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前篇
父との遭遇
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実技大会が終わり、また平凡な日々が戻ってきた。
以前と異なるのは、不審な顔をたまにされること。それから、リュイヴェを見た生徒が、それほどオープンに騒がなくなった。
彼やノヴァは闇属性だが、人を惹きつける容姿や雰囲気を持っているため、敬遠するより、陶酔している者の方が多いらしかった。
「やっぱり、なんにもないのが一番だなー」
昼食後、いつものように屋上でぼんやり過ごす。見れば、ジンがいつの間にか本を読んでいた。
アスファーが珍しく溜め息を吐く。
「結晶石が曇ってきたらしいって、生徒は騒いでるけどな」
「そうなの?」
全ての結晶石が曇り始めたことは、すでに広まっているらしい。
ラウレルが膝を抱えて座りながら言う。
「実習が増えるって噂も、立ってるぞ」
「……ああ、朝、グラ先が時間割と睨めっこしてたのはソレか」
今日はおれが日直だったのだ。配る用紙を渡されたりと、その内容はただのパシりである。
「なんだ、マジなのかよ」
「仕方がないよな…」
「だなー」
増えた魔物が村を襲ったりしたら大変だ。
若者が多い所ならいいが、こうして学園に通っていたりするから、そうなったら、手は足りないのじゃなかろうか。
「そういやぁ、黒の結晶石の場所、目星ついたんだろ?」
「……ああ。早くから魔物が多くなっていた地域から、報告があって」
「ラウレルが報告、促したのか?」
おれの言葉に、膝に顎を乗せて足首を動かしていたラウレルが一瞬動きを止め、こちらを向いた。
「ノヴィ兄が、村の人に聞いてみようって、言ってくれたんだ」
「へー。光と闇は、感が鋭いのかな?」
「……どうかな」
じっとこちらに群青色を向けてくるラウレルに表情はない。
「ラウレル?」
再び膝に顎を乗せたラウレルが呟く。
「……イオは不思議だな」
「なんか、前にもそんなこと言ってたな」
「っつか、おまえは何者だ?」
直球で聞いてきたアスファーに苦笑する。
「一般人だけど」
「……アホ。一般人があんな高度な技、使えるかよ」
拗ねたように小声で言われたのは、実技大会でのことだ。
人が乗っても割れないくらい頑丈な氷を結構な長さ敷き詰め、サイドの壁まで氷で覆う余裕もあった。
氷を作るのは集中力がいるので、高度な技になる。おれは水を水蒸気にすることもできるけど、やらない方がよさそうだ。
「ぅーん、時が来たら教えるよ」
答えると胡散臭そうに見られ、やっぱり苦笑する。
隠しているわけではないが、見届けるまで自分から明かすことはできない。だから、そのときは別れの時だろうと思った。
◇◇◇
午後、実習のためエントランスに集まる。
いつものように全員いることを報告すれば、グラディオが魔方陣を作り出した。
「バリアの近くから駆除しろ。だいぶ数が多いから、時間になる前でも厳しくなったら戻ってきて構わない。学園の守衛隊と合同だ」
その言葉に顔をしかめたジンに首を傾げて、おれはアスファーの後を追った。
飛ばされた先は居住区の近くだった。
アスファーの顔が引きつり、ジンの表情が険しくなる。思ったより、魔物が増殖していると感じたのだろう。
突っ立っていると次の班が来てしまうので、居住区を守っているバリアに沿って移動する。その間も、絶え間なく魔物が出没した。
大して強くはないが、なんせ数が多い。
「……こりゃあ、『駆除』が大変だな」
「学園の守衛隊がいるって、言ってたもんな」
アスファーが豪快に魔法をぶっ放つと面白いくらい倒れる。けれど、あまり減った気がしなかった。最初はストレス解消などと気軽に構えていたものの、徐々に鬱陶しくなってくる。
そんなとき、向こうから軍服を着た柔和な顔の人がやってきた。左の二の腕に、学園のエンブレム。肩までの東雲色の髪が、歩くたびさらさら揺れていた。
「ご苦労さん。なかなかやるねぇ、少年たち」
「オッサンの部隊だったのか」
「アスファー、オッサンはないだろう。お兄さんと呼びたまえ」
「何言ってんだよ親父…」
肩を落とすジン。よく見ると、オッサンの目はジンと同じ綺麗な朱色だった。
「ジンの親父さん!?」
「おや、君は見ない顔だな。はじめまして、ジンのお父さんです」
「は、じめまして。ジンのお友達です」
その瞬間、ジンにスパンと頭を叩かれた。ちなみに、親父さんは足を蹴られていた。
それでもジンは、おれを親父さんに紹介してくれる。
「こいつイオ。怪しいヤツだが、たぶん悪人ではないと思う」
「ジン、たぶんってなんだよ」
「ほ~、確かに怪しいヤツだな。でも悪人じゃないならジンをよろしく。ああ、俺ゼンジ。俺もよろしくな」
そのときジンたちが、「怪しいのは否定しないんだ」と思っていたことを、おれは知らない。その頃おれは、親父さんはあんまりジンと似てないなと思っていた。朗らかで、面白い人だ。
「よろしく、おじさん」
「だからお兄さんて」
「親父、こんなトコで油売ってていいのか」
腕を組んでジンが言うと、ゼンジはキョトンとした。それから、穏やかに笑う。
「ああ、ダイジョブダイジョブ。うちの奴ら、みんな強いから。俺は休憩中」
「あんた、隊長じゃないのかよ」
「おう。有能な部下を持つと楽でいいね~」
――分かった。親父さんがこんなだから、ジンはわりと真面目になったんだきっと。
ふとアスファーを見ると、彼はまったく呆れた顔をしていなかった。目が合って、何故か思い出したような顔をされる。
「この人、火の宗家の当代だぜ」
「……へえー」
属性と性格って、やっぱり関係ないかもしれない。
そこでゼンジが、真面目な顔でまじまじとジンとアスファーの顔を見た。そうして、苦笑する。
「子どもは無理をしないように」
「……なんの話だ」
「分かってるだろう? 二人は次期当主なんだから、元気でいてもらわないと」
途端にジンが俯き、アスファーが食ってかかった。
「けど、俺らだってできる事しねぇと! じゃないと、」
「そんなんじゃ、身体が持たないだろう。もしもの時のために、ちゃんと自分の魔力も考えておかないとな」
どうやら、祈りについての話らしい。二人とも、やる回数や時間が延びているのは確かだった。相変わらずアスファーはあまり怒鳴らないし、ジンはぼーっとしている。
ゼンジの誤魔化さない言い方に、アスファーは大人しくなった。
「まあ、その時はその時だ。今はそんなの置いといて、学生生活を存分に楽しみたまえ」
「……あんたみたいに気楽な頭してねーよ」
「そうだな、学生の素晴らしさは大人になってから実感するから、君たちにはまだ分からないかもしれない」
話が少々、ズレている気がする。
そんな会話に、ジンは肩の力を抜いて諦めたように笑った。ゼンジが優しく息子の頭を撫でる。
「ラウレルにイオ。こいつらのこと、見ていてやってくれ。ませガキで困ったもんよ」
「うるさい」
「俺もかよ」
不服そうな二人に苦笑してラウレルを見れば、微かに笑んでいた。触れたら壊れそうな、儚い笑みだと思った。
涼やかな鈴の音が、実習の終わりを告げる。
最後の方は話し込んでいて終わってしまったが、ジンとアスファーがちょっと元気になったようで良かった。
口には出さないけど、二人とも不安なんだと思う。五千年振りに、世界を変えてしまいそうな事態に遭遇していること。
確実に迫り来る現実と、予想される未来。
宗家なら、一般人より詳しく伝え聞いているだろう。――事実かどうかは、別として。
「あ、今日からまたアスファーとジンだからな、当番」
思い出して言えば、アスファーが頭に手をやる。
「……あー。もうかよ。食材館寄ってくぞ」
「その前に、俺たち、掃除当番だ」
「げ、そうだった」
それでも、いつも通りの日常はまだ続いている。
以前と異なるのは、不審な顔をたまにされること。それから、リュイヴェを見た生徒が、それほどオープンに騒がなくなった。
彼やノヴァは闇属性だが、人を惹きつける容姿や雰囲気を持っているため、敬遠するより、陶酔している者の方が多いらしかった。
「やっぱり、なんにもないのが一番だなー」
昼食後、いつものように屋上でぼんやり過ごす。見れば、ジンがいつの間にか本を読んでいた。
アスファーが珍しく溜め息を吐く。
「結晶石が曇ってきたらしいって、生徒は騒いでるけどな」
「そうなの?」
全ての結晶石が曇り始めたことは、すでに広まっているらしい。
ラウレルが膝を抱えて座りながら言う。
「実習が増えるって噂も、立ってるぞ」
「……ああ、朝、グラ先が時間割と睨めっこしてたのはソレか」
今日はおれが日直だったのだ。配る用紙を渡されたりと、その内容はただのパシりである。
「なんだ、マジなのかよ」
「仕方がないよな…」
「だなー」
増えた魔物が村を襲ったりしたら大変だ。
若者が多い所ならいいが、こうして学園に通っていたりするから、そうなったら、手は足りないのじゃなかろうか。
「そういやぁ、黒の結晶石の場所、目星ついたんだろ?」
「……ああ。早くから魔物が多くなっていた地域から、報告があって」
「ラウレルが報告、促したのか?」
おれの言葉に、膝に顎を乗せて足首を動かしていたラウレルが一瞬動きを止め、こちらを向いた。
「ノヴィ兄が、村の人に聞いてみようって、言ってくれたんだ」
「へー。光と闇は、感が鋭いのかな?」
「……どうかな」
じっとこちらに群青色を向けてくるラウレルに表情はない。
「ラウレル?」
再び膝に顎を乗せたラウレルが呟く。
「……イオは不思議だな」
「なんか、前にもそんなこと言ってたな」
「っつか、おまえは何者だ?」
直球で聞いてきたアスファーに苦笑する。
「一般人だけど」
「……アホ。一般人があんな高度な技、使えるかよ」
拗ねたように小声で言われたのは、実技大会でのことだ。
人が乗っても割れないくらい頑丈な氷を結構な長さ敷き詰め、サイドの壁まで氷で覆う余裕もあった。
氷を作るのは集中力がいるので、高度な技になる。おれは水を水蒸気にすることもできるけど、やらない方がよさそうだ。
「ぅーん、時が来たら教えるよ」
答えると胡散臭そうに見られ、やっぱり苦笑する。
隠しているわけではないが、見届けるまで自分から明かすことはできない。だから、そのときは別れの時だろうと思った。
◇◇◇
午後、実習のためエントランスに集まる。
いつものように全員いることを報告すれば、グラディオが魔方陣を作り出した。
「バリアの近くから駆除しろ。だいぶ数が多いから、時間になる前でも厳しくなったら戻ってきて構わない。学園の守衛隊と合同だ」
その言葉に顔をしかめたジンに首を傾げて、おれはアスファーの後を追った。
飛ばされた先は居住区の近くだった。
アスファーの顔が引きつり、ジンの表情が険しくなる。思ったより、魔物が増殖していると感じたのだろう。
突っ立っていると次の班が来てしまうので、居住区を守っているバリアに沿って移動する。その間も、絶え間なく魔物が出没した。
大して強くはないが、なんせ数が多い。
「……こりゃあ、『駆除』が大変だな」
「学園の守衛隊がいるって、言ってたもんな」
アスファーが豪快に魔法をぶっ放つと面白いくらい倒れる。けれど、あまり減った気がしなかった。最初はストレス解消などと気軽に構えていたものの、徐々に鬱陶しくなってくる。
そんなとき、向こうから軍服を着た柔和な顔の人がやってきた。左の二の腕に、学園のエンブレム。肩までの東雲色の髪が、歩くたびさらさら揺れていた。
「ご苦労さん。なかなかやるねぇ、少年たち」
「オッサンの部隊だったのか」
「アスファー、オッサンはないだろう。お兄さんと呼びたまえ」
「何言ってんだよ親父…」
肩を落とすジン。よく見ると、オッサンの目はジンと同じ綺麗な朱色だった。
「ジンの親父さん!?」
「おや、君は見ない顔だな。はじめまして、ジンのお父さんです」
「は、じめまして。ジンのお友達です」
その瞬間、ジンにスパンと頭を叩かれた。ちなみに、親父さんは足を蹴られていた。
それでもジンは、おれを親父さんに紹介してくれる。
「こいつイオ。怪しいヤツだが、たぶん悪人ではないと思う」
「ジン、たぶんってなんだよ」
「ほ~、確かに怪しいヤツだな。でも悪人じゃないならジンをよろしく。ああ、俺ゼンジ。俺もよろしくな」
そのときジンたちが、「怪しいのは否定しないんだ」と思っていたことを、おれは知らない。その頃おれは、親父さんはあんまりジンと似てないなと思っていた。朗らかで、面白い人だ。
「よろしく、おじさん」
「だからお兄さんて」
「親父、こんなトコで油売ってていいのか」
腕を組んでジンが言うと、ゼンジはキョトンとした。それから、穏やかに笑う。
「ああ、ダイジョブダイジョブ。うちの奴ら、みんな強いから。俺は休憩中」
「あんた、隊長じゃないのかよ」
「おう。有能な部下を持つと楽でいいね~」
――分かった。親父さんがこんなだから、ジンはわりと真面目になったんだきっと。
ふとアスファーを見ると、彼はまったく呆れた顔をしていなかった。目が合って、何故か思い出したような顔をされる。
「この人、火の宗家の当代だぜ」
「……へえー」
属性と性格って、やっぱり関係ないかもしれない。
そこでゼンジが、真面目な顔でまじまじとジンとアスファーの顔を見た。そうして、苦笑する。
「子どもは無理をしないように」
「……なんの話だ」
「分かってるだろう? 二人は次期当主なんだから、元気でいてもらわないと」
途端にジンが俯き、アスファーが食ってかかった。
「けど、俺らだってできる事しねぇと! じゃないと、」
「そんなんじゃ、身体が持たないだろう。もしもの時のために、ちゃんと自分の魔力も考えておかないとな」
どうやら、祈りについての話らしい。二人とも、やる回数や時間が延びているのは確かだった。相変わらずアスファーはあまり怒鳴らないし、ジンはぼーっとしている。
ゼンジの誤魔化さない言い方に、アスファーは大人しくなった。
「まあ、その時はその時だ。今はそんなの置いといて、学生生活を存分に楽しみたまえ」
「……あんたみたいに気楽な頭してねーよ」
「そうだな、学生の素晴らしさは大人になってから実感するから、君たちにはまだ分からないかもしれない」
話が少々、ズレている気がする。
そんな会話に、ジンは肩の力を抜いて諦めたように笑った。ゼンジが優しく息子の頭を撫でる。
「ラウレルにイオ。こいつらのこと、見ていてやってくれ。ませガキで困ったもんよ」
「うるさい」
「俺もかよ」
不服そうな二人に苦笑してラウレルを見れば、微かに笑んでいた。触れたら壊れそうな、儚い笑みだと思った。
涼やかな鈴の音が、実習の終わりを告げる。
最後の方は話し込んでいて終わってしまったが、ジンとアスファーがちょっと元気になったようで良かった。
口には出さないけど、二人とも不安なんだと思う。五千年振りに、世界を変えてしまいそうな事態に遭遇していること。
確実に迫り来る現実と、予想される未来。
宗家なら、一般人より詳しく伝え聞いているだろう。――事実かどうかは、別として。
「あ、今日からまたアスファーとジンだからな、当番」
思い出して言えば、アスファーが頭に手をやる。
「……あー。もうかよ。食材館寄ってくぞ」
「その前に、俺たち、掃除当番だ」
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それでも、いつも通りの日常はまだ続いている。
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