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クール・ブラスト
坂上武情のクール・ブラスト
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「それでは、菅彼方くん、入部おめでとうー!」
「おめでとー!」
ここはF市M区にある、産経高校(通称産高)。無駄に生徒数と敷地が広いことと、偏差値が低いことで有名なこの高校は、ああー、勉強してないけど親に「進学校に進め」って言われてんだよなー、って感じのやる気のない中学生がこぞって進学する高校である。この産高の2階、英語コースが撤廃になってから使われなくなった教室は、部員の少ない部活動用の部室として使われている。無論、吸血鬼退治部もである。
「この吸血鬼退治部もついに4人へと部員を伸ばしたか……、心強いぜ」
この男はこの産高の2年生、白金龍一。無造作になびくちょい長めの髪と形のいい二重、それから175センチの身長とスラッとした長い脚が特徴的な男である。もともと胡散臭い性格なので誰も信じてくれないが、ある日突然掌からドローンを5機も出せるようになった龍一は、吸血鬼退治部を設立し、たまに活動したり女子生徒のパンツを覗き見したりしている。
「早速だけど、まだあなたのこと特に何も知らないわ、グループチャットで自己紹介しただけだもの。もう一度能力について説明して欲しいわ」
この女の子は斑木星子。同じく2年生で、明らかに外人後 の血が混じった赤髪が印象深い。可愛い見た目してるけどたまに平気で罵ったり言葉が汚い時があるので、「ズバッと斬る女の子」みたいな感じで女友達からはけっこう人気である。虐待する父親を撃退すべく生み出した能力「スター」は槍でキレて爆発する、やり過ぎでキレキレな能力、とは彼女の談。
「……」
何も喋らないがこいつは斑木コペル。背が低い。陽の光が苦手らしくずっと帽子を被っている陰気臭いやつだ。生まれ持った能力は自分を金色に光らせる能力、「ゴールデン・ブラッド」。余りにも運動能力を飛躍させるため負担大だが、この先活躍の場というのはあるのだろうか。
「改めて、俺は菅彼方。4年前に行方不明になった母親を追っている。能力はスピリット。生命を持ったものの精神に入り込むことが出来る」
「決まりだな」
龍一はやはりな、と言わんばかりに口角をにやりと上げた。
「何がよ?」
「この能力のことさ。俺たちの能力にはある秘密がある」
龍一はカバンからノートを1冊取り出した。サテライト・メビウス、スター、ゴールデン・ブラッド、そしてスピリット。中には4人の能力がまとめられていた。
「ずばり、俺たちの能力は太陽だ。太陽に関連つけで話すことが出来るということだ、コペル裁判長」
コペルはなんだそりゃ、と思ったが興味はあったので
「発言を許可」
「俺の能力、サテライト・メビウスは太陽光をエネルギーに稼働する。太陽光エネルギーを凝縮した弾丸を撃ち出すだろ。それから」
星子のスターは槍を握るということをスイッチとして、性格がガラリと変わってしまう。彼女は能力が生まれた時、今よりもずっと内気だったので、「陰から陽」へと自分を変身させる能力。
ゴールデン・ブラッドは、人間の能力を限界まで引き上げるスーパー・アドレナリンなる成分を分泌し、超パワーや超スピードを生み出す。これが「太陽が生物を育むエネルギー」だという。
スピリットは生命あるものにしか入り込むことが出来ない。無機物を陰とした時に、生命あるものが陽となり、陽にのみ反応するのだと、龍一は推測した。
「それがどうしたというのだ」
「つまりな、吸血鬼というのは太陽を受けると灰になる。しかし、月の光は逆に奴らにエネルギーを与える。月のエネルギーは俺たちに対抗する手段で、太陽は俺たちが吸血鬼に立ち向かう手段だ」
まだ話が見えないとばかりに星子は目を瞑った。この手の話はコペルの得意分野だろうと考えて、黙って聞いていることにした。
「そういうことか、龍一。太陽と月。吸血鬼にとって太陽は余りすぎるエネルギーだが月光は吸血鬼を活性化させる。我々にとっての月は太陽光の反射で不十分なエネルギーだが、太陽はポテンシャルを最大まで高めてくれる。それが陰と陽の関係のように、互いが互いを倒す術になる」
「ねえ彼方、分かりやすく説明してみなさいよ」
「俺にもよく分かんねえっすよ」
「つまり、昼から夕方にかけての間に吸血鬼を見つけ、倒さなくてはならない。彼方が出会ったという、恐るべき吸血鬼もな」
龍一は彼方の方を見て答えた。そして、皆に一度説明するように促した。
「恐るべき吸血鬼……。彼らは今6人、いや5人でこの街のどこかに潜んでいる。俺が出会ったのはその中のリーダー格の吸血鬼だ。あいつは俺を見つけるなり襲いかかってきた……。そして、あいつに触れられた母親は……!」
彼方は息を詰まらせた。悲しみではなく、恐怖によるものだった。部室の空気が変わった。
「母親はたちまち銀像となった……! やつの能力は、触れたのものを銀へと変えるというものだ! 新たにスピリットに目覚めた俺にも、太刀打ち出来なかった……。俺は逃げることしか出来なかった……」
この彼方の孤独の戦いを避難しようなどとは誰も思わなかった。操られていても、彼方は考え続けた。銀像となった母親を元に戻す方法を。自分があの男の目的を達成することの手助けをすれば、元に戻してもらえるだろうかと。
龍一は今までの日々に想いを馳せた。白金龍一の目的。それは何か大きなことを成し遂げることだ、と考えていた。人生を賭けて達成すべきことを、誰も知らないこのヒーロー活動と考えていた。
星子は特に考えもなくここにいるのだが、昼に爆発したら爽快感がある、とだけ覚えた。それが星子である。星子は星子らしく生きるのよ! それだけが彼女のエンジンである。
コペルは能力を自覚しながら、未知の世界を旅することを恐れていた。だが、龍一に突き動かされる時は、何とかなるさ、と思うことがある。人生を賭ける。学生時代にこの経験が出来る人間が何人いるだろうか。コペルは、俺は只者で終わらない気がするって心の中でカッコつけられる今を、誇りに思った。
「今日からはなおさら、昼の間に吸血鬼を見つけ出すんだ。そうすればこちら側に勝機がある」
龍一は力を込めて立ち上がった。
「いい? 今日も全員生きてなさいよ」
星子は満面の笑みで部室の扉を開けた。
「彼方、お前は俺と来い」
コペルはカッコつけてカバンを拾い上げた。
「ああ」
彼方は精神に火をつけた。
「よし、パトロールだ。黒ずくめのやつをじっくり観察しろ!」
4人は正門をくぐって3手に分かれた。龍一は以前吸血鬼と戦った公園、星子は大通りから駅前まで、コペルと彼方ははずれにあるシャッター街を調べることになっている。
この街には売地ばかりのシャッター街がある。どの店も開いてなく、夜の溜まり場程度の役目しか残っていないこの土地には、しかし、在りし日の名残もあってかなかなか処分されずに存在している、M区の名物スポットの1つでもある。
坂上武情はこのシャッター街の一角で、ある夜に1人の吸血鬼と出会った。吸血鬼に妹を人質に取られた武情は、以降この街で人知れず能力者を処分する殺し屋の仕事を請け負っていた。
「武情、今日このシャッター街に、2人組の能力者が来るようだ。どうする、身を隠すか?」
「いや、この場で始末するべきだ。出来るはずだ、お前のレッド・キャビンと我がクール・ブラストをもってしてならばな」
武情はタバコを吐き捨てて、窓の割れた家屋へと侵入した。
「それとも……、これ以上個体数を減らすのが恐ろしいかね、吸血鬼?」
そう言って新しいタバコに火をつける。吸血鬼と呼ばれた男は笑いながらシャッターを殴った。シャッターはたちまち溶解し、男は部屋の中へと身を隠した。
「偉く強気だな、坂上武情。以前のただのカスだった時から1年も経っていないんだがな」
と、男は窓の外から叫び声を聞いた。若い女が2人、背を向けて逃げているようだ。どうやら今の光景を見られたらしい。
「武情、肩慣らしでもしようや」
「新しいタバコがまだ残っている」
「じゃあやらないのか?」
「いいや、準備万端ってことさ」
ところ変わって、シャッター街へと続く一本道。コペルと彼方は何も喋らずに20分も歩いてきたのだから、驚きである。こういう場合だいたいは先輩の責任である。
彼方は気まずさがあったのだが、何となくコペルは陰気臭いキャラクターなので、まあ人見知りなんだろうと思って喋らないでいた。一方のコペルは、彼方のような外見の人間に対してコミュニケーションを取ろうとすると、陰気臭いやつだと思われたくない一心でカッコつけてしまう癖があるので、クールっぽく振舞った方がいいと思って黙っていた。傍から眺めると渋い2人である。コペルのせいなのだが。
「彼方」
コペルは口を開いた。重圧に耐えきれなくなったのである。きっちり責任感じてんじゃん。
「お前の母親をゴールデン・ブラッドで戻してやれるかもしれない」
彼方は静かに頷いた。
「ああ。でも母は完全に無機物にされてしまっている。戻るかどうかは……正直言って五分五分ってところじゃないか」
「……まあな」
墓穴。コペルはもう何も喋らないことにした。
「だが、そうなってしまっても運命だ。コペルに恨みはない。ありがたいがあまり気にしないでくれ」
「ああ……最善は尽くすよ……」
彼方はコペルのことをいいやつだなと思った。治せないかも知れないことに対して、罪悪感を感じてくれている。素直に嬉しいことで、感謝すべきことであった。
その後も何だかんだ2言、3言のやり取りが何回か続いた。やっぱり渋いやつらである。
しかし、シャッター街に到着するとそこは、彼らの知るようなところでは無かった。
「これは……」
「シャッター街が焼け焦げている……ようだ」
シャッター街は西口から30メートルほどのエリアが真っ黒に焼け焦げていた。人の気配があると、コペルはすぐに勘づいた。
「彼方……、2人に連絡を取ってくれ……。シャッター街には何か、ヤバいやつがいる」
「ああ」
コペルが1歩踏み入れるとそこは、外観よりもずっと禍々しい世界であった。焦げた木材、割れたコンクリート、溶けた金属。火事があった訳ではない。目撃者が誰もいないらしいのだ。消防車も救急車も見当たらない。まず間違いない。敵は炎を生み出す能力だ。だから誰も気づかないまま火事のような被害があったのだ。
「これを見るんだ、彼方」
コペルは煤まみれのヒールを片足目撃した。駆け寄って拾い上げ、煤を落としてみると、土汚れも水あかも見当たらない。新品のヒールのようだ。
「おい、彼方、早く来い」
しかし、彼方はやって来ない。振り返ってみると、どこにも姿がない。それどころか、人影もなければ気配も感じない。
「なにぃ! どこだ、彼方ーーー!!」
一方、コペルが通り過ぎた燃え尽きた家屋の瓦礫の下。コンクリートの床を掘り進んだ中に、武情と吸血鬼は潜んでいた。
「武情。あの破壊状態はやり過ぎたと思ったが、問題なかったみたいだな」
「ああ、問題ない。気配は感じられたようだが居場所を突き止められたわけではない。このまま不意打ちで1人仕留めるとするか」
武情はこの辺の床一面をぶっ壊して、豪快に始末してやることに決めた。
「まずは1人だ! クール・ブラスト」
武情の両腕は周りをぐるぐると渦を描くように炎を纏わせた。そうとも知らずにコペルは無防備なまま、彼方の行方を案じていた。まさに今がチャンス! クール・ブラスト発射準備完了! そして、
「吸血鬼、仕留められるのはお前の方だ!」
ミミズに入り込んでいた彼方が、クール・ブラストが地面をぶっぱなすよりも先に、地中を辿ることで2人を発見し、逆に武情を追い詰めていた!
「ヤバい! カルマ! 脱出しろーー!!」
「何、2人!?」
「あいよ、レッド・キャビン!」
地上ではコペルがいなくなった彼方を探し回っていた。だが、姿はない。まさか、もう既に倒されてしまったというのか。
「どこだ、彼方ーーーっ!!」
しかし、返事は返ってこない。焦ってしまっても意味は無いが、最悪の事態は十分にありえるのがこの戦場なのだ。
「まさか、彼方……、そんな馬鹿な……」
見えない敵に翻弄され全滅。そんな最悪の想定が頭をよぎった。その時だった。
コペルが立っている地面の下から異変を感じた。何かが湧き上がってくる! そう感じてコペルは反射的にバックステップを取った。その直後、コンクリートの地面がぶっ飛んだ!
「うらぁぁぁああああ!!! スピリットォォオオオ!!!」
「ぐはあああっ!」
黒い制服姿の男がインファイト・コンボを真っ向から食らうのを目撃した後、コペルは今起こったことを一瞬で理解した。地中の生命に入り込んだ彼方の不意打ちだ! それに続くべくゴールデン・ブラッドを体内に巡らせ、後退した分再び大きく踏み込んだ!
「待て、こっちに来るなコペルーー!」
突然の彼方の声にコペルはうろたえた。制止する声! どう見ても優勢じゃないのか!?
「おらぁぁあ!」
彼方の剛拳に男が1人ぶっ飛び、地面に大きく開いた穴から彼方が飛び出してきた。コペルは驚愕した。地中から這い上がってきた彼方の左腕はどろりと溶解していた。
「やられたぜコペル……。敵は2人いた」
コペルは穴を凝視して硬直した。何となく敵は1人という固定観念があったからか、自覚出来るほどの焦りを覚えた。そして、彼方の言葉通り、そこからは黒ずくめの男が這い上がってきた。
「問題ない、その通りだよなあ坂上武情。問題なくここで仕留める」
「何? 今のは吸血鬼じゃなかったのか」
彼方とコペルは更なる固定観念を砕かれた。敵は2人、しかし片方は人間。それを理解し切った時には既に、敵の陣形は整っていた。
「挟み撃ちさ! クール・ブラスト!!」
瞬間、後方から途方もない大きさの炎が襲いかかってくる。
「嘘だろ」
「ヤ、ヤバすぎる!」
「もう遅い!レッド・キャビンを食らえ!」
2人の攻撃はコペルと彼方を飲み込み、大きく爆発した。コペルたちがいた場所の地面は跡形もなく砕け散り、黒煙が立ち昇った。
「どうせ仲間を呼んでいる……。カルマ、お前は次に隠れられそうな場所を掘っておけ。俺は力を蓄える」
「それが良いだろうな。しかしさすがだな。あんなに殴られて冷静に対処できるとは、思ってなかったぜ」
無事ではない、と武情は思った。とんでもない男だった。レッド・キャビンの能力がなくては完全に敗北していた。
カルマと呼ばれた吸血鬼は、人間に頼ることをよく思っていなかったのだが、この武情という男に限っては頼もしい人間だと認識していた。なので、しぶしぶ使われてやっても良いだろう、身体を心配するべきだろうと思い、証拠隠ぺいの意味も込めて、挟み撃ちの能力が炸裂した場所、彼方の開けた穴のすぐ横に穴を開けることに決めた。
「ここにするかねえ……、レッド・キャビン!」
カルマの指先から噴出した真っ赤なスライム液は、コンクリートの地面を溶かしてたちまち人2人隠れられる大きさの洞穴を作った。
「俺は先に入ってるぞ、武情」
「好きにしろ」
武情は後ろを向いたままひらひらと手を振り、タバコに火をつけた。
「あいよー……。よっこいせ、と」
洞穴に潜り込むカルマ。どこから伸びてきたのか、木の根っこを溶かしていく。
「武情に深手を負わせるとはな……あっぱれなやつもいたもんだな、人間にも」
一気に全ての木の根っこを溶かすべく、カルマは両腕を前に突き出した。その時だった。目の前の根っこから突然飛び出してきた腕が、突き出していたカルマの腕をがっちりと掴んだ!
「な、何ぃ!」
とっさに振りほどこうとしたが全く放さない。これはさっきの身長高い方のやつか! まさかまだ生きていたとは!?
「嬉しくねえなあ、褒められてもよォ!」
「き、貴様、腕が治ってやがる……っ!?」
「コペル、今だーー!」
途端、背後の壁が炸裂した。そこには拳で穴を掘り進めたコペルの姿があった。
「貴様! あの穴に隠れてやがったな! 俺たちが隠れてたはずの穴に!」
「次はお前が受けるんだな。俺たちの挟み撃ちを! ゴールデン・ブラッド!」
「スピリットーー!!」
「くそぉぉぉぉお!」
シャッター街、本日3回目の爆発。武情はありえない光景にただ立ちつくすのみだった。
「次はてめぇが右腕を溶かしな」
「ぐ、ぐぉぉおおお……」
カルマは満身創痍で穴から脱出した。右腕の袖が破かれ、右腕が丸ごと灰となっていた。
穴から這い上がった彼方とコペルも無事では無かった。コペルの左拳が溶解されたのである。
「真っ向勝負だ……」
コペルは敵を見据えた。
「覚悟しな……」
彼方は覚悟を決めた。
「死に損ないが……」
武情は炎を纏わせる。
「貴様ら、許さんぞ……」
カルマは右腕を失った怒りを、精神の爆発として昇華させた!
ここは夕暮れ時のシャッター街。目の前の敵を倒すべく、4人は一斉に踏み込んだ。
「おめでとー!」
ここはF市M区にある、産経高校(通称産高)。無駄に生徒数と敷地が広いことと、偏差値が低いことで有名なこの高校は、ああー、勉強してないけど親に「進学校に進め」って言われてんだよなー、って感じのやる気のない中学生がこぞって進学する高校である。この産高の2階、英語コースが撤廃になってから使われなくなった教室は、部員の少ない部活動用の部室として使われている。無論、吸血鬼退治部もである。
「この吸血鬼退治部もついに4人へと部員を伸ばしたか……、心強いぜ」
この男はこの産高の2年生、白金龍一。無造作になびくちょい長めの髪と形のいい二重、それから175センチの身長とスラッとした長い脚が特徴的な男である。もともと胡散臭い性格なので誰も信じてくれないが、ある日突然掌からドローンを5機も出せるようになった龍一は、吸血鬼退治部を設立し、たまに活動したり女子生徒のパンツを覗き見したりしている。
「早速だけど、まだあなたのこと特に何も知らないわ、グループチャットで自己紹介しただけだもの。もう一度能力について説明して欲しいわ」
この女の子は斑木星子。同じく2年生で、明らかに外人後 の血が混じった赤髪が印象深い。可愛い見た目してるけどたまに平気で罵ったり言葉が汚い時があるので、「ズバッと斬る女の子」みたいな感じで女友達からはけっこう人気である。虐待する父親を撃退すべく生み出した能力「スター」は槍でキレて爆発する、やり過ぎでキレキレな能力、とは彼女の談。
「……」
何も喋らないがこいつは斑木コペル。背が低い。陽の光が苦手らしくずっと帽子を被っている陰気臭いやつだ。生まれ持った能力は自分を金色に光らせる能力、「ゴールデン・ブラッド」。余りにも運動能力を飛躍させるため負担大だが、この先活躍の場というのはあるのだろうか。
「改めて、俺は菅彼方。4年前に行方不明になった母親を追っている。能力はスピリット。生命を持ったものの精神に入り込むことが出来る」
「決まりだな」
龍一はやはりな、と言わんばかりに口角をにやりと上げた。
「何がよ?」
「この能力のことさ。俺たちの能力にはある秘密がある」
龍一はカバンからノートを1冊取り出した。サテライト・メビウス、スター、ゴールデン・ブラッド、そしてスピリット。中には4人の能力がまとめられていた。
「ずばり、俺たちの能力は太陽だ。太陽に関連つけで話すことが出来るということだ、コペル裁判長」
コペルはなんだそりゃ、と思ったが興味はあったので
「発言を許可」
「俺の能力、サテライト・メビウスは太陽光をエネルギーに稼働する。太陽光エネルギーを凝縮した弾丸を撃ち出すだろ。それから」
星子のスターは槍を握るということをスイッチとして、性格がガラリと変わってしまう。彼女は能力が生まれた時、今よりもずっと内気だったので、「陰から陽」へと自分を変身させる能力。
ゴールデン・ブラッドは、人間の能力を限界まで引き上げるスーパー・アドレナリンなる成分を分泌し、超パワーや超スピードを生み出す。これが「太陽が生物を育むエネルギー」だという。
スピリットは生命あるものにしか入り込むことが出来ない。無機物を陰とした時に、生命あるものが陽となり、陽にのみ反応するのだと、龍一は推測した。
「それがどうしたというのだ」
「つまりな、吸血鬼というのは太陽を受けると灰になる。しかし、月の光は逆に奴らにエネルギーを与える。月のエネルギーは俺たちに対抗する手段で、太陽は俺たちが吸血鬼に立ち向かう手段だ」
まだ話が見えないとばかりに星子は目を瞑った。この手の話はコペルの得意分野だろうと考えて、黙って聞いていることにした。
「そういうことか、龍一。太陽と月。吸血鬼にとって太陽は余りすぎるエネルギーだが月光は吸血鬼を活性化させる。我々にとっての月は太陽光の反射で不十分なエネルギーだが、太陽はポテンシャルを最大まで高めてくれる。それが陰と陽の関係のように、互いが互いを倒す術になる」
「ねえ彼方、分かりやすく説明してみなさいよ」
「俺にもよく分かんねえっすよ」
「つまり、昼から夕方にかけての間に吸血鬼を見つけ、倒さなくてはならない。彼方が出会ったという、恐るべき吸血鬼もな」
龍一は彼方の方を見て答えた。そして、皆に一度説明するように促した。
「恐るべき吸血鬼……。彼らは今6人、いや5人でこの街のどこかに潜んでいる。俺が出会ったのはその中のリーダー格の吸血鬼だ。あいつは俺を見つけるなり襲いかかってきた……。そして、あいつに触れられた母親は……!」
彼方は息を詰まらせた。悲しみではなく、恐怖によるものだった。部室の空気が変わった。
「母親はたちまち銀像となった……! やつの能力は、触れたのものを銀へと変えるというものだ! 新たにスピリットに目覚めた俺にも、太刀打ち出来なかった……。俺は逃げることしか出来なかった……」
この彼方の孤独の戦いを避難しようなどとは誰も思わなかった。操られていても、彼方は考え続けた。銀像となった母親を元に戻す方法を。自分があの男の目的を達成することの手助けをすれば、元に戻してもらえるだろうかと。
龍一は今までの日々に想いを馳せた。白金龍一の目的。それは何か大きなことを成し遂げることだ、と考えていた。人生を賭けて達成すべきことを、誰も知らないこのヒーロー活動と考えていた。
星子は特に考えもなくここにいるのだが、昼に爆発したら爽快感がある、とだけ覚えた。それが星子である。星子は星子らしく生きるのよ! それだけが彼女のエンジンである。
コペルは能力を自覚しながら、未知の世界を旅することを恐れていた。だが、龍一に突き動かされる時は、何とかなるさ、と思うことがある。人生を賭ける。学生時代にこの経験が出来る人間が何人いるだろうか。コペルは、俺は只者で終わらない気がするって心の中でカッコつけられる今を、誇りに思った。
「今日からはなおさら、昼の間に吸血鬼を見つけ出すんだ。そうすればこちら側に勝機がある」
龍一は力を込めて立ち上がった。
「いい? 今日も全員生きてなさいよ」
星子は満面の笑みで部室の扉を開けた。
「彼方、お前は俺と来い」
コペルはカッコつけてカバンを拾い上げた。
「ああ」
彼方は精神に火をつけた。
「よし、パトロールだ。黒ずくめのやつをじっくり観察しろ!」
4人は正門をくぐって3手に分かれた。龍一は以前吸血鬼と戦った公園、星子は大通りから駅前まで、コペルと彼方ははずれにあるシャッター街を調べることになっている。
この街には売地ばかりのシャッター街がある。どの店も開いてなく、夜の溜まり場程度の役目しか残っていないこの土地には、しかし、在りし日の名残もあってかなかなか処分されずに存在している、M区の名物スポットの1つでもある。
坂上武情はこのシャッター街の一角で、ある夜に1人の吸血鬼と出会った。吸血鬼に妹を人質に取られた武情は、以降この街で人知れず能力者を処分する殺し屋の仕事を請け負っていた。
「武情、今日このシャッター街に、2人組の能力者が来るようだ。どうする、身を隠すか?」
「いや、この場で始末するべきだ。出来るはずだ、お前のレッド・キャビンと我がクール・ブラストをもってしてならばな」
武情はタバコを吐き捨てて、窓の割れた家屋へと侵入した。
「それとも……、これ以上個体数を減らすのが恐ろしいかね、吸血鬼?」
そう言って新しいタバコに火をつける。吸血鬼と呼ばれた男は笑いながらシャッターを殴った。シャッターはたちまち溶解し、男は部屋の中へと身を隠した。
「偉く強気だな、坂上武情。以前のただのカスだった時から1年も経っていないんだがな」
と、男は窓の外から叫び声を聞いた。若い女が2人、背を向けて逃げているようだ。どうやら今の光景を見られたらしい。
「武情、肩慣らしでもしようや」
「新しいタバコがまだ残っている」
「じゃあやらないのか?」
「いいや、準備万端ってことさ」
ところ変わって、シャッター街へと続く一本道。コペルと彼方は何も喋らずに20分も歩いてきたのだから、驚きである。こういう場合だいたいは先輩の責任である。
彼方は気まずさがあったのだが、何となくコペルは陰気臭いキャラクターなので、まあ人見知りなんだろうと思って喋らないでいた。一方のコペルは、彼方のような外見の人間に対してコミュニケーションを取ろうとすると、陰気臭いやつだと思われたくない一心でカッコつけてしまう癖があるので、クールっぽく振舞った方がいいと思って黙っていた。傍から眺めると渋い2人である。コペルのせいなのだが。
「彼方」
コペルは口を開いた。重圧に耐えきれなくなったのである。きっちり責任感じてんじゃん。
「お前の母親をゴールデン・ブラッドで戻してやれるかもしれない」
彼方は静かに頷いた。
「ああ。でも母は完全に無機物にされてしまっている。戻るかどうかは……正直言って五分五分ってところじゃないか」
「……まあな」
墓穴。コペルはもう何も喋らないことにした。
「だが、そうなってしまっても運命だ。コペルに恨みはない。ありがたいがあまり気にしないでくれ」
「ああ……最善は尽くすよ……」
彼方はコペルのことをいいやつだなと思った。治せないかも知れないことに対して、罪悪感を感じてくれている。素直に嬉しいことで、感謝すべきことであった。
その後も何だかんだ2言、3言のやり取りが何回か続いた。やっぱり渋いやつらである。
しかし、シャッター街に到着するとそこは、彼らの知るようなところでは無かった。
「これは……」
「シャッター街が焼け焦げている……ようだ」
シャッター街は西口から30メートルほどのエリアが真っ黒に焼け焦げていた。人の気配があると、コペルはすぐに勘づいた。
「彼方……、2人に連絡を取ってくれ……。シャッター街には何か、ヤバいやつがいる」
「ああ」
コペルが1歩踏み入れるとそこは、外観よりもずっと禍々しい世界であった。焦げた木材、割れたコンクリート、溶けた金属。火事があった訳ではない。目撃者が誰もいないらしいのだ。消防車も救急車も見当たらない。まず間違いない。敵は炎を生み出す能力だ。だから誰も気づかないまま火事のような被害があったのだ。
「これを見るんだ、彼方」
コペルは煤まみれのヒールを片足目撃した。駆け寄って拾い上げ、煤を落としてみると、土汚れも水あかも見当たらない。新品のヒールのようだ。
「おい、彼方、早く来い」
しかし、彼方はやって来ない。振り返ってみると、どこにも姿がない。それどころか、人影もなければ気配も感じない。
「なにぃ! どこだ、彼方ーーー!!」
一方、コペルが通り過ぎた燃え尽きた家屋の瓦礫の下。コンクリートの床を掘り進んだ中に、武情と吸血鬼は潜んでいた。
「武情。あの破壊状態はやり過ぎたと思ったが、問題なかったみたいだな」
「ああ、問題ない。気配は感じられたようだが居場所を突き止められたわけではない。このまま不意打ちで1人仕留めるとするか」
武情はこの辺の床一面をぶっ壊して、豪快に始末してやることに決めた。
「まずは1人だ! クール・ブラスト」
武情の両腕は周りをぐるぐると渦を描くように炎を纏わせた。そうとも知らずにコペルは無防備なまま、彼方の行方を案じていた。まさに今がチャンス! クール・ブラスト発射準備完了! そして、
「吸血鬼、仕留められるのはお前の方だ!」
ミミズに入り込んでいた彼方が、クール・ブラストが地面をぶっぱなすよりも先に、地中を辿ることで2人を発見し、逆に武情を追い詰めていた!
「ヤバい! カルマ! 脱出しろーー!!」
「何、2人!?」
「あいよ、レッド・キャビン!」
地上ではコペルがいなくなった彼方を探し回っていた。だが、姿はない。まさか、もう既に倒されてしまったというのか。
「どこだ、彼方ーーーっ!!」
しかし、返事は返ってこない。焦ってしまっても意味は無いが、最悪の事態は十分にありえるのがこの戦場なのだ。
「まさか、彼方……、そんな馬鹿な……」
見えない敵に翻弄され全滅。そんな最悪の想定が頭をよぎった。その時だった。
コペルが立っている地面の下から異変を感じた。何かが湧き上がってくる! そう感じてコペルは反射的にバックステップを取った。その直後、コンクリートの地面がぶっ飛んだ!
「うらぁぁぁああああ!!! スピリットォォオオオ!!!」
「ぐはあああっ!」
黒い制服姿の男がインファイト・コンボを真っ向から食らうのを目撃した後、コペルは今起こったことを一瞬で理解した。地中の生命に入り込んだ彼方の不意打ちだ! それに続くべくゴールデン・ブラッドを体内に巡らせ、後退した分再び大きく踏み込んだ!
「待て、こっちに来るなコペルーー!」
突然の彼方の声にコペルはうろたえた。制止する声! どう見ても優勢じゃないのか!?
「おらぁぁあ!」
彼方の剛拳に男が1人ぶっ飛び、地面に大きく開いた穴から彼方が飛び出してきた。コペルは驚愕した。地中から這い上がってきた彼方の左腕はどろりと溶解していた。
「やられたぜコペル……。敵は2人いた」
コペルは穴を凝視して硬直した。何となく敵は1人という固定観念があったからか、自覚出来るほどの焦りを覚えた。そして、彼方の言葉通り、そこからは黒ずくめの男が這い上がってきた。
「問題ない、その通りだよなあ坂上武情。問題なくここで仕留める」
「何? 今のは吸血鬼じゃなかったのか」
彼方とコペルは更なる固定観念を砕かれた。敵は2人、しかし片方は人間。それを理解し切った時には既に、敵の陣形は整っていた。
「挟み撃ちさ! クール・ブラスト!!」
瞬間、後方から途方もない大きさの炎が襲いかかってくる。
「嘘だろ」
「ヤ、ヤバすぎる!」
「もう遅い!レッド・キャビンを食らえ!」
2人の攻撃はコペルと彼方を飲み込み、大きく爆発した。コペルたちがいた場所の地面は跡形もなく砕け散り、黒煙が立ち昇った。
「どうせ仲間を呼んでいる……。カルマ、お前は次に隠れられそうな場所を掘っておけ。俺は力を蓄える」
「それが良いだろうな。しかしさすがだな。あんなに殴られて冷静に対処できるとは、思ってなかったぜ」
無事ではない、と武情は思った。とんでもない男だった。レッド・キャビンの能力がなくては完全に敗北していた。
カルマと呼ばれた吸血鬼は、人間に頼ることをよく思っていなかったのだが、この武情という男に限っては頼もしい人間だと認識していた。なので、しぶしぶ使われてやっても良いだろう、身体を心配するべきだろうと思い、証拠隠ぺいの意味も込めて、挟み撃ちの能力が炸裂した場所、彼方の開けた穴のすぐ横に穴を開けることに決めた。
「ここにするかねえ……、レッド・キャビン!」
カルマの指先から噴出した真っ赤なスライム液は、コンクリートの地面を溶かしてたちまち人2人隠れられる大きさの洞穴を作った。
「俺は先に入ってるぞ、武情」
「好きにしろ」
武情は後ろを向いたままひらひらと手を振り、タバコに火をつけた。
「あいよー……。よっこいせ、と」
洞穴に潜り込むカルマ。どこから伸びてきたのか、木の根っこを溶かしていく。
「武情に深手を負わせるとはな……あっぱれなやつもいたもんだな、人間にも」
一気に全ての木の根っこを溶かすべく、カルマは両腕を前に突き出した。その時だった。目の前の根っこから突然飛び出してきた腕が、突き出していたカルマの腕をがっちりと掴んだ!
「な、何ぃ!」
とっさに振りほどこうとしたが全く放さない。これはさっきの身長高い方のやつか! まさかまだ生きていたとは!?
「嬉しくねえなあ、褒められてもよォ!」
「き、貴様、腕が治ってやがる……っ!?」
「コペル、今だーー!」
途端、背後の壁が炸裂した。そこには拳で穴を掘り進めたコペルの姿があった。
「貴様! あの穴に隠れてやがったな! 俺たちが隠れてたはずの穴に!」
「次はお前が受けるんだな。俺たちの挟み撃ちを! ゴールデン・ブラッド!」
「スピリットーー!!」
「くそぉぉぉぉお!」
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「次はてめぇが右腕を溶かしな」
「ぐ、ぐぉぉおおお……」
カルマは満身創痍で穴から脱出した。右腕の袖が破かれ、右腕が丸ごと灰となっていた。
穴から這い上がった彼方とコペルも無事では無かった。コペルの左拳が溶解されたのである。
「真っ向勝負だ……」
コペルは敵を見据えた。
「覚悟しな……」
彼方は覚悟を決めた。
「死に損ないが……」
武情は炎を纏わせる。
「貴様ら、許さんぞ……」
カルマは右腕を失った怒りを、精神の爆発として昇華させた!
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