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最終章
【最終話】波紋
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二回戦目を所望され、柊也は体力が保つか心配でならない。
ユランは今柊也の脚の辺りに頰を擦り寄せ、白いニーソックスから覗く細い太腿の感触を堪能している。彼の目の前には果てた後の柊也のモノが鎮座しており、吐息があたってくすぐったい。
そして、何より恥ずかしい。とにかく恥ずかしい!まじまじを陰部を見られる事に柊也は耐えられない。スカートを下へと引っ張り、彼は己の恥部を隠そうとしたが、その手は器用に動く触手の如き銀髪に止められてしまった。
「や!離して、ルナールゥ」
「…… イヤです。私はもう、その名ではないので」
また名前を混同され、ふんっと拗ねた顔をし、ユランはそっと優しく柊也の萎えたままの陰部を手に取り、棒突きの飴を前にした時の様な舌つきで、ちろりと舐め始めた。
「んんっ!」
生暖かな舌の感触を下腹部に感じ、柊也の顔が悦楽に満ちた表情へと一気に崩れた。
裏筋を舐められ、根元をきゅっと掴み、ゆるゆると上下に擦られる。それだけでもう、柊也の陰部は再び起き上がり、怒張と表現するべき状態になった。
「トウヤ様、私は上手く出来ていましたか?」
褒めて?と言いたげな瞳で見上げられ、柊也の体がふらっと横に揺れた。ボールを拾って来る事が出来た犬の様な眼差しをするユランが、可愛過ぎて辛い。
この人は何なんなんだ、一体。
カッコイイくせに可愛いとかズルイって言ってるよね⁈
——と、一度も言ってもいないのに叫びたくなる。
顔を背けて悶え始めた柊也を見て、『褒めて貰えなかった!』と、ユランがまた拗ねた。それならばと、今度は口の中へパクリと柊也の育った怒張を咥え、いやらしい水音をたてながら口淫を始めた。
「ル!ユ、ユラン、待って!無理っ、そんな事またされたら——あぁぁっ」
ユランの頭を押してでもこの行為を止めたいのだが、両手が拘束されたままでそれが出来無い。このままあと少しでも刺激されたらまた先に果ててしまう。
早漏だなんて思われたくないよぉぉ!と泣きそうな瞳をギュッと閉じ、イヤイヤと駄々っ子みたいに柊也が首を横に振った。
懇願したおかげか、ぴたりとユランの行為が止まる。
「そうですね、どうせなら私も、中に欲しです」
口を離し、怒張に頬擦りしながら言われてしまい、柊也は顔を真っ赤にし、『あぁぁぁぁ!もぉっ』と体を捩りながら悶える。一々ユランが可愛過ぎて、怒張を触れられなくても、その姿をオカズに達してしまいそうだ。
「こちらも…… すっかり準備済みみたいですね、トウヤ様」
ユランがニヤリとした笑みを浮かべながら、柊也の怒張の下へと指を這わせ、蜜で濡れそぼる蕾をぷにゅっと指先で押した。
「ひゃんっ!」
触れられた事に驚き、柊也の口から変な声が出る。
そんな柊也も可愛いなと思いつつ、ユランは興奮した眼差しを彼に向けながら、蕾の中へ指を沈ませ始めた。
蜜で濡れるソコはもう、ほぐすまでも無く指が入り、一本、二本とユランが徐々に増やしていく。ぬぽぬぽと卑猥な水音がたち、柊也は羞恥に頰を染めながら「ぃゃぁっ」と、泣きそうな声をこぼす。何かを探る様なぎこちない触れ方が、かえって気持ちがいい。体が震え、腰が勝手に動いてしまう。
「すみません、慣れなくって。実際に触れるのと想像と、夢とでは…… 勝手が違うものですね」
冷静にしみじみと言われ、温度差を感じた柊也が余計に恥ずかしい気持ちになった。
「あ…… 」と、ユランが言ったと同時に、彼が柊也の前立腺を指先で擦り上げた。
「んぁぁぁっ!」
背中を仰け反らせ、柊也が大きな声で喘いだ。肌から汗が吹き出し、目を見開いて体を震わせる様子を見て、ユランが「みぃつけた」と意地の悪い声で呟いた。
「ココですよね?トウヤ様の一番イイトコロは。…… ふふふ」
とんとん叩く様にしてみたり、ぐるりと指先で撫でたりしながら、ユランが柊也を攻める。玩具で遊ぶ子供みたいに熱心に弄られ、柊也がボロボロと涙を零した。
(もう無理です、が、我慢でき——)
「いっ…… !あぁっ」
無邪気に弄られ続け、柊也が堪えきれずに吐精してしまった。びゅるるっと吐き出されたそれは勢いよくユランの顔にかかり、鼻先や頰を汚す。キョトンとした顔をしながらユランはソレを手に取ると、赤く長い舌先で、柊也の目を見詰めながらペロリと舐めた。
「中に欲しいと、私を孕ませてって言ったのに…… 」
(散々に弄ったのは君じゃ無いか…… )
はあはあと肩で息をしながらそう思ったが、もう声が出ない。
快楽に染まった頭は思考能力を失っている。力無く全身をマットレスに預け、柊也は虚ろな眼差しのままだ。ウェディングドレスの裾から覗く陰部がひくひくと小刻みに震えながら、白濁とした残滓を垂れ流す。その姿はとても卑猥で、ユランの心を存分にくすぐった。
「…… いやらしいですねぇ、トウヤ様は。そろそろ私も——」
柊也の白濁液が少し残る唇を舐めながら、ユランが柊也の脚を持ち上げる。自らの怒張を彼の蕾に押し当てると、入りそうになった所でピタリと止まった。
「肝心の事を忘れていました」
そう言って、ユランは拘束し続けていた柊也の腕から髪を離すと、彼の腕にはまっていた二つの銀色のブレスレットを外した。
「蔓延してしまったモノを拡散しましょうか」
部屋の隅にある棚へと髪を伸ばし、音の鳴らない状態にした金のブレスレットを取り、にっこりと笑いながら、それを柊也の両腕へ着けた。
「邪魔なので、こちらは鈴の音は鳴らない様にしてありますからご安心を。でも、鈴の代わりに…… 」
口元に弧を描き、ユランがニタリと微笑む。
その笑い方は、完全に——邪神だ。
柊也は嫌な予感しかしない。絶対に悪質な事を考えてる!わかっていても彼には何も出来ず、ただ彼の腕にしがみついた。
「ま、待って!ユラ——」
「トウヤ様が、鈴の代わりに沢山鳴いて下さいね」
ぐちゅっ!と蜜音をたてながら、ユランが一気に柊也の体を怒張で穿った。
根元までしっかり入り、彼の狭隘な蕾があられもなく広がり、ぎちぎちと怒張を締め付ける。そのせいで「くっ——」と声をこぼし、ユランが顔をしかめた。柊也の中が予想以上に心地よく、情けない事に彼もすぐにいってしまいそうな状態だ。無理もない、この体では一度もこういった経験が無く、口ではどう言おうが、所詮は耳年増でしか無いのだから。
「ユラァァ、あぁっ…… きっ…… き、きもちぃ…… 」
瞳を蕩かせながら、柊也が呟く。
当然が如く、その言葉でユランの興奮が最高潮にまで達した。
「トウヤ様ぁ!」
無心に腰を動かし、柊也の小さな体を必死に貪る。そのたびに彼の体が揺さぶられ、金色のブレスレットからは美しい光の波紋が溢れ出した。
その光は輪となって広がり、柊也の根底にも似た澄んだ空気が部屋中を満たしていく。
「あ!やぁぁっ!はずか…… ら、らめぇぇっ!」
まさか自分が、『らめぇ』を地で言ってしまうとは…… 。
今の状態だけで無く、口に出してしまった言葉にまで恥ずかしくなった。なったが、すぐにそんな事を感じる余裕などユランに奪われてしまう。
身も心も全て喰らうかの様に、肌を撫で、髪で胸の尖りを締め付け、柊也が果ててしまえぬ様にと怒張をコックリングかの様に髪で縛る。もうユランはやりたい放題だ。今まで溜め込んでいた鬱憤と柊也への愛の全てをぶつけていく。
「たすけ——。ひうぅ…… あぁぁぁっ」
「もっと鳴いて、柊也様。あぁ…… 可愛い、好き、愛していますよ。私だけの——」
肌と肌とかぶつかる音が部屋に響き、そんな音までもが解呪への力と変化していく。
二人の行為と部屋の雰囲気が一致しないまま、ユランは柊也を貪り続けた。
深く、執拗に、求められ、求めさせられながら、柊也が喘ぎ続ける。
それにより“純なる子”としての彼の力がまた溢れ出し、部屋を満たしていた波紋が周囲を窓をも通過して、外へと溢れ出したのだった。
◇
幽閉塔が輝き出した事で、城や街に居た人々が一斉に空を見上げた。ゆっくりと広がる金色の波紋に似た輪が徐々に広がっていく様子に心奪われ、手が止まる。
「…… “孕み子”様が…… 」
「まさか、“純なる子”が呪いを抑え込んだのか?」
「いや、伝説とは…… 様子が違うんじゃ無いか?」
「——もしかして、完全に“孕み子”を…… 解放したのでは…… 」
民衆が、口々にそうこぼす。
広がり続ける金色の波紋は城を包み、街に広がり、森へ、遠方の村々へ——
ゆっくり、のんびりとだが、温かみを帯びながら『インバーション・カース』と獣人達に呼ばれた現象を光の輪が消し去っていく。
元通りになった者達が、家族達や通行人の者達と喜び合い、歓喜に声を上げた。
城で報告を待っていたレーニア国王やラモーナ王妃も、執務室の窓から光り輝く幽閉塔を見上げて、喜びの涙を零した。
「彼らが城へ戻ったら、夜会でも開きましょうか」
「あぁ、楽しみだな」
(…… この様子では、家族が増える日も近そうだな。ははは、ユランめ。楽しんでるなぁ)
何となく色々と聴こえてしまう感度のよい耳をピクピクと動かしながら、金色の角が生えたレーニアが、妻のラマに似た耳を軽くかじる。
「もう!私が元の姿に戻った途端、これなんですから…… 」
呆れたような声だが、ラモーナの顔はとっても嬉しそうだ。
「…… 私も貴方の鱗肌に触れたいわ」
「もちろん、いつだってどうぞ」
レーニアがそう言うが同時に執務室の中に金色の鱗を持つドラゴンが姿を現し、ラモーナと共に寄り添い始めた。
青空の下に広がり続ける金色の波紋を二人で眺め、柊也にも似た温かな力に頰を綻ばせる。
二十六年待ち続けた心にのしかかっていたユランに対する後ろめたい気持ちが、ゆっくりと癒されていくのを彼等は感じた。
◇
こうして僕は完全にルナール——改め、ユラン王子の手の中に堕ちた。
完全に十八禁ゲームの様な展開に、柊也はしばらくの間部屋に引き篭もり、出てこなくなった為、祝いの夜会は長い事延期になったという。
「——どうやってこの問題を解決出来たかは、是非とも、僕を話をここまで長々と聞いてくれた、アナタと僕とだけの秘密にして頂きたいと切に願う」
柊也はそう言って、文面を読んでいるアナタに対し苦笑した。
ユランは今柊也の脚の辺りに頰を擦り寄せ、白いニーソックスから覗く細い太腿の感触を堪能している。彼の目の前には果てた後の柊也のモノが鎮座しており、吐息があたってくすぐったい。
そして、何より恥ずかしい。とにかく恥ずかしい!まじまじを陰部を見られる事に柊也は耐えられない。スカートを下へと引っ張り、彼は己の恥部を隠そうとしたが、その手は器用に動く触手の如き銀髪に止められてしまった。
「や!離して、ルナールゥ」
「…… イヤです。私はもう、その名ではないので」
また名前を混同され、ふんっと拗ねた顔をし、ユランはそっと優しく柊也の萎えたままの陰部を手に取り、棒突きの飴を前にした時の様な舌つきで、ちろりと舐め始めた。
「んんっ!」
生暖かな舌の感触を下腹部に感じ、柊也の顔が悦楽に満ちた表情へと一気に崩れた。
裏筋を舐められ、根元をきゅっと掴み、ゆるゆると上下に擦られる。それだけでもう、柊也の陰部は再び起き上がり、怒張と表現するべき状態になった。
「トウヤ様、私は上手く出来ていましたか?」
褒めて?と言いたげな瞳で見上げられ、柊也の体がふらっと横に揺れた。ボールを拾って来る事が出来た犬の様な眼差しをするユランが、可愛過ぎて辛い。
この人は何なんなんだ、一体。
カッコイイくせに可愛いとかズルイって言ってるよね⁈
——と、一度も言ってもいないのに叫びたくなる。
顔を背けて悶え始めた柊也を見て、『褒めて貰えなかった!』と、ユランがまた拗ねた。それならばと、今度は口の中へパクリと柊也の育った怒張を咥え、いやらしい水音をたてながら口淫を始めた。
「ル!ユ、ユラン、待って!無理っ、そんな事またされたら——あぁぁっ」
ユランの頭を押してでもこの行為を止めたいのだが、両手が拘束されたままでそれが出来無い。このままあと少しでも刺激されたらまた先に果ててしまう。
早漏だなんて思われたくないよぉぉ!と泣きそうな瞳をギュッと閉じ、イヤイヤと駄々っ子みたいに柊也が首を横に振った。
懇願したおかげか、ぴたりとユランの行為が止まる。
「そうですね、どうせなら私も、中に欲しです」
口を離し、怒張に頬擦りしながら言われてしまい、柊也は顔を真っ赤にし、『あぁぁぁぁ!もぉっ』と体を捩りながら悶える。一々ユランが可愛過ぎて、怒張を触れられなくても、その姿をオカズに達してしまいそうだ。
「こちらも…… すっかり準備済みみたいですね、トウヤ様」
ユランがニヤリとした笑みを浮かべながら、柊也の怒張の下へと指を這わせ、蜜で濡れそぼる蕾をぷにゅっと指先で押した。
「ひゃんっ!」
触れられた事に驚き、柊也の口から変な声が出る。
そんな柊也も可愛いなと思いつつ、ユランは興奮した眼差しを彼に向けながら、蕾の中へ指を沈ませ始めた。
蜜で濡れるソコはもう、ほぐすまでも無く指が入り、一本、二本とユランが徐々に増やしていく。ぬぽぬぽと卑猥な水音がたち、柊也は羞恥に頰を染めながら「ぃゃぁっ」と、泣きそうな声をこぼす。何かを探る様なぎこちない触れ方が、かえって気持ちがいい。体が震え、腰が勝手に動いてしまう。
「すみません、慣れなくって。実際に触れるのと想像と、夢とでは…… 勝手が違うものですね」
冷静にしみじみと言われ、温度差を感じた柊也が余計に恥ずかしい気持ちになった。
「あ…… 」と、ユランが言ったと同時に、彼が柊也の前立腺を指先で擦り上げた。
「んぁぁぁっ!」
背中を仰け反らせ、柊也が大きな声で喘いだ。肌から汗が吹き出し、目を見開いて体を震わせる様子を見て、ユランが「みぃつけた」と意地の悪い声で呟いた。
「ココですよね?トウヤ様の一番イイトコロは。…… ふふふ」
とんとん叩く様にしてみたり、ぐるりと指先で撫でたりしながら、ユランが柊也を攻める。玩具で遊ぶ子供みたいに熱心に弄られ、柊也がボロボロと涙を零した。
(もう無理です、が、我慢でき——)
「いっ…… !あぁっ」
無邪気に弄られ続け、柊也が堪えきれずに吐精してしまった。びゅるるっと吐き出されたそれは勢いよくユランの顔にかかり、鼻先や頰を汚す。キョトンとした顔をしながらユランはソレを手に取ると、赤く長い舌先で、柊也の目を見詰めながらペロリと舐めた。
「中に欲しいと、私を孕ませてって言ったのに…… 」
(散々に弄ったのは君じゃ無いか…… )
はあはあと肩で息をしながらそう思ったが、もう声が出ない。
快楽に染まった頭は思考能力を失っている。力無く全身をマットレスに預け、柊也は虚ろな眼差しのままだ。ウェディングドレスの裾から覗く陰部がひくひくと小刻みに震えながら、白濁とした残滓を垂れ流す。その姿はとても卑猥で、ユランの心を存分にくすぐった。
「…… いやらしいですねぇ、トウヤ様は。そろそろ私も——」
柊也の白濁液が少し残る唇を舐めながら、ユランが柊也の脚を持ち上げる。自らの怒張を彼の蕾に押し当てると、入りそうになった所でピタリと止まった。
「肝心の事を忘れていました」
そう言って、ユランは拘束し続けていた柊也の腕から髪を離すと、彼の腕にはまっていた二つの銀色のブレスレットを外した。
「蔓延してしまったモノを拡散しましょうか」
部屋の隅にある棚へと髪を伸ばし、音の鳴らない状態にした金のブレスレットを取り、にっこりと笑いながら、それを柊也の両腕へ着けた。
「邪魔なので、こちらは鈴の音は鳴らない様にしてありますからご安心を。でも、鈴の代わりに…… 」
口元に弧を描き、ユランがニタリと微笑む。
その笑い方は、完全に——邪神だ。
柊也は嫌な予感しかしない。絶対に悪質な事を考えてる!わかっていても彼には何も出来ず、ただ彼の腕にしがみついた。
「ま、待って!ユラ——」
「トウヤ様が、鈴の代わりに沢山鳴いて下さいね」
ぐちゅっ!と蜜音をたてながら、ユランが一気に柊也の体を怒張で穿った。
根元までしっかり入り、彼の狭隘な蕾があられもなく広がり、ぎちぎちと怒張を締め付ける。そのせいで「くっ——」と声をこぼし、ユランが顔をしかめた。柊也の中が予想以上に心地よく、情けない事に彼もすぐにいってしまいそうな状態だ。無理もない、この体では一度もこういった経験が無く、口ではどう言おうが、所詮は耳年増でしか無いのだから。
「ユラァァ、あぁっ…… きっ…… き、きもちぃ…… 」
瞳を蕩かせながら、柊也が呟く。
当然が如く、その言葉でユランの興奮が最高潮にまで達した。
「トウヤ様ぁ!」
無心に腰を動かし、柊也の小さな体を必死に貪る。そのたびに彼の体が揺さぶられ、金色のブレスレットからは美しい光の波紋が溢れ出した。
その光は輪となって広がり、柊也の根底にも似た澄んだ空気が部屋中を満たしていく。
「あ!やぁぁっ!はずか…… ら、らめぇぇっ!」
まさか自分が、『らめぇ』を地で言ってしまうとは…… 。
今の状態だけで無く、口に出してしまった言葉にまで恥ずかしくなった。なったが、すぐにそんな事を感じる余裕などユランに奪われてしまう。
身も心も全て喰らうかの様に、肌を撫で、髪で胸の尖りを締め付け、柊也が果ててしまえぬ様にと怒張をコックリングかの様に髪で縛る。もうユランはやりたい放題だ。今まで溜め込んでいた鬱憤と柊也への愛の全てをぶつけていく。
「たすけ——。ひうぅ…… あぁぁぁっ」
「もっと鳴いて、柊也様。あぁ…… 可愛い、好き、愛していますよ。私だけの——」
肌と肌とかぶつかる音が部屋に響き、そんな音までもが解呪への力と変化していく。
二人の行為と部屋の雰囲気が一致しないまま、ユランは柊也を貪り続けた。
深く、執拗に、求められ、求めさせられながら、柊也が喘ぎ続ける。
それにより“純なる子”としての彼の力がまた溢れ出し、部屋を満たしていた波紋が周囲を窓をも通過して、外へと溢れ出したのだった。
◇
幽閉塔が輝き出した事で、城や街に居た人々が一斉に空を見上げた。ゆっくりと広がる金色の波紋に似た輪が徐々に広がっていく様子に心奪われ、手が止まる。
「…… “孕み子”様が…… 」
「まさか、“純なる子”が呪いを抑え込んだのか?」
「いや、伝説とは…… 様子が違うんじゃ無いか?」
「——もしかして、完全に“孕み子”を…… 解放したのでは…… 」
民衆が、口々にそうこぼす。
広がり続ける金色の波紋は城を包み、街に広がり、森へ、遠方の村々へ——
ゆっくり、のんびりとだが、温かみを帯びながら『インバーション・カース』と獣人達に呼ばれた現象を光の輪が消し去っていく。
元通りになった者達が、家族達や通行人の者達と喜び合い、歓喜に声を上げた。
城で報告を待っていたレーニア国王やラモーナ王妃も、執務室の窓から光り輝く幽閉塔を見上げて、喜びの涙を零した。
「彼らが城へ戻ったら、夜会でも開きましょうか」
「あぁ、楽しみだな」
(…… この様子では、家族が増える日も近そうだな。ははは、ユランめ。楽しんでるなぁ)
何となく色々と聴こえてしまう感度のよい耳をピクピクと動かしながら、金色の角が生えたレーニアが、妻のラマに似た耳を軽くかじる。
「もう!私が元の姿に戻った途端、これなんですから…… 」
呆れたような声だが、ラモーナの顔はとっても嬉しそうだ。
「…… 私も貴方の鱗肌に触れたいわ」
「もちろん、いつだってどうぞ」
レーニアがそう言うが同時に執務室の中に金色の鱗を持つドラゴンが姿を現し、ラモーナと共に寄り添い始めた。
青空の下に広がり続ける金色の波紋を二人で眺め、柊也にも似た温かな力に頰を綻ばせる。
二十六年待ち続けた心にのしかかっていたユランに対する後ろめたい気持ちが、ゆっくりと癒されていくのを彼等は感じた。
◇
こうして僕は完全にルナール——改め、ユラン王子の手の中に堕ちた。
完全に十八禁ゲームの様な展開に、柊也はしばらくの間部屋に引き篭もり、出てこなくなった為、祝いの夜会は長い事延期になったという。
「——どうやってこの問題を解決出来たかは、是非とも、僕を話をここまで長々と聞いてくれた、アナタと僕とだけの秘密にして頂きたいと切に願う」
柊也はそう言って、文面を読んでいるアナタに対し苦笑した。
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