88 / 174
4章.Tractus
急転直下*
しおりを挟む
音楽が終わり、ミカエルも動きを止める。はぁはぁと荒い息でお辞儀した。
楽器を演奏していた男たちが部屋を出ていく。
入れ替わりに、数人の少年の踊り子が入って来た。男たちの反応を見るに、ミカエルより先に踊っていたのだろう。
「お酌いたします」
少年たちは酒が入っているのであろう陶器の壺を持っており、男たちの元へ向かった。そのうちの一人から、ミカエルも壺を渡される。
「注いでくだくれ」
「私も」
「私も」
ミカエルに向け杯を上げてくるので、仕方なくそちらへ向かった。注ごうとしたらいきなり手を引かれ、持っていた壺を取り上げられる。
「っ、」
「酒よりその身体がいい」
「ささ、こちらへ。ああ、思った以上に滑らかな…」
「この飾り。乳首を愛撫されるのがお好きなのですかな?」
「おおっなんとプリッとした尻じゃ…!」
「っやめッ」
すっかり忘れていたが、ここにはアズラエルがいるのだ。そもそもこのような事をされるのは嫌だが、こんな姿を知り合いに見られると思うと耐えがたい。
ミカエルの気も知らず、男たちはミカエルの腕を持って離さず、素肌を撫でまわしてくる。嫌がって腰をくねれば悦ばれ、穿いていたズボンを下ろされた。無理やり膝立ちにされ、あとはこれまでと同じ繰り返し。口や後ろに肉棒を押し挿れられる。
「アっ…やっ…アアッ…」
容赦なく奥まで突かれ、ミカエルは尻を突き出すような恰好になっていた。次にはじりじり感じる所を責められ、押し出されるようにトボトボ射精してしまう。強い快感だ。しかし射精させられたという感じで、気分は良くない。
「アっあぁっぁっぁ――…」
「ほほぅ、立派な男娼ですな。ナカを突かれるのがお漏らしするほどイイらしい」
「ちがっ…やっァッ…」
突きながら乳首を繋ぐ鎖を引っ張られ、ミカエルは首を伸ばして喘いだ。引っ張られるとナカを締め付けてしまう。それがイイのか、後ろの男はグイグイ引きながら突いていた。そうしてついに放たれる。
「ッ――!」
奥を強く突かれた衝撃で視界に火花が飛んだ。
彼がナカから出て行って、間髪を入れず次の男の猛りで突かれる。
アズラエルが他の踊り子の所へ行ったことを願う。彼にも肉欲はあるだろう。今日のことは、お互い忘れることにして…。
喉の奥に出された粘りけのある液体をなんとか飲みこみ、呼吸を求めてはぁはぁする。
「その眼帯で彼の艶美な身体が見えているので?」
「見えておりますよ」
ぼぅっとする頭が眼帯というフレーズをかろうじて捉えて固まった。ヒヤッとして息が止まりそうになったが、ナカを突いてくる男の動きは止まらない。
「っぁ、あっあぁっアッ――」
後ろの男がラストスパートをかけ、奥で達して出ていった。
「潔白ぶらずに貴殿も楽しめば良い。こんな機会はめったにないですぞ」
「ミカエル様、こちらのお高く留まった貴公子も天国へ誘ってくだされ」
先ほど喉の奥で達した男に頤を持って上向かされる。
アズラエルは、眼帯をした顔でミカエルを見下ろしていた。軽蔑するような雰囲気だ。
「さぁ、お口を開いて舌を出すのです」
「そのいやらしいお身体で、この男の涼しい顔をお崩しください」
「いいですな。お尻を振って挑発されては?」
「お股を開いて淫乱なお姿を見せれば一発ですぞ」
周りの男たちは、この場にあって乱れた様子のないアズラエルが気に障ったのかもしれない。ミカエルのお尻を叩き、もっと淫らな腰つきで誘えと強請る。
ミカエルはアズラエルが知り合いなことを周りに悟られないよう、強要される通りにするしかなかった。それが互いのためだと思ったのだ。何が悲しくて、ヤる気のない知り合いを誘惑しなくてはならないのか。無様な姿を晒すだけで耐えがたいのに。
ミカエルは睫毛を伏せて舌を出す。腰を振ってもアズラエルは動かない。
「こうなれば、口を使ってこの者の一物を衣服の中から出し、しゃぶりつくのです!」
「っぅ、」
ペシリと尻を叩かれ、ミカエルは彼のズボンを下ろそうと首を伸ばした。
アズラエルがおもむろに膝を折る。
ミカエルと顔を合わせ、汚れた頬に労わるように触れた。先ほどは見下すような顔つきだったのに、今はどこか苦しそうに見える。
「っええい、待ちきれん。先にやらせてもらおう」
言うが否や、後ろに立った男が四つん這いでいるミカエルの腰を無遠慮に持って深く突いてきた。
「ッア、っぅ…あぁ…あっ…」
目の前でアズラエルが見ているのに。
ギュッと目を瞑ると、耳を食まれる。
「っ…」
「彼らをお呼びしましょう」
――彼ら。
「っぁ、まっ」
耳許で囁かれた声に、ミカエルは嫌な予感がした。
ここへ連れて来られた日、助けてほしいと願ったけれど、このような姿を見られるくらいなら来てくれなくていいとすら思う。見られたくない。嫌だ。こんな姿を――。
不意に感じたゾワリとする気配。
馴染み深くゾッとする。この場にいる全員がその異質な氣に動きを止めた。
「ッ、」
後ろに咥えていた物が引き抜かれ、腕を引かれて立ち上がる。
顔を上げられない。
そこらに落ちていた誰かの腰布で後ろや前のドロドロを拭われる。足に纏わりついていたズボンや紐パンを引き上げられて腰のベルトを締められた。
「っお、女っ、」
「黙れ」
恐ろしいほどの殺気に当てられた男が気を失って倒れる。
耳がおかしくなったのだろうか。冷たい声が女性のようだったなんて――。
楽器を演奏していた男たちが部屋を出ていく。
入れ替わりに、数人の少年の踊り子が入って来た。男たちの反応を見るに、ミカエルより先に踊っていたのだろう。
「お酌いたします」
少年たちは酒が入っているのであろう陶器の壺を持っており、男たちの元へ向かった。そのうちの一人から、ミカエルも壺を渡される。
「注いでくだくれ」
「私も」
「私も」
ミカエルに向け杯を上げてくるので、仕方なくそちらへ向かった。注ごうとしたらいきなり手を引かれ、持っていた壺を取り上げられる。
「っ、」
「酒よりその身体がいい」
「ささ、こちらへ。ああ、思った以上に滑らかな…」
「この飾り。乳首を愛撫されるのがお好きなのですかな?」
「おおっなんとプリッとした尻じゃ…!」
「っやめッ」
すっかり忘れていたが、ここにはアズラエルがいるのだ。そもそもこのような事をされるのは嫌だが、こんな姿を知り合いに見られると思うと耐えがたい。
ミカエルの気も知らず、男たちはミカエルの腕を持って離さず、素肌を撫でまわしてくる。嫌がって腰をくねれば悦ばれ、穿いていたズボンを下ろされた。無理やり膝立ちにされ、あとはこれまでと同じ繰り返し。口や後ろに肉棒を押し挿れられる。
「アっ…やっ…アアッ…」
容赦なく奥まで突かれ、ミカエルは尻を突き出すような恰好になっていた。次にはじりじり感じる所を責められ、押し出されるようにトボトボ射精してしまう。強い快感だ。しかし射精させられたという感じで、気分は良くない。
「アっあぁっぁっぁ――…」
「ほほぅ、立派な男娼ですな。ナカを突かれるのがお漏らしするほどイイらしい」
「ちがっ…やっァッ…」
突きながら乳首を繋ぐ鎖を引っ張られ、ミカエルは首を伸ばして喘いだ。引っ張られるとナカを締め付けてしまう。それがイイのか、後ろの男はグイグイ引きながら突いていた。そうしてついに放たれる。
「ッ――!」
奥を強く突かれた衝撃で視界に火花が飛んだ。
彼がナカから出て行って、間髪を入れず次の男の猛りで突かれる。
アズラエルが他の踊り子の所へ行ったことを願う。彼にも肉欲はあるだろう。今日のことは、お互い忘れることにして…。
喉の奥に出された粘りけのある液体をなんとか飲みこみ、呼吸を求めてはぁはぁする。
「その眼帯で彼の艶美な身体が見えているので?」
「見えておりますよ」
ぼぅっとする頭が眼帯というフレーズをかろうじて捉えて固まった。ヒヤッとして息が止まりそうになったが、ナカを突いてくる男の動きは止まらない。
「っぁ、あっあぁっアッ――」
後ろの男がラストスパートをかけ、奥で達して出ていった。
「潔白ぶらずに貴殿も楽しめば良い。こんな機会はめったにないですぞ」
「ミカエル様、こちらのお高く留まった貴公子も天国へ誘ってくだされ」
先ほど喉の奥で達した男に頤を持って上向かされる。
アズラエルは、眼帯をした顔でミカエルを見下ろしていた。軽蔑するような雰囲気だ。
「さぁ、お口を開いて舌を出すのです」
「そのいやらしいお身体で、この男の涼しい顔をお崩しください」
「いいですな。お尻を振って挑発されては?」
「お股を開いて淫乱なお姿を見せれば一発ですぞ」
周りの男たちは、この場にあって乱れた様子のないアズラエルが気に障ったのかもしれない。ミカエルのお尻を叩き、もっと淫らな腰つきで誘えと強請る。
ミカエルはアズラエルが知り合いなことを周りに悟られないよう、強要される通りにするしかなかった。それが互いのためだと思ったのだ。何が悲しくて、ヤる気のない知り合いを誘惑しなくてはならないのか。無様な姿を晒すだけで耐えがたいのに。
ミカエルは睫毛を伏せて舌を出す。腰を振ってもアズラエルは動かない。
「こうなれば、口を使ってこの者の一物を衣服の中から出し、しゃぶりつくのです!」
「っぅ、」
ペシリと尻を叩かれ、ミカエルは彼のズボンを下ろそうと首を伸ばした。
アズラエルがおもむろに膝を折る。
ミカエルと顔を合わせ、汚れた頬に労わるように触れた。先ほどは見下すような顔つきだったのに、今はどこか苦しそうに見える。
「っええい、待ちきれん。先にやらせてもらおう」
言うが否や、後ろに立った男が四つん這いでいるミカエルの腰を無遠慮に持って深く突いてきた。
「ッア、っぅ…あぁ…あっ…」
目の前でアズラエルが見ているのに。
ギュッと目を瞑ると、耳を食まれる。
「っ…」
「彼らをお呼びしましょう」
――彼ら。
「っぁ、まっ」
耳許で囁かれた声に、ミカエルは嫌な予感がした。
ここへ連れて来られた日、助けてほしいと願ったけれど、このような姿を見られるくらいなら来てくれなくていいとすら思う。見られたくない。嫌だ。こんな姿を――。
不意に感じたゾワリとする気配。
馴染み深くゾッとする。この場にいる全員がその異質な氣に動きを止めた。
「ッ、」
後ろに咥えていた物が引き抜かれ、腕を引かれて立ち上がる。
顔を上げられない。
そこらに落ちていた誰かの腰布で後ろや前のドロドロを拭われる。足に纏わりついていたズボンや紐パンを引き上げられて腰のベルトを締められた。
「っお、女っ、」
「黙れ」
恐ろしいほどの殺気に当てられた男が気を失って倒れる。
耳がおかしくなったのだろうか。冷たい声が女性のようだったなんて――。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!
梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。
あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。
突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。
何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……?
人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。
僕って最低最悪な王子じゃん!?
このままだと、破滅的未来しか残ってないし!
心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!?
これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!?
前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー!
騎士×王子の王道カップリングでお送りします。
第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。
本当にありがとうございます!!
※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる