81 / 174
4章.Tractus
ご奉仕*
しおりを挟む
†††
果てなく繰り返す波のように苦痛と官能を与えられていた。混濁する意識。順応していく身体が遠い。束の間眠りに就いて、意識が戻ったのは夜だった。
アヌスが押し拡げられ、何かを入れられた。
「これで中出しされても、そなたの内壁に直接触れぬよう保護される」
ベタついた身体が綺麗になっている。上体を起こすと、右腿に金の装飾がつけられていた。腕にもつけられてる。
「ガーターリングにアームリング。イヤリングもつけてやったぞ。そなたは男どもを悦ばせに行くんだ。着飾らないとな」
ミカエルは睫毛を伏せた。身体が怠い。
「立て。これを履くんだ」
「……?」
「見たことないのか?」
前側にしか布がない下履きを穿かされた。紐がお尻に食い込むのが気になる。それから、ダボッとしたズボンを渡された。こちらでは、この形がスタンダードなのかもしれない。無防備に横が空いているのは、そういう事をしやすいからだろう。
円形の飾りがたくさん付いた金色の紐を腰に巻きつけられる。素肌に短いベストを羽織らされ、首輪を嵌められた。足首と、後ろにやった手首にも嵌められる。
ヤグニエはぼんやりしているミカエルを見下ろし、首を傾げた。
「従順だな」
「……逃げる術がない」
抵抗するほど酷い目に遭うのは、聖学校で学んでいる。
「そうだな。俺から逃げて父上の配下に捕まってみろ。性器を取られるか、命を取られるか。二つに一つだ」
待ち受けていることを思うと、いっそ命を奪われたほうがいいような気さえしてくる。それなのに、なぜ従順にしているのか。そうまでして護るべきものなのか。男の機能があることや、この命は――。
「凌辱されるくらいなら、死んだ方がマシか?」
聖学校にいた頃は明確な望みがあった。そのために、どんな苦しみにも耐えられた。
――苦しくても手ぇ放すな。
ミカエルは顔をしかめる。
それはミカエルがルシエルに言ったことだ。少し前に儀式に行ったルシエルは、日常とのギャップに、より苦しみを感じている。それでも「ここにいろよ」とミカエルは言い、旅に誘えば「君がそれを望むなら」とルシエルは言ってくれた。
ルシエルは今も、逃れる術もなく苦しみと対峙している。より一層の苦しみを感じさせる要因となる日常を過ごしている。ミカエルはそれを知っていながら、彼にいてほしいと言ったのだ。
唇を噛み締める。
ルシエルにあんな事を言っておいて、自分だけ逃げることなどできやしない。
「覚悟はできてるみたいだな」
唇を親指の腹でなぞられ、噛むのを止めるよう促される。目隠しをされ、フードつきのマントに身体が覆われた。
「行くぞ」
首輪から伸びる鎖を引かれた。両足首も鎖で繋がれているので歩きづらい。奴隷というものは、このような扱いを受けているのかもしれないと思った。
どれだけ歩いたか、男たちの盛り上がっている声が聞こえてきた。宴はすでに行われているのだろう。賑やかな雰囲気がどんどん近づき、ついにはそこへ辿り着く。
目隠しとマントを外され、ギョッとした。
想像を超える大部屋だ。さぞや勇猛果敢な戦士たちなのだろう。ガタイの良い男たちで埋め尽くされている。横を向けば、ミカエルと同じくらいか年下の少年が幾人も並んで立っていた。小麦色の肌の少年もいれば、白い肌の少年もいる。無防備な服装で、こんな所に立たされて。けれど、狼狽えている者はいない。
「――そなたらに褒美を与える。今宵は大いに楽しめ」
少年たちは、湧き立つ熱気のなかへ自ら入っていった。ミカエルも背中を押されて前に出る。手首や足首の拘束はなくなっていた。
「見ろ、どこぞの王族みてえな髪色だ」
「色っぽい身体だな。ムラムラする」
「顔もいい」
「威勢のいい目じゃないか。猛るぜ」
肉食獣の目をした男たちが寄ってくる。顎を掴まれ、上向かされた。
「それじゃ、愉しませてもらおうか」
四方八方から伸びる無骨な手。ベストを脱がされ、ズボンの横側から手を突っ込まれ。素肌を撫でまわされる。
「っ、」
不埒な手を退かそうとしたら、横から伸びた手に手首を引かれて勃起し始めた一物を握らされた。伝わる熱。上から手を重ねられ、扱くのに使われる。
「かわいいなぁ、桃色乳首だぜ」
「手触りもいい…」
乳首を舐め回す男、アヌスに指を突っ込んでくる男、腿を舐め上げる男に項を食む男。腕を持ち上げられて腋も舐められる。いっぺんにされて頭が追いつかない。膝裏を蹴られ、膝立ちになった。
「ぁ…んっ……」
「こんなちっちぇえ乳首でも感じるのか」
「おら、もっと股開け」
床についている膝を横に蹴られて足が大きく開かされた。前に倒れそうになる。なんとか耐えると、腰布を解いてズボンを下ろされた。
「新人か? こっちも初々しいぞ」
「んっ」
お尻に食い込んでいた紐を引っ張って離され、パチンと尻の谷間を打たれた。
「そそる尻だな。早くぶちこもうぜ」
「俺はこっちでやらせてもらう」
口とアヌスに熱を帯びた肉棒をズブズブ挿れられる。
身体がしなる。無遠慮に突かれて滲む視界――。
昼間も後ろに玩具を咥えさせられていただけあり、いきなり突かれても痛くなかったのが救いか。グボッと音がしてもっと奥まで突き挿れられる。甘い叫びは喉の奥にくぐもった。
果てなく繰り返す波のように苦痛と官能を与えられていた。混濁する意識。順応していく身体が遠い。束の間眠りに就いて、意識が戻ったのは夜だった。
アヌスが押し拡げられ、何かを入れられた。
「これで中出しされても、そなたの内壁に直接触れぬよう保護される」
ベタついた身体が綺麗になっている。上体を起こすと、右腿に金の装飾がつけられていた。腕にもつけられてる。
「ガーターリングにアームリング。イヤリングもつけてやったぞ。そなたは男どもを悦ばせに行くんだ。着飾らないとな」
ミカエルは睫毛を伏せた。身体が怠い。
「立て。これを履くんだ」
「……?」
「見たことないのか?」
前側にしか布がない下履きを穿かされた。紐がお尻に食い込むのが気になる。それから、ダボッとしたズボンを渡された。こちらでは、この形がスタンダードなのかもしれない。無防備に横が空いているのは、そういう事をしやすいからだろう。
円形の飾りがたくさん付いた金色の紐を腰に巻きつけられる。素肌に短いベストを羽織らされ、首輪を嵌められた。足首と、後ろにやった手首にも嵌められる。
ヤグニエはぼんやりしているミカエルを見下ろし、首を傾げた。
「従順だな」
「……逃げる術がない」
抵抗するほど酷い目に遭うのは、聖学校で学んでいる。
「そうだな。俺から逃げて父上の配下に捕まってみろ。性器を取られるか、命を取られるか。二つに一つだ」
待ち受けていることを思うと、いっそ命を奪われたほうがいいような気さえしてくる。それなのに、なぜ従順にしているのか。そうまでして護るべきものなのか。男の機能があることや、この命は――。
「凌辱されるくらいなら、死んだ方がマシか?」
聖学校にいた頃は明確な望みがあった。そのために、どんな苦しみにも耐えられた。
――苦しくても手ぇ放すな。
ミカエルは顔をしかめる。
それはミカエルがルシエルに言ったことだ。少し前に儀式に行ったルシエルは、日常とのギャップに、より苦しみを感じている。それでも「ここにいろよ」とミカエルは言い、旅に誘えば「君がそれを望むなら」とルシエルは言ってくれた。
ルシエルは今も、逃れる術もなく苦しみと対峙している。より一層の苦しみを感じさせる要因となる日常を過ごしている。ミカエルはそれを知っていながら、彼にいてほしいと言ったのだ。
唇を噛み締める。
ルシエルにあんな事を言っておいて、自分だけ逃げることなどできやしない。
「覚悟はできてるみたいだな」
唇を親指の腹でなぞられ、噛むのを止めるよう促される。目隠しをされ、フードつきのマントに身体が覆われた。
「行くぞ」
首輪から伸びる鎖を引かれた。両足首も鎖で繋がれているので歩きづらい。奴隷というものは、このような扱いを受けているのかもしれないと思った。
どれだけ歩いたか、男たちの盛り上がっている声が聞こえてきた。宴はすでに行われているのだろう。賑やかな雰囲気がどんどん近づき、ついにはそこへ辿り着く。
目隠しとマントを外され、ギョッとした。
想像を超える大部屋だ。さぞや勇猛果敢な戦士たちなのだろう。ガタイの良い男たちで埋め尽くされている。横を向けば、ミカエルと同じくらいか年下の少年が幾人も並んで立っていた。小麦色の肌の少年もいれば、白い肌の少年もいる。無防備な服装で、こんな所に立たされて。けれど、狼狽えている者はいない。
「――そなたらに褒美を与える。今宵は大いに楽しめ」
少年たちは、湧き立つ熱気のなかへ自ら入っていった。ミカエルも背中を押されて前に出る。手首や足首の拘束はなくなっていた。
「見ろ、どこぞの王族みてえな髪色だ」
「色っぽい身体だな。ムラムラする」
「顔もいい」
「威勢のいい目じゃないか。猛るぜ」
肉食獣の目をした男たちが寄ってくる。顎を掴まれ、上向かされた。
「それじゃ、愉しませてもらおうか」
四方八方から伸びる無骨な手。ベストを脱がされ、ズボンの横側から手を突っ込まれ。素肌を撫でまわされる。
「っ、」
不埒な手を退かそうとしたら、横から伸びた手に手首を引かれて勃起し始めた一物を握らされた。伝わる熱。上から手を重ねられ、扱くのに使われる。
「かわいいなぁ、桃色乳首だぜ」
「手触りもいい…」
乳首を舐め回す男、アヌスに指を突っ込んでくる男、腿を舐め上げる男に項を食む男。腕を持ち上げられて腋も舐められる。いっぺんにされて頭が追いつかない。膝裏を蹴られ、膝立ちになった。
「ぁ…んっ……」
「こんなちっちぇえ乳首でも感じるのか」
「おら、もっと股開け」
床についている膝を横に蹴られて足が大きく開かされた。前に倒れそうになる。なんとか耐えると、腰布を解いてズボンを下ろされた。
「新人か? こっちも初々しいぞ」
「んっ」
お尻に食い込んでいた紐を引っ張って離され、パチンと尻の谷間を打たれた。
「そそる尻だな。早くぶちこもうぜ」
「俺はこっちでやらせてもらう」
口とアヌスに熱を帯びた肉棒をズブズブ挿れられる。
身体がしなる。無遠慮に突かれて滲む視界――。
昼間も後ろに玩具を咥えさせられていただけあり、いきなり突かれても痛くなかったのが救いか。グボッと音がしてもっと奥まで突き挿れられる。甘い叫びは喉の奥にくぐもった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!
梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。
あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。
突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。
何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……?
人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。
僕って最低最悪な王子じゃん!?
このままだと、破滅的未来しか残ってないし!
心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!?
これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!?
前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー!
騎士×王子の王道カップリングでお送りします。
第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。
本当にありがとうございます!!
※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。

淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる