ガーディアンズ 宇宙最強の少女達

明日は五月雨

文字の大きさ
上 下
11 / 54

第十話 終わりの始まり

しおりを挟む

 周囲が焦土に化しているのに化け猫はほぼ無傷で死んでいた。

「ふぅ疲れた……」

 我は化け猫を袋へと収納すると、ポイントが一気に5000へと増えた。

「姉ちゃん。いやー凄かったぜ。あの厄介な化け物を倒しちまうなんてな」

「ありがとう。お前の攻撃もなかなか良かったぞ」

「ははっそうだろ――っとまだ名前を教えてなかったな、俺は『ブルーウルフ』の『青助』ってんだ」

「青助か。男のような名前だな」

「それは俺個人の名前だからな。
 でっ、この体の真の持ち主が俺の主人の――」

 パァァと青助の体が輝き、髪の色が青から雪のような白銀へと変化していく。

「はじめまして。わたしはパピペポプルていこく、29だいこうてい『プペッポ・ピピ・ペピカ』です。よろしくおねがいします」

 プペッポ・ピピ・ペピカがぺこりと可愛くお辞儀をした。

「か、かかか」

「か?」

「可愛いいいいいいいいいい!」

 プペッポ・ピピ・ペピカの愛らしさに我は思わず鼻血を出してしまう。

 じーーー。

 プペッポ・ピピ・ぺピカが興奮する我をじっと見てきた。
 はっ! いかんいかん。あまりの可愛さに冷静さを失っていた。
 我は深呼吸し、鼻血を止血する為に精神を整えた。

「ふぅ。さっきはすまなかった。我はテオ・ミラーレアだ。よろしくなプペッポ・ピピ・ぺピカよ」

「テオよろしく。わたしはぺピカとよんで」

 ズズズズギューン!

 ポタポタと倍増しで鼻血が垂れてきた。

「よっ、よろしくなぺピカ」

「うん。はなじがでてるからこれでふいて」

 ポケットからハンカチを渡すペピカ。

 なんて優しいんだ。

「ありがとうペピカよ。でもしばらくしたら我は大丈夫だ」

 再び精神を落ち着かせ、なんとか鼻血は止まった。
 自己紹介を終え、我とペピカは休憩しながらお互いのことについて紹介しあった。
 ペピカから聞いた話によると、ぺピカの一族は代々神獣を自身に憑依させることができるそうだ。
 憑依させることで神獣を顕現させ、圧倒的な力を得ることができるらしい。
 だからあんなおっさんのようになっていたんだな。
 それとぺピカは先程倒したあの化け猫と一度戦ったらしい。
 別の種類の化け猫だったらしいが、倒すまでに100人の女達が化け猫にやられてしまったそうだ。
 その大多数は致命傷を負うとすぐ『ギーブボール』を割って逃げたらしい。
 ひどい傷だったそうだが、きっと生きていると信じたい。

 数十分後。

「そろそろ休まったかな」

「うん。わたしもうげんき!」

 ペピカが腕をぶんぶん振り回す。可愛い~。

「では狩に行くか」

「おー」

 小さなお手てを上げるぺピカ。
 
「可愛いいいいいい!」
 
 鼻血が出ないよう抑えながらペピカにメロメロの我が、ほぼ元通り再生を遂げつつある森の中を一緒に歩く。

 ズゴゴゴゴッ。

 すると突然、大地が波立つように地面が揺れた。

「なんだこの揺れは!?」

「すごくゆれてる。テオこわい」

「ぺピカ我の手に掴まれ」

「うっ、うん」

 ぎゅっと力強く我の手を握るぺピカ。
 立っているのが困難なほどの揺れが私達を襲う。


 ◯◯◯


「ふふっ~~ふふん~♪」 

 ズゴゴゴゴゴッ。

「うわっ地震か!?」

 テントの中で紅茶を飲みながら鼻歌を歌い優雅に読書をしていると、広場にもの凄い揺れが襲ってきた。
 すぐに揺れ防止の魔法を発動し、ピタリと広場の揺れが収まり元通りとなる。

「今の揺れは――まさか『守護樹』のところまで行ったバカがいるのか?」

『守護樹』とは、この世界であらゆる脅威、主に惑星外から訪れる災害等からこの星を守るために存在している巨大な木のことだ。
 正確には木の姿に擬態して眠りについた『竜』達だが、『守護樹』は森の中からは見えづらくなっていて、かつここから千キロは離れた場所にあるので、見えていても向かうバカはいないと思っていた。

「まさか、あの空を飛んでいった2人のうちどちらかが眠りを解いたのか?」

 試験の始まりに、森へ向かわず空へと飛び立っていく2人の少女を思い出す。

「まあ、あんな巨大な木が気になるのは無理がないが、まさか『守護樹』になった『守護竜』を眠りから呼び覚ますとは……」

『守護樹』は普通に近づくだけではただの巨大な木であるが、攻撃を木に与えると擬態が解けて竜が目覚め出すのだ。

「これはまずい。かなりまずい状態だ」

 広場の外、森の揺れはもう収まっている。もう『守護竜』が完全に目覚めたのだろう。

 おそらく攻撃した少女は『守護竜』に襲われてもう……。

「ここは安全だけど、試験中の奴らは危険だ。下手したら今年の合格者は0人になってしまうかもしれない。それだけはダメだ。でも自分は手出しできないし……」

 一度目覚めた『守護竜』はすぐに眠りにつかず、この星外の生命体を全て根絶やしにしてから再び眠りにつく。
 この広場は結界と隠蔽魔法を五重六重に掛けているので安全だが、試験中の少女らは違う。

「さて、少女達を全滅させないためにはどうしたら……」

 あれこれ考えてもいい答えが思い浮かばない。

「頼みます。せめて0だけは……」

 結局祈ることしかできない自分だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【なろう440万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

続・歴史改変戦記「北のまほろば」

高木一優
SF
この物語は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』の続編になります。正編のあらすじは序章で説明されますので、続編から読み始めても問題ありません。 タイム・マシンが実用化された近未来、歴史学者である私の論文が中国政府に採用され歴史改変実験「碧海作戦」が発動される。私の秘書官・戸部典子は歴女の知識を活用して戦国武将たちを支援する。歴史改変により織田信長は中国本土に攻め入り中華帝国を築き上げたのだが、日本国は帝国に飲み込まれて消滅してしまった。信長の中華帝国は殷賑を極め、世界の富を集める経済大国へと成長する。やがて西欧の勢力が帝国を襲い、私と戸部典子は真田信繁と伊達政宗を助けて西欧艦隊の攻撃を退け、ローマ教皇の領土的野心を砕く。平和が訪れたのもつかの間、十七世紀の帝国の北方では再び戦乱が巻き起ころうとしていた。歴史を思考実験するポリティカル歴史改変コメディー。

処理中です...