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番外編②【竜斗×紅焔】
【竜斗×紅焔】初めての睡眠姦(竜斗・談)
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また、紅焔が眠ったまま起きなくなった。
蜂蜜とかを沢山飲んで、舐めてとしていた直後はとても調子が良かったみたいなのに、あれから数日経った辺りからまったく起きなくなってしまったのだ。深く眠ってからもう、かれこれ二週間程が経っている。
その間、朝も昼も夜も——
前と違って短い時間ですらも起きてはくれず、ただただ眠っている事が不安でならない。
あげ過ぎたのか?僕経由であげたのも駄目だったのだろうか…… 。
調子に乗って、あれらの日以外にも、何度も何度も口付けをし続けたのもよくなかったのかもしれない。
紅焔が危惧していたみたいに、過剰な加護を与えてしまっていたのだったら大問題だ。流石に心配になった僕は、詳細を控えたまま父に相談してみる事にした。
「——あぁ、それね。心配いらないよー。むしろ、今まで起きていた時間があった事の方に驚いたくらいだ。私が様子を見に行っても常に眠っていたから、『あぁこれはもう、しばらくは起きられないのだな』と思っていたからね」
ニコニコと笑い、僕と一緒に縁側でお茶を飲みながら話を聞いてくれた父はとても嬉しそうだ。久しぶりに僕に会えたから、だろうか?それとも相談してもらえたという事自体が嬉しいのか。
「竜斗がもっと小さな時にもあった事だから、気にする事はないよ」
「僕も?」
「あぁ。脱皮する前の蝶みたいにね。深く眠って何日も全然起きなくなって、目が覚めた時にはちょっと体が大きくなっていたから、多分紅焔もそんな感じじゃないかな」
「…… そうなんだ」
「此処の清浄な空気が合わないというのもあるだろうから、早く馴染もうと体が必死なのかもね。…… 心配かい?」と言って、父がポンポンッと僕の背中を優しく叩く。
「…… うん」
頷きながら素直にそうだと言うと、父の笑顔がますます柔らかくなった。
「じゃあねぇ、沢山頭を撫でてあげたりするといいよ。後はそうだなぁ、肯定的な言葉を掛けてあげるとかかなぁ」
「…… 沢山、撫でる?」
「うん。私達の力を少しづつ分けてあげる事を意識しながら、ね。言葉は言霊を使って癒す感じで、気持ちを込めてあげるんだよ?」
え、何それ。どう考えたって僕へのご褒美だ。いっぱい触ると、紅焔が大きく育つだなんて。
「わかった!いっぱい撫でてあげて、沢山『大きくなってね』って声掛けしてくるよ」
「うんうん。頼むよ、竜斗。紅焔と君は多分歳も近いだろうし、私よりも緊張しないでくれるだろうから、あの子の心の安定にもつながると思うんだ」
「任せて、父上。大事に大事に育てるから」
笑顔でそう答えると、うんうんと父が何度も頷いた。
そうか、沢山触っていいんだ。僕があの時した行為には何の問題も無かった事を知り、安心したと同時にちょっと興奮してしまい、鼻の奥からツツッと血が出そうになったので、僕は誤魔化す為に空を見上げたのだった。
◇
「…… 起きてる?紅焔」
夜中になり、そっと襖を開けて声を掛ける。
大きな満月が昇っている事で紅焔の寝室が月明かりで照らされているが、それにより起きる様な気配は無かった。音がたたない様に気を付けながら室内に入り、後ろ手で襖を閉める。
「お邪魔するね」
念の為に小声で言い、部屋の真ん中に敷かれた布団で寝ている紅焔の近くまで行き、枕元に座った。
「今日もぐっすりだねぇ。…… 可愛いなぁ」
顔面に術のかかった札が貼ってあろうがすっかり慣れてしまって、脳内で紅焔の穏やかな寝顔を想像出来るまでになった。起きている時はスンッとした真顔が透けて見える気がするし、沢山口付けをしている時には蕩けに蕩けた表情まで感じ取れる程に。
まだ彼と出逢ってから一ヶ月すらも経過していないが、もう此処までくると、紅焔の事なら自分が一番理解していると断言してもいいかもしれない。
「…… 沢山ね、君の事を撫でていいんだって父上から言われたんだ。肯定的な言葉も、いっぱい言ってあげるといいらしけど、それって『好きだよー』とか言えばいいって事かなぁ?」
んーと言いながら、そっと札の下に手を忍ばせて紅焔の頬を撫でる。
普段よりも代謝がいいのか体温が高めだ。夜なせいで少しだけ冷えるので、この温かさがとても心地よく感じる。しっとりと吸い付くような若い肌はずっと触れていたくなり、僕はニマニマと笑いながらしばらく撫で続けた。
「撫でるのがいいのなら、舌で舐めても…… 効果があるよね?きっと」
ドキドキと心臓を高鳴らせながら、前屈みになって紅焔の小さな角にそっと口付ける。ピクッと少しだけ反応があったが、起きたりした訳では無かったみたいだ。
ペロッと角を舐めると甘い味がするのは気のせいだと知りつつも、紅焔の大事な大事な角だというだけで、どうしたってそう感じてしまう。唾液をたっぷりと舌に絡ませ、口に角を含んで、まるで飴を舐めるみたいにねぶっていくと、寝ているはずなのに紅焔の体が何度も震えて少しだけ跳ねた。
「敏感なんだねぇ、角って。もっと早く気が付いていたら、最初から沢山舐めてあげられたのに」
もしかして角は性感帯なのだろうか?鬼の全てがそうではないとしても、少なくとも紅焔がそうであることは間違いなさそうなので、反応が楽しくって、ついつい長々と舐め続けた。
その間ずっとピクピクと紅焔の体が震え続けるもんだから、段々と自分の魔羅が勃起してきた。呼吸も荒くなるし、次は何処を舐めてあげようかと考えるだけで、頭の中が高揚感でいっぱいになる。
「耳、少し尖っていて可愛いねぇ。僕と違ってつるっとしていて、ちょっと人間ぽいな」
彼の枕元で四つん這いになりつつ、今度は耳を甘噛みする。
自分の白くて大きな尻尾が無意識に揺れ、まるで興奮気味の犬みたいだ。そんな事は構わずに僕は紅焔の耳をはむっと噛みつつ、舌先を耳の穴の中に入れてみた。ちょっと苦い味がするが、穴の中を舐めるという行為自体に興奮し、そのまま行為を続ける。唾液がダラダラと溢れ出し、口と違うのだから流し込む訳にもいかず何度も飲み込んだのだが、口の端から溢れ出て垂れ落ちてしまった。
「ごめんっ。溢れちゃったね。あぁぁっ首の方に垂れちゃってるや」
指で拭い取ると、「んっ」と甘い声を紅焔がもらした。
「…… 首、気持ちいいのかい?そうだよね、この前も首筋を舐めてあげると可愛く沢山喘いでくれて、背中を反らしていたもんなぁ」
痴態を思い出すだけで嬉しくなって、にんまりと笑ってしまう。
寝ていようが何だろうが快楽を感じてくれているのだと改めて知り、もっともっと愛撫して、体を育てる為に僕の力を分けてあげたい気持ちが強くなった。
「…… 唾液をまた飲ませてあげるね。そうだ、もっといっぱい全身も撫でてあげたら、成長が早くなるかも」
眠る紅焔の掛け布団を捲って端に寄せ、小さな体の上に寝衣姿の僕が跨がる。
跨ったせいで寝衣の前がはだけてしまい、自分の太腿が露わになった。昼間と違って越中褌というゆったりとしたモノを穿いているせいで勃起した魔羅の存在感がすごい事になっている。もういっそ寝衣を脱ぎ捨ててしまいたいが、そこまですると目合いまでしそうなので『流石にソレまではするまい』と必死に耐え忍んだ。
「どうせなら、起きている時に初めてを経験したいよね?紅焔も」
自覚ありの状態で乱れる姿を是非見たい。口淫や手淫の末に目合えた方が互いに思い出深い経験にもなるだろうしな。
「寒かったらごめんね?でも…… ちょっと前開くよ」
きっちりと重なっている寝衣の前を開き、狭い胸を露わにした。
胸は薄くて筋肉もないので子供っぽさが滲み出ている。そのせいで背徳感を抱いでしまったが、それでも僕は『成長させてあげる為だから』と言い訳をして、桜色の乳首に吸い付いた。
「あっ」
声は聞こえるも、やっぱり紅焔は眠っている。寝たフリでは無い事を確信し、僕は赤子みたいに彼の愛らしい胸を吸った。当然何も出ないのだが、それでも夢中になって吸ってしまう。角や耳の時みたいに舐めたり噛んだりもした。
舐め続けていると、両方の乳首がツンッと尖ってきて、まるで『もっともっと』と主張してくれているみたいに感じられる。唾液で濡れているせいか、月明かりがあたってとても妖艶だ。反対側も可愛がってあげないとと思い、逆側もカプッと口に含んで丹念に愛してあげた。
最初に吸ってあげて濡れたままになっている乳首を指で揉んだり、軽くひっぱたりもしてみると、その度に紅焔の腰が少し跳ねる。どうやら、深い睡眠下であろうがこの行為を気に入ってくれたのみたいだ。
「気持ちいい事が本当に好きなんだね、紅焔は。いやらしいなぁ…… まだほんの小さな子供なのに」
でも、僕もまだ子供だから許してくれるよね?
君が可愛過ぎて、ちょっとお勉強して色々耳年増になっちゃったりはしたけれども。どうせいずれは僕等がする行為を先取りしているだけなんだし、紅焔も許してくれるはずだ。それにこの行動は父上からも勧めてもらったんだ、医療行為みたいなモノって事でいいはず!
我ながら苦しい言い訳である事を自覚しつつ、右手で体を支えながら乳首を丹念に舐め、左手で紅焔の着ている寝衣の帯を無理に引っ張って解く。そして褌の上からそっと彼の魔羅を撫でると、ゾクッと体が激しく震えた。
小さくって可愛い感触を手の平に感じる。そういえばまだ一緒に風呂に入った事が無かった事を思い出し、「そうだ、起きたら一緒に温泉にでも行こうか。この離れの更に奥へ入った庭の端にね、露天風呂があるんだ。あ、でも猿とかも入りに来ちゃうから君は湯浴着を着てね。他の奴が紅焔の肌がを見たりなんかしたら、猿だろうがなんだろうが嫉妬で殺しちゃうかもしれないからさ」と囁いた。
「…… これは肯定的な言葉とは言えないか、まずかったかな?」
ちょっと心配になったが、続きをする。
体の位置をずらし、紅焔の脚の方へ移動した。そして後は寝るだけだからと僕と同じく越中褌を穿いてくれていた事をいいことに、前垂れ部分を捲って奥に隠してあった紐を解くと、褌を完全に解いてやった。
つるんとした、邪魔な毛の全くない無い股間が目の前に晒される。皮は被っておらず、小さくともなかなかに男らしい見た目をした魔羅を前にして、「わぁ」と僕はこぼした。
「…… コレ、勃起したりするのかな」
不思議に思い、横に首を傾げる。
気持ちいいなら喜んで口淫してあげたいのだが、どうなのだろうか?それと同時に気になるのは今までの経験度合いだ。彼の正確な歳はわからないが、相当幼い見た目な事から鑑みても流石に経験済みではないだろう。精通だってまだであってもおかしく無い。僕ですら、精通も初の自慰もつい最近の事だったのだし、多分紅焔も童貞であり処女のはず。
「もう既に誰かとしたことがあったら、絶対に許せないだろうなぁ」
肯定的な言葉をあげろと言われているのに、口をついて出てくるのは嫉妬ばかりで情けない。好き過ぎて、でも紅焔が寝たままなせいで事実が確認出来ないから不安でならないんだ。
「ねぇ。此処も舐めてもいい?いいよね?でも、もし駄目って言われても従う気は無いけどね、ふふっ」
自分が初めてであって欲しいと願いながら、紅焔の小さな魔羅を指で摘み、赤黒さもまだ薄い亀頭部分を優しく舐めた。人間と違って排泄行為の無い彼の体はどこも綺麗で、汗っぽさすらも無い。
「気持ちいい?紅焔」
唾液を絡ませながら魔羅をしゃぶっていると、段々と硬さを持ち始め、ぐぐっと起き上がってきた。寝ていても気持ち良ければココだって反応してしまうのだと知り、ちょっと嬉しくなる。その方がこちらも愛し甲斐があるというものだ。
だが——
「いや、待って。ちょっと立派過ぎじゃないかな、君の魔羅」
体の大きさと全く合っていない大きさまで勃起した魔羅を前にして、悔しい気持ちになった。いや、僕だって負けてはいない。僕の方が体が大きいし、その分魔羅だって比例して大きくも育っている。だけど…… こうもドンッとご立派なモノを目の前にすると、どうしたって負けたような複雑な気分に。
「嫁さんの方が大きいとかあったら納得出来ないから、比べてみよう…… かな」
拗ねた声でそう言い、自分の褌も解いて下半身を晒す。
もう既にギンギンに勃起している魔羅からは先走りが溢れていて、竿の裏側を伝い落ちた。ヒクついてまでいて物欲しそうにしているが、入れてしまうのはまだ我慢だ。今はまず男としての自尊心をどうにかせねば。
布団の上に膝をついた状態のまま再び跨って、紅焔の股間に躙り寄る。そしてお互いの魔羅をピタリとくっつけ…… ため息をこぼした。
「ほぼ同じ大きさだとか、ちょっと待ってよ…… 」
体の大きさを考えると、僕の負けという事になる。硬さも変わらないし、自信がちょっとなくなってしまった。
両手で顔を覆って、とんでもない状態のまま俯いてしまう。尻尾も元気無く紅焔の脚の上に倒れているし、狐耳も伏せた状態になっていた。
「種族違うし…… ね。僕の方が、もしかしたら長持ちするかも?回数にはもう既に自信があるから、沢山愛してあげられるよ!技術はおいおい身に付けるから、その為にもいっぱい紅焔の体を撫でてあげないと」
ポンッと手を叩いて、そうだよ!と思い付いたままに発言する。
もしこの声で起きてしまおうが、もうそこまで考える余裕が無い。今はまず勃起したコレをどうにかせねば。
「一緒に擦ったら、気持ちいいかも」
ふふっと笑い、紅焔と僕の魔羅をまとめて両手で包み込む。ちゃんとは全部は掴めなかったが、まとめて擦ることだけが目的ならばコレでも問題無さそうだ。
先走りがたっぷり出ているおかげで手も魔羅もぬるぬるしているからちょっと擦るだけでも気持ちがいい。互いの裏筋同士が当たり、そのせいで紅焔の体もずっと震えっぱなしだ。
「いい、のかな…… 君も。少なくとも僕は、すごく…… 気持ちいいよ」
眠っていて、聞いてはもらえていないとわかっていても伝えておく。
気持ち良過ぎて自慰なんかの比じゃない。自分の手で、紅焔の痴態を思い出しながら魔羅を弄るよりも、断然こちらの方が興奮する。反応をあまり返してもらえなくても、それでもこんな行為を経験してしまったら、口八丁手八丁で無知な君を騙してでも毎晩触れてしまいたくなるかもしれない。…… いや、もう既に遅そうだ。
どうしたらもっと沢山触らせてもらえるかな。
何を言えば、紅焔は抱かせてくれる?
好きだよって沢山言ったら、意識のある時であっても同じ事をさせてはもらえないだろうか。
グチュグチュと水音が部屋の中に響き、呼吸音がその音に絡みついて耳の奥を刺激する。なんて淫乱な音なんだ、音楽みたいに素晴らしい音で、ずっとずっと聴いていたくなる。
「紅焔、紅焔、こう…… いいっ、気持ちぃ…… 好きぃ、愛してるよ。もっともっと近づきた——んっ、あぁっ!」
ビクビクッと体が仰け反り、ビュルッと魔羅から白濁とした精液が大量に溢れ出す。同時に紅焔の切っ先からも勢いの無い精液がダラリと溢れ出し、ソレを見られた事で僕は興奮し、咄嗟に彼の魔羅を口に含んだ。
もしかしたらコレが初めての射精かもしれない。
そう思うだけで、蜂蜜なんかよりもものすごい貴重品を飲めている様な気分になれた。
「あははっ。美味しいよ、紅焔。多少苦いけど、それがまたいいね」
ごくごくと精液を飲みこみ、中に残っている分も吸い出して残らず飲んだ。
自身の精液は指先で伸ばし、紅焔の肌に塗りたくる。紅焔の体は僕のモノなのだと主張出来ているみたいですごく嬉しい。そんな気持ちのせいか、また硬さを増してきてしまう。でもこれ以上は流石に紅焔が起きてしまうかな?と心配になって様子を伺ったが、頬を染めつつも紅焔はまだ眠っていた。何度か声も聞こえ、反応もあり、射精もしてくれたけど、それでもまだ寝たままだなんて、僕にとってなんて都合がいいんだ。
——という事は、コレって睡眠姦って事になっちゃうのかな?ど変態だな、僕は!
一度は射精したせいか、再度勃起していても頭のどこかが少し冷めていて、気付きたくない事に気が付いてしまった。でも紅焔が寝てくれているから、コレは数のうちには入らないよね?そう、コレはあくまでも彼に僕の神通力を贈ってあげるだけの行為。決して無理矢理な睡眠姦などでは無い。無い!
まだちょっと塗り損ね、水溜りみたいになっている僕の精液を二本の指で掬い取る。そして僕は生唾を飲み込むと、興奮気味に瞳を輝かせながら紅焔の口を開けさせて、口内に僕の精液を流し入れた。
眠ったままなのに、ゴクンッとそれを紅焔が飲み込んでくれる。その事で気分が高揚し、僕は勢いよく彼の唇を奪った。自分の味と、彼の唾液との味が混じって変な気分になったが、紅焔の舌を味わえている事実の方が胸の中で大きなものになっていき、自分のものまで舐めてしまった事はすぐにどうでもよくなった。
「美味しい?紅焔。美味しいよね?僕の唾液よりもきっと栄養があるから、もっと大きくなれるかもよ?もっと飲ませてあげちゃおうか、ふふふっ」
眠る紅焔の口に魔羅を押し込み、二度目の射精が出来るまで口淫をしてもらうのも悪く無いかもしれない。でも眠っていると牙が怖い、かな。
「唇に魔羅を擦り付けるだけでも、イケそうな気がするや」
柔くって熱くってヌルついている唇に魔羅を当てる事を想像するだけでも、もう射精してしまいそうだ。
「…… やっぱどう考えても変態だな、僕」
残念ながら認めざるを得ない気がしてくる。
でも、そんな気まずい気持ちは、紅焔の唇の素晴らしい感触のおかげで、すぐにすっ飛んで行ったのだった——
◇
「…… んっ」
目元を手の甲で擦り、紅焔が目蓋を開けた。
「おはよう、紅焔」
「…… あぁ、おはよう。…… おは、え?」
寝起きのぼんやりとした紅焔の声が、キョトンとしたものに変わった。
そして勢いよく仰向けになっていた体を横向きに変えると、視線が合ったみたいな状態になり、「うわぁ」と、とても小さな声で驚かれた。
「よく休めたかな?」
朝の光が当たり、キラキラと輝いている瞳をすっと細めて、最高の笑顔を見せる。なのに紅焔の表情は硬いままで、どうしてお前が同じ布団に入っているのだろう?と訴えていた。
「長い間眠ったままだったから、心配だったんだ。一緒に眠っていれば、いつでも変化に気が付けるだろう?」
「なるほど…… ?」
不信感いっぱいながらも、一応納得してくれる。体は綺麗に拭いてあげたし、昨夜のアレがバレたりはしないといいなぁ。
「…… ねぇ、紅焔。もしかしてちょっと大きくなっていない?」
「え?そんなまさか——」と疑うのも無視して、紅焔の頬を両手で包む。そしてまずは目の下や頬を撫でて、血色やクマの具合を確認する。そしてその手をそのまま下に伸ばしていき、体の輪郭を確認していくと、「や、やめっ。うあっ…… んんっ」だなんて甘い声をあげながら紅焔が仰け反り出した。
可愛い可愛い可愛い!けど今はそれどころでは無い。
かかっていた布団をはがし、寝衣姿の紅焔の全身を舐めるように上下に見て、僕は大きな声で「育ってる!」と叫んでしまった。
昨夜は間違いなく適正だった寝衣が、ちょっとだけ小さくみえる。手足が伸びていて、肉付きも少しよくなっていた。それを見て僕は確信した、『唾液よりも精液の方が栄養価が高いのだな』と。
コレはもうもっと沢山、毎晩でも抱いてあげないと!
「良かったね、良かったね紅焔!」
「え?あぁ、うん。そうなの…… かな?」
嬉しさのまま抱きつき、彼の体をぎゅっと抱き締める。
好き、好き、好き!もっと育って、紅焔。そしたら、子供同士ではなくなるから、目合いだってしてもいいよね?あぁ、それまでにもっと勉強しておかないと。沢山気持ち良くなってもらって、僕を好きになってもらうんだ。
昨夜の睡眠姦で紅焔の体に味を占めた僕は、ちょっとだけ成長した紅焔を抱き締めながら、そう決意したのだった。
【終わり】
蜂蜜とかを沢山飲んで、舐めてとしていた直後はとても調子が良かったみたいなのに、あれから数日経った辺りからまったく起きなくなってしまったのだ。深く眠ってからもう、かれこれ二週間程が経っている。
その間、朝も昼も夜も——
前と違って短い時間ですらも起きてはくれず、ただただ眠っている事が不安でならない。
あげ過ぎたのか?僕経由であげたのも駄目だったのだろうか…… 。
調子に乗って、あれらの日以外にも、何度も何度も口付けをし続けたのもよくなかったのかもしれない。
紅焔が危惧していたみたいに、過剰な加護を与えてしまっていたのだったら大問題だ。流石に心配になった僕は、詳細を控えたまま父に相談してみる事にした。
「——あぁ、それね。心配いらないよー。むしろ、今まで起きていた時間があった事の方に驚いたくらいだ。私が様子を見に行っても常に眠っていたから、『あぁこれはもう、しばらくは起きられないのだな』と思っていたからね」
ニコニコと笑い、僕と一緒に縁側でお茶を飲みながら話を聞いてくれた父はとても嬉しそうだ。久しぶりに僕に会えたから、だろうか?それとも相談してもらえたという事自体が嬉しいのか。
「竜斗がもっと小さな時にもあった事だから、気にする事はないよ」
「僕も?」
「あぁ。脱皮する前の蝶みたいにね。深く眠って何日も全然起きなくなって、目が覚めた時にはちょっと体が大きくなっていたから、多分紅焔もそんな感じじゃないかな」
「…… そうなんだ」
「此処の清浄な空気が合わないというのもあるだろうから、早く馴染もうと体が必死なのかもね。…… 心配かい?」と言って、父がポンポンッと僕の背中を優しく叩く。
「…… うん」
頷きながら素直にそうだと言うと、父の笑顔がますます柔らかくなった。
「じゃあねぇ、沢山頭を撫でてあげたりするといいよ。後はそうだなぁ、肯定的な言葉を掛けてあげるとかかなぁ」
「…… 沢山、撫でる?」
「うん。私達の力を少しづつ分けてあげる事を意識しながら、ね。言葉は言霊を使って癒す感じで、気持ちを込めてあげるんだよ?」
え、何それ。どう考えたって僕へのご褒美だ。いっぱい触ると、紅焔が大きく育つだなんて。
「わかった!いっぱい撫でてあげて、沢山『大きくなってね』って声掛けしてくるよ」
「うんうん。頼むよ、竜斗。紅焔と君は多分歳も近いだろうし、私よりも緊張しないでくれるだろうから、あの子の心の安定にもつながると思うんだ」
「任せて、父上。大事に大事に育てるから」
笑顔でそう答えると、うんうんと父が何度も頷いた。
そうか、沢山触っていいんだ。僕があの時した行為には何の問題も無かった事を知り、安心したと同時にちょっと興奮してしまい、鼻の奥からツツッと血が出そうになったので、僕は誤魔化す為に空を見上げたのだった。
◇
「…… 起きてる?紅焔」
夜中になり、そっと襖を開けて声を掛ける。
大きな満月が昇っている事で紅焔の寝室が月明かりで照らされているが、それにより起きる様な気配は無かった。音がたたない様に気を付けながら室内に入り、後ろ手で襖を閉める。
「お邪魔するね」
念の為に小声で言い、部屋の真ん中に敷かれた布団で寝ている紅焔の近くまで行き、枕元に座った。
「今日もぐっすりだねぇ。…… 可愛いなぁ」
顔面に術のかかった札が貼ってあろうがすっかり慣れてしまって、脳内で紅焔の穏やかな寝顔を想像出来るまでになった。起きている時はスンッとした真顔が透けて見える気がするし、沢山口付けをしている時には蕩けに蕩けた表情まで感じ取れる程に。
まだ彼と出逢ってから一ヶ月すらも経過していないが、もう此処までくると、紅焔の事なら自分が一番理解していると断言してもいいかもしれない。
「…… 沢山ね、君の事を撫でていいんだって父上から言われたんだ。肯定的な言葉も、いっぱい言ってあげるといいらしけど、それって『好きだよー』とか言えばいいって事かなぁ?」
んーと言いながら、そっと札の下に手を忍ばせて紅焔の頬を撫でる。
普段よりも代謝がいいのか体温が高めだ。夜なせいで少しだけ冷えるので、この温かさがとても心地よく感じる。しっとりと吸い付くような若い肌はずっと触れていたくなり、僕はニマニマと笑いながらしばらく撫で続けた。
「撫でるのがいいのなら、舌で舐めても…… 効果があるよね?きっと」
ドキドキと心臓を高鳴らせながら、前屈みになって紅焔の小さな角にそっと口付ける。ピクッと少しだけ反応があったが、起きたりした訳では無かったみたいだ。
ペロッと角を舐めると甘い味がするのは気のせいだと知りつつも、紅焔の大事な大事な角だというだけで、どうしたってそう感じてしまう。唾液をたっぷりと舌に絡ませ、口に角を含んで、まるで飴を舐めるみたいにねぶっていくと、寝ているはずなのに紅焔の体が何度も震えて少しだけ跳ねた。
「敏感なんだねぇ、角って。もっと早く気が付いていたら、最初から沢山舐めてあげられたのに」
もしかして角は性感帯なのだろうか?鬼の全てがそうではないとしても、少なくとも紅焔がそうであることは間違いなさそうなので、反応が楽しくって、ついつい長々と舐め続けた。
その間ずっとピクピクと紅焔の体が震え続けるもんだから、段々と自分の魔羅が勃起してきた。呼吸も荒くなるし、次は何処を舐めてあげようかと考えるだけで、頭の中が高揚感でいっぱいになる。
「耳、少し尖っていて可愛いねぇ。僕と違ってつるっとしていて、ちょっと人間ぽいな」
彼の枕元で四つん這いになりつつ、今度は耳を甘噛みする。
自分の白くて大きな尻尾が無意識に揺れ、まるで興奮気味の犬みたいだ。そんな事は構わずに僕は紅焔の耳をはむっと噛みつつ、舌先を耳の穴の中に入れてみた。ちょっと苦い味がするが、穴の中を舐めるという行為自体に興奮し、そのまま行為を続ける。唾液がダラダラと溢れ出し、口と違うのだから流し込む訳にもいかず何度も飲み込んだのだが、口の端から溢れ出て垂れ落ちてしまった。
「ごめんっ。溢れちゃったね。あぁぁっ首の方に垂れちゃってるや」
指で拭い取ると、「んっ」と甘い声を紅焔がもらした。
「…… 首、気持ちいいのかい?そうだよね、この前も首筋を舐めてあげると可愛く沢山喘いでくれて、背中を反らしていたもんなぁ」
痴態を思い出すだけで嬉しくなって、にんまりと笑ってしまう。
寝ていようが何だろうが快楽を感じてくれているのだと改めて知り、もっともっと愛撫して、体を育てる為に僕の力を分けてあげたい気持ちが強くなった。
「…… 唾液をまた飲ませてあげるね。そうだ、もっといっぱい全身も撫でてあげたら、成長が早くなるかも」
眠る紅焔の掛け布団を捲って端に寄せ、小さな体の上に寝衣姿の僕が跨がる。
跨ったせいで寝衣の前がはだけてしまい、自分の太腿が露わになった。昼間と違って越中褌というゆったりとしたモノを穿いているせいで勃起した魔羅の存在感がすごい事になっている。もういっそ寝衣を脱ぎ捨ててしまいたいが、そこまですると目合いまでしそうなので『流石にソレまではするまい』と必死に耐え忍んだ。
「どうせなら、起きている時に初めてを経験したいよね?紅焔も」
自覚ありの状態で乱れる姿を是非見たい。口淫や手淫の末に目合えた方が互いに思い出深い経験にもなるだろうしな。
「寒かったらごめんね?でも…… ちょっと前開くよ」
きっちりと重なっている寝衣の前を開き、狭い胸を露わにした。
胸は薄くて筋肉もないので子供っぽさが滲み出ている。そのせいで背徳感を抱いでしまったが、それでも僕は『成長させてあげる為だから』と言い訳をして、桜色の乳首に吸い付いた。
「あっ」
声は聞こえるも、やっぱり紅焔は眠っている。寝たフリでは無い事を確信し、僕は赤子みたいに彼の愛らしい胸を吸った。当然何も出ないのだが、それでも夢中になって吸ってしまう。角や耳の時みたいに舐めたり噛んだりもした。
舐め続けていると、両方の乳首がツンッと尖ってきて、まるで『もっともっと』と主張してくれているみたいに感じられる。唾液で濡れているせいか、月明かりがあたってとても妖艶だ。反対側も可愛がってあげないとと思い、逆側もカプッと口に含んで丹念に愛してあげた。
最初に吸ってあげて濡れたままになっている乳首を指で揉んだり、軽くひっぱたりもしてみると、その度に紅焔の腰が少し跳ねる。どうやら、深い睡眠下であろうがこの行為を気に入ってくれたのみたいだ。
「気持ちいい事が本当に好きなんだね、紅焔は。いやらしいなぁ…… まだほんの小さな子供なのに」
でも、僕もまだ子供だから許してくれるよね?
君が可愛過ぎて、ちょっとお勉強して色々耳年増になっちゃったりはしたけれども。どうせいずれは僕等がする行為を先取りしているだけなんだし、紅焔も許してくれるはずだ。それにこの行動は父上からも勧めてもらったんだ、医療行為みたいなモノって事でいいはず!
我ながら苦しい言い訳である事を自覚しつつ、右手で体を支えながら乳首を丹念に舐め、左手で紅焔の着ている寝衣の帯を無理に引っ張って解く。そして褌の上からそっと彼の魔羅を撫でると、ゾクッと体が激しく震えた。
小さくって可愛い感触を手の平に感じる。そういえばまだ一緒に風呂に入った事が無かった事を思い出し、「そうだ、起きたら一緒に温泉にでも行こうか。この離れの更に奥へ入った庭の端にね、露天風呂があるんだ。あ、でも猿とかも入りに来ちゃうから君は湯浴着を着てね。他の奴が紅焔の肌がを見たりなんかしたら、猿だろうがなんだろうが嫉妬で殺しちゃうかもしれないからさ」と囁いた。
「…… これは肯定的な言葉とは言えないか、まずかったかな?」
ちょっと心配になったが、続きをする。
体の位置をずらし、紅焔の脚の方へ移動した。そして後は寝るだけだからと僕と同じく越中褌を穿いてくれていた事をいいことに、前垂れ部分を捲って奥に隠してあった紐を解くと、褌を完全に解いてやった。
つるんとした、邪魔な毛の全くない無い股間が目の前に晒される。皮は被っておらず、小さくともなかなかに男らしい見た目をした魔羅を前にして、「わぁ」と僕はこぼした。
「…… コレ、勃起したりするのかな」
不思議に思い、横に首を傾げる。
気持ちいいなら喜んで口淫してあげたいのだが、どうなのだろうか?それと同時に気になるのは今までの経験度合いだ。彼の正確な歳はわからないが、相当幼い見た目な事から鑑みても流石に経験済みではないだろう。精通だってまだであってもおかしく無い。僕ですら、精通も初の自慰もつい最近の事だったのだし、多分紅焔も童貞であり処女のはず。
「もう既に誰かとしたことがあったら、絶対に許せないだろうなぁ」
肯定的な言葉をあげろと言われているのに、口をついて出てくるのは嫉妬ばかりで情けない。好き過ぎて、でも紅焔が寝たままなせいで事実が確認出来ないから不安でならないんだ。
「ねぇ。此処も舐めてもいい?いいよね?でも、もし駄目って言われても従う気は無いけどね、ふふっ」
自分が初めてであって欲しいと願いながら、紅焔の小さな魔羅を指で摘み、赤黒さもまだ薄い亀頭部分を優しく舐めた。人間と違って排泄行為の無い彼の体はどこも綺麗で、汗っぽさすらも無い。
「気持ちいい?紅焔」
唾液を絡ませながら魔羅をしゃぶっていると、段々と硬さを持ち始め、ぐぐっと起き上がってきた。寝ていても気持ち良ければココだって反応してしまうのだと知り、ちょっと嬉しくなる。その方がこちらも愛し甲斐があるというものだ。
だが——
「いや、待って。ちょっと立派過ぎじゃないかな、君の魔羅」
体の大きさと全く合っていない大きさまで勃起した魔羅を前にして、悔しい気持ちになった。いや、僕だって負けてはいない。僕の方が体が大きいし、その分魔羅だって比例して大きくも育っている。だけど…… こうもドンッとご立派なモノを目の前にすると、どうしたって負けたような複雑な気分に。
「嫁さんの方が大きいとかあったら納得出来ないから、比べてみよう…… かな」
拗ねた声でそう言い、自分の褌も解いて下半身を晒す。
もう既にギンギンに勃起している魔羅からは先走りが溢れていて、竿の裏側を伝い落ちた。ヒクついてまでいて物欲しそうにしているが、入れてしまうのはまだ我慢だ。今はまず男としての自尊心をどうにかせねば。
布団の上に膝をついた状態のまま再び跨って、紅焔の股間に躙り寄る。そしてお互いの魔羅をピタリとくっつけ…… ため息をこぼした。
「ほぼ同じ大きさだとか、ちょっと待ってよ…… 」
体の大きさを考えると、僕の負けという事になる。硬さも変わらないし、自信がちょっとなくなってしまった。
両手で顔を覆って、とんでもない状態のまま俯いてしまう。尻尾も元気無く紅焔の脚の上に倒れているし、狐耳も伏せた状態になっていた。
「種族違うし…… ね。僕の方が、もしかしたら長持ちするかも?回数にはもう既に自信があるから、沢山愛してあげられるよ!技術はおいおい身に付けるから、その為にもいっぱい紅焔の体を撫でてあげないと」
ポンッと手を叩いて、そうだよ!と思い付いたままに発言する。
もしこの声で起きてしまおうが、もうそこまで考える余裕が無い。今はまず勃起したコレをどうにかせねば。
「一緒に擦ったら、気持ちいいかも」
ふふっと笑い、紅焔と僕の魔羅をまとめて両手で包み込む。ちゃんとは全部は掴めなかったが、まとめて擦ることだけが目的ならばコレでも問題無さそうだ。
先走りがたっぷり出ているおかげで手も魔羅もぬるぬるしているからちょっと擦るだけでも気持ちがいい。互いの裏筋同士が当たり、そのせいで紅焔の体もずっと震えっぱなしだ。
「いい、のかな…… 君も。少なくとも僕は、すごく…… 気持ちいいよ」
眠っていて、聞いてはもらえていないとわかっていても伝えておく。
気持ち良過ぎて自慰なんかの比じゃない。自分の手で、紅焔の痴態を思い出しながら魔羅を弄るよりも、断然こちらの方が興奮する。反応をあまり返してもらえなくても、それでもこんな行為を経験してしまったら、口八丁手八丁で無知な君を騙してでも毎晩触れてしまいたくなるかもしれない。…… いや、もう既に遅そうだ。
どうしたらもっと沢山触らせてもらえるかな。
何を言えば、紅焔は抱かせてくれる?
好きだよって沢山言ったら、意識のある時であっても同じ事をさせてはもらえないだろうか。
グチュグチュと水音が部屋の中に響き、呼吸音がその音に絡みついて耳の奥を刺激する。なんて淫乱な音なんだ、音楽みたいに素晴らしい音で、ずっとずっと聴いていたくなる。
「紅焔、紅焔、こう…… いいっ、気持ちぃ…… 好きぃ、愛してるよ。もっともっと近づきた——んっ、あぁっ!」
ビクビクッと体が仰け反り、ビュルッと魔羅から白濁とした精液が大量に溢れ出す。同時に紅焔の切っ先からも勢いの無い精液がダラリと溢れ出し、ソレを見られた事で僕は興奮し、咄嗟に彼の魔羅を口に含んだ。
もしかしたらコレが初めての射精かもしれない。
そう思うだけで、蜂蜜なんかよりもものすごい貴重品を飲めている様な気分になれた。
「あははっ。美味しいよ、紅焔。多少苦いけど、それがまたいいね」
ごくごくと精液を飲みこみ、中に残っている分も吸い出して残らず飲んだ。
自身の精液は指先で伸ばし、紅焔の肌に塗りたくる。紅焔の体は僕のモノなのだと主張出来ているみたいですごく嬉しい。そんな気持ちのせいか、また硬さを増してきてしまう。でもこれ以上は流石に紅焔が起きてしまうかな?と心配になって様子を伺ったが、頬を染めつつも紅焔はまだ眠っていた。何度か声も聞こえ、反応もあり、射精もしてくれたけど、それでもまだ寝たままだなんて、僕にとってなんて都合がいいんだ。
——という事は、コレって睡眠姦って事になっちゃうのかな?ど変態だな、僕は!
一度は射精したせいか、再度勃起していても頭のどこかが少し冷めていて、気付きたくない事に気が付いてしまった。でも紅焔が寝てくれているから、コレは数のうちには入らないよね?そう、コレはあくまでも彼に僕の神通力を贈ってあげるだけの行為。決して無理矢理な睡眠姦などでは無い。無い!
まだちょっと塗り損ね、水溜りみたいになっている僕の精液を二本の指で掬い取る。そして僕は生唾を飲み込むと、興奮気味に瞳を輝かせながら紅焔の口を開けさせて、口内に僕の精液を流し入れた。
眠ったままなのに、ゴクンッとそれを紅焔が飲み込んでくれる。その事で気分が高揚し、僕は勢いよく彼の唇を奪った。自分の味と、彼の唾液との味が混じって変な気分になったが、紅焔の舌を味わえている事実の方が胸の中で大きなものになっていき、自分のものまで舐めてしまった事はすぐにどうでもよくなった。
「美味しい?紅焔。美味しいよね?僕の唾液よりもきっと栄養があるから、もっと大きくなれるかもよ?もっと飲ませてあげちゃおうか、ふふふっ」
眠る紅焔の口に魔羅を押し込み、二度目の射精が出来るまで口淫をしてもらうのも悪く無いかもしれない。でも眠っていると牙が怖い、かな。
「唇に魔羅を擦り付けるだけでも、イケそうな気がするや」
柔くって熱くってヌルついている唇に魔羅を当てる事を想像するだけでも、もう射精してしまいそうだ。
「…… やっぱどう考えても変態だな、僕」
残念ながら認めざるを得ない気がしてくる。
でも、そんな気まずい気持ちは、紅焔の唇の素晴らしい感触のおかげで、すぐにすっ飛んで行ったのだった——
◇
「…… んっ」
目元を手の甲で擦り、紅焔が目蓋を開けた。
「おはよう、紅焔」
「…… あぁ、おはよう。…… おは、え?」
寝起きのぼんやりとした紅焔の声が、キョトンとしたものに変わった。
そして勢いよく仰向けになっていた体を横向きに変えると、視線が合ったみたいな状態になり、「うわぁ」と、とても小さな声で驚かれた。
「よく休めたかな?」
朝の光が当たり、キラキラと輝いている瞳をすっと細めて、最高の笑顔を見せる。なのに紅焔の表情は硬いままで、どうしてお前が同じ布団に入っているのだろう?と訴えていた。
「長い間眠ったままだったから、心配だったんだ。一緒に眠っていれば、いつでも変化に気が付けるだろう?」
「なるほど…… ?」
不信感いっぱいながらも、一応納得してくれる。体は綺麗に拭いてあげたし、昨夜のアレがバレたりはしないといいなぁ。
「…… ねぇ、紅焔。もしかしてちょっと大きくなっていない?」
「え?そんなまさか——」と疑うのも無視して、紅焔の頬を両手で包む。そしてまずは目の下や頬を撫でて、血色やクマの具合を確認する。そしてその手をそのまま下に伸ばしていき、体の輪郭を確認していくと、「や、やめっ。うあっ…… んんっ」だなんて甘い声をあげながら紅焔が仰け反り出した。
可愛い可愛い可愛い!けど今はそれどころでは無い。
かかっていた布団をはがし、寝衣姿の紅焔の全身を舐めるように上下に見て、僕は大きな声で「育ってる!」と叫んでしまった。
昨夜は間違いなく適正だった寝衣が、ちょっとだけ小さくみえる。手足が伸びていて、肉付きも少しよくなっていた。それを見て僕は確信した、『唾液よりも精液の方が栄養価が高いのだな』と。
コレはもうもっと沢山、毎晩でも抱いてあげないと!
「良かったね、良かったね紅焔!」
「え?あぁ、うん。そうなの…… かな?」
嬉しさのまま抱きつき、彼の体をぎゅっと抱き締める。
好き、好き、好き!もっと育って、紅焔。そしたら、子供同士ではなくなるから、目合いだってしてもいいよね?あぁ、それまでにもっと勉強しておかないと。沢山気持ち良くなってもらって、僕を好きになってもらうんだ。
昨夜の睡眠姦で紅焔の体に味を占めた僕は、ちょっとだけ成長した紅焔を抱き締めながら、そう決意したのだった。
【終わり】
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