想いはいつも突然に

月咲やまな

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番外編

おまけストーリー

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 同じ部に所属する進藤君と色々あって以来二人の交際が始まり、三ヶ月程経過した。
 部活で忙しく、あまり二人きりの時間は取れていないが、熱愛からスタートした訳では無いせいか、私は別にそれでも寂しくはなかった。
 進藤君の方はといえば、もしかしたら少し寂しく思っているのかもしれない。あれからもやたらに、私の写真を撮っているからだ。
 定期的に行なう事に勝手に決めた部室の掃除中や、一緒に帰る時などなら別に構わないのだが、問題はもっと別のタイミングの時だ。
 着替えをしている最中や、え……えっちの後とかのあられもない姿を撮られてしまい、『何をするんだコイツは!また脅す気なのか?君って人は!』と、キレそうになる。


 彼の部屋に二人きり。
 今日は進藤君の親がお仕事で遅くなるらしく、部活終わりに速攻で部屋に連れ込まれた。始まりが始まりだったせいか、彼の目的は……言わなくても察して欲しい。
 濃厚にコトが終わり、服を着ようとしていると、またスマホで着替え中の姿を撮られた。
「……また撮る!ソレ止めて欲しいんだけど」
 そこそこ進藤君との付き合いにも慣れてきて、最近では普通に話せる様に。彼も随分と色々話してくれる様に——は、残念ながらなっていない。
 相変わらずの、言葉足らずだ。
「写真あると(自慰が)捗るんだ」
 画面を見て、先程撮ったばかりの写真の写りを確認しながら進藤君が言った。
 捗る?何がだろうか。……あ!宿題?
 もしかして、私の写真見るとやる気が出るって事かな?うわー照れる!
「そ、そうなの?そんなに(宿題)捗るんだ?」
「今かなり(したいと思う事が)多いから。(四六時中ヤリ過ぎて、後藤に)負担かけたく無い」
「そっかぁ、(進藤君のクラスは宿題)多いんだ。まぁ、あんまり溜め込んじゃ(先生に)迷惑になるから、自分からやる気出すって大事だよね」
「だろう?(今日みたいに親が居ないってのが、またなかなか無いからなぁ。それにしても迷惑ってちょっと言い過ぎじゃね?)……もっと欲しいな(ハメ撮りとか、入浴中とか、玩具もいいな……)」
「あー……もっとかぁ。(デート中とか、部活中とか教室でのショットの事だね!)仕方ないなぁ」
 ボソッと囁いた言葉も私は拾い、キチンと答えた。んー私ってば、いい彼女っぷりじゃ無い?と自画自賛する。
 だが、私の言葉に対し、進藤君は目を丸くしてこちらを凝視してきた。
 ん?あれ、私なんか読み解き間違ったのかな?
 進藤君の部屋で、完全に着替え終わった私が首を傾げて『あれ?』って顔をすると、ビックリしていた彼が、今度は嬉しそうに笑ってくれた。初めて見た顔だった。年相応で、正直めちゃくちゃ可愛い。
「いいのか?(着衣プレイとかも)沢山撮りたいけど、ホントにか?」
 スマホを無造作にベットへ放り投げ、進藤君が私の両手をギュッと掴んできた。予想以上の喜びにビックリしたが、彼氏が喜んでくれるというのは実に嬉しい。
 真意を読み解ききれていない事に全く気が付けていなかった私は、無謀にもこの日「もちろん、いくらでも付き合うよ」と、安請け合いしてしまった。

       ◇

「お前よく進藤と付き合えるよなー」
 ラケットで自らの肩をトントン叩きながら、部長が呆れた声で私に向かい声をかけてきた。
「何なんですか、いきなり」
 そんな事を言われる理由が思い当たらず、私は洗ったばかりの雑巾を干しながら、呆れ顔を部長に返した。
「だってよ?アイツ何言ってんのかよくわかんねーんだもん。短過ぎんだよ!『はい』『いいえ』以外殆ど喋らないから会話が弾まんし」
「私にはそこそこ話してくれるし、結構読み解けますよ?慣れてくると。機嫌がいいとおしゃべりになりますから、面白いです」
「機嫌がいいっていや、アイツここ最近ずっとご機嫌だな。何か良い事でもあったのか?」
「……何でしょうねぇ?」
 写真を撮ってもいいよと約束した日以降、確かに進藤君は機嫌が良い。
 私相手以外でも笑顔を見せるし、そのせいで魅せられちゃう子がいるから私的にはたまったものでは無いのだが、無自覚なサービスを止める事は出来なかった。
 写真の件でご機嫌なのだとしたら許可した甲斐があるってものだ。練習に時間を取られ、なかなか勉強時間を作れないであろう進藤君のお役に立てるのなら何だってしてあげたい。私の写真程度で宿題が捗り、成績まで上がるなら万々歳だ。
「アイツ絶対にムッツリだろうからなー、お前にナニするか考えてニヤニヤしてんじゃね?もしかして」
 セクハラ上司ってこんな顔してんじゃね?と思う気持ち悪い笑いを顔に浮かべ、部長がニヤニヤと笑っている。
 生徒会か顧問に訴えるぞゴラッと思いながらも、私はニッコリ笑顔を部長に返した。
「交際相手を取っ替え引っ替えの部長と進藤君を一緒にしないで下さいね?」
 私が漫画の登場人物ならば、額には怒りマークが入っていると思う。
「後藤、その顔怖い!」
 ラケットで顔を隠し、部長が私から一歩下がった。
「……帰れるか?」
 不意にポンッと急に背中を軽く後ろから叩かれ、私はビックリした。
 慌てて振り返ると、そこには片手にラケットを持ったままの進藤君が、Tシャツで汗を拭きながら立っていた。
「あ、うん。帰れるよ」
 雑巾を干す作業は部長との無駄話の間に終了していたので、後はもう鞄を持てば帰っても平気だ。制服へと再度着替えるのは面倒なので、このままジャージでいいや。
「いいですよね?部長」
 ジトッとした視線をワザと向ける。先程までセクハラ発言をしていた後ろめたさがあるからなのか、部長が「お、おう。お疲れ様!」と即座に許可してくれた。
「では、お先に失礼します!」
 そう返し、私達は二人そろってそそくさと帰路についたのだった。

 夕日に染まる道を二人で家へと向かう。
「今日、この後は?」
「それは、ウチに来てって事かな?」
「あぁ」
 タオルで汗を拭きながら、進藤君が頷いた。
 学区がギリギリ違ったので同じ学校になったのは高校が初めてだったが、進藤君の家と私の家は意外にもご近所だった。門限ギリギリまで一緒に居られるのは、付き合い始めの私達には有難い。別れでもしたら苦行の始まりだが、そこは今無視している。
「行けるよ、大丈夫。ご飯はどうしようか?何か作る?」
「(早くえっちしたいし)買ってこう、時間が勿体無い」
「んじゃコンビニかスーパー寄らないとだね」
「約束、今日から(エロい写真撮りまくって)いいか?」
 “約束”とはきっと、写真撮影の件だろう。
「……?ん?待って、まさか何度も撮る気なのかな?」
「当たり前だろ?」
 お互いに立ち止まり、『コイツ何言ってんだ?』と言いたげな顔で見つめ合う。
「彼女の(イヤラシイ姿の)写真に、お終いとか無いよな?」
 それもそう……なのか?交際なんぞ初の経験だ、基準が無い為よくわからない。
「(台所での裸エプロン写真とかも)楽しみにしてたのに……まさか今日だけなのか?」
 まだ何も返事をしていないのに、とても残念そうな顔をされてしまい、私は慌てて返事をした。
「大丈夫だよ!沢山撮ろうか。あ、でも誰かに見せたりなんかしないでね?恥ずかしいから」
「当たり前だ(俺以外が後藤の痴態をオカズにするとか、ソイツ殺せる自信あるし)」
 そんなに私の写真は勉強の励みになるのかー、ホント照れるな。これは気恥ずかしくても笑顔の練習を毎晩した甲斐があったかな?
 自室のベットに座り、毎夜毎夜手鏡相手に笑顔の練習をしていた自分を思い出し、恥ずかしさに頰を両手で隠した。案の定、頰が熱い。
「急ぐか」
「そうだね」
 自ら狼の巣に飛び込むような真似をしそうな状況だと全く気がつかないまま私は、再び機嫌をよくした進藤君に手を繋がれながら、この後彼のお家へと向かった。

       ◇

 コンビニで食料を調達し、さっさと彼の部屋で夕食を済ませた。
 部活の練習で汗まみれになっていた進藤君はその後シャワーを浴びに行き、私も続いてシャワーを借りる事に。いつもなら互いに部屋で上がってくるのを待つのだが、今日は違った。
「……何をしてるのかな?君は」
 洗面所でタオルを抱いたままでいる私の前で、スマホを防水ケースにしまい始めた進藤君が立っている。
「(シャワーシーンの撮影)準備だけど?」
「進藤君、もうシャワー終わったよね?」
「あぁ」
 髪を乾かす時間も惜しかったのか、彼の濡れた髪から雫が落ちた。
「気にせずに、ほら(さっさと脱げって)」
 防水処置済みのスマホを一旦洗濯機の上に置き、進藤君が私のジャージのファスナーに手をかけた。デジャヴを感じ、慌てて止める。
「自分でできるよ、急いで入るから部屋で待ってて?」
「それじゃ(濡れた裸体が)撮れないだろ」
 んんんん?
 君は何を撮る気なんだ⁈
 止めるのも構わずファスナーを下ろし、私のジャージを脱がせていく。中に着ていたTシャツもバッと脱がされ、私は抵抗する間も与えられぬまま、下着だけの姿にさせられた。
 そんな私に向かい、スマホを向けて写真を撮り始めた進藤君。
 ……ま、まさか、ちょっと待って、もしかして——
「確認したいんだけど」
 体を必死に手や腕で隠し、無駄な抵抗をしながら進藤君をキッと睨む。
「君の撮りたい写真って、まさかえっちなやつじゃないよね⁈」
「……それ以外になんかあるのか?」
 不思議そうな顔で首を傾げられ、私は即座に逃げ出したい気分になった。
 読み解きミスしてたぁぁぁぁぁ!これだから言葉数の足りない奴は面倒なんだっ!
「可愛いな……」
 端正な顔が、嬉しそうに崩れている。
 撮られるのはたまったもんじゃないが、彼氏が喜んでくれるのはちょっと嬉しい。……ダメだ、これ私ドツボにはまるパターンじゃん。
 これはヤバイってわかっている、わかっているのだが、そっと腕を掴まれ隠している部分を露出させられ撮られる事に、ゾクッとしてしまった。
「……このままここでしたいな」
「へ?」
 体を誘導され、洗濯機に両手を置いた状態で立たされる。進藤君はそんな私の背後に立つと、お尻側の方から私のショーツに手を入れて、恥部を指で撫でてきた。
 既に中から蜜が垂れ出し、進藤君の指を濡らす。
「すぐ入りそうだな」
 耳元で囁き、カプッと噛まれる。耳に感じた気持ち良さからギュッと下っ腹の奥が疼いた。
 蕩けで垂れる蜜を指先に絡め、進藤君が恥部の中へと指を挿入していく。
「ふわぁぁぁぁっ!」
 体が震え、背中がそれる。
 そんな私の姿を進藤君は嬉しそうにスマホに収めていくのが視界の端に映った。
 こんな姿やだよぉぉぉ!
 そう思うのに、次々蜜は恥部から溢れ出し、太腿を伝い落ちた。
「ホント、何でこんな可愛いんだ」
 膣内を指で丹念に愛撫され、思考が溶ける。嬌声をあげ、勝手に快楽を求めて動いしてしまう腰付きを見て、進藤君がゴクッと喉を鳴らした。
「ごめん、ちょっと一回入れるわ」
「え?ま、待って、こんな……ちょ……」
 指を中から引き抜き、進藤君がズボンと下着を同時に下ろす。体格に見合った怒張を惜しげも無く晒すと、ポケットから出したゴムをソレに付けた。
 体を持ち上げられ、洗濯機に上半身を預けさせられる。進藤君の方へお尻を突き出すみたいな姿勢にされ、意味をなさなくなったショーツを脱がされた。
「待って!部屋戻ろ?こんな、こんな!」
 家族がいつも使う場所だというのに、何してんだ君はぁぁぁ!
 よく濡れ、彼仕様へとすっかり慣らされてしまった恥部に、進藤君の大きな怒張がズルンッと一気に入り込んできた。
「締め付けすごっ……」
 私のお尻を両手で鷲掴みにし、進藤君が呟く。
「歯磨きのたびに、思い出せるなコレ」
「そんなのいやあぁ!」
 最初から激しく突かれ、快楽に全身が染まる。シャワーもまだだというのに、恥ずかしい。
 こんな姿すら撮影している気配を感じたが、文句も言えないくらい、享楽でいっぱいだ。こんな場所でなど勘弁して欲しいと思うのに、体は正直だった。
 進藤君の怒張が恥部の中で激しく暴れる事が気持ちよくて堪らない。後ろから入れられているせいか、いつもと違う場所がゴリゴリと擦られ、これがまた凄く心地いい。
「ダ、ダメぇ」
「嘘、いつもよりすごくイイくせに」
 背中にキスをされながら、否定された。
「ほ、ホントだよ……こ、こんな場所でなんて、い、いやぁぁっ」
 淫楽に浸りながらも、必死に訴える。でも、そんな言葉など嘘ですよと宣言するみたいに、私の体はアッサリと達してしまった。
 ギュッと彼の怒張を抱きしめ、進藤君も達するようにと体が促す。
「くっ」と短い声をもらし、怒張が質量を増した。ビクビクと膣中でソレが跳ねて、私は「あぁぁっ!」と叫んでしまった。
 彼もシュチュエーションのせいなのか、いつもよりも簡単に達してしまったみたいだ。
「ごめ……もたなかった」
 そう言いながら、進藤君が萎えたモノを私から引き抜く。たっぷり白濁液を受け止めたゴムを引っ張り、外すと、中身を彼がジッと見詰めた。
 何か企んでない?と、不安げにその様子を怠い体のまま伺っていると、中身を私のお尻へと垂らし始めた。
「ひゃあああっ!」
 熱い体に生温かいモノが垂れ落ち、お尻の双方を白く汚す。そんな様子までも写真に撮られ、流石に刺したい気分になった。
「すぐシャワー浴びるし、いいよね」
 やった後で訊かれても、もう遅いでしょ。
 ブスーッと不貞腐れて見せたが、進藤君はそれさえも嬉しそうだった。


 この後も進藤君の望むまま、シャワーシーンやベットでの痴態など、とんでもないシーンをかなりの枚数撮られまくってしまった。
 それでも足りないのか、ベットに腰掛けながらスマホのチェックをする進藤君は、少し不満そうだった。
「行為に気がいき過ぎたな……」
 んーと唸る進藤君に、呆れてしまう。行為だけに集中してくれる方がマシなのに、彼はそうは思わないみたいだ。
「君は昔っからそんな性癖だったの?」
 気怠げな視線を彼へと向け、問いかける。
「まさか。トレーニングルームで後藤の写真を撮った時からだ」
 うわぁ、変態になるキッカケは私ですか。
 布団へ顔を伏せ、先行き不安な心を誤魔化す。この先どこまで進藤君の要求に応える事が出来るのやら。
 頼むから、エロ本みたいに過激にはなりませんように!と既に遅しとまたまた気が付けていなかった私は、ひたすら天に願うのだった。


【終わり】
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