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第5話
しおりを挟む側に誰かが、何か自分以外の存在が居てくれたらと、こんなに思うのは初めての事だった。 妹の綾を失った時ですら感じなかったというのに、何故今はそう思う?
答えがそこまで見えているのに、見たくない。知りたかったはずなのに、知りたくない。知ってしまえば、それこそ全てを諦めないといけない気がするから。
「昴さん、お待たせしてしまいましたか?」
葛葉の声が、不意に聞こえた。
いつここまで来たんだろう?足音も、気配すら感じなかった。自分では気が付かなかっただけで、一瞬意識が飛んででもいたのだろうか?
俺の隣に、少しだけ距離をおいて葛葉が座る。控えめな笑顔が少し可愛いと感じてしまい、自分の感情に対しムカついた。
「仁は?」
「仁さんには来てもらいませんでした。二人できちんと話したいと思って」
そうか……じゃあ今アイツは、はくおうと一緒に居るって事だよな……羨ましい。
「昴さんは……昔の記憶とかは無いんですか?」
俺の顔を覗きこみ、葛葉が訊いた。
「は?人並みには普通に覚えてるぞ?」
「そうかぁ……無いのか」
あると言ったつもりなんだが、なぜそうなる。
「仁さんは、少しあるんですよ。だから私をこっちに連れて来てくれた。『このまま一人は寂しいだろうから』って」
そう言いながら、葛葉が俺の頬にそっと触れてきた。
「触るな!」
キッと睨みつけ、葛葉の手を反射的に払いのける。
「私が怖いですか?」
俺に睨まれているのに、葛葉が表情一つ変えないでそう言った。
「怖い?まさか。気色悪いだけだ」
「……何故?女性が嫌い?」
「女性が、じゃない。自分以外の存在に嫌悪感を感じるだけだ」
「友人や、はくおうには優しいのに?」
「ああ、俺にとって特別な存在だからな。お前とは違う」
葛葉から視線をそらし、空を見上げる。
違う……そうだ違うんだ。半年前にいきなり来たコイツなんかとは、彼らは違う。
「私じゃ、昴さんの特別にはなれませんか?」
「何を言ってる、お前は仁の彼女だろう?もっとアイツを大事にしたらどうだ」
「私に必要なのは昴さんですよ、仁さんじゃない」
馬鹿かコイツは。仁からの恩を仇で返す気か?
「昴さん、私は……貴方が好きなんです。もうずっと前から、初めて逢った時から……ずっと」
そう言いながら、向かい合った状態で俺の脚にまたがり、上半身を近づけてくる。
「寄るな!俺はお前は好きじゃないし、なんとも思ってない!」
「……私は貴方に会う為だけに、ここに戻って来たのに」
切なそうな顔の葛葉。
何を言ってる?それ以上言うな、聞きたくない。耳に手をやり、俺は塞いだ。
「もういいから、止めてくれないか?俺は何も知らなくていい、黙っていてくれ!」
「何にそこまで怯え、何を知りたくないのです?はくおうがただの獣ではなのが嫌ですか?それとも——」
葛葉の口を手で押さえて塞ぎ、言葉を遮る。
「もういいと言ってるだろうが!」
大きな声が出てしまう。
「あぁ、もうわかったよ!はくおうが、アヤカシなのは認める。でないとあんな……屋根の上を、男を乗せたまま走るなんて無理だし、狐があそこまでデカイのもありえないからな」
「ひゃぁ……」
塞がれたままなのに話そうとするもんだから、葛葉が何を言おうとしたのかわからない。。
「俺はそれでもいいんだ、そんな事は大した問題じゃない。人外のモノなのだとしたら……それこそ好都合だ」
それならばずっと一緒に居られる。俺より先に死んでしまう事もないだろう。何かあっても、きっと帰って来てくれる。そう、今回みたいに——
「うわああああっ!」
葛葉に手の平を舐められ、とっさに手を離した。
「何するんだ!気持ち悪い!」
「……はくおうならいいのに?」
葛葉が拗ねたような顔をする。
「アイツとお前は違うんだ、当然だろ!」
俺の言葉を聞き、ポロポロと葛葉の目から涙が零れ落ちた。
「こんな姿だろうが、私だって“はくおう”だ!」
そう言うや否や、俺の口に唇を重ね、無理やり口の中に舌をねじ込んできた。
頭の後ろに手を回され、ガッチリ固定されてしまい、葛葉から口を離す事が出来ない。女性とは思えぬ力で、俺が必死に抵抗しても引き剥がせない。
クチュ……チュッ……
耳の奥にやたらと卑猥な水音が響いて聞こえる。葛葉の肩を掴み、何度も押すが、ビクともしない。
この細い体のどこにそんな力が?しかも『私だってはくおうだ!』とかアホな事言いやがって。気持ちが悪い……初めてするキスに、異物感のせいで吐き気がする。
今まで誰とも関係を持ったことなんて、持とうと思った事も無かったのに。何でこんなめに合わないといけないんだ!
歯を舌で舐められ、体が震えた。
何をやってんだこいつは!
ツツツッと首を撫で、葛葉が俺の背広のネクタイを緩める。ワイシャツのボタンを上から一つづつはずし、鎖骨を撫でてきた。
アホか、何を考えてる?
驚きに俺が目を見開くと、キツく閉じられた葛葉の眦からポロリと涙が零れ落ちた。泣きながら、それでも必死に葛葉が舌を絡め続ける。
もう我慢出来ず、俺は彼女の舌に容赦無く噛み付いた。
「うくっ!」と、短い声をあげるも葛葉は止めてくれない。彼女の口から血が滴り、ワイシャツにポタリと落ちた。それなのに俺から口を離さずに、歯茎を舐めて、唇に吸い付いてくる。
もう……どうにでもしてくれ。俺がそう諦めた時だ——やっと葛葉が俺から口を離してくれた。
ゆっくりと離れ、葛葉が狡猾をした表情で己の口から落ちる血をペロッと舐める。そんな姿に、俺は魅了されたかのように引き込まれてしまった。妖艶なその雰囲気は、人間のモノではないのを嫌でも感じさせる。
だが、一瞬でその表情を変え、ボロボロと大量の涙を流し、葛葉が子供のように泣き出した。
「うあああああっ!」
声まで出して大泣きされ、どうしいいのかわからない。泣きたいのはこっちだ!散々人に不快な思いをさせておいて、何故泣くのはお前だ!
手で涙を拭い、葛葉が泣き続ける。
「私だってそうだもんっ!どっちも私だもんっ!なのに、なんで狐の姿じゃないと愛してもらえないの?」
「……な、何を言ってるんだ?お前は」
俺の胸をバンバンと叩きながら、葛葉がダダをこねる子供の様に怒り出す。
どうしたらいい?どうすれば止めてもらえるんだ。
「……お前は……はくおうが化けた姿なのか?」
認めたくない。が、どうしても確認しないといけない気がして、とうとう口に出して言ってしまった。もしそうだとしたら、それが正しい答えなのだとしたら……俺はどちらも諦めないといけないというのに。
「そうだって、言ってるじゃない!」
葛葉が泣きながら更に怒る。
「急にそう言われて、理解出来るわけがないだろう⁈俺は普通の人間なんだから!」
アヤカシだ、化けてるだなんだと……普通に暮らしていれば一生関わる事のない存在だ。それが今目の前にいて、脚の上で大泣きしていて……全てを受け入れて理解しろという方に無理がある。
「それならそれで、何故すぐにそうだと言わなかった?何故はくおうのままで逢いには来なかったんだ?」
「……それで一度失敗してるから」
「失敗?」
「狐のままの私しか見てくれなかったんだもん。人の姿で近寄っても、全然見向きもされなかったから」
逢った事などあったか?こんな髪色の女に逢った記憶など全く無いぞ?
「私はどっちの自分も見て欲しいから、今度はどうにかして人間の姿で気にかけてもらえないかと思って」
じゃあ何故仁と付き合っている?俺の気を引きたいと言いながら、やってる事はひどく矛盾しているじゃないか。
「証拠を見せてみろよ、そうしたら信じてやる」
どっちも自分だという証拠を。
「そうしたら、私は昴さんに愛されるの?」
「いや、それはない」と、俺はキッパリ否定した。獣に好意を持つような趣味もなければ、弟の彼女に手を出す気など微塵も無い。ましてやアヤカシなんぞ論外もいいところだ。……まぁ、はくおうと一緒には居たいとは、思うけれども。
「うあああああっ!」
俺にキッパリと否定されたからか、葛葉がまた大声で泣き出した。もういい加減にして欲しい。
「簡単に泣くな!お前はアヤカシなんだろう?それならそれらしく、もっとドンと構えたらどうなんだ!」
「昴さんに好きになってもらえなかったら、意味がないんだもん!」
顔を手で覆い、葛葉が涙を堪えようとする。
「……お前は何でそこまで俺に執着するんだ?」
「……喰べようと思ったの」
「は⁈ちょっと待て!巫山戯るな!俺は餌じゃ無いぞ‼︎」
「い、今は思ってないっ」
葛葉が慌ててガシッと俺の胸にしがみ付いてきた。
「最初はそう思ったのか」
「力の無いモノが寄れないくらいに昴さんは力を持っていたから、私はその時怪我を負ってたし、食べたら回復の手助けになると思って……」
ワイシャツに顔を擦りつけながら葛葉が言葉を続ける。
「でもでも、ずっと隙を狙って一緒にいるうちに……ここが自分の居場所なんじゃないかって感じられて」
自分の居場所……ねぇ。
「なんか大きな鉄の塊に轢かれて昴さんが死んだ時、もうどうしていいのかわからなかった」
——俺が……死んだ時?
何を言ってるんだコイツ。死んだのは、はくおうだ。俺じゃない。
やっぱりコイツは嘘を言ってるんじゃないのか?
ただ、俺の気を引きたいだけの変な女なんじゃないだろうか。
「反魂の呪は私にもとても危険なもので、使った反動で三十年も目が覚められなかった……」
反魂……?
「もう失いたくない……昴さんに存在を否定されたら、どうしていいのかわからない」
全身を震わせ、背広の襟を掴み、強く握ってくる。そのせいで、ワイシャツの方にまで葛葉の涙が落ち、染み込んできた。
「……つまりあれか、お前は俺の身代わりになり、今迄の間ずっと死んだような状態になっていたのか?」
涙でぐちゃぐちゃになった顔のまま、葛葉がコクコクと頷く。
「じゃあ何故北海道に?埋まっていたのは、まさにこの下のはずだが」
「この間上空を通過していた水龍の友人が助けてくれたんです。ココよりももっと回復するにはいいだろうと、神威古潭まで連れて行ってくれたんですよ」
「……有名な心霊スポットにか」
「あそこのは確かに悪い噂が多いけど、霊的にもとても不思議な場所なんですよ」
俺の一番行きたくない場所だ。
「目が覚めて、すぐに知ってる匂いを追って歩いていたら、街の近くで仁さんに会ったんです」
「それで今日に到るって訳か」
「はい」
俺はため息をつき、葛葉の肩を少し押して自分から少し距離を開けさせた。
「証拠は?今までのが全て作り話ではないって証拠はあるのか?」
きな臭い話ばかりで、だんだん腹が立ってきた。今目の前ではくおうになりでもしたら、即信じてやるんだが。そう思っていると、俺の心でも読んだかのようにニョキッと葛葉の頭からは狐のような耳が、尻に大きくフサフサとした雪のように白い尻尾が生えてきた。
……嘘だろ?
恐る恐る、耳に触る。すると、少しくすぐったそうに葛葉が目を瞑った。根元もきちんとつながっていて、しっかり動いている。これは絶対に玩具なんかじゃない。
尻尾の根元も触ると「んあっ」と甘い声で鳴かれ、ビックリして即座に離した。
……本物だ。確かに、コイツは狐で、はくおうで、葛葉なんだ。
そんなモノがこの世に居るのか?
霊とかは子供の頃散々見てきたくせに、なんだか信じられず、呆然となってしまう。
「信じてもらえましたか?」
ここまでされては否定できないが、何故はくおうにはなってみせない?
「私を、見て欲しいからです」
言葉に出していないのに、返事が返ってきた。
「俺の考えを読んだのか?勝手に」
「……ごめんなさい」
「二度とするな!」
キツイ口調で怒鳴ってしまった。心を読まれるのは気に入らない、見透かされるのもだ。
俺の声に、葛葉が耳を伏せ、怯えたような顔になる。……不覚にもそんな顔が可愛いと感じてしまった。
「悪い。……もうしないと約束してくれるなら、これ以上は怒らないから」
頭を撫でてやると、葛葉は目を瞑り、嬉しそうに頭を傾けた。
その仕草はまさにはくおうそのもので、葛葉とアイツが同じ存在なんだと実感させられる。
「お前は、ここが自分の居場所だと、今でもそう思っているのか?」
「ええ」
迷う事無く、すぐに返事が返ってきた。
「俺は、正直なところ……今すぐにお前の存在は受け入れられない。それでもお前は、側にいる事を望むのか?」
「私にはここしかありませんから」
「……仁は?」
「仁さんも大事ですよ」
「でも、彼女の居場所となりえるものは、僕には無いよ」
急に仁の声が聞こえ、俺は葛葉から視線をそらし、弟の姿を探した。
家の方からこっちに歩いて来ていたようだが、丁度葛葉で出来た死角に入っていたようで、今まで気が付かなかったみたいだ。
「お前達付き合ってるんじゃないのか?」
「いいや、一緒に住むにはそう言った方が都合がいいかなと思っただけだよ。僕も彼女が……好きではあるけど、兄さんから奪おうって程ではないかな」
そう言う仁の顔に、少し寂しさが見て取れる。
「奪うも何も……俺のモノじゃない」
顔を横に向け、二人から視線をそらす。
「僕に気を使う事なんてないんだよ、兄さん」
「使ってない。純粋に事実が受け入れがたいと感じているだけだ」
「えー。猫耳みたいでこんなに可愛いのに、萌えない?」
葛葉の耳が、可愛さをアピールするみたいにヒョコヒョコと動く。
「そんな趣味はない!」
「この可愛さがわからないなんて、兄さんは淡白だなぁ」
仁が葛葉の尻尾の根元を擦りだす。
「ふぁ……ぁぁっ」
背中をそらし、顔を赤くしながら葛葉が甘い声を出した。
「やめろっ!」
反射的にカッとなり、怒鳴ってしまった。
ピタッと尻尾触るのを止めて、仁が俺を見る。
「何故?何でそうカッとなってるの?兄さんにはそんな感情も無いと思ってたよ」
何故怒鳴ったかなんて、自分でもわからない。ただ、葛葉に……はくおうに、俺以外の奴が触った事実が気に入らなかった。
クスッと笑い、仁が葛葉から離れる。いつも穏やかに笑う仁らしからぬ表情に、少し困惑してしまった。
「大丈夫だよ、葛葉は兄さんしか愛してないからね。僕がどんな事をしても、多分僕を噛み殺してでも、兄さんの元へ行くと思うよ」
「……あの」と、葛葉が小さく呟いた。
「ん?」
葛葉の呼び掛けに、俺と仁が顔を向ける。
「お腹空きませんか?私……昨日の朝から何も食べてなくって」
恥ずかしそうにそう告げる葛葉の表情に、二人して気が抜けてしまった。
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