99 / 174
4章.Tractus
最奥のバージン*
しおりを挟む
それはいきなり訪れた。
ジュボッと壁の内側まで貫かれた感覚。あまりの快感と精神的ショックで、ミカエルは眼球をひっくり返してイってしまった。
「――ッァ…アァ…ァ…ぁっ…」
断続的に訪れる快感が収まらない。
「ミカ」
頬をパチパチ叩かれ、意識が戻る。じわじわと視界が滲んだ。
「っるしッ…お、おれの……ちんこ…っ…こ、こわれた…?」
「ああ、なんともない」
「……へ?」
「あれはジョークだ」
ルシエルは平然と言い、ゆっくりと棒を抜き取りにかかった。
ジリジリと痺れるような快感に、射精時のときのような快感が混じる。
「あ、あッなっ…でるッーー!」
それは精液ではなかった。
諸々の衝撃で、ミカエルの頭はパニックだ。
「お、っ、もらし…っ…」
「あそこまで挿れれば、出てもおかしくない」
「ほ、ほんとにっ、だいじょぶ、なんだよな…?」
「ああ」
ホッとしたら涙がぽろぽろ出てきた。
「そんなに怖かった?」
「っ、あたりまえだろッ」
まだ身体が震えている。頭を撫でられ、涙が止まらない。
「これで、君のここを一番奥まで暴いたのは俺になった」
「ぅっ、っ…」
あんなに様々なことをされてなお、知らない所があったなんて。知らしめられた相手がルシエルで幸運だったのだろうか。先ほどは本当に恐ろしかった。
「そういえば、いつか君、知らないことを知るなら俺に教えられたいと言ってたな」
「っ、もういい、」
「それなら、今日はここまでにしておこう」
ミカエルはハッとして顔を上げる。
「っナカ、入れろよ」
「そんなヘロヘロで大丈夫?」
「平気だ」
口ではそう言ったものの、身体の力が抜けてしまったミカエルは、仰向けで寝そべり股を開く。
「ん、」
「俺にはおねだりしてくれないんだ」
ルシエルはしゃがんだ状態で膝に腕をつき、物欲しそうにヒクつくアヌスを見下ろした。縦割れでぷっくり膨れて、すっかり男を受け入れ慣れた淫らな様相になっている。この短期間にこうも変えられた身体を見れば、どれほど多くの相手に――あるいは多くの時間、好き勝手に犯されたのか、想像に容易かった。
「……おまえので、奥に…た、種付けして…」
ミカエルは睫毛を伏せてお尻を下から手で持ち上げ、ヤグニエに言わされていたことを口にする。
「ふぅん」
「っ抱けよ」
関心のない相槌を耳にしたミカエルは、思わず睨み上げていた。
かち合った瞳に、ジリジリと焼けつくような情欲が宿る。ルシエルの唇がゆっくりと弧を描き、凄艶な微笑を湛えた。
「いいだろう」
ミカエルは魔王に捕らわれた獲物にでもなった気分で、ゴクリと喉を鳴らした。
「足持って開いてて」
「……ん、」
膝裏に手を添え、大きく開く。期待感から腰が痺れてナカが疼いた。
いつの間にかそそり立っていた彼の熱が入口に当てがわれる。
「――ッア゛、」
腰を掴まれ、前置きもなく奥まで一気に貫かれた。
「っキツいな」
「あ…アァッ…アッ…」
「奥を犯されるのが、そんなにイイかっ」
「イイッ…きもちぃッ…」
蕩けた顔で従順に答えるミカエルを見下ろし、ルシエルは歪んだ笑みを浮かべる。
「俺の子を、孕みたい?」
「はっ…ぁ、はらむッ…孕みたいッ…!」
彼はミカエルの話した条件をクリアしようとしてくれているのだろう。ミカエルは今、心の底からそれを願っていた。免れないのなら、せめてルシエルの――。
「奥ッ、奥にっ…るしっ、ほしぃッ」
ミカエルの気持ちに呼応するようにナカがうねって、逃がさないとばかりに咥えこんだ一物に絡みつく。
「っ、」
「ほしっ…こだねッ…るしのっっ」
ミカエルは朦朧とする頭でほしいほしいと叫び続けた。激しく突かれているのに物足りず、強い快感の底にジクジクした痺れがずっとある。
「力を入れて」
「ふ、ぅっ……ひア゛ッまっ…ふかぃッ、ン゛、だめっるしッ――」
ギュポッっと入りこんだその向こうのさらに奥。奥の奥まできてしまう。それを望んだのは自分だが、そんなに深くまで貫かれたことのないミカエルは恐怖を感じた。
「ちゃんと力んで、」
「っふ、でもッ…」
「俺のがほしいんだろう?」
ミカエルは目を瞑ったままコクコク頷き、力の入らない身体を叱咤し腹に力を入れた。
「受け取れっ――」
「ッア゛ァ――ッ」
それ以上入ってはいけない。そう感じるくらい奥深くまで貫かれ、身体中の肌が粟立った。
最奥に彼の先端がクポッと嵌りこむような、妙な感覚。腹の奥が放たれるものを絞り取ろうとぎゅうぎゅう動く。
ついに熱く放たれたときには、衝撃的な快感に思考が弾けて身体がガクガク震えていた。
「っぁ…――」
遅れて途方もない恍惚と充足感がやってくる。
ミカエルの口角がうっすら上がった。
しなやかな身体は痙攣し続け、ひっくり返りそうなほど上向いた眼球が戻ってこない。涙や飲みこめなかった涎に顔を汚して、それでもミカエルは微笑んでいる。
ルシエルはその姿をじっくり眺め、熱くうねり続ける胎内からゆっくりと自身を引き抜いた。
ジュボッと壁の内側まで貫かれた感覚。あまりの快感と精神的ショックで、ミカエルは眼球をひっくり返してイってしまった。
「――ッァ…アァ…ァ…ぁっ…」
断続的に訪れる快感が収まらない。
「ミカ」
頬をパチパチ叩かれ、意識が戻る。じわじわと視界が滲んだ。
「っるしッ…お、おれの……ちんこ…っ…こ、こわれた…?」
「ああ、なんともない」
「……へ?」
「あれはジョークだ」
ルシエルは平然と言い、ゆっくりと棒を抜き取りにかかった。
ジリジリと痺れるような快感に、射精時のときのような快感が混じる。
「あ、あッなっ…でるッーー!」
それは精液ではなかった。
諸々の衝撃で、ミカエルの頭はパニックだ。
「お、っ、もらし…っ…」
「あそこまで挿れれば、出てもおかしくない」
「ほ、ほんとにっ、だいじょぶ、なんだよな…?」
「ああ」
ホッとしたら涙がぽろぽろ出てきた。
「そんなに怖かった?」
「っ、あたりまえだろッ」
まだ身体が震えている。頭を撫でられ、涙が止まらない。
「これで、君のここを一番奥まで暴いたのは俺になった」
「ぅっ、っ…」
あんなに様々なことをされてなお、知らない所があったなんて。知らしめられた相手がルシエルで幸運だったのだろうか。先ほどは本当に恐ろしかった。
「そういえば、いつか君、知らないことを知るなら俺に教えられたいと言ってたな」
「っ、もういい、」
「それなら、今日はここまでにしておこう」
ミカエルはハッとして顔を上げる。
「っナカ、入れろよ」
「そんなヘロヘロで大丈夫?」
「平気だ」
口ではそう言ったものの、身体の力が抜けてしまったミカエルは、仰向けで寝そべり股を開く。
「ん、」
「俺にはおねだりしてくれないんだ」
ルシエルはしゃがんだ状態で膝に腕をつき、物欲しそうにヒクつくアヌスを見下ろした。縦割れでぷっくり膨れて、すっかり男を受け入れ慣れた淫らな様相になっている。この短期間にこうも変えられた身体を見れば、どれほど多くの相手に――あるいは多くの時間、好き勝手に犯されたのか、想像に容易かった。
「……おまえので、奥に…た、種付けして…」
ミカエルは睫毛を伏せてお尻を下から手で持ち上げ、ヤグニエに言わされていたことを口にする。
「ふぅん」
「っ抱けよ」
関心のない相槌を耳にしたミカエルは、思わず睨み上げていた。
かち合った瞳に、ジリジリと焼けつくような情欲が宿る。ルシエルの唇がゆっくりと弧を描き、凄艶な微笑を湛えた。
「いいだろう」
ミカエルは魔王に捕らわれた獲物にでもなった気分で、ゴクリと喉を鳴らした。
「足持って開いてて」
「……ん、」
膝裏に手を添え、大きく開く。期待感から腰が痺れてナカが疼いた。
いつの間にかそそり立っていた彼の熱が入口に当てがわれる。
「――ッア゛、」
腰を掴まれ、前置きもなく奥まで一気に貫かれた。
「っキツいな」
「あ…アァッ…アッ…」
「奥を犯されるのが、そんなにイイかっ」
「イイッ…きもちぃッ…」
蕩けた顔で従順に答えるミカエルを見下ろし、ルシエルは歪んだ笑みを浮かべる。
「俺の子を、孕みたい?」
「はっ…ぁ、はらむッ…孕みたいッ…!」
彼はミカエルの話した条件をクリアしようとしてくれているのだろう。ミカエルは今、心の底からそれを願っていた。免れないのなら、せめてルシエルの――。
「奥ッ、奥にっ…るしっ、ほしぃッ」
ミカエルの気持ちに呼応するようにナカがうねって、逃がさないとばかりに咥えこんだ一物に絡みつく。
「っ、」
「ほしっ…こだねッ…るしのっっ」
ミカエルは朦朧とする頭でほしいほしいと叫び続けた。激しく突かれているのに物足りず、強い快感の底にジクジクした痺れがずっとある。
「力を入れて」
「ふ、ぅっ……ひア゛ッまっ…ふかぃッ、ン゛、だめっるしッ――」
ギュポッっと入りこんだその向こうのさらに奥。奥の奥まできてしまう。それを望んだのは自分だが、そんなに深くまで貫かれたことのないミカエルは恐怖を感じた。
「ちゃんと力んで、」
「っふ、でもッ…」
「俺のがほしいんだろう?」
ミカエルは目を瞑ったままコクコク頷き、力の入らない身体を叱咤し腹に力を入れた。
「受け取れっ――」
「ッア゛ァ――ッ」
それ以上入ってはいけない。そう感じるくらい奥深くまで貫かれ、身体中の肌が粟立った。
最奥に彼の先端がクポッと嵌りこむような、妙な感覚。腹の奥が放たれるものを絞り取ろうとぎゅうぎゅう動く。
ついに熱く放たれたときには、衝撃的な快感に思考が弾けて身体がガクガク震えていた。
「っぁ…――」
遅れて途方もない恍惚と充足感がやってくる。
ミカエルの口角がうっすら上がった。
しなやかな身体は痙攣し続け、ひっくり返りそうなほど上向いた眼球が戻ってこない。涙や飲みこめなかった涎に顔を汚して、それでもミカエルは微笑んでいる。
ルシエルはその姿をじっくり眺め、熱くうねり続ける胎内からゆっくりと自身を引き抜いた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!
梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。
あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。
突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。
何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……?
人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。
僕って最低最悪な王子じゃん!?
このままだと、破滅的未来しか残ってないし!
心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!?
これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!?
前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー!
騎士×王子の王道カップリングでお送りします。
第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。
本当にありがとうございます!!
※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる