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本編
【第6話】用具室(桜庭充・談)
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「さっきは、ありがとな」
清一が言った予想外の一言に、俺はちょっと肩の力が抜けた。
何だか機嫌が悪そうだと思ったのは、もしかすると俺の勘違いだったのかもしれない。室内が暗いせいで、そう感じただけみたいだ。
「……あぁ、いいって。清一は昔っから運動苦手だしな」
安堵し、清一の立つ引き戸の方へ歩いて行く。鍵をかけた理由が思いつかないが、さっさと開けて教室へ戻ろう。
「んじゃ、行こうか」
声を掛けて鍵に手を伸ばそうとしたのだが、清一に手を掴まれ、途中で動きを止められた。
どうしたんだろうか?
そう思い、清一の顔を見上げる。室内が暗いからというだけではなく、清一の表情に仄暗い影を感じる。奴の眉間にはシワが寄り、段々と俺を掴む手にぐぐぐっと力が入っていった。
「いて!」
俺が痛みを訴えると、反射的に清一が「ごめん!」と言いながら、即座に手を離してくれた。
「いや、大丈夫……」
掴まれていた手首を見てみると、ちょっと赤くなっている。思っていた以上に清一の力は強いみたいだ。運動は苦手だとは言っても、この筋肉は飾りでは無いのだと、痛みをもって体感してしまった。
「…… なぁ、充」
「んー?」
「さっきのは、本気なのか?」
不機嫌さが声に滲み出ていて、一瞬俺は怯んでしまった。
「…… さ、さっきの?」
清一は一体どれの事を言っているのだろうか?
何の事なのかわからなくて俺が首を傾げると、「カラオケの件だよ!」と清一が叫んだ。
「俺と約束してたよな?」
「約束?…… あ、あぁ」
昨日交わした『明日、またな』ってやつのことか。でもあれは、一体どれに対して“また明日”なのかイマイチ分かりにくいやり取りだったし、怒られるのは流石に納得出来ない。それに、何故今更怒り出すんだ?まさか、授業でバスケをしている間中、ずっと悶々としていたのだろうか。
「んな、わかるかよ!『明日また学校でな』って意味かとも思う言い方しかしていなかったんだし」
「そ、そうだとしても、だ。あんなの、どうせ名前を変えただけで合コンみたいなもんだろ?んなの行ってどうするんだ!」
「そりゃ…… 出会いがないと、彼女もできないし。機会があればお前だって、行きたいって思うだろ?」
「いや、そもそも彼女が欲しいとか思ってない」
憎々し気な顔で、清一が吐き捨てる様に言った。
「充は……モテたいモテたいってよく言うけど、好きな…… 奴でも、いる…… のか?」
言葉の語尾が段々小さくなっていく。まるで、答えを知りたく無い質問でもしているみたいだ。
「いや、別に…… いないけど」
清一からの問いで、圭吾の言った『好きだから付き合うもんじゃないのか?彼女が欲しいから付き合うって、何か逆じゃね?』のいう一言を思い出した。
「それはそれで、複雑な気分だな…… 。だけど、いないなら、何でモテたいとか言い出したんだ?今のままじゃダメなのか?」
「今のままでもまぁ、確かに楽しいけど。…… でもさ、年相応に色々興味あるだろ?そうなると、やっぱ彼女欲しいなぁってなるじゃん」
言っていて恥ずかしい。…… 出来れば清一にすら言いたく無かった一言をつい言ってしまい、顔が赤くなる。昨日の流れから鑑みて、選り好みしなければ即、俺の興味がある行為を出来そうな奴にコレを言うとか、公開処刑を受けてるような気分だ。
「…… あぁ、そういうことか」
キョトンとしながら俺の発言を聞いていた清一の表情が、スッと変化した。口元に弧を描き、瞳には仄暗さを感じる。
背中が粟立つ感覚に、俺は一歩後ろへ下がった。
「最初から、ソレを言ってくれていれば良かったのに」
下がった俺に、ゆっくりと清一が近づいてくる。
一歩、また一歩と、後ろへ下がるたびに清一に距離を詰められ、終いには用具室内に置いてある跳び箱にお尻がぶつかった。ヤバイ、これ以上もう後ろへは下がれない。
今の状況はかなりまずいんじゃ無いか?
そうは思うも、どうして良いのかなんか全く思い付かない。
「ようは…… 充は、気持ちいい事をシテみたいって事だよな?」
「——んな⁈」
ハッキリ言われ、顔どころか耳まで赤くなった気がする。
「それなら…… 昨日みたいに、相手は俺でもいいんじゃないのか?」
清一の右手が俺の頰に触れ、指先が耳を撫でる。昨日の行為が一気に脳裏を駆け巡り、腰がざわついた。
「いや、待て…… 流石に、さ」
赤い顔を隠す様に、俺は俯き、そして激しく後悔した。ジャージの上からでも、ちょっと見ただけで気が付かれてしまうレベルで股間のモノが立っている。
バレたらマズイ、恥ずかしい!
咄嗟にジャージの上着を下へと引っ張り隠したのだが、それと同時に、清一の脚を俺の脚の間へと無理矢理押し込まれた。
「隠そうとかしても、もう遅いよ。この距離だし、すぐに気が付くって、流石に」
耳を撫でたまま、耳元で吐息混じりに囁かれ、肩が小刻みに震えた。清一の左手が俺の腰に置かれ、ゆっくりその手が股間へと近づいてくる。
「や、待て…… ちょ…… うわ!」
ジャージ越しに下から上へと陰茎部を撫でられ、背中が反れた。上着を引き下げていた手を離し、必死に清一の肩を押す。抵抗するつもりでした行為だったのだが、腕に力が入らない。あんなに昨晩の自慰行為で発散したはずなのに、昨日の今日でまたコレとか、自分の若さと盛んさが嫌んなった。
掌で包み、清一が俺の怒張する陰茎部を刺激してくる。上下へと強弱をつけて弄られ、難なく俺を追い立てていく。
「まず…… いって!」
用具室で何してんだよ!
と思うも、言葉の割に本気を出して抵抗が出来ない。他者に触れられる快楽を知ってしまっている体が、自分の言うことをきく訳がなかった。
「ん…… あぁ」
嬌声が自分の口から溢れ、耳を塞ぎたくなるくらいの羞恥が心を包む。瞼をギュッと閉じ、必死に声を出さぬ様に耐えたのだが、ジャージを下着ごと引き下ろされたせいでそれも出来なくなった。
「な——」
状況をしっかり理解する前に陰茎部が生温かいモノに包まれてしまい、言葉が続けられない。
「あ!んあぁぁ!」
ぬめっとした感触が陰茎を容赦なく舐めあげている気がする。イヤ…… まさか、そんな訳が無い。コレ以上淫楽に満ちた声を出さぬ様口元を手で覆い、信じられぬ思いでゆっくり下を向く。
すると、俺の前に傅き、口内に俺の怒張を含んでいる清一と目が合ってしまい、心臓がバクンッと跳ねた。
「きたな…… や、ちょ…… 」
言いたい言葉が上手く言えない。油断するとすぐに全てがよがり声へと変わってしまう。
根元を指で摩り、陰茎部の切っ先を口内で丹念に包み込みながら、舌先で愛撫される。
抵抗などもう無意味だなと、俺は思った。触られるどころか、フェラまでとか。こんな快楽が世の中にはあったのかと、無知だった自分には戻れないレベルの淫猥さにもう全面降伏するしか無い。
清一はどうあっても、俺に彼女など作らせたくはないみたいだ。でも、だからって普通ココまでするか?するもんなのか?淫楽に満ちた罠に俺を追い込み、その結果の先にコイツは何を求めているのだろう?
——そんな疑問が浮かびはしたものの、全てが全て刹那の間に消えていく。
「ふっ…… ふ…… くっ!」
頭の中が真っ白に染まり、思考する事すら出来ない。無意識に腰が動き、清一の行為を助けてしまう。根元までしっかりと陰茎部を咥えているのか、少し苦しそうな声がたまに清一から聞こえるのに、止める気配が奴には無い。繰り返し口内にモノを挿入され、俺はここが学校の用具室である事も忘れて、あっさりと達してしまった。
ドクンッドクンッと清一の口の中で陰茎が跳ね、白濁した液体がどろりと溢れ出す。清一がゆっくり口からソレを抜いていき、唇を閉じたかと思うと、ゴクンッと吞み下す音が彼の喉から聞こえた。
「ば!何やって——」
咄嗟に清一の顔へ手を伸ばす。すると清一は俺の手を取り、「ご馳走さま」とか抜かしながら手の甲へとキスきてきた。
「んなもん飲むとか。…… エロ動画じゃないんだから、止めろよ」
気不味いわ、恥ずかしいわで口元がワナワナと震えてしまう。
「…… でも、昨日みたいに後悔したく無いし」
——後悔?今、清一は…… 『後悔』って、言わなかったか?
瞬間的に、頭ん中が冷めた。
だがすぐにそれは体を一回転させられた事で頭の隅へと追いやられてしまう。
「んなっ」
上半身を跳び箱の上に押し倒され、俺は清一に向かいお尻を突き出す様な姿勢にさせられた。
「何、してんだ…… ?」
軽く顔を後ろへと向けたが、状況が掴めない。
「大丈夫、最後までとか…… 此処ではしないから」
荒い息遣いが聞こえ、奴の発言で背筋が凍る。
「さい…… 何言ってんだ?きよ——うわ!」
両脚を閉じさせらて、太腿の根元にぬるりと太いモノが入り込んできた。
知ってる!コレ、素股ってヤツだ!
行為の正体がわかったが、清一の立派な陰茎部が俺のモノに擦れ、悲しい事にちょっと気持ちいい。先走る蜜とフェラのせいでついた唾液とが肌を濡らし、清一の行為を助ける。
「はぁ…… はぁ…… 」
乱れる息遣いが背後に聞こえ、お尻を揉まれた。
淫猥な空気に体と心が引っ張られる。達していたイチモツが再び質量を増し、くっと上を向いてしまい、跳び箱にぶつかって先が擦れた。
「…… みつる、みつ——」
何度も何度も名を呼ばれ、この行為が愛し合う者同士の行為と重なってしまう。
同性だぞ?ありえないだろ!と頭ではわかっているのに、清一の気持ち良さそうな声が聞こえる度に、瑣末事に思える自分がいた。
太腿にキュッと力を入れて両脚の圧迫感を強めると、より酔いしれた様な声がし、背中をそっと撫でてくれた。猫ってこんな気分なのかな、めちゃくちゃ気持ちがいい。
「きよかずぅ…… 」
俺まで名前を呼んでしまった瞬間、清一の動きが止まった。
なんでだ?気持ちいいのに、止めて欲しく無い、もっとしたい、もっと欲しい……
煮詰まった頭のまま後方へ顔をやると、清一が「充!」と名前を呼びながら、俺の口へとキスをしてきた。半開きの口の中に舌が割り込み、内部を遠慮なしに蹂躙する。少し苦味のあるキスのせいで眉間にシワが寄ったが、止める事までは出来なかった。
清一の腰が激しく動き、悦楽に染まった互いの体を果てへと追い立てる。その行為に、俺の歯茎や舌先を舐める行為まで加わり、もう二度目の絶頂が目の前だ。
薄っすら目瞼を開けると、トロリと甘く溶ける清一の顔が視界に入った。この顔を知っているのは俺だけなのか…… そんな事をちょっと思った瞬間、口元がクッと上がった気がする。
「みつ、もう…… くっ!」
太腿に挟まれた陰茎部がグッと膨らみ、弾けて、跳ねる。清一が唸りに近い声を短くこぼし、俺の体へと覆いかぶさってきた。
白濁液が太ももを伝い落ち、ジャージを汚す。
同時に果てていたせいで汚れた跳び箱も体も、どうやって後始末したらいいのかなぁ…… なんてぼんやり考えながら俺は、ただただ清一の、整えようと必死に深呼吸する音を聞いていた。
清一が言った予想外の一言に、俺はちょっと肩の力が抜けた。
何だか機嫌が悪そうだと思ったのは、もしかすると俺の勘違いだったのかもしれない。室内が暗いせいで、そう感じただけみたいだ。
「……あぁ、いいって。清一は昔っから運動苦手だしな」
安堵し、清一の立つ引き戸の方へ歩いて行く。鍵をかけた理由が思いつかないが、さっさと開けて教室へ戻ろう。
「んじゃ、行こうか」
声を掛けて鍵に手を伸ばそうとしたのだが、清一に手を掴まれ、途中で動きを止められた。
どうしたんだろうか?
そう思い、清一の顔を見上げる。室内が暗いからというだけではなく、清一の表情に仄暗い影を感じる。奴の眉間にはシワが寄り、段々と俺を掴む手にぐぐぐっと力が入っていった。
「いて!」
俺が痛みを訴えると、反射的に清一が「ごめん!」と言いながら、即座に手を離してくれた。
「いや、大丈夫……」
掴まれていた手首を見てみると、ちょっと赤くなっている。思っていた以上に清一の力は強いみたいだ。運動は苦手だとは言っても、この筋肉は飾りでは無いのだと、痛みをもって体感してしまった。
「…… なぁ、充」
「んー?」
「さっきのは、本気なのか?」
不機嫌さが声に滲み出ていて、一瞬俺は怯んでしまった。
「…… さ、さっきの?」
清一は一体どれの事を言っているのだろうか?
何の事なのかわからなくて俺が首を傾げると、「カラオケの件だよ!」と清一が叫んだ。
「俺と約束してたよな?」
「約束?…… あ、あぁ」
昨日交わした『明日、またな』ってやつのことか。でもあれは、一体どれに対して“また明日”なのかイマイチ分かりにくいやり取りだったし、怒られるのは流石に納得出来ない。それに、何故今更怒り出すんだ?まさか、授業でバスケをしている間中、ずっと悶々としていたのだろうか。
「んな、わかるかよ!『明日また学校でな』って意味かとも思う言い方しかしていなかったんだし」
「そ、そうだとしても、だ。あんなの、どうせ名前を変えただけで合コンみたいなもんだろ?んなの行ってどうするんだ!」
「そりゃ…… 出会いがないと、彼女もできないし。機会があればお前だって、行きたいって思うだろ?」
「いや、そもそも彼女が欲しいとか思ってない」
憎々し気な顔で、清一が吐き捨てる様に言った。
「充は……モテたいモテたいってよく言うけど、好きな…… 奴でも、いる…… のか?」
言葉の語尾が段々小さくなっていく。まるで、答えを知りたく無い質問でもしているみたいだ。
「いや、別に…… いないけど」
清一からの問いで、圭吾の言った『好きだから付き合うもんじゃないのか?彼女が欲しいから付き合うって、何か逆じゃね?』のいう一言を思い出した。
「それはそれで、複雑な気分だな…… 。だけど、いないなら、何でモテたいとか言い出したんだ?今のままじゃダメなのか?」
「今のままでもまぁ、確かに楽しいけど。…… でもさ、年相応に色々興味あるだろ?そうなると、やっぱ彼女欲しいなぁってなるじゃん」
言っていて恥ずかしい。…… 出来れば清一にすら言いたく無かった一言をつい言ってしまい、顔が赤くなる。昨日の流れから鑑みて、選り好みしなければ即、俺の興味がある行為を出来そうな奴にコレを言うとか、公開処刑を受けてるような気分だ。
「…… あぁ、そういうことか」
キョトンとしながら俺の発言を聞いていた清一の表情が、スッと変化した。口元に弧を描き、瞳には仄暗さを感じる。
背中が粟立つ感覚に、俺は一歩後ろへ下がった。
「最初から、ソレを言ってくれていれば良かったのに」
下がった俺に、ゆっくりと清一が近づいてくる。
一歩、また一歩と、後ろへ下がるたびに清一に距離を詰められ、終いには用具室内に置いてある跳び箱にお尻がぶつかった。ヤバイ、これ以上もう後ろへは下がれない。
今の状況はかなりまずいんじゃ無いか?
そうは思うも、どうして良いのかなんか全く思い付かない。
「ようは…… 充は、気持ちいい事をシテみたいって事だよな?」
「——んな⁈」
ハッキリ言われ、顔どころか耳まで赤くなった気がする。
「それなら…… 昨日みたいに、相手は俺でもいいんじゃないのか?」
清一の右手が俺の頰に触れ、指先が耳を撫でる。昨日の行為が一気に脳裏を駆け巡り、腰がざわついた。
「いや、待て…… 流石に、さ」
赤い顔を隠す様に、俺は俯き、そして激しく後悔した。ジャージの上からでも、ちょっと見ただけで気が付かれてしまうレベルで股間のモノが立っている。
バレたらマズイ、恥ずかしい!
咄嗟にジャージの上着を下へと引っ張り隠したのだが、それと同時に、清一の脚を俺の脚の間へと無理矢理押し込まれた。
「隠そうとかしても、もう遅いよ。この距離だし、すぐに気が付くって、流石に」
耳を撫でたまま、耳元で吐息混じりに囁かれ、肩が小刻みに震えた。清一の左手が俺の腰に置かれ、ゆっくりその手が股間へと近づいてくる。
「や、待て…… ちょ…… うわ!」
ジャージ越しに下から上へと陰茎部を撫でられ、背中が反れた。上着を引き下げていた手を離し、必死に清一の肩を押す。抵抗するつもりでした行為だったのだが、腕に力が入らない。あんなに昨晩の自慰行為で発散したはずなのに、昨日の今日でまたコレとか、自分の若さと盛んさが嫌んなった。
掌で包み、清一が俺の怒張する陰茎部を刺激してくる。上下へと強弱をつけて弄られ、難なく俺を追い立てていく。
「まず…… いって!」
用具室で何してんだよ!
と思うも、言葉の割に本気を出して抵抗が出来ない。他者に触れられる快楽を知ってしまっている体が、自分の言うことをきく訳がなかった。
「ん…… あぁ」
嬌声が自分の口から溢れ、耳を塞ぎたくなるくらいの羞恥が心を包む。瞼をギュッと閉じ、必死に声を出さぬ様に耐えたのだが、ジャージを下着ごと引き下ろされたせいでそれも出来なくなった。
「な——」
状況をしっかり理解する前に陰茎部が生温かいモノに包まれてしまい、言葉が続けられない。
「あ!んあぁぁ!」
ぬめっとした感触が陰茎を容赦なく舐めあげている気がする。イヤ…… まさか、そんな訳が無い。コレ以上淫楽に満ちた声を出さぬ様口元を手で覆い、信じられぬ思いでゆっくり下を向く。
すると、俺の前に傅き、口内に俺の怒張を含んでいる清一と目が合ってしまい、心臓がバクンッと跳ねた。
「きたな…… や、ちょ…… 」
言いたい言葉が上手く言えない。油断するとすぐに全てがよがり声へと変わってしまう。
根元を指で摩り、陰茎部の切っ先を口内で丹念に包み込みながら、舌先で愛撫される。
抵抗などもう無意味だなと、俺は思った。触られるどころか、フェラまでとか。こんな快楽が世の中にはあったのかと、無知だった自分には戻れないレベルの淫猥さにもう全面降伏するしか無い。
清一はどうあっても、俺に彼女など作らせたくはないみたいだ。でも、だからって普通ココまでするか?するもんなのか?淫楽に満ちた罠に俺を追い込み、その結果の先にコイツは何を求めているのだろう?
——そんな疑問が浮かびはしたものの、全てが全て刹那の間に消えていく。
「ふっ…… ふ…… くっ!」
頭の中が真っ白に染まり、思考する事すら出来ない。無意識に腰が動き、清一の行為を助けてしまう。根元までしっかりと陰茎部を咥えているのか、少し苦しそうな声がたまに清一から聞こえるのに、止める気配が奴には無い。繰り返し口内にモノを挿入され、俺はここが学校の用具室である事も忘れて、あっさりと達してしまった。
ドクンッドクンッと清一の口の中で陰茎が跳ね、白濁した液体がどろりと溢れ出す。清一がゆっくり口からソレを抜いていき、唇を閉じたかと思うと、ゴクンッと吞み下す音が彼の喉から聞こえた。
「ば!何やって——」
咄嗟に清一の顔へ手を伸ばす。すると清一は俺の手を取り、「ご馳走さま」とか抜かしながら手の甲へとキスきてきた。
「んなもん飲むとか。…… エロ動画じゃないんだから、止めろよ」
気不味いわ、恥ずかしいわで口元がワナワナと震えてしまう。
「…… でも、昨日みたいに後悔したく無いし」
——後悔?今、清一は…… 『後悔』って、言わなかったか?
瞬間的に、頭ん中が冷めた。
だがすぐにそれは体を一回転させられた事で頭の隅へと追いやられてしまう。
「んなっ」
上半身を跳び箱の上に押し倒され、俺は清一に向かいお尻を突き出す様な姿勢にさせられた。
「何、してんだ…… ?」
軽く顔を後ろへと向けたが、状況が掴めない。
「大丈夫、最後までとか…… 此処ではしないから」
荒い息遣いが聞こえ、奴の発言で背筋が凍る。
「さい…… 何言ってんだ?きよ——うわ!」
両脚を閉じさせらて、太腿の根元にぬるりと太いモノが入り込んできた。
知ってる!コレ、素股ってヤツだ!
行為の正体がわかったが、清一の立派な陰茎部が俺のモノに擦れ、悲しい事にちょっと気持ちいい。先走る蜜とフェラのせいでついた唾液とが肌を濡らし、清一の行為を助ける。
「はぁ…… はぁ…… 」
乱れる息遣いが背後に聞こえ、お尻を揉まれた。
淫猥な空気に体と心が引っ張られる。達していたイチモツが再び質量を増し、くっと上を向いてしまい、跳び箱にぶつかって先が擦れた。
「…… みつる、みつ——」
何度も何度も名を呼ばれ、この行為が愛し合う者同士の行為と重なってしまう。
同性だぞ?ありえないだろ!と頭ではわかっているのに、清一の気持ち良さそうな声が聞こえる度に、瑣末事に思える自分がいた。
太腿にキュッと力を入れて両脚の圧迫感を強めると、より酔いしれた様な声がし、背中をそっと撫でてくれた。猫ってこんな気分なのかな、めちゃくちゃ気持ちがいい。
「きよかずぅ…… 」
俺まで名前を呼んでしまった瞬間、清一の動きが止まった。
なんでだ?気持ちいいのに、止めて欲しく無い、もっとしたい、もっと欲しい……
煮詰まった頭のまま後方へ顔をやると、清一が「充!」と名前を呼びながら、俺の口へとキスをしてきた。半開きの口の中に舌が割り込み、内部を遠慮なしに蹂躙する。少し苦味のあるキスのせいで眉間にシワが寄ったが、止める事までは出来なかった。
清一の腰が激しく動き、悦楽に染まった互いの体を果てへと追い立てる。その行為に、俺の歯茎や舌先を舐める行為まで加わり、もう二度目の絶頂が目の前だ。
薄っすら目瞼を開けると、トロリと甘く溶ける清一の顔が視界に入った。この顔を知っているのは俺だけなのか…… そんな事をちょっと思った瞬間、口元がクッと上がった気がする。
「みつ、もう…… くっ!」
太腿に挟まれた陰茎部がグッと膨らみ、弾けて、跳ねる。清一が唸りに近い声を短くこぼし、俺の体へと覆いかぶさってきた。
白濁液が太ももを伝い落ち、ジャージを汚す。
同時に果てていたせいで汚れた跳び箱も体も、どうやって後始末したらいいのかなぁ…… なんてぼんやり考えながら俺は、ただただ清一の、整えようと必死に深呼吸する音を聞いていた。
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