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4章.Tractus
最奥のバージン*
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それはいきなり訪れた。
ジュボッと壁の内側まで貫かれた感覚。あまりの快感と精神的ショックで、ミカエルは眼球をひっくり返してイってしまった。
「――ッァ…アァ…ァ…ぁっ…」
断続的に訪れる快感が収まらない。
「ミカ」
頬をパチパチ叩かれ、意識が戻る。じわじわと視界が滲んだ。
「っるしッ…お、おれの……ちんこ…っ…こ、こわれた…?」
「ああ、なんともない」
「……へ?」
「あれはジョークだ」
ルシエルは平然と言い、ゆっくりと棒を抜き取りにかかった。
ジリジリと痺れるような快感に、射精時のときのような快感が混じる。
「あ、あッなっ…でるッーー!」
それは精液ではなかった。
諸々の衝撃で、ミカエルの頭はパニックだ。
「お、っ、もらし…っ…」
「あそこまで挿れれば、出てもおかしくない」
「ほ、ほんとにっ、だいじょぶ、なんだよな…?」
「ああ」
ホッとしたら涙がぽろぽろ出てきた。
「そんなに怖かった?」
「っ、あたりまえだろッ」
まだ身体が震えている。頭を撫でられ、涙が止まらない。
「これで、君のここを一番奥まで暴いたのは俺になった」
「ぅっ、っ…」
あんなに様々なことをされてなお、知らない所があったなんて。知らしめられた相手がルシエルで幸運だったのだろうか。先ほどは本当に恐ろしかった。
「そういえば、いつか君、知らないことを知るなら俺に教えられたいと言ってたな」
「っ、もういい、」
「それなら、今日はここまでにしておこう」
ミカエルはハッとして顔を上げる。
「っナカ、入れろよ」
「そんなヘロヘロで大丈夫?」
「平気だ」
口ではそう言ったものの、身体の力が抜けてしまったミカエルは、仰向けで寝そべり股を開く。
「ん、」
「俺にはおねだりしてくれないんだ」
ルシエルはしゃがんだ状態で膝に腕をつき、物欲しそうにヒクつくアヌスを見下ろした。縦割れでぷっくり膨れて、すっかり男を受け入れ慣れた淫らな様相になっている。この短期間にこうも変えられた身体を見れば、どれほど多くの相手に――あるいは多くの時間、好き勝手に犯されたのか、想像に容易かった。
「……おまえので、奥に…た、種付けして…」
ミカエルは睫毛を伏せてお尻を下から手で持ち上げ、ヤグニエに言わされていたことを口にする。
「ふぅん」
「っ抱けよ」
関心のない相槌を耳にしたミカエルは、思わず睨み上げていた。
かち合った瞳に、ジリジリと焼けつくような情欲が宿る。ルシエルの唇がゆっくりと弧を描き、凄艶な微笑を湛えた。
「いいだろう」
ミカエルは魔王に捕らわれた獲物にでもなった気分で、ゴクリと喉を鳴らした。
「足持って開いてて」
「……ん、」
膝裏に手を添え、大きく開く。期待感から腰が痺れてナカが疼いた。
いつの間にかそそり立っていた彼の熱が入口に当てがわれる。
「――ッア゛、」
腰を掴まれ、前置きもなく奥まで一気に貫かれた。
「っキツいな」
「あ…アァッ…アッ…」
「奥を犯されるのが、そんなにイイかっ」
「イイッ…きもちぃッ…」
蕩けた顔で従順に答えるミカエルを見下ろし、ルシエルは歪んだ笑みを浮かべる。
「俺の子を、孕みたい?」
「はっ…ぁ、はらむッ…孕みたいッ…!」
彼はミカエルの話した条件をクリアしようとしてくれているのだろう。ミカエルは今、心の底からそれを願っていた。免れないのなら、せめてルシエルの――。
「奥ッ、奥にっ…るしっ、ほしぃッ」
ミカエルの気持ちに呼応するようにナカがうねって、逃がさないとばかりに咥えこんだ一物に絡みつく。
「っ、」
「ほしっ…こだねッ…るしのっっ」
ミカエルは朦朧とする頭でほしいほしいと叫び続けた。激しく突かれているのに物足りず、強い快感の底にジクジクした痺れがずっとある。
「力を入れて」
「ふ、ぅっ……ひア゛ッまっ…ふかぃッ、ン゛、だめっるしッ――」
ギュポッっと入りこんだその向こうのさらに奥。奥の奥まできてしまう。それを望んだのは自分だが、そんなに深くまで貫かれたことのないミカエルは恐怖を感じた。
「ちゃんと力んで、」
「っふ、でもッ…」
「俺のがほしいんだろう?」
ミカエルは目を瞑ったままコクコク頷き、力の入らない身体を叱咤し腹に力を入れた。
「受け取れっ――」
「ッア゛ァ――ッ」
それ以上入ってはいけない。そう感じるくらい奥深くまで貫かれ、身体中の肌が粟立った。
最奥に彼の先端がクポッと嵌りこむような、妙な感覚。腹の奥が放たれるものを絞り取ろうとぎゅうぎゅう動く。
ついに熱く放たれたときには、衝撃的な快感に思考が弾けて身体がガクガク震えていた。
「っぁ…――」
遅れて途方もない恍惚と充足感がやってくる。
ミカエルの口角がうっすら上がった。
しなやかな身体は痙攣し続け、ひっくり返りそうなほど上向いた眼球が戻ってこない。涙や飲みこめなかった涎に顔を汚して、それでもミカエルは微笑んでいる。
ルシエルはその姿をじっくり眺め、熱くうねり続ける胎内からゆっくりと自身を引き抜いた。
ジュボッと壁の内側まで貫かれた感覚。あまりの快感と精神的ショックで、ミカエルは眼球をひっくり返してイってしまった。
「――ッァ…アァ…ァ…ぁっ…」
断続的に訪れる快感が収まらない。
「ミカ」
頬をパチパチ叩かれ、意識が戻る。じわじわと視界が滲んだ。
「っるしッ…お、おれの……ちんこ…っ…こ、こわれた…?」
「ああ、なんともない」
「……へ?」
「あれはジョークだ」
ルシエルは平然と言い、ゆっくりと棒を抜き取りにかかった。
ジリジリと痺れるような快感に、射精時のときのような快感が混じる。
「あ、あッなっ…でるッーー!」
それは精液ではなかった。
諸々の衝撃で、ミカエルの頭はパニックだ。
「お、っ、もらし…っ…」
「あそこまで挿れれば、出てもおかしくない」
「ほ、ほんとにっ、だいじょぶ、なんだよな…?」
「ああ」
ホッとしたら涙がぽろぽろ出てきた。
「そんなに怖かった?」
「っ、あたりまえだろッ」
まだ身体が震えている。頭を撫でられ、涙が止まらない。
「これで、君のここを一番奥まで暴いたのは俺になった」
「ぅっ、っ…」
あんなに様々なことをされてなお、知らない所があったなんて。知らしめられた相手がルシエルで幸運だったのだろうか。先ほどは本当に恐ろしかった。
「そういえば、いつか君、知らないことを知るなら俺に教えられたいと言ってたな」
「っ、もういい、」
「それなら、今日はここまでにしておこう」
ミカエルはハッとして顔を上げる。
「っナカ、入れろよ」
「そんなヘロヘロで大丈夫?」
「平気だ」
口ではそう言ったものの、身体の力が抜けてしまったミカエルは、仰向けで寝そべり股を開く。
「ん、」
「俺にはおねだりしてくれないんだ」
ルシエルはしゃがんだ状態で膝に腕をつき、物欲しそうにヒクつくアヌスを見下ろした。縦割れでぷっくり膨れて、すっかり男を受け入れ慣れた淫らな様相になっている。この短期間にこうも変えられた身体を見れば、どれほど多くの相手に――あるいは多くの時間、好き勝手に犯されたのか、想像に容易かった。
「……おまえので、奥に…た、種付けして…」
ミカエルは睫毛を伏せてお尻を下から手で持ち上げ、ヤグニエに言わされていたことを口にする。
「ふぅん」
「っ抱けよ」
関心のない相槌を耳にしたミカエルは、思わず睨み上げていた。
かち合った瞳に、ジリジリと焼けつくような情欲が宿る。ルシエルの唇がゆっくりと弧を描き、凄艶な微笑を湛えた。
「いいだろう」
ミカエルは魔王に捕らわれた獲物にでもなった気分で、ゴクリと喉を鳴らした。
「足持って開いてて」
「……ん、」
膝裏に手を添え、大きく開く。期待感から腰が痺れてナカが疼いた。
いつの間にかそそり立っていた彼の熱が入口に当てがわれる。
「――ッア゛、」
腰を掴まれ、前置きもなく奥まで一気に貫かれた。
「っキツいな」
「あ…アァッ…アッ…」
「奥を犯されるのが、そんなにイイかっ」
「イイッ…きもちぃッ…」
蕩けた顔で従順に答えるミカエルを見下ろし、ルシエルは歪んだ笑みを浮かべる。
「俺の子を、孕みたい?」
「はっ…ぁ、はらむッ…孕みたいッ…!」
彼はミカエルの話した条件をクリアしようとしてくれているのだろう。ミカエルは今、心の底からそれを願っていた。免れないのなら、せめてルシエルの――。
「奥ッ、奥にっ…るしっ、ほしぃッ」
ミカエルの気持ちに呼応するようにナカがうねって、逃がさないとばかりに咥えこんだ一物に絡みつく。
「っ、」
「ほしっ…こだねッ…るしのっっ」
ミカエルは朦朧とする頭でほしいほしいと叫び続けた。激しく突かれているのに物足りず、強い快感の底にジクジクした痺れがずっとある。
「力を入れて」
「ふ、ぅっ……ひア゛ッまっ…ふかぃッ、ン゛、だめっるしッ――」
ギュポッっと入りこんだその向こうのさらに奥。奥の奥まできてしまう。それを望んだのは自分だが、そんなに深くまで貫かれたことのないミカエルは恐怖を感じた。
「ちゃんと力んで、」
「っふ、でもッ…」
「俺のがほしいんだろう?」
ミカエルは目を瞑ったままコクコク頷き、力の入らない身体を叱咤し腹に力を入れた。
「受け取れっ――」
「ッア゛ァ――ッ」
それ以上入ってはいけない。そう感じるくらい奥深くまで貫かれ、身体中の肌が粟立った。
最奥に彼の先端がクポッと嵌りこむような、妙な感覚。腹の奥が放たれるものを絞り取ろうとぎゅうぎゅう動く。
ついに熱く放たれたときには、衝撃的な快感に思考が弾けて身体がガクガク震えていた。
「っぁ…――」
遅れて途方もない恍惚と充足感がやってくる。
ミカエルの口角がうっすら上がった。
しなやかな身体は痙攣し続け、ひっくり返りそうなほど上向いた眼球が戻ってこない。涙や飲みこめなかった涎に顔を汚して、それでもミカエルは微笑んでいる。
ルシエルはその姿をじっくり眺め、熱くうねり続ける胎内からゆっくりと自身を引き抜いた。
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