らない男に跨って、下から突き上げられている。外して海に捨てたはずの飾りが乳首についていた。それを引っ張られると腰が反る。
どうしてまた、こんなことに――。
「終わったか? つぎは俺だな」
「俺のも咥えろよ」
前髪を掴んで顔を上げさせられ、熱い猛りを口に突っ込まれた。
「ふぐっ…ぅっ…」
そうしてミカエルは、いつ終わるともしれない男たちの享楽に今宵も付き合わされることになったのだった。
「控え目に食ったつもりだったのに…」
部屋に戻るとベッドに仰向きで倒れ込んだミカエルは、満腹でしばらく動けなかった。
ルシエルは先にシャワーを浴びて、用意された柔らかな生地の服を着てベッドで寛いでいる。ネグリジェというのだと、ルシエルが言っていた。
「一時食事していなかったから、以前より少しの量で満腹になるんだろう」
「そうかも。ようやく落ち着いてきたぜ」
ミカエルはのそりと起き上がり、シャワーを浴びに行った。
すっかり準備を済ませ、ルシエルと同じ格好で戻る。
すぐに戻ったミカエルに、ルシエルは肩をすくめた。ミカエルの烏の行水は相変わらずだ。
「……ミカ?」
ミカエルは当然のようにルシエルのもとへ行き、彼に跨った。
「今日も」
「あんなふうにされて、本当にまだヤりたいと思うのか」
ルシエルは呆れたように言い、湿った金髪を撫で上げた。タオルで拭いてやりたいところだが、ミカエルがタオルを持って来なかったのだ。
「おまえならいい」
「……俺は良くない」
「毎日されてたんだ。おまえもシてくれよ」
ミカエルには、自分の身体がどういう状態なのかわからない。少しでも可能性が上がるなら、何度だってルシエルに抱いてほしかった。
「あいつは俺の処罰を任されて、義務みてえな感じでやってたんだろ。一度で済むなら、それ以上やらねえと思う」
「義務、ね。案外悦くてヤっていたのではなく?」
ミカエルはムッとルシエルを睨みつけた。
最後の日は少し様子が違った気もするが、ヤグニエは必要に迫られてやっていたのだと思いたい。
「いい男だったのか」
ルシエルが嘲るように言う。
「……ちげぇっつの」
ミカエルは後ろに下がって彼のネグリジェの前を捲り、あまり反応していないそれを取り出した。
ルシエルが何も言わないので、そこへ舌を這わせて高めようとする。
「俺が、動く。それなら、いいだろ?」
見上げて言えば、ルシエルは肩をすくめた。
姿の良い男根を舐め上げているうちに胸が高鳴ってくる。
早くナカにほしい。たくさん突いてイかせてほしい。そうして彼の熱を奥に受け止めて――。
「……そんなに美味しい?」
「っん、はやく、ほし、」
うっとりと口に咥えて扱くミカエルに小さく息を吐き、ルシエルは綺麗な金髪を撫でた。
「もういい」
「ん、」
ミカエルは名残惜しそうに身を起こして手で持つと、自身のアヌスに宛てがった。
そうして身を落とし、ゆっくりとナカに入れこむ。
「っふ、ぅ…」
奥の慣れた場所まできても、まだ根元まで入っていない。昨夜の衝撃的な快感を思い出し、ミカエルは動きを止めた。
「まだ入りきってないけど?」
淡々と言われ、入口がキュッと締めつけてしまう。
ルシエルを見下ろすのも新鮮だ。
彼に跨っていることを改めて意識して、やっぱり締めつけてしまった。
「……ちょっと、息整えてからッ、」
言い終る前に腰を掴んで深く咥えこまされた。いきなりのことで、衝撃に息が詰まって声すら出ない。
「君が、動くんだろ?」
「っま、う゛…ッ、うごくっからッ…!」
下から突き上げられて身体が反った。
「後ろで腕を組んで」
「……あ?」
おもむろに言われ、その通りにすると、ネグリジェの腰布で両腕を縛って後ろで固定された。ミカエルのネグリジェは、はだけて腕に纏わりつくだけになっている。
「この方がそそる」
「……そうかよ」
ミカエルは何度か上下に身体を動かし、彼のをすべて挿れ込もうとしたが、やはり自分でやると加減してしまい、結局腰を持ったルシエルに身体を沈みこまされることになった。
「ヒッぁ、ふかっい゛ッ…アッ…ア゛」
「動きが止まってるよ」
「まっ、ぁっあしっ、あがんねっ…」
足の力が抜けて、身体を持ち上げられない。腕を後ろで縛られているため、それ以外の方法がなかった。
腰を落とされるのと同時に下から突かれる。
入ってきてはいけない奥まで届いて衝撃的な快感に襲われた。
「君は、マゾなのか? 自ら、これを提案するなんてっ」
「はっ? …アァッ…アッ…まッ…」
身体が痙攣している。
何度も快感が押し寄せて、ミカエルの思考は白に染まった。
「たしかに、ここを飾り立てたくなる気持ちもわかる」
「ン…」
長い指にそっと乳首を撫でられドキリとする。いつも澄ましている美麗な顔が、獰猛な目でミカエルを下から捉えていた。
「また言わせたほうがいい?」
「っん…」
ミカエルはナカを貫く彼の猛りをキュウキュウ締めつけながら頷く。労わるように腹を撫でられると、堪らない気持ちになった。
「……ミカ、ほしいか?」
かすかに浮かんだ彼の微笑にクラクラする。
ほわほわな頭で思考は定まらなかったが、ミカエルは何かを言えたと思う。彼の笑みが深まり、奥の奥まで一気に貫かれた。
最後のほうのことは覚えていない。
朦朧とする意識のなか、優しい手に頭を撫でられたような気がする。
意識が戻ったとき、ミカエルは暗闇の中にいた。
知らない男に跨って、下から突き上げられている。外して海に捨てたはずの飾りが乳首についていた。それを引っ張られると腰が反る。
どうしてまた、こんなことに――。
「終わったか? つぎは俺だな」
「俺のも咥えろよ」
前髪を掴んで顔を上げさせられ、熱い猛りを口に突っ込まれた。
「ふぐっ…ぅっ…」
そうしてミカエルは、いつ終わるともしれない男たちの享楽に今宵も付き合わされることになったのだった。
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