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4章.Tractus
反転*
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「動くぞ」
「っぁ、まっ……ア゛、」
奥を突かれる衝撃に視界がブレる。
鈍い痛みは、徐々に異なる感覚に変化していった。ミカエルは首を伸ばして顔を背け、襲い来るものから逃れようとする。
「ヒッ…や、アッ、やだッぁ…あぁっ…」
「クッ…、キツいなっ」
衝撃的な快感。それを認めるのはあまりにおそろしかった。口から漏れる声が遠い。
ヤグニエはミカエルの足を抱え上げ、さらに奥まで突いてくる。そのたびグポッギュボッとおそろしい音が響いた。ヤグニエが顔を寄せ、ギラつく目で口角を上げる。
「なぁ、ほしいだろッ、言えよ、孕ませろってよッ」
「ぅっア゛、アァ…」
ミカエルは首を振った。けれど何度も突かれているうちに、ナカが彼のモノに絡みつき、欲するような感覚を覚えるようになる。
ゆっくりと引き抜かれ、ゆっくりと挿入される。
浅い部分でやられるようになると、物足りなさに腰がくねった。
足りない。
もっと。
奥に――。
「なんだ? 言ってみろよ」
ちがう。そんなの望んでない。それなのに、勝手に口が開こうとする。
「……もっと…」
「もっと?」
望まないのに。
「……ほし、い」
ヤグニエはミカエルの額にキスを落として、再び深くまで貫き始めた。
衝撃に揺れる身体。悲鳴のような声。掴まれている腰の感覚。すべてがこんなに鮮明なのに、思考がぼやける。
「どうだ? これだけじゃ、満足できないよなッ。本当に、ほしいのはっ、なんだッ?」
――ほんとうにほしいのは…?
ヤグニエがミカエルの耳許に顔を寄せる。
「俺の子だろ、ミカエル」
ヤグニエの、子。
「そなたが欲すれば孕めるぞ」
「……ぁ…」
やんわりと腹を撫でられ、喉が鳴る。
ヤグニエは笑みを浮かべて、ミカエルの髪を撫でながらゆっくり動いた。それからミカエルの足を下ろし、おもむろに自身を引き抜こうとする。
「まっ、」
「ん?」
言わなければ行ってしまう。そんな気がする。本当はずっとほしくてほしくて堪らなかった。だけど胸がつかえて言葉が出なくて。
「は…」
言えば満たされる。与えてくれる。なのにどうして言葉が出ない。
焦れた身体が動いて、ヤグニエを捕まえるように彼の後ろに足を回した。すると腕の拘束を解かれ、彼に抱きつく。
「わかったわかった。ほら、足を広げろ」
ミカエルはみずから膝裏を持ち、股を大きく開いて見せた。ヒクつくそこが物欲しそうにねだる。
ヤグニエは目を細めた。
「ここにほしいんだな?」
つと指で入口の淵をなぞられた。
頷けば、彼の猛りでナカをいっぱいにされる。
「ンっ…」
「俺もそろそろ、限界なんだが」
ヤグニエは眉根を寄せて、クッと笑った。
最後の追い上げと言わんばかりに奥を突かれる。
「さぁっ、ミカエルッ、」
「ア゛ッ…っ…」
「言えよ、俺の子を孕むってよ!」
「――ッ」
深い衝撃に視界が弾けた。
身体中に広がる快感がとめどなく押し寄せ、思考を奪っていく。視界でチカチカ光る星。身体がビクビク震えている。
「アッ……ァ…アッ…あ…ぁぁっ…アッ…ぁ…」
「言えっ。俺の子を孕むんだろ」
「ァアぁ…ァッ…は、らむ…ぁっ…はらむッ…」
ナカを貫いた肉棒がグリリと奥を押す。
「いいぞ…。もっとだ、言え、ミカエルっ」
「ハッ、ぁ…孕むッ、はらむっア、ア゛ッ…はらっ…」
ミカエルは朦朧とする頭で、揺さぶられる身体の望むままに言葉を紡いでいた。
「俺の子種が、ほしいよなッ」
「ほしッ…ほしいっ…」
「そうだッ、もっと言えっ」
「ほしっ…ヤグニエのッ…アッ、子種っ……ナカッに、ほしッ…!」
ガシリと腰を掴み直される。
「いいぞ。くれてやる…!」
「ン…」
律動を再開された喜びに身体が震え、濡れた瞳から涙がこぼれた。
「――ッ!」
そうしてついに深く深くまで貫かれ、引き寄せられた腰を抑え込まれる。
放たれる――。
腹の奥から広がる熱に感動が湧き上がり、溢れる涙が止まらない。
「……も、っと…」
「ふっ。ああ、ちゃんと俺で満たしてやるよ」
今度は四つん這いにされ、アヌスに何かを押し込まれた。それはナカでぐるぐる回ったり突いたりしてくる。たまに快感の走る場所に当たるのだ。ミカエルはうまく腕に力が入らず、尻を突き出す格好になってしまった。
「、アッ……ぁっ、あぁ…」
「よく行き届かせるためだ。俺は絶倫じゃないしな。……いい尻だ」
ヤグニエは滑らかな尻を撫でたり揉んだり。喘ぐミカエルに追い打ちをかけるように肌をまさぐる。
「たっぷり抱いてやるからな」
耳許で囁かれ、ミカエルはきつく目蓋を閉じた。
「っぁ、まっ……ア゛、」
奥を突かれる衝撃に視界がブレる。
鈍い痛みは、徐々に異なる感覚に変化していった。ミカエルは首を伸ばして顔を背け、襲い来るものから逃れようとする。
「ヒッ…や、アッ、やだッぁ…あぁっ…」
「クッ…、キツいなっ」
衝撃的な快感。それを認めるのはあまりにおそろしかった。口から漏れる声が遠い。
ヤグニエはミカエルの足を抱え上げ、さらに奥まで突いてくる。そのたびグポッギュボッとおそろしい音が響いた。ヤグニエが顔を寄せ、ギラつく目で口角を上げる。
「なぁ、ほしいだろッ、言えよ、孕ませろってよッ」
「ぅっア゛、アァ…」
ミカエルは首を振った。けれど何度も突かれているうちに、ナカが彼のモノに絡みつき、欲するような感覚を覚えるようになる。
ゆっくりと引き抜かれ、ゆっくりと挿入される。
浅い部分でやられるようになると、物足りなさに腰がくねった。
足りない。
もっと。
奥に――。
「なんだ? 言ってみろよ」
ちがう。そんなの望んでない。それなのに、勝手に口が開こうとする。
「……もっと…」
「もっと?」
望まないのに。
「……ほし、い」
ヤグニエはミカエルの額にキスを落として、再び深くまで貫き始めた。
衝撃に揺れる身体。悲鳴のような声。掴まれている腰の感覚。すべてがこんなに鮮明なのに、思考がぼやける。
「どうだ? これだけじゃ、満足できないよなッ。本当に、ほしいのはっ、なんだッ?」
――ほんとうにほしいのは…?
ヤグニエがミカエルの耳許に顔を寄せる。
「俺の子だろ、ミカエル」
ヤグニエの、子。
「そなたが欲すれば孕めるぞ」
「……ぁ…」
やんわりと腹を撫でられ、喉が鳴る。
ヤグニエは笑みを浮かべて、ミカエルの髪を撫でながらゆっくり動いた。それからミカエルの足を下ろし、おもむろに自身を引き抜こうとする。
「まっ、」
「ん?」
言わなければ行ってしまう。そんな気がする。本当はずっとほしくてほしくて堪らなかった。だけど胸がつかえて言葉が出なくて。
「は…」
言えば満たされる。与えてくれる。なのにどうして言葉が出ない。
焦れた身体が動いて、ヤグニエを捕まえるように彼の後ろに足を回した。すると腕の拘束を解かれ、彼に抱きつく。
「わかったわかった。ほら、足を広げろ」
ミカエルはみずから膝裏を持ち、股を大きく開いて見せた。ヒクつくそこが物欲しそうにねだる。
ヤグニエは目を細めた。
「ここにほしいんだな?」
つと指で入口の淵をなぞられた。
頷けば、彼の猛りでナカをいっぱいにされる。
「ンっ…」
「俺もそろそろ、限界なんだが」
ヤグニエは眉根を寄せて、クッと笑った。
最後の追い上げと言わんばかりに奥を突かれる。
「さぁっ、ミカエルッ、」
「ア゛ッ…っ…」
「言えよ、俺の子を孕むってよ!」
「――ッ」
深い衝撃に視界が弾けた。
身体中に広がる快感がとめどなく押し寄せ、思考を奪っていく。視界でチカチカ光る星。身体がビクビク震えている。
「アッ……ァ…アッ…あ…ぁぁっ…アッ…ぁ…」
「言えっ。俺の子を孕むんだろ」
「ァアぁ…ァッ…は、らむ…ぁっ…はらむッ…」
ナカを貫いた肉棒がグリリと奥を押す。
「いいぞ…。もっとだ、言え、ミカエルっ」
「ハッ、ぁ…孕むッ、はらむっア、ア゛ッ…はらっ…」
ミカエルは朦朧とする頭で、揺さぶられる身体の望むままに言葉を紡いでいた。
「俺の子種が、ほしいよなッ」
「ほしッ…ほしいっ…」
「そうだッ、もっと言えっ」
「ほしっ…ヤグニエのッ…アッ、子種っ……ナカッに、ほしッ…!」
ガシリと腰を掴み直される。
「いいぞ。くれてやる…!」
「ン…」
律動を再開された喜びに身体が震え、濡れた瞳から涙がこぼれた。
「――ッ!」
そうしてついに深く深くまで貫かれ、引き寄せられた腰を抑え込まれる。
放たれる――。
腹の奥から広がる熱に感動が湧き上がり、溢れる涙が止まらない。
「……も、っと…」
「ふっ。ああ、ちゃんと俺で満たしてやるよ」
今度は四つん這いにされ、アヌスに何かを押し込まれた。それはナカでぐるぐる回ったり突いたりしてくる。たまに快感の走る場所に当たるのだ。ミカエルはうまく腕に力が入らず、尻を突き出す格好になってしまった。
「、アッ……ぁっ、あぁ…」
「よく行き届かせるためだ。俺は絶倫じゃないしな。……いい尻だ」
ヤグニエは滑らかな尻を撫でたり揉んだり。喘ぐミカエルに追い打ちをかけるように肌をまさぐる。
「たっぷり抱いてやるからな」
耳許で囁かれ、ミカエルはきつく目蓋を閉じた。
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