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しおりを挟む目の前には降り立ったのは……鳥?
真っ黒な羽毛で覆われ、顎と尾の先は白く、鋭い目をしている
「こいつはルクだ」
ミケラウスに黒い頭を擦り付ける大きな鳥はとても懐いている
へたりこんだスイレンと目が合ったルクは、じっと見つめた後、頭をスイレンに近づけてきた
「撫でても大丈夫ですか?」
「あぁ」
そっと頭に手を乗せると、フワリと指が羽の中に沈みこんでいく
(やわらかぁ……)
「行くぞ」
「えっ?」
スイレンを脇に抱いたミケラウスはルクの首元を掴み、背中に登った
「うわわっ! たっか! 落ちる落ちる落ちるうううう!!」
「うるさいな。黙れ、舌噛むぞ」
ミケラウスがスイレンを前に移動させ抱えるように両腕で羽を掴むと、ルクは勢いよくテラスから飛び降りた
「ぎゃああああああああああああング」
思わず目を瞑り、落ちていく感覚の恐怖に叫んだスイレンはミケラウスに口を塞がれた事にも気付かない
ふっと急に身体が軽くなる感覚がすると耳元で
「目を開けてみろ」
とミケラウスの声が聞こえた
恐る恐る目を開いたスイレンは、広がる光景に大きく目を見開いた
「わぁ……」
目の前には大きな湖があり、まわりの岩肌には、赤や黄色、橙、ピンクと色とりどりの木々が寄り添い、その岩肌を鮮やかに染め上げている
「天然壁紙だーーーーー!!きれい……」
「ぷっ、なんだそれ」
「ほらっ! 岩肌が鮮やか! お部屋の壁紙にできそうですよ! 」
「そうだな。春や夏も全く違って見えて綺麗なんだ」
「こんな場所、独り占めできるなんて羨ましいなぁ」
「翼竜に乗ったニールを連れて行こうとしたが、ルクは案内してくれなかった。……よかったな!お前、ルクに気に入られたみたいだぞ」
「そうなんだ……ありがとうルクさん!!王子様もありがとうございますっ!!」
「あぁ……」
後ろからスイレンを見つめるミケラウスは目を細め、微笑んでいる
いつの間にか人の住まない山奥まで飛んできたようだ
見渡す限り、岩と木と湖以外には何も見えない。民家も人影も見えない
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