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4章.Tractus
ご奉仕
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†††
果てなく繰り返す波のように苦痛と官能を与えられていた。混濁する意識。順応していく身体が遠い。束の間眠りに就いて、意識が戻ったのは夜だった。
アヌスが押し拡げられ、何かを入れられた。
「これで中出しされても、そなたの内壁に直接触れぬよう保護される」
ベタついた身体が綺麗になっている。上体を起こすと、右腿に金の装飾がつけられていた。腕にもつけられてる。
「ガーターリングにアームリング。イヤリングもつけてやったぞ。そなたは男どもを悦ばせに行くんだ。着飾らないとな」
ミカエルは睫毛を伏せた。身体が怠い。
「立て。これを履くんだ」
「……?」
「見たことないのか?」
前側にしか布がない下履きを穿かされた。紐がお尻に食い込むのが気になる。それから、ダボッとしたズボンを渡された。こちらでは、この形がスタンダードなのかもしれない。無防備に横が空いているのは、そういう事をしやすいからだろう。
円形の飾りがたくさん付いた金色の紐を腰に巻きつけられる。素肌に短いベストを羽織らされ、首輪を嵌められた。足首と、後ろにやった手首にも嵌められる。
ヤグニエはぼんやりしているミカエルを見下ろし、首を傾げた。
「従順だな」
「……逃げる術がない」
抵抗するほど酷い目に遭うのは、聖学校で学んでいる。
「そうだな。俺から逃げて父上の配下に捕まってみろ。性器を取られるか、命を取られるか。二つに一つだ」
待ち受けていることを思うと、いっそ命を奪われたほうがいいような気さえしてくる。それなのに、なぜ従順にしているのか。そうまでして護るべきものなのか。男の機能があることや、この命は――。
「凌辱されるくらいなら、死んだ方がマシか?」
聖学校にいた頃は明確な望みがあった。そのために、どんな苦しみにも耐えられた。
――苦しくても手ぇ放すな。
ミカエルは顔をしかめる。
それはミカエルがルシエルに言ったことだ。少し前に儀式に行ったルシエルは、日常とのギャップに、より苦しみを感じている。それでも「ここにいろよ」とミカエルは言い、旅に誘えば「君がそれを望むなら」とルシエルは言ってくれた。
ルシエルは今も、逃れる術もなく苦しみと対峙している。より一層の苦しみを感じさせる要因となる日常を過ごしている。ミカエルはそれを知っていながら、彼にいてほしいと言ったのだ。
唇を噛み締める。
ルシエルにあんな事を言っておいて、自分だけ逃げることなどできやしない。
「覚悟はできてるみたいだな」
唇を親指の腹でなぞられ、噛むのを止めるよう促される。目隠しをされ、フードつきのマントに身体が覆われた。
「行くぞ」
首輪から伸びる鎖を引かれた。両足首も鎖で繋がれているので歩きづらい。奴隷というものは、このような扱いを受けているのかもしれないと思った。
どれだけ歩いたか、男たちの盛り上がっている声が聞こえてきた。宴はすでに行われているのだろう。賑やかな雰囲気がどんどん近づき、ついにはそこへ辿り着く。
目隠しとマントを外され、ギョッとした。
想像を超える大部屋だ。さぞや勇猛果敢な戦士たちなのだろう。ガタイの良い男たちで埋め尽くされている。横を向けば、ミカエルと同じくらいか年下の少年が幾人も並んで立っていた。小麦色の肌の少年もいれば、白い肌の少年もいる。無防備な服装で、こんな所に立たされて。けれど、狼狽えている者はいない。
「――そなたらに褒美を与える。今宵は大いに楽しめ」
少年たちは、湧き立つ熱気のなかへ自ら入っていった。ミカエルも背中を押されて前に出る。手首や足首の拘束はなくなっていた。
「見ろ、どこぞの王族みてえな髪色だ」
「色っぽい身体だな。ムラムラする」
「顔もいい」
「威勢のいい目じゃないか。猛るぜ」
肉食獣の目をした男たちが寄ってくる。顎を掴まれ、上向かされた。
「それじゃ、愉しませてもらおうか」
四方八方から伸びる無骨な手。ベストを脱がされ、ズボンの横側から手を突っ込まれ。素肌を撫でまわされる。
「っ、」
不埒な手を退かそうとしたら、横から伸びた手に手首を引かれて勃起し始めた一物を握らされた。伝わる熱。上から手を重ねられ、扱くのに使われる。
「かわいいなぁ、桃色乳首だぜ」
「手触りもいい…」
乳首を舐め回す男、アヌスに指を突っ込んでくる男、腿を舐め上げる男に項を食む男。腕を持ち上げられて腋も舐められる。いっぺんにされて頭が追いつかない。膝裏を蹴られ、膝立ちになった。
「ぁ…んっ……」
「こんなちっちぇえ乳首でも感じるのか」
「おら、もっと股開け」
床についている膝を横に蹴られて足が大きく開かされた。前に倒れそうになる。なんとか耐えると、腰布を解いてズボンを下ろされた。
「新人か? こっちも初々しいぞ」
「んっ」
お尻に食い込んでいた紐を引っ張って離され、パチンと尻の谷間を打たれた。
「そそる尻だな。早くぶちこもうぜ」
「俺はこっちでやらせてもらう」
口とアヌスに熱を帯びた肉棒をズブズブ挿れられる。
身体がしなる。無遠慮に突かれて滲む視界――。
昼間も後ろに玩具を咥えさせられていただけあり、いきなり突かれても痛くなかったのが救いか。グボッと音がしてもっと奥まで突き挿れられる。甘い叫びは喉の奥にくぐもった。
果てなく繰り返す波のように苦痛と官能を与えられていた。混濁する意識。順応していく身体が遠い。束の間眠りに就いて、意識が戻ったのは夜だった。
アヌスが押し拡げられ、何かを入れられた。
「これで中出しされても、そなたの内壁に直接触れぬよう保護される」
ベタついた身体が綺麗になっている。上体を起こすと、右腿に金の装飾がつけられていた。腕にもつけられてる。
「ガーターリングにアームリング。イヤリングもつけてやったぞ。そなたは男どもを悦ばせに行くんだ。着飾らないとな」
ミカエルは睫毛を伏せた。身体が怠い。
「立て。これを履くんだ」
「……?」
「見たことないのか?」
前側にしか布がない下履きを穿かされた。紐がお尻に食い込むのが気になる。それから、ダボッとしたズボンを渡された。こちらでは、この形がスタンダードなのかもしれない。無防備に横が空いているのは、そういう事をしやすいからだろう。
円形の飾りがたくさん付いた金色の紐を腰に巻きつけられる。素肌に短いベストを羽織らされ、首輪を嵌められた。足首と、後ろにやった手首にも嵌められる。
ヤグニエはぼんやりしているミカエルを見下ろし、首を傾げた。
「従順だな」
「……逃げる術がない」
抵抗するほど酷い目に遭うのは、聖学校で学んでいる。
「そうだな。俺から逃げて父上の配下に捕まってみろ。性器を取られるか、命を取られるか。二つに一つだ」
待ち受けていることを思うと、いっそ命を奪われたほうがいいような気さえしてくる。それなのに、なぜ従順にしているのか。そうまでして護るべきものなのか。男の機能があることや、この命は――。
「凌辱されるくらいなら、死んだ方がマシか?」
聖学校にいた頃は明確な望みがあった。そのために、どんな苦しみにも耐えられた。
――苦しくても手ぇ放すな。
ミカエルは顔をしかめる。
それはミカエルがルシエルに言ったことだ。少し前に儀式に行ったルシエルは、日常とのギャップに、より苦しみを感じている。それでも「ここにいろよ」とミカエルは言い、旅に誘えば「君がそれを望むなら」とルシエルは言ってくれた。
ルシエルは今も、逃れる術もなく苦しみと対峙している。より一層の苦しみを感じさせる要因となる日常を過ごしている。ミカエルはそれを知っていながら、彼にいてほしいと言ったのだ。
唇を噛み締める。
ルシエルにあんな事を言っておいて、自分だけ逃げることなどできやしない。
「覚悟はできてるみたいだな」
唇を親指の腹でなぞられ、噛むのを止めるよう促される。目隠しをされ、フードつきのマントに身体が覆われた。
「行くぞ」
首輪から伸びる鎖を引かれた。両足首も鎖で繋がれているので歩きづらい。奴隷というものは、このような扱いを受けているのかもしれないと思った。
どれだけ歩いたか、男たちの盛り上がっている声が聞こえてきた。宴はすでに行われているのだろう。賑やかな雰囲気がどんどん近づき、ついにはそこへ辿り着く。
目隠しとマントを外され、ギョッとした。
想像を超える大部屋だ。さぞや勇猛果敢な戦士たちなのだろう。ガタイの良い男たちで埋め尽くされている。横を向けば、ミカエルと同じくらいか年下の少年が幾人も並んで立っていた。小麦色の肌の少年もいれば、白い肌の少年もいる。無防備な服装で、こんな所に立たされて。けれど、狼狽えている者はいない。
「――そなたらに褒美を与える。今宵は大いに楽しめ」
少年たちは、湧き立つ熱気のなかへ自ら入っていった。ミカエルも背中を押されて前に出る。手首や足首の拘束はなくなっていた。
「見ろ、どこぞの王族みてえな髪色だ」
「色っぽい身体だな。ムラムラする」
「顔もいい」
「威勢のいい目じゃないか。猛るぜ」
肉食獣の目をした男たちが寄ってくる。顎を掴まれ、上向かされた。
「それじゃ、愉しませてもらおうか」
四方八方から伸びる無骨な手。ベストを脱がされ、ズボンの横側から手を突っ込まれ。素肌を撫でまわされる。
「っ、」
不埒な手を退かそうとしたら、横から伸びた手に手首を引かれて勃起し始めた一物を握らされた。伝わる熱。上から手を重ねられ、扱くのに使われる。
「かわいいなぁ、桃色乳首だぜ」
「手触りもいい…」
乳首を舐め回す男、アヌスに指を突っ込んでくる男、腿を舐め上げる男に項を食む男。腕を持ち上げられて腋も舐められる。いっぺんにされて頭が追いつかない。膝裏を蹴られ、膝立ちになった。
「ぁ…んっ……」
「こんなちっちぇえ乳首でも感じるのか」
「おら、もっと股開け」
床についている膝を横に蹴られて足が大きく開かされた。前に倒れそうになる。なんとか耐えると、腰布を解いてズボンを下ろされた。
「新人か? こっちも初々しいぞ」
「んっ」
お尻に食い込んでいた紐を引っ張って離され、パチンと尻の谷間を打たれた。
「そそる尻だな。早くぶちこもうぜ」
「俺はこっちでやらせてもらう」
口とアヌスに熱を帯びた肉棒をズブズブ挿れられる。
身体がしなる。無遠慮に突かれて滲む視界――。
昼間も後ろに玩具を咥えさせられていただけあり、いきなり突かれても痛くなかったのが救いか。グボッと音がしてもっと奥まで突き挿れられる。甘い叫びは喉の奥にくぐもった。
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