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人間界のデビュー、銀行口座を持つ
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「神宮寺様、大変お待たせしました」
「あの金の板に見合うだけのお金を用意するのに手間取りまして…」
そう言いながら、従業員は、大きなスーツケースを店の奥から持ってきた。
中身は、全てお札だった。
「うーん、これは持ち歩けませんね。このまま、隣の銀行に預けましょう」
「何ですか?その銀行というものは」
主任が男の子に尋ねた。
「え?ご存じないのですか」
「そうか、そちらの国では金貨による売買だから必要ないのですね」
「自分のお金を安全に預かってくれる組織の事です」
「大量のお金を家に預けると、誰かに持っていかれる危険がありますが、その組織に預けておけば安全な処に保管してくれるのです」
「それで、必要な時に連絡すると、預けたお金を返してくれるんですよ」
「あと、先ほど僕が使用したように、カードという物で買い物した時に、自分が預けたお金からその金額が、お店に対して自動的に払われるのです」
「安全だし、便利なのでぜひ口座を作りましょう」
「あ!でも、ハデスさんは異国の人だから駄目ですかね?とりあえず、お隣の銀行に行きましょう」
男の子を、女の子の手を引いて隣の銀行に移動していく。
主任と西の魔女は、大きなスーツケースを押しながら男の子の後を付いて行く。
「今、我々が襲われたら大変な事になりますなあ、西の魔女さん」
「大丈夫です、主任さん。私がこのスーツケースに呪いをかけましたので、もしもこのスーツケースを誰かが盗んでも、犯人は呪いの餌食になるだけですわ。ほほほ」
絶対に、西の魔女さんの大切にしている物には手を出さないでおこうと、主任さんは堅く誓った。
「いらっしゃいませ、神宮寺様。今日はどのようなご用件でしょうか?」
「こんにちは、今日は支店長さんはおりますか?」
「私の知り合いの者が、銀行口座を開いて、このお金を預けたいのです。あ!ついでにカードも作りたいな。ただし、異国の人なので口座を作ってよい物か、相談したいのです」
受付の銀行員は、慌てて支店長を読んできた。
「おはようございます、神宮寺様。異国から来たお友達の口座開設ですね。住所は、どうしましょうか?」
支店長は、その男の子にかしこまって聞いた。
「今は、僕と同じアパートに住んでいるので、住所はそこのアパートで良いでしょうか?」
男の子は不安な気持ちで、答えた。
「おお、アパートを借りていてお住みになっているのであれば、申し分ございません」
「口座開設に必要な最初の入金額は、いかほどでしょうか?」
「実は、このスーツケースに入っているお金全部なんですけど」
主任さんが、スーツケースを支店長の前において、ケースを開けて見せた。
「え!こんな大金を我銀行のこの支店に預けて頂けるのですね。それでは直ぐに口座を作りましょう!」
…
「良かったですね、ハデスさん。普通はなかなか銀行口座を作れないんです」
「なんでも、マネーロンダリングという、悪い事をして集めたお金を複数の銀行口座を経由する事で、犯罪の匂いのしない綺麗なお金にする犯罪をする温床となる架空口座を作らせないために、口座開設に対して厳しくなったんです」
「どこの銀行にも、マネーロンダリング防止用のシステムが導入されているそうで、架空口座を検索するプログラムまで銀行にはあるそうですよ」
「これだけの大金を自宅に置いておくのは絶対に避けたいので、ここの銀行で口座を作れるのは良かったですね。ハデスさん」
…
「おまたせしました。口座の開設が出来ましたので、お客様の現金をお預かりさせていただきます」
「きみ!、このスーツケースの中身からお金を出して計測して」
「はい、それでは今からお数えしますね」
そう言いながら、銀行員は慣れた手つきでスーツケースの中から札束を取り出して、計測機械にセットする。
ぐおーん、
がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。
計測器の、金額表示がものすごい勢いで上がっていく。
既に1000万のけたを越えた。
最後は、億のけたに達していた。
「すごいですね、ハデスさん。ご自分の資産を金に換金して持っていらっしゃったのですね」
「これだけあれば、当分日本観光が出来ますよ」
「あの金の板に見合うだけのお金を用意するのに手間取りまして…」
そう言いながら、従業員は、大きなスーツケースを店の奥から持ってきた。
中身は、全てお札だった。
「うーん、これは持ち歩けませんね。このまま、隣の銀行に預けましょう」
「何ですか?その銀行というものは」
主任が男の子に尋ねた。
「え?ご存じないのですか」
「そうか、そちらの国では金貨による売買だから必要ないのですね」
「自分のお金を安全に預かってくれる組織の事です」
「大量のお金を家に預けると、誰かに持っていかれる危険がありますが、その組織に預けておけば安全な処に保管してくれるのです」
「それで、必要な時に連絡すると、預けたお金を返してくれるんですよ」
「あと、先ほど僕が使用したように、カードという物で買い物した時に、自分が預けたお金からその金額が、お店に対して自動的に払われるのです」
「安全だし、便利なのでぜひ口座を作りましょう」
「あ!でも、ハデスさんは異国の人だから駄目ですかね?とりあえず、お隣の銀行に行きましょう」
男の子を、女の子の手を引いて隣の銀行に移動していく。
主任と西の魔女は、大きなスーツケースを押しながら男の子の後を付いて行く。
「今、我々が襲われたら大変な事になりますなあ、西の魔女さん」
「大丈夫です、主任さん。私がこのスーツケースに呪いをかけましたので、もしもこのスーツケースを誰かが盗んでも、犯人は呪いの餌食になるだけですわ。ほほほ」
絶対に、西の魔女さんの大切にしている物には手を出さないでおこうと、主任さんは堅く誓った。
「いらっしゃいませ、神宮寺様。今日はどのようなご用件でしょうか?」
「こんにちは、今日は支店長さんはおりますか?」
「私の知り合いの者が、銀行口座を開いて、このお金を預けたいのです。あ!ついでにカードも作りたいな。ただし、異国の人なので口座を作ってよい物か、相談したいのです」
受付の銀行員は、慌てて支店長を読んできた。
「おはようございます、神宮寺様。異国から来たお友達の口座開設ですね。住所は、どうしましょうか?」
支店長は、その男の子にかしこまって聞いた。
「今は、僕と同じアパートに住んでいるので、住所はそこのアパートで良いでしょうか?」
男の子は不安な気持ちで、答えた。
「おお、アパートを借りていてお住みになっているのであれば、申し分ございません」
「口座開設に必要な最初の入金額は、いかほどでしょうか?」
「実は、このスーツケースに入っているお金全部なんですけど」
主任さんが、スーツケースを支店長の前において、ケースを開けて見せた。
「え!こんな大金を我銀行のこの支店に預けて頂けるのですね。それでは直ぐに口座を作りましょう!」
…
「良かったですね、ハデスさん。普通はなかなか銀行口座を作れないんです」
「なんでも、マネーロンダリングという、悪い事をして集めたお金を複数の銀行口座を経由する事で、犯罪の匂いのしない綺麗なお金にする犯罪をする温床となる架空口座を作らせないために、口座開設に対して厳しくなったんです」
「どこの銀行にも、マネーロンダリング防止用のシステムが導入されているそうで、架空口座を検索するプログラムまで銀行にはあるそうですよ」
「これだけの大金を自宅に置いておくのは絶対に避けたいので、ここの銀行で口座を作れるのは良かったですね。ハデスさん」
…
「おまたせしました。口座の開設が出来ましたので、お客様の現金をお預かりさせていただきます」
「きみ!、このスーツケースの中身からお金を出して計測して」
「はい、それでは今からお数えしますね」
そう言いながら、銀行員は慣れた手つきでスーツケースの中から札束を取り出して、計測機械にセットする。
ぐおーん、
がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。
計測器の、金額表示がものすごい勢いで上がっていく。
既に1000万のけたを越えた。
最後は、億のけたに達していた。
「すごいですね、ハデスさん。ご自分の資産を金に換金して持っていらっしゃったのですね」
「これだけあれば、当分日本観光が出来ますよ」
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