God & Devil-Ⅱ.森でのどかに暮らしたいミカエルの巻き込まれ事変-

日灯

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4章.Tractus

反転*

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「動くぞ」
「っぁ、まっ……ア゛、」

 奥を突かれる衝撃に視界がブレる。
 鈍い痛みは、徐々に異なる感覚に変化していった。ミカエルは首を伸ばして顔をそむけ、襲い来るものから逃れようとする。

「ヒッ…や、アッ、やだッぁ…あぁっ…」
「クッ…、キツいなっ」

 衝撃的な快感。それを認めるのはあまりにおそろしかった。口から漏れる声が遠い。
 ヤグニエはミカエルの足を抱え上げ、さらに奥まで突いてくる。そのたびグポッギュボッとおそろしい音が響いた。ヤグニエが顔を寄せ、ギラつく目で口角を上げる。

「なぁ、ほしいだろッ、言えよ、孕ませろってよッ」
「ぅっア゛、アァ…」

 ミカエルは首を振った。けれど何度も突かれているうちに、ナカが彼のモノに絡みつき、欲するような感覚を覚えるようになる。
 ゆっくりと引き抜かれ、ゆっくりと挿入される。
 浅い部分でやられるようになると、物足りなさに腰がくねった。
 足りない。
 もっと。
 奥に――。
 
「なんだ? 言ってみろよ」

 ちがう。そんなの望んでない。それなのに、勝手に口が開こうとする。

「……もっと…」
「もっと?」

 望まないのに。

「……ほし、い」

 ヤグニエはミカエルの額にキスを落として、再び深くまで貫き始めた。
 衝撃に揺れる身体。悲鳴のような声。掴まれている腰の感覚。すべてがこんなに鮮明なのに、思考がぼやける。

「どうだ? これだけじゃ、満足できないよなッ。本当に、ほしいのはっ、なんだッ?」

 ――ほんとうにほしいのは…?

 ヤグニエがミカエルの耳許に顔を寄せる。

「俺の子だろ、ミカエル」

 ヤグニエの、子。

「そなたが欲すれば孕めるぞ」
「……ぁ…」

 やんわりと腹を撫でられ、喉が鳴る。
 ヤグニエは笑みを浮かべて、ミカエルの髪を撫でながらゆっくり動いた。それからミカエルの足を下ろし、おもむろに自身を引き抜こうとする。

「まっ、」
「ん?」

 言わなければ行ってしまう。そんな気がする。本当はずっとほしくてほしくて堪らなかった。だけど胸がつかえて言葉が出なくて。

「は…」

 言えば満たされる。与えてくれる。なのにどうして言葉が出ない。
 焦れた身体が動いて、ヤグニエを捕まえるように彼の後ろに足を回した。すると腕の拘束を解かれ、彼に抱きつく。

「わかったわかった。ほら、足を広げろ」
 
 ミカエルはみずから膝裏を持ち、股を大きく開いて見せた。ヒクつくそこが物欲しそうにねだる。
 ヤグニエは目を細めた。

「ここにほしいんだな?」

 つと指で入口の淵をなぞられた。
 頷けば、彼の猛りでナカをいっぱいにされる。

「ンっ…」
「俺もそろそろ、限界なんだが」

 ヤグニエは眉根を寄せて、クッと笑った。
 最後の追い上げと言わんばかりに奥を突かれる。

「さぁっ、ミカエルッ、」
「ア゛ッ…っ…」
「言えよ、俺の子を孕むってよ!」
「――ッ」

 深い衝撃に視界が弾けた。
 身体中に広がる快感がとめどなく押し寄せ、思考を奪っていく。視界でチカチカ光る星。身体がビクビク震えている。

「アッ……ァ…アッ…あ…ぁぁっ…アッ…ぁ…」
「言えっ。俺の子を孕むんだろ」
「ァアぁ…ァッ…は、らむ…ぁっ…はらむッ…」

 ナカを貫いた肉棒がグリリと奥を押す。

「いいぞ…。もっとだ、言え、ミカエルっ」
「ハッ、ぁ…孕むッ、はらむっア、ア゛ッ…はらっ…」

 ミカエルは朦朧とする頭で、揺さぶられる身体の望むままに言葉を紡いでいた。

「俺の子種が、ほしいよなッ」
「ほしッ…ほしいっ…」
「そうだッ、もっと言えっ」
「ほしっ…ヤグニエのッ…アッ、子種っ……ナカッに、ほしッ…!」

 ガシリと腰を掴み直される。

「いいぞ。くれてやる…!」
「ン…」

 律動を再開された喜びに身体が震え、濡れた瞳から涙がこぼれた。

「――ッ!」

 そうしてついに深く深くまで貫かれ、引き寄せられた腰を抑え込まれる。
 放たれる――。
 腹の奥から広がる熱に感動が湧き上がり、溢れる涙が止まらない。

「……も、っと…」
「ふっ。ああ、ちゃんと俺で満たしてやるよ」

 今度は四つん這いにされ、アヌスに何かを押し込まれた。それはナカでぐるぐる回ったり突いたりしてくる。たまに快感の走る場所に当たるのだ。ミカエルはうまく腕に力が入らず、尻を突き出す格好になってしまった。

「、アッ……ぁっ、あぁ…」
「よく行き届かせるためだ。俺は絶倫じゃないしな。……いい尻だ」

 ヤグニエは滑らかな尻を撫でたり揉んだり。喘ぐミカエルに追い打ちをかけるように肌をまさぐる。

「たっぷり抱いてやるからな」

 耳許で囁かれ、ミカエルはきつく目蓋を閉じた。
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