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6分の1のサバイブ
憧れの在り処と斑木星子のサバイブ
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玲奈の重たい一撃をスラスラとかわしながら、コペルと星子は建物の中へと身を隠した。
「ありえない……。私が何したっていうのよ……」
星子は意味がわからないという風で、カリカリしている。
「確かに、ただのひがみに聞こえなくもないな」
コペルはとにかく星子の怒りを鎮めるべく相づちを打つ。
「それに、あの腕、一体なぜあんなおぞましい能力に出来上がったのかしら」
「そこは俺も思うよ。彼女の心の反映なら、俺が見た景色とまるで正反対だ」
コペルは、さきほど見えた世界を思い出す。
「景色って、何か見えたの?」
「うん。真っ白な部屋で、CDとか、絵がいっぱいあった」
「絵かあ。玲奈、そう言えば絵描くの大好きだったわ」
星子は、休み時間に玲奈の絵を見るのが学校での楽しみのひとつだ。なんというか、ゆるふわ?というか、シンデレラコンプレックスのような感じがしていたが、何となく黒い部分もあるにはある、というのが彼女の印象だ。
「なんかちょっと怒りが収まってきたわ……。とりあえず、もっかい話してみる」
そう言って、星子は立ち上がる。コペルもうんと頷いて、立ち上がった。
「俺も試してみるよ、新しい力」
2人は示し合わせて、建物を出た。そして、
「うわっ!」
「え!?」
2人は驚愕した。建物の扉を開けた途端に、目の前には玲奈の拳があった。
「ゴールデン・ブラッド! 黄金武装!!」
すぐに状況を整理したコペルは、窓ガラスを叩き割って腕を出血させた。血はみるみる固まっていき、腕に纏う硬いカサブタの鎧となる。
「おらぁ!」
ぶつかる拳と拳。パワーでは劣るが、戦闘経験ならコペルの方が1枚上手だ。そのまま玲奈の拳の下へとスライディングして、玲奈と目を合わせる。
「松山さん、教えてくれ! なぜ君は星子を恨むんだ!」
がっしりと、ネックレスを握りしめる。あの虚ろな瞳の奥に何かを隠している。だったら、俺がやらなきゃ。ゼッターがしてくれたみたいに、松山さんも俺が救ってみせる!
白く眩い光がコペルを包む。黄金の輝きと溶け合って、輝ける翼が現れる。たちまち2人を光が覆って、玲奈の瞳へと吸い込まれていく。
そして、目を開けるとそこは、玲奈の世界だった。
「松山さん……」
コペルは目の前の少女へと語りかける。突然の来訪者に、玲奈は後ずさりした。
「俺は……、君を救いたい。君の中にある、何か難しくて複雑なものを、無くしてやりたい」
玲奈は何も言わなかった。壁に貼られたいくつもの絵や、流れる音楽から、コペルは何となく星子の言っていた事の察しがついたような気がした。
「何かあるなら話して欲しい。星子にも伝えるし、俺に出来ることならやるよ」
俯いていた玲奈が顔を上げる。コペルと見つめ合う。そして、
「出てって!!」
凄まじいパワーに押されて、コペルはまたしても吹き飛ばされて、現実へと引き戻された。
「く、くそっ!」
コペルはすぐに立ち上がってバックステップを取る。玲奈の拳を受け止めながら、星子を見る。
星子はまたしても玲奈を睨みつけている。もうラチがあかない。そしてコペルはタイルを転がった。
「もーーーお許さない! 本当に頭きた!」
槍を持ち上げる星子の元へと慌てて身体を引きずり、制止する。
「ま、待って! もう少しなんだ、心を開ける」
「もう少し!? 2回も3回もやられてこっちの怒りが待たないわよ!」
玲奈の拳が2人を襲う。しかし、星子に迷いはなかった。
「スター! ぶち殺せーー!!」
放たれた一閃。玲奈を大きく吹き飛ばして、大きな距離が生まれた。
「おい、星子!」
「もう、分かってるわよ! ちょっと吹き飛ばしただけ。また少し考えましょ」
玲奈はよろよろと立ち上がって2人を見据える。腕は言うことを聞かない。引きずられるように、2人の元へ向かう。このままだと星子を殺してしまうかもしれない。だけど、言うことを聞かない。なら、どうせなら。だって、憎いものは憎いんだから。
そう思った。その時だった。
眩い光がまた玲奈の視界を包む。そして、目を開けば、コペルと星子がいた。
「やって来たぞ、星子」
「ありがとう、コペル」
ズカズカと人のテリトリーに踏み入ってくる。星子のいい所でも悪い所でもある。
「ほら、言いたいことあるんでしょ、言ってみなさいよ」
ギロリと睨みつけて、星子は脅すように問いかける。この世界、心の中の世界には能力がない。玲奈は何だか怖気付いて、返す言葉を探せなかった。
ため息をついて、星子は続ける。
「あのね、玲奈。私、あんたになんかした? なんか恨み買った? 分かんないの。だから教えてよ」
このままだとかっこ悪い。そう思って玲奈は、激情気味にこう答えた。
「私は……、斑木ちゃんのこと、良い人だと思ってる。だけど……。結局うわべだけで、すごく良い人なのに、友だちって感じしないの」
「それで?」
「それで……、もっと、皆にも優しくして欲しい……」
「はあ……」
うんざり、という風で星子は踵を返した。
「帰るわよ、コペル。もう限界」
「お、おい、星子……」
「もう分かったでしょ。こいつ、自分が陰キャラなの他人のせいにしたいだけなんだって」
「……っ」
眩い光がコペルと星子を包み込む。
「じゃあね、もう絶対あんたのこと倒すから」
それだけ言い残して、星子は去っていった。
現実へと戻され、見つめ合う目と目。星子はまたしても怒ってしまって、コペルはどうも調子が出ない。
「どうしろっていうのよ、じゃあ」
「どうしろって言われてもな……」
コペルはぐるぐると頭を捻る。この松山玲奈はどうも自分が根暗な人間なのが嫌らしいというのは分かった。
「とりあえずまた身を隠そう」
コペルは武装した腕で玲奈の拳を受け止めながら、星子を匿った。
スターを収納した後すぐに建物の中へ避難し、2人は考え事をする。
「つまり、だからその、松山さんは自分を変えたいんだと思う。でも、勇気とか出ないし、過去に嫌なことがたくさんあったのかも知れない」
コペルはとにかく助けなければという気持ちが先行した。その姿を見ていた星子の心境に、少し変化があった。
「優しいわね、あんた……」
「そ、そうかな……」
星子は本当にそう思う。なぜ彼女のエゴで襲われているのに、助けてやる必要なんかあるのか。なのに、コペルは必死に助けることを考えている。その気持ちを汲んでやろうという気持ちが、星子にも宿った。
「考えはある。それだけ言っとくわ」
星子の言葉に、コペルは視線を上げた。星子は、長い髪を後ろでギュッと結んだ。
「私が説得してやる。それでいいと思う」
コペルは、色々考えていたが、とりあえず今はそれしか無い、と思った。2人で話し合えば、何か松山さんの探す答えが見つかるかも知れない。
「分かった。俺のゴールデン・ブラッドを輸血する。生命力が強化される」
「助かるわ。コペルは休んどいて。すぐ終わらせるから」
2人が行方をくらませている間、松山玲奈は考える。この自分がなぜ生きてるんだろうと考え続けた日々が、何を意味しているのかということを。
昔から小心で、周りには全く馴染めなかった。少数の友だちとも言えない人々と、誰かと一緒にいること。団体生活が基本の学校では、仲間はずれになっていないことを自分に言い聞かせなければならない時もあった。そんな時に出会ったのがこの、斑木星子という人物であった。
彼女は真面目で自由奔放、明るく誰からも慕われていた。でもどこか退屈そうなハングリーにしている彼女がなんというか、かっこよくて魅力的だった。
星子はたまにノートの端っこに描いていた自分の絵を見つけて、上手いねと言ってくれた。それからは時たま彼女に絵を描いてあげたりもした。
2人きりでいてくれる時もあった。本当の友だちというものを生まれて初めてもったような気がした。
しかし、星子というのはあまりに毒を吐きたがる人物で、よく教室に何人かで残ってはベラベラと毒を吐き散らしていた。そして、玲奈が忘れ物を取りに教室に戻って来た時のことである。
彼女らが話していたのは玲奈の友だちの1人で、陰気臭くて近づきたくないと話していた。初めて星子の顔が悪魔か女王のように見えた。それからは、以前のように楽しく星子と話す事はなくなった。
ずっと耐え難い怒りが、身体の中を渦巻いていた。ただ、自分の経験上、真の友だちなどいないのだと決めつけていた玲奈は、この時の事は忘れることにした。
突然、建物のシャッターが吹き飛ぶ。玲奈が振り返ると、そこには星子がいた。
「容赦はしないわ、玲奈。真正面からぶっちぎってやっつけてあげるから」
掌にスターを召喚し、ギュッと握りしめる。みなぎるパワーが身体中を駆け巡り、星子の爆発力が脚をぐんと動かした!
正面からぶつかる。その言葉通りに星子は、振りかざされた拳に槍を突き立てた。
「私を憎んでるっていうのはもう分かったわ。その理由を答えなさい」
振りほどこうとしても、星子の力が強くて引き剥がせない。突き刺さった槍が、完全に玲奈の能力、ヴァージニアの能力を封殺した。
「早く答えて。もう怒ってなんかないから。私もあいつと、コペルと同じ。あんたを救いたいって、助けたいって気持ちよ」
スターのようにキッと鋭い瞳が、玲奈の瞳を穿つ。身動きは取れない。もう、気持ちをぶつけるしかないと玲奈は思った。さっきと違う。能力がある。その事が彼女を後押しした。
「アンナの……、私の友だちのこと、悪く言ってたから、信用出来なくなった。私は斑木ちゃんのこと、友だちだと思ってたのに……!」
拳の力が一層強くなる。槍を弾き、星子の身体を宙に浮かせた。
「くっ……!」
空中で体勢を整え、ヴァージニアの鉄槌を槍で受け止める。弾き飛ばされながらも、星子はしっかりと着地して、再びヴァージニアへと槍を突き刺した。
「そんなもんあんたに関係ないわ! アンナは……、あいつは影で私たちみたいな、クラスで悪目立ちして浮いてる連中をSNSで皮肉ってたから、根性ないわねって話してただけ!」
スターに黄金の輝きが迸る。ゴールデン・ブラッドの輸血が星子にはある。今までにない凄まじいパワーで、ヴァージニアを押していく。
「だいたいあんたたち、影でコソコソ愚痴ってたり、裏で弱者ぶって慰めばっか待ってたって、自分にいい事なんか1つもないのよ!」
更に力が入る。精一杯歯を食いしばって、もっと奥へ、もっと心の中へと、スターを突き刺していく。
「別に、そんなつもりなんかない! 私みたいな子は皆、いつでも不安と戦ってる! 我慢したり耐えられなくなったり、死にたいとか思ったりして生きてる! 斑木ちゃんには分かんないよ!」
玲奈の瞳がキラリと輝く。ズルズルと押されていたヴァージニアが、星子を押し返した。
「分かんないって!? 私だって親父からひたすら虐待されて今の自分があるんだから! あんたらみたいなのと同じよ! どこにでもいる心の傷を持ったか弱い女の子よ! なんか文句ある!?」
星子の槍の威力が増していく。圧倒的なパワーが解き放たれ、ヴァージニアの一部を貫いた。
「あんたら被害者ぶってんじゃないわよ! 弱者気取ってんじゃないわよ! ひれ伏したようで悔しかったら、もっと勇気出して爆発しなさいよ!!」
地を蹴って天高く舞い上がる。ヴァージニアでは追いつけないスピード。玲奈は肉眼で空を見つめた。
「そんな勇気、私にはない! 私にはそんな事、出来ない!」
槍を大きく引き、照準を捉える。あの邪念の腕に一突き、この黄金の流れ星を貫き刺してやる!
「じゃあそんなんで憎んでくれるんじゃないわよ! あんたら個性あっても立場弱くてとか自分には出来ないとか結局誰かのせいにしてばっかじゃない!!」
天空から撃ち込まれた一撃! 流れ星程のスピードで空を裂き、一瞬でヴァージニアの拳を穿ち割った!
鋭い一撃からしっかりと着地して、間髪入れずに大きく振りかぶる! 貫く目と目。玲奈の心の奥へと渾身の一撃を突き刺すべく、最後の一撃を撃ち出す!
「自分で似合うと思ってるファッションとかキャラとか辛そうな投稿とか全部滑ってんのよ!! あんた前にSNSで自分のこと影のある三日月とか飛べない蝶のサナギとか言ってたけど全ッ然違う! あんたなんか滑りまくってヌルッヌルのまるで…………!!」
心の中で爆発を感じる。この感覚で、この勢いで、あの忌々しい右腕をぶち割ってやる! そうだ、あんたなんかまるで、まるで!
「中華料理屋の……! 床よぉーーーーーーーーっ!!!」
超膨大なエネルギーが空間を痺れさせ、時間すら超えたかのようなスピードの連突がヴァージニアを貫きまくる。もはや全く耐えきれずに、ヴァージニアは崩れ去っていった。
吹き飛ばされて、空中を舞う玲奈を、コペルが受け止める。気絶しているようだが、外傷は無いみたいだ。
「やったな……、星子」
「ふん、やってやったわよ」
今度こそ、とコペルは星子に目をやる。星子はうんと頷いて、コペルの手を掴む。
「こうすれば、星子も精神世界へ入り込める」
「ええ、玲奈ともう一度話さなきゃね 」
コペルが目を瞑ると、眩い光を放った翼が現れ、3人を包み込んでいく。今度はすぐに、玲奈の心の中へと降り立つことが出来た。
壁一面に貼られた絵。その部屋の中心に、玲奈はいた。
「玲奈……」
玲奈はびくびくと怯えている様子だった。星子は歩み寄ると、玲奈の手を握った。
「斑木ちゃん……」
星子はニッコリと笑って見せた。その後、ゆっくりと頭を下げた。
「ごめん、玲奈……。あんたの事さ、分かってなかった。友だち想いで、優しいやつだったのね。気づかなかった」
星子は壁へと向かい、貼られた絵の1枚を剥がした。
「これは……」
コペルは驚愕した。壁は暗い色合いの赤や青、緑や黒……。そんな色がマーブル模様のように渦巻いていた。
「ねえ、玲奈。辛かったんだね。ずっと、自分に合わない外の世界と、戦ってたんだね……」
玲奈はうんと頷いた。少し、目が潤んでいるようにも見えた。
「なんかあったら、私に言ってよ。私にも、昔色々あったからさ。あんたの怖がってるものなんて、余裕でぶっ壊してやるんだから」
星子はワハハと笑って見せた。それにつられて、コペルと玲奈も笑顔になれた。
「だからさ」
玲奈の手を握りしめて。玲奈の瞳を見つめて。
「もう死にたいなんて思わないで。コペルも、玲奈も、みんなそう。大事な友だちなんだから」
玲奈は静かにうんと頷いた。
「私もさ、今変わろうとしてる。昔みたいに、ただ毒吐いてかっこいい女って思われたい自分はもういない。きっと、素の私はもっと魅力的だから。応援して、玲奈。頑張ってさ、自分が本当になりたいもの、探そ」
「うん……」
コペルは静かに笑って、そんな2人を眺めていた。
皆が必死になって生きてる。だからこそ、耐えられない痛みを味わったりして、死にたいって思ってしまうこともあるんだと思う。そんな時、きっと支えてくれる仲間がいたり、力になってくれる人がいたり。
大切なものが傷つけられて苦しいくらい傷ついても、本気になれば分かり合えたり、新しい何かを見つけられたりも出来る。でも、生きてなきゃダメなんだ。真に人の心を信じてこそ、こういう事を感じられるんだ。
「良かったね、星子、松山さん……」
コペルを白く眩い光が包み込んでいく。今はもう、目を瞑らなくてもいい。この光の眩さよりも、この光の優しさを、知れたから。
初めて気がついた事がある。この光は羽だ。1枚1枚の羽が光り輝いて、自分の事を包み込んでいたんだ。
そして視界が白で埋め尽くされて。
気づけばシャッター街へと戻っていた。
星子とコペルは目を合わせると、すぐに現実に戻った実感が湧いた。
「カルマを探そう……、星子」
「ええ、さっさと見つけましょ」
そう言って頷き、1歩踏み出したその時だった。
「その必要は無い!」
声がしたのと同時に、シャッター街の床が破裂し、2人を吹き飛ばした。ぽっかりと空いた穴から、カルマが現れた。
「カルマ……」
コペルの瞳と、カルマの瞳が重なる。一体彼は、何を思っているのだろう。
「俺は、お前らの始末を命じられている。だからこいつに任せてたんだが……、少し詰めが甘かった」
カルマはふん、と笑って、玲奈の首を掴む。
「玲奈!!」
星子の声も意に介さず、カルマは邪悪なオーラを玲奈へと流し込んだ。
「俺の第2の能力、デビル! ここからが本番さ!」
「うわぁぁぁぁああ!」
苦しみに満ちた声を上げる玲奈。たちまち右腕にヴァージニアが現れる。
「こいつの憎しみの力はかなりデカいからな、お前らはこれで十分相手取れるだろうよ」
「玲奈! 玲奈ーーっ!!」
「く、苦しい……! 斑木ちゃん、助けて……」
それだけを言い残して、玲奈の身体はヴァージニアへと取り込まれていった。そのエネルギーはどんどん大きくなっていき、ヴァージニアは右腕と左腕に分かれた。
「玲奈……!」
動揺を隠せない星子に対して、コペルの心は水面のように静かだった。救えるって、それだけ思った。だから。
「何とかなるよ、星子……。絶対」
コペルの背中から現れた翼がコペルを包み込んだ。優しさに満ちたこの光に塗りつぶされて、黄金の輝きは無くなっていった。そして、今までと違う、純白の新たな輝きを纏った。
「松山さん……、あなたを救う」
「ありえない……。私が何したっていうのよ……」
星子は意味がわからないという風で、カリカリしている。
「確かに、ただのひがみに聞こえなくもないな」
コペルはとにかく星子の怒りを鎮めるべく相づちを打つ。
「それに、あの腕、一体なぜあんなおぞましい能力に出来上がったのかしら」
「そこは俺も思うよ。彼女の心の反映なら、俺が見た景色とまるで正反対だ」
コペルは、さきほど見えた世界を思い出す。
「景色って、何か見えたの?」
「うん。真っ白な部屋で、CDとか、絵がいっぱいあった」
「絵かあ。玲奈、そう言えば絵描くの大好きだったわ」
星子は、休み時間に玲奈の絵を見るのが学校での楽しみのひとつだ。なんというか、ゆるふわ?というか、シンデレラコンプレックスのような感じがしていたが、何となく黒い部分もあるにはある、というのが彼女の印象だ。
「なんかちょっと怒りが収まってきたわ……。とりあえず、もっかい話してみる」
そう言って、星子は立ち上がる。コペルもうんと頷いて、立ち上がった。
「俺も試してみるよ、新しい力」
2人は示し合わせて、建物を出た。そして、
「うわっ!」
「え!?」
2人は驚愕した。建物の扉を開けた途端に、目の前には玲奈の拳があった。
「ゴールデン・ブラッド! 黄金武装!!」
すぐに状況を整理したコペルは、窓ガラスを叩き割って腕を出血させた。血はみるみる固まっていき、腕に纏う硬いカサブタの鎧となる。
「おらぁ!」
ぶつかる拳と拳。パワーでは劣るが、戦闘経験ならコペルの方が1枚上手だ。そのまま玲奈の拳の下へとスライディングして、玲奈と目を合わせる。
「松山さん、教えてくれ! なぜ君は星子を恨むんだ!」
がっしりと、ネックレスを握りしめる。あの虚ろな瞳の奥に何かを隠している。だったら、俺がやらなきゃ。ゼッターがしてくれたみたいに、松山さんも俺が救ってみせる!
白く眩い光がコペルを包む。黄金の輝きと溶け合って、輝ける翼が現れる。たちまち2人を光が覆って、玲奈の瞳へと吸い込まれていく。
そして、目を開けるとそこは、玲奈の世界だった。
「松山さん……」
コペルは目の前の少女へと語りかける。突然の来訪者に、玲奈は後ずさりした。
「俺は……、君を救いたい。君の中にある、何か難しくて複雑なものを、無くしてやりたい」
玲奈は何も言わなかった。壁に貼られたいくつもの絵や、流れる音楽から、コペルは何となく星子の言っていた事の察しがついたような気がした。
「何かあるなら話して欲しい。星子にも伝えるし、俺に出来ることならやるよ」
俯いていた玲奈が顔を上げる。コペルと見つめ合う。そして、
「出てって!!」
凄まじいパワーに押されて、コペルはまたしても吹き飛ばされて、現実へと引き戻された。
「く、くそっ!」
コペルはすぐに立ち上がってバックステップを取る。玲奈の拳を受け止めながら、星子を見る。
星子はまたしても玲奈を睨みつけている。もうラチがあかない。そしてコペルはタイルを転がった。
「もーーーお許さない! 本当に頭きた!」
槍を持ち上げる星子の元へと慌てて身体を引きずり、制止する。
「ま、待って! もう少しなんだ、心を開ける」
「もう少し!? 2回も3回もやられてこっちの怒りが待たないわよ!」
玲奈の拳が2人を襲う。しかし、星子に迷いはなかった。
「スター! ぶち殺せーー!!」
放たれた一閃。玲奈を大きく吹き飛ばして、大きな距離が生まれた。
「おい、星子!」
「もう、分かってるわよ! ちょっと吹き飛ばしただけ。また少し考えましょ」
玲奈はよろよろと立ち上がって2人を見据える。腕は言うことを聞かない。引きずられるように、2人の元へ向かう。このままだと星子を殺してしまうかもしれない。だけど、言うことを聞かない。なら、どうせなら。だって、憎いものは憎いんだから。
そう思った。その時だった。
眩い光がまた玲奈の視界を包む。そして、目を開けば、コペルと星子がいた。
「やって来たぞ、星子」
「ありがとう、コペル」
ズカズカと人のテリトリーに踏み入ってくる。星子のいい所でも悪い所でもある。
「ほら、言いたいことあるんでしょ、言ってみなさいよ」
ギロリと睨みつけて、星子は脅すように問いかける。この世界、心の中の世界には能力がない。玲奈は何だか怖気付いて、返す言葉を探せなかった。
ため息をついて、星子は続ける。
「あのね、玲奈。私、あんたになんかした? なんか恨み買った? 分かんないの。だから教えてよ」
このままだとかっこ悪い。そう思って玲奈は、激情気味にこう答えた。
「私は……、斑木ちゃんのこと、良い人だと思ってる。だけど……。結局うわべだけで、すごく良い人なのに、友だちって感じしないの」
「それで?」
「それで……、もっと、皆にも優しくして欲しい……」
「はあ……」
うんざり、という風で星子は踵を返した。
「帰るわよ、コペル。もう限界」
「お、おい、星子……」
「もう分かったでしょ。こいつ、自分が陰キャラなの他人のせいにしたいだけなんだって」
「……っ」
眩い光がコペルと星子を包み込む。
「じゃあね、もう絶対あんたのこと倒すから」
それだけ言い残して、星子は去っていった。
現実へと戻され、見つめ合う目と目。星子はまたしても怒ってしまって、コペルはどうも調子が出ない。
「どうしろっていうのよ、じゃあ」
「どうしろって言われてもな……」
コペルはぐるぐると頭を捻る。この松山玲奈はどうも自分が根暗な人間なのが嫌らしいというのは分かった。
「とりあえずまた身を隠そう」
コペルは武装した腕で玲奈の拳を受け止めながら、星子を匿った。
スターを収納した後すぐに建物の中へ避難し、2人は考え事をする。
「つまり、だからその、松山さんは自分を変えたいんだと思う。でも、勇気とか出ないし、過去に嫌なことがたくさんあったのかも知れない」
コペルはとにかく助けなければという気持ちが先行した。その姿を見ていた星子の心境に、少し変化があった。
「優しいわね、あんた……」
「そ、そうかな……」
星子は本当にそう思う。なぜ彼女のエゴで襲われているのに、助けてやる必要なんかあるのか。なのに、コペルは必死に助けることを考えている。その気持ちを汲んでやろうという気持ちが、星子にも宿った。
「考えはある。それだけ言っとくわ」
星子の言葉に、コペルは視線を上げた。星子は、長い髪を後ろでギュッと結んだ。
「私が説得してやる。それでいいと思う」
コペルは、色々考えていたが、とりあえず今はそれしか無い、と思った。2人で話し合えば、何か松山さんの探す答えが見つかるかも知れない。
「分かった。俺のゴールデン・ブラッドを輸血する。生命力が強化される」
「助かるわ。コペルは休んどいて。すぐ終わらせるから」
2人が行方をくらませている間、松山玲奈は考える。この自分がなぜ生きてるんだろうと考え続けた日々が、何を意味しているのかということを。
昔から小心で、周りには全く馴染めなかった。少数の友だちとも言えない人々と、誰かと一緒にいること。団体生活が基本の学校では、仲間はずれになっていないことを自分に言い聞かせなければならない時もあった。そんな時に出会ったのがこの、斑木星子という人物であった。
彼女は真面目で自由奔放、明るく誰からも慕われていた。でもどこか退屈そうなハングリーにしている彼女がなんというか、かっこよくて魅力的だった。
星子はたまにノートの端っこに描いていた自分の絵を見つけて、上手いねと言ってくれた。それからは時たま彼女に絵を描いてあげたりもした。
2人きりでいてくれる時もあった。本当の友だちというものを生まれて初めてもったような気がした。
しかし、星子というのはあまりに毒を吐きたがる人物で、よく教室に何人かで残ってはベラベラと毒を吐き散らしていた。そして、玲奈が忘れ物を取りに教室に戻って来た時のことである。
彼女らが話していたのは玲奈の友だちの1人で、陰気臭くて近づきたくないと話していた。初めて星子の顔が悪魔か女王のように見えた。それからは、以前のように楽しく星子と話す事はなくなった。
ずっと耐え難い怒りが、身体の中を渦巻いていた。ただ、自分の経験上、真の友だちなどいないのだと決めつけていた玲奈は、この時の事は忘れることにした。
突然、建物のシャッターが吹き飛ぶ。玲奈が振り返ると、そこには星子がいた。
「容赦はしないわ、玲奈。真正面からぶっちぎってやっつけてあげるから」
掌にスターを召喚し、ギュッと握りしめる。みなぎるパワーが身体中を駆け巡り、星子の爆発力が脚をぐんと動かした!
正面からぶつかる。その言葉通りに星子は、振りかざされた拳に槍を突き立てた。
「私を憎んでるっていうのはもう分かったわ。その理由を答えなさい」
振りほどこうとしても、星子の力が強くて引き剥がせない。突き刺さった槍が、完全に玲奈の能力、ヴァージニアの能力を封殺した。
「早く答えて。もう怒ってなんかないから。私もあいつと、コペルと同じ。あんたを救いたいって、助けたいって気持ちよ」
スターのようにキッと鋭い瞳が、玲奈の瞳を穿つ。身動きは取れない。もう、気持ちをぶつけるしかないと玲奈は思った。さっきと違う。能力がある。その事が彼女を後押しした。
「アンナの……、私の友だちのこと、悪く言ってたから、信用出来なくなった。私は斑木ちゃんのこと、友だちだと思ってたのに……!」
拳の力が一層強くなる。槍を弾き、星子の身体を宙に浮かせた。
「くっ……!」
空中で体勢を整え、ヴァージニアの鉄槌を槍で受け止める。弾き飛ばされながらも、星子はしっかりと着地して、再びヴァージニアへと槍を突き刺した。
「そんなもんあんたに関係ないわ! アンナは……、あいつは影で私たちみたいな、クラスで悪目立ちして浮いてる連中をSNSで皮肉ってたから、根性ないわねって話してただけ!」
スターに黄金の輝きが迸る。ゴールデン・ブラッドの輸血が星子にはある。今までにない凄まじいパワーで、ヴァージニアを押していく。
「だいたいあんたたち、影でコソコソ愚痴ってたり、裏で弱者ぶって慰めばっか待ってたって、自分にいい事なんか1つもないのよ!」
更に力が入る。精一杯歯を食いしばって、もっと奥へ、もっと心の中へと、スターを突き刺していく。
「別に、そんなつもりなんかない! 私みたいな子は皆、いつでも不安と戦ってる! 我慢したり耐えられなくなったり、死にたいとか思ったりして生きてる! 斑木ちゃんには分かんないよ!」
玲奈の瞳がキラリと輝く。ズルズルと押されていたヴァージニアが、星子を押し返した。
「分かんないって!? 私だって親父からひたすら虐待されて今の自分があるんだから! あんたらみたいなのと同じよ! どこにでもいる心の傷を持ったか弱い女の子よ! なんか文句ある!?」
星子の槍の威力が増していく。圧倒的なパワーが解き放たれ、ヴァージニアの一部を貫いた。
「あんたら被害者ぶってんじゃないわよ! 弱者気取ってんじゃないわよ! ひれ伏したようで悔しかったら、もっと勇気出して爆発しなさいよ!!」
地を蹴って天高く舞い上がる。ヴァージニアでは追いつけないスピード。玲奈は肉眼で空を見つめた。
「そんな勇気、私にはない! 私にはそんな事、出来ない!」
槍を大きく引き、照準を捉える。あの邪念の腕に一突き、この黄金の流れ星を貫き刺してやる!
「じゃあそんなんで憎んでくれるんじゃないわよ! あんたら個性あっても立場弱くてとか自分には出来ないとか結局誰かのせいにしてばっかじゃない!!」
天空から撃ち込まれた一撃! 流れ星程のスピードで空を裂き、一瞬でヴァージニアの拳を穿ち割った!
鋭い一撃からしっかりと着地して、間髪入れずに大きく振りかぶる! 貫く目と目。玲奈の心の奥へと渾身の一撃を突き刺すべく、最後の一撃を撃ち出す!
「自分で似合うと思ってるファッションとかキャラとか辛そうな投稿とか全部滑ってんのよ!! あんた前にSNSで自分のこと影のある三日月とか飛べない蝶のサナギとか言ってたけど全ッ然違う! あんたなんか滑りまくってヌルッヌルのまるで…………!!」
心の中で爆発を感じる。この感覚で、この勢いで、あの忌々しい右腕をぶち割ってやる! そうだ、あんたなんかまるで、まるで!
「中華料理屋の……! 床よぉーーーーーーーーっ!!!」
超膨大なエネルギーが空間を痺れさせ、時間すら超えたかのようなスピードの連突がヴァージニアを貫きまくる。もはや全く耐えきれずに、ヴァージニアは崩れ去っていった。
吹き飛ばされて、空中を舞う玲奈を、コペルが受け止める。気絶しているようだが、外傷は無いみたいだ。
「やったな……、星子」
「ふん、やってやったわよ」
今度こそ、とコペルは星子に目をやる。星子はうんと頷いて、コペルの手を掴む。
「こうすれば、星子も精神世界へ入り込める」
「ええ、玲奈ともう一度話さなきゃね 」
コペルが目を瞑ると、眩い光を放った翼が現れ、3人を包み込んでいく。今度はすぐに、玲奈の心の中へと降り立つことが出来た。
壁一面に貼られた絵。その部屋の中心に、玲奈はいた。
「玲奈……」
玲奈はびくびくと怯えている様子だった。星子は歩み寄ると、玲奈の手を握った。
「斑木ちゃん……」
星子はニッコリと笑って見せた。その後、ゆっくりと頭を下げた。
「ごめん、玲奈……。あんたの事さ、分かってなかった。友だち想いで、優しいやつだったのね。気づかなかった」
星子は壁へと向かい、貼られた絵の1枚を剥がした。
「これは……」
コペルは驚愕した。壁は暗い色合いの赤や青、緑や黒……。そんな色がマーブル模様のように渦巻いていた。
「ねえ、玲奈。辛かったんだね。ずっと、自分に合わない外の世界と、戦ってたんだね……」
玲奈はうんと頷いた。少し、目が潤んでいるようにも見えた。
「なんかあったら、私に言ってよ。私にも、昔色々あったからさ。あんたの怖がってるものなんて、余裕でぶっ壊してやるんだから」
星子はワハハと笑って見せた。それにつられて、コペルと玲奈も笑顔になれた。
「だからさ」
玲奈の手を握りしめて。玲奈の瞳を見つめて。
「もう死にたいなんて思わないで。コペルも、玲奈も、みんなそう。大事な友だちなんだから」
玲奈は静かにうんと頷いた。
「私もさ、今変わろうとしてる。昔みたいに、ただ毒吐いてかっこいい女って思われたい自分はもういない。きっと、素の私はもっと魅力的だから。応援して、玲奈。頑張ってさ、自分が本当になりたいもの、探そ」
「うん……」
コペルは静かに笑って、そんな2人を眺めていた。
皆が必死になって生きてる。だからこそ、耐えられない痛みを味わったりして、死にたいって思ってしまうこともあるんだと思う。そんな時、きっと支えてくれる仲間がいたり、力になってくれる人がいたり。
大切なものが傷つけられて苦しいくらい傷ついても、本気になれば分かり合えたり、新しい何かを見つけられたりも出来る。でも、生きてなきゃダメなんだ。真に人の心を信じてこそ、こういう事を感じられるんだ。
「良かったね、星子、松山さん……」
コペルを白く眩い光が包み込んでいく。今はもう、目を瞑らなくてもいい。この光の眩さよりも、この光の優しさを、知れたから。
初めて気がついた事がある。この光は羽だ。1枚1枚の羽が光り輝いて、自分の事を包み込んでいたんだ。
そして視界が白で埋め尽くされて。
気づけばシャッター街へと戻っていた。
星子とコペルは目を合わせると、すぐに現実に戻った実感が湧いた。
「カルマを探そう……、星子」
「ええ、さっさと見つけましょ」
そう言って頷き、1歩踏み出したその時だった。
「その必要は無い!」
声がしたのと同時に、シャッター街の床が破裂し、2人を吹き飛ばした。ぽっかりと空いた穴から、カルマが現れた。
「カルマ……」
コペルの瞳と、カルマの瞳が重なる。一体彼は、何を思っているのだろう。
「俺は、お前らの始末を命じられている。だからこいつに任せてたんだが……、少し詰めが甘かった」
カルマはふん、と笑って、玲奈の首を掴む。
「玲奈!!」
星子の声も意に介さず、カルマは邪悪なオーラを玲奈へと流し込んだ。
「俺の第2の能力、デビル! ここからが本番さ!」
「うわぁぁぁぁああ!」
苦しみに満ちた声を上げる玲奈。たちまち右腕にヴァージニアが現れる。
「こいつの憎しみの力はかなりデカいからな、お前らはこれで十分相手取れるだろうよ」
「玲奈! 玲奈ーーっ!!」
「く、苦しい……! 斑木ちゃん、助けて……」
それだけを言い残して、玲奈の身体はヴァージニアへと取り込まれていった。そのエネルギーはどんどん大きくなっていき、ヴァージニアは右腕と左腕に分かれた。
「玲奈……!」
動揺を隠せない星子に対して、コペルの心は水面のように静かだった。救えるって、それだけ思った。だから。
「何とかなるよ、星子……。絶対」
コペルの背中から現れた翼がコペルを包み込んだ。優しさに満ちたこの光に塗りつぶされて、黄金の輝きは無くなっていった。そして、今までと違う、純白の新たな輝きを纏った。
「松山さん……、あなたを救う」
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