7 / 31
ゼッターのラッキー・ストライク
真相を暴け!
しおりを挟む
10日前のシャッター街での出来事から、吸血鬼退治部の面々はパトロールに燃えていた。真相の追求。彼らは日々それをモットーに、街の隅から隅までをくまなく走り回った。目標は、とにかく吸血鬼ともう一度コンタクトをとること。コペルはシャッター街周辺を調べ尽くした。星子と武情は駅前で黒ずくめの通行人を調べ上げた。彼方は西側に広がる住宅地を調査した。しかし、吸血鬼らしい通行人や住人は、未だに見つけることが出来ずにいた。
とりあえず今分かっていることというのは、吸血鬼のリーダーが触れたものを銀にする能力であるということ。彼らの目的は楽園を作り上げること。彼らは5人の生き残りがまだ潜んでいること。そして、中には話し合いで決めようという意気のものもいる? ということである。それ以上の真相へと近づくことは出来ずにいた。楽園とは何か? 銀化の被害者の行方は? 吸血鬼はこの街のどこに? 肝心な部分は何も分からなかった。
「今日もハズレみたいだな……」
コペルが部室に戻ると、既に他の3人は戻っていた。今日も誰1人事件に巻き込まれていない。嬉しいのか、もどかしいのか。
「まあ、根気強く続けるべきだろう」
ガタイのいい刈り上げ七三の彼方は、黒板に西側、0と書き足した。
「どうしようもないわね……」
星子は赤髪をかきあげて、机にべったりと張り付いた。
「俺はこいつの尻拭い役じゃねえぞ」
真ん中分けの長ラン男、武情は大きくため息をついて、椅子に深く腰掛けた。
「ちょっと、どーゆうことよ」
星子は首だけ動かして、武情を睨みつけた。
「お前がうずうずしてうろちょろ動いてるんで、まともに人間をカウント出来ねえんだよ」
「あら、ごめんなさいね。どー見たって黒ずくめの通行人なんていないもんだからさっさと次行きたいくなっちゃって」
「いたらどうなる」
「そんな事実はないわ。私が見落としたっていう事実はね」
「そうだな。お前を燃やせばそんな事実はなくなる」
星子と武情がバチバチやってる間、コペルと彼方は窓から、傾く夕陽を眺めていた。残りの1人にして部長たる男、龍一は1人で南側の山道や森林を担当している。彼は5機のドローンを駆使して広範囲を調べ上げているようだが、ドローンが太陽光エネルギーによって稼働していることや、起伏や障害物の多いエリアのためか、やはり皆と同じくすぐに捜索を断念して戻ってこなければならなかった。
「もうそろそろ戻ってくるはずだが……」
「そうだな。陽が暮れる」
2人が渋く決まってる所に、一際大きな扉のピシャリ! が響き、本日もお疲れ様な部長が帰ってきた。
「龍一、どうだった?」
コペルがそう聞くと、龍一は黒板に大きく0と書き、
「全然駄目だ」
とだけ呟いた。しかし、龍一は「だが、」と続けた。
「やつらが誰かを俺たちに仕向けたっていうことが分かった」
ほお、と興味を持ったのは武情だった。
「何故それが分かる?」
「いつものようにドローンで飛び回っていたんだが、森エリアで、昨日まで特に倒れていなかった木々が不自然に倒れているのを見かけた。近づくと争った痕跡は無かったからな。吸血鬼か、もしくはやつらが雇った能力者だ」
コペルと彼方は共に笑みを見せた。武情は新しい戦いを前に明らかに殺気立っていた。星子は……、今回はどうでも良さそうである。
「とりあえず、明日は土曜日なんで昼から2人と3人で動く。コペル、彼方、星子は街の東側、俺と武情は街の西側だ」
帰り道、コペルは新しい戦いのことで頭がいっぱいだった。次はどんな敵が、どんな戦いが……。だが、コペルは確信していた。こちらは5人、全員が強力な能力の持ち主である。誰がかかってきても、どんな能力をもっていようとも、吸血鬼退治部が返り討ちにしてやる!
とりあえず今分かっていることというのは、吸血鬼のリーダーが触れたものを銀にする能力であるということ。彼らの目的は楽園を作り上げること。彼らは5人の生き残りがまだ潜んでいること。そして、中には話し合いで決めようという意気のものもいる? ということである。それ以上の真相へと近づくことは出来ずにいた。楽園とは何か? 銀化の被害者の行方は? 吸血鬼はこの街のどこに? 肝心な部分は何も分からなかった。
「今日もハズレみたいだな……」
コペルが部室に戻ると、既に他の3人は戻っていた。今日も誰1人事件に巻き込まれていない。嬉しいのか、もどかしいのか。
「まあ、根気強く続けるべきだろう」
ガタイのいい刈り上げ七三の彼方は、黒板に西側、0と書き足した。
「どうしようもないわね……」
星子は赤髪をかきあげて、机にべったりと張り付いた。
「俺はこいつの尻拭い役じゃねえぞ」
真ん中分けの長ラン男、武情は大きくため息をついて、椅子に深く腰掛けた。
「ちょっと、どーゆうことよ」
星子は首だけ動かして、武情を睨みつけた。
「お前がうずうずしてうろちょろ動いてるんで、まともに人間をカウント出来ねえんだよ」
「あら、ごめんなさいね。どー見たって黒ずくめの通行人なんていないもんだからさっさと次行きたいくなっちゃって」
「いたらどうなる」
「そんな事実はないわ。私が見落としたっていう事実はね」
「そうだな。お前を燃やせばそんな事実はなくなる」
星子と武情がバチバチやってる間、コペルと彼方は窓から、傾く夕陽を眺めていた。残りの1人にして部長たる男、龍一は1人で南側の山道や森林を担当している。彼は5機のドローンを駆使して広範囲を調べ上げているようだが、ドローンが太陽光エネルギーによって稼働していることや、起伏や障害物の多いエリアのためか、やはり皆と同じくすぐに捜索を断念して戻ってこなければならなかった。
「もうそろそろ戻ってくるはずだが……」
「そうだな。陽が暮れる」
2人が渋く決まってる所に、一際大きな扉のピシャリ! が響き、本日もお疲れ様な部長が帰ってきた。
「龍一、どうだった?」
コペルがそう聞くと、龍一は黒板に大きく0と書き、
「全然駄目だ」
とだけ呟いた。しかし、龍一は「だが、」と続けた。
「やつらが誰かを俺たちに仕向けたっていうことが分かった」
ほお、と興味を持ったのは武情だった。
「何故それが分かる?」
「いつものようにドローンで飛び回っていたんだが、森エリアで、昨日まで特に倒れていなかった木々が不自然に倒れているのを見かけた。近づくと争った痕跡は無かったからな。吸血鬼か、もしくはやつらが雇った能力者だ」
コペルと彼方は共に笑みを見せた。武情は新しい戦いを前に明らかに殺気立っていた。星子は……、今回はどうでも良さそうである。
「とりあえず、明日は土曜日なんで昼から2人と3人で動く。コペル、彼方、星子は街の東側、俺と武情は街の西側だ」
帰り道、コペルは新しい戦いのことで頭がいっぱいだった。次はどんな敵が、どんな戦いが……。だが、コペルは確信していた。こちらは5人、全員が強力な能力の持ち主である。誰がかかってきても、どんな能力をもっていようとも、吸血鬼退治部が返り討ちにしてやる!
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる