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第2章

31 キスぐらいでジタバタするなよ。

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今日は次の依頼が決まるまでする事がないので、部屋でゆっくりしておけとリリィに言われた。

しかし決して一人で外に出てはいけないとリリィは真剣な眼差しで俺に言い聞かせた。彼女には俺の姿が5才くらいの子供に見えているらしい。朝から酒場は空いてないし、何処にも行くつもりはないが?

今は俺とライナスが同室で隣の部屋にリリィの部屋をとっているが、もしかして今日からあの二人同室になるのかな?隣であの胸が揉みし抱かれていると思うと羨ましすぎて眠れないかもしれない。そうなると夜は酒場へ直行だ。最近酒の量がめっぽう増えた。どうして異世界の酒ってあんなに美味しいんだろう。二日酔いは治るけど、アル中ってヒールで治るのかな?だとしたらヒール出きるようになってて本当によかった。

ガチャ。扉の開く音がしてライナスが入って来た。

「おかえり。」

ベットに座っていたので、見上げて挨拶をする。酒とヒールの素晴らしい関係の事を考えていたので少し顔が緩んでいたかもしれない。

ガンッ!ライナスが頭を壁に打ちつけた。

「結婚しよ。結婚しよ。」

結婚?付き合ってすぐ結婚とか必死だな。重い男は引かれるぞ?

ライナスが額から血を流しながら近づいてくる。真面目な顔に額の血、何か恐い。


「大丈夫か?」


「ああ、何ともない。」


不調を訴えでもしたら酒禁止令を出されてしまうかもしれない。お前にはリリィが居るだろ?俺にはもう酒しかないんだ。俺から酒を取らないでくれ。切実に目で訴える。

「無理をするな。何ともない筈がないだろう?」

悩ましげに俺を見るライナスを見て俺は気付いてしまった。リリィとライナスが付き合ったことを俺が気にしていると思っている、と。

ライナスのまっ黒で夜の帷のような瞳が愁いをおびている。



しかし、嫉妬はするが俺は祝福している。確かにあの胸は魅力的だし、リリィは絶世の美少女だ。そんな娘を俺みたいな醜悪な男がどうこう出来るなんて思ってもいない。王子の肩書きのない俺は身の程を知っている。

「リリィと恋人同士になったんだろ?おめでとう。」

長いこと片想いだったようだし、よかったよかった。

「すまない。」

力強く抱き締められて驚く。そんなに罪悪感持たなくていいのに、熱くて真面目な奴だな。

「俺の事は気にするな。幸せになれ。」


ライナスの奴、等々グスングスンと俺の肩に顔を埋めて泣き出した。こいつ、念願が叶いすぎておかしくなってる?

「出来ない。(お前を選ばず幸せになる事なんて)」

えっ?ああ、好きすぎてあっちの方が不安なんだな。ヘタレだなぁ。


「何も考えず、抱き締めてキスしたらいいんだ。」


俺も女とはした事ないけど……いつもアレンから犯られる方だしな。



「いいのか?(リリィ様がいるのにお前にキスしても。)」


「俺は大丈夫だとさっきから言ってる。(俺はリリィに恋してる訳じゃない、同情するなら酒をくれ!!)」

泣きながら眉を潜めたライナスの顔が近づいてくる。軽く唇が触れてキスをされた事に気付いた。

「お前、キスぐらいで…」

俺相手の啄むようなキスで驚くよりも真っ赤になったライナスを見て気の毒に思った。

抱き締めてキスしたらいいとか色男風にアドバイスしたのを、俺相手に練習しろと言ったと思ったのか?でもこれではリリィの胸を揉みしだくのはいつになるやらだ。

「……恋とはこんなに胸が焦がれるものなんだな。」

そんなお前、今頃気付いたみたいに……

途端に先程とはうって変わって情熱的なキスをされる。

「う、んっ」

やれば出来るじゃねぇか。思う存分口のなかを貪りつかされて途方にくれたが、勉強になったならよかったのか? 

「また、してもいいか?」

正直男とキスする趣味はないのだが、すがるように見つめられると可哀想になってしまう。リリィとする時に失敗出来ないからと必死だな。

俺が渋々頷くと嬉しそうにライナスが俺を再度抱き締めた。うん……?ライナス君、下半身の逸物が固くなっているね。

俺、何か間違ったのかな?
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