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第三章
【第十話】触れ合う肌②
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お酒を適切に飲めない人は、どうしたって一定数いる。絡み酒や暴力的になる訳では無いとはいえ、柊也は確実にその部類に入ってしまうタイプだ。異世界転移の前だって友人達に『お前は自分が大事なら酒を飲むべきじゃない』と言われ、ルナールとレーヌ村で温泉に入った時はいい感じに弄ばれたというのに、その記憶が飛んでいる。今夜も今夜でワインが短時間で一気に入り、記憶が飛ぶのが確実な状況にまでルナールに追い込まれているのだが、危機感はまだイマイチ薄い。夜着を肌蹴させられ、ズボンの中で窮屈さを感じている怒張を手の甲で撫でられているというのに、だ。
「トウヤ様……可愛い」
うっとりとした声と表情をするルナールが、柊也の体をゆったりとした動きで撫で回す。その度に柊也が甘い声をあげて身をよじった。お酒で麻痺した頭の中は、理性や貞操観念は密閉容器の中へぶち込んだみたいに姿を消してしまっている。二十歳といえばまだまだ流されやすい、快楽に弱いお年頃だ。何度もルナールに弄られた体では、あっさりと快楽に落ちても無理はないだろう。
ルナールが柊也の様子を伺いながら、夜着を脱がせていく。下着一枚にされた柊也はベットの上で呼吸を荒げている。肌はしっとりと汗ばみ、白いシーツが軽く張り付いた。
「ルナ……ルゥッ……んんっ」
怒張からの先走りの蜜で濡れる下着は早々に脱ぎたいくらいひどく窮屈なのに、軽く触れたり、ちょっと擦られるだけで、それ以上は何もしてもらえない。ただただ背中や腹、太ももといった箇所を撫でたり舐めたりされるだけで、一番飢えている箇所は放置されているに近い。そんな生殺しの状態は酔った者にとっては厳しく、柊也は自分からうつ伏せになり、マットレスに自らの怒張を擦りつけてしまった。
「あぁ……トウヤ様が、ご自身からそんな事をしてしまうとは」
ルナールの背中がゾクッと震えた。快楽を求め、痴態に染まる柊也の姿に歓喜し、口元に弧を描いてルナールがニタリと笑った。ご褒美でもあげる様な仕草で、ルナールは柊也の下着にやっと手をかけてソレを脱がせた。
「は、恥ずかし……っ」
なけなしの理性で柊也が呟いたが、声が小さくルナールには届かなかった。
双丘を両手で揉まれ、「ひゃうっ」と変な声を柊也があげる。でもルナールの方は、固く閉ざされた柊也の蕾を目にし、少し不満気な顔をした。
「……そうか、体の構造がそもそも私達と違うんでしたね」
誰がどう見ても全身がグダグダに溶けきっている状態なのに、双丘に隠れる蕾は濡れておらず、入り口を指で触ってみても固く閉ざされたままだ。潤滑液などを使い、時間をかけて解さねばならないだろう事は、試すまでもなく明らかだった。
「な、何?なんで……そんなとこ触るの?」
蕩けた顔ではあるものの、ちょっと怯えた感のある声で柊也が訊いた。
「交尾をしようかと思ったのですが、用意が必要なので触れていたのですよ」
柊也の太ももを尻尾で撫でながら、ルナールが出来るだけ優しい声色で説明した。
「こ……こうび?……交尾⁈」
それってなんだっけ?といった声が、後半はハッキリとしたものになった。
「えぇ、そうですよ」
ニッコリと微笑むルナールに向かい、柊也が「いやいやいや!そういった事は、えっと……付き合ってる人達がとか、結婚したらするとかじゃないかな⁈」と、口元を震わせながら言った。
「そうですね、はい。何か問題が?」
「……ぼ、僕らでは、そういった事は……はや、早いんじゃないかな」
そうは言うも、体は快楽を欲してしまい、放置状態に等しい今の状況を耐えるのが辛い。こんな段階まできて今更それを気にするか?と言われそうではあるが、それでも、無責任に体をつなげてしまう事には対抗が——あるような、無いような……正直理性に手を伸ばすのもキツくって『流されてもいいかな』と、酔っ払いである柊也の中にいる誘惑の悪魔は叫んでいる。
「ほら……いつかは離れ離れになる訳だし、さ」
なけなしの理性が仕事をし、ルナールに止めるよう促す。
「……ならば余計に、トウヤ様との思い出を頂きたいのですが、ダメですか?」
ルナールの項垂れた尻尾と獣耳が、柊也の胸に刺さる。他者が見れば明らかにあざとい仕草なのだが、柊也相手だと効果は抜群だ。
「全てが終わればこの世界に置き去りにされる私に、一晩の思い出を頂けないでしょうか?」
一晩と言いつつも、実のところルナールにその気は無い。今この瞬間さえ乗り切れれば、柊也ならば何度だって流されてくれるだろうと楽観視しているが、その事を正直に言うつもりはもちろん皆無だ。
「思い出……?」
懇願するような眼差しを向けられ、柊也の心が難無くぐらつく。自分は男なんだし、結婚するまで大事に貞操を守る必要も無いような気さえしてきた。
嫌いな相手ならば、流石に酒に酔っていたとしても、柊也ですらこの状況を回避しただろうが、ルナールの事は嫌いどころか、むしろ好きと言った方が正しいだろう。カッコイイと綺麗が上手いこと同居した顔立ちで背も高く、口が悪い時はあっても根は優しい。頼り甲斐もあり、いきなりこんな世界へ飛ばされてきた赤の他人の面倒を自ら進んで引き受けてくれた部分も、柊也は好意的に思っている。となると「しょ、しょうがないなぁ……」と言ってしまうまで、そんなに時間はかからなかった。
途端、ルナールの表情がパッと明るくなり、尻尾を激しく左右に振った。
「好きですよ、トウヤ様」
ギューッと背後から強く抱きつき、ルナールが柊也の肌に頬擦りをしまくる。「や、やめっ。くすぐったぁ!」と柊也が叫んだが、大型犬にじゃれつかれたみたいでちょっと嬉しそうだ。
『好き』というルナールの言葉が柊也の心にじわりと広がる。
(好きでいてくれるなら、こうやって肌を重ねても……いいのかな、いいよね?……う、うん)
完全に、都合のいい人が陥りやすい思考になっているが、その事に気が付ける余裕は今の柊也には無かった。
尻尾を嬉しそうに揺らし、ルナールが柊也の双丘に指を沈める。顔も寄せると、濡れぬ蕾を丹念に舐め始めた。
「ひゃぁぁっ!ま、や、そ、ソコは無理だよぉ?違うよ?色々と!」
「このままでは確かに面どぅ……ごほんっ。厳しいので、私の体の不要な性能をトウヤ様に差し上げますね」
ルナールがそう言った途端、柊也の下腹部の奥が異様に熱くなった。痛くはないのだが、少しの不快感が体を襲う。
「……ご、ごめん。意味がわかんないんだけど……」
「今から身をもって知っていけばいいですよ」
柊也はルナールにとっても素敵な笑顔を向けられたが、ちょっと影を感じるものでもあった。
腹の内部が入れ替わる様な不快感が消えた途端、柊也の双丘に眠る蕾から蜜がトロリと流れ出す。その蜜を指に絡めると、ルナールが蕾の入り口を嬉しそうに指先で撫で始めた。
「な……何?え?どうなってるの?」
上半身を腕を使って起こし、柊也が振り返る。だが、ルナールの指が体の中にぬっと入ってきた瞬間、力が抜けてべちゃっとベットに潰れた。
「トウヤ様の体の一部に、私の一部を譲渡しただけなのでご安心を。痛くは無いでしょう?」
「魔法による、ぞ、臓器移植ですか!」
「……まぁ、大まかにそんな感じです」
指を二本に増やし、ルナールが柊也の前立腺を指の腹でくっと撫で、強制的に状況を淫猥なものへと戻す。
「んあぁ!」
背を逸らし、柊也が嬌声をあげた。その姿を、ルナールが満足そうな顔で見詰めながら、嬉しそうに微笑む。
指を動かすたびに、柊也の蕾からぬるつく蜜がじわじわと溢れ出す。感じる快楽に呼応し、怒張から零れ出る先走りと、蕾からの蜜とで下半身はもうぐっしょりとイヤラシイ姿になっていた。
指を中からずるりと抜き取り、ルナールが自身の着るトラウザーズの前を緩める。ガチガチに固くなっている怒張を中から晒すと、柊也の腰を持ち上げ、腕も立たせて四つん這いの状態にさせた。
ぐたぐたになっている柊也の蕾に怒張を当てがい、感無量な気分になったルナールがゆっくり息を吐き出す。今まで何度もこの状況を夢見つつ、どうせ今の自分では柊也をいくら抱き倒しても満足出来ないからとココまで彼を追い込んではこなかったのだが、もう心が満たされればそれでいいかと割り切った。
ぐぅっと柊也の蕾にルナールが自らの怒張の先を押し込むと、柊也の上半身がベットに再び崩れ、お尻を突き出すみたいな格好になってしまった。体内に異物が入ってくる感覚など始めて味わうせいか、体に力が入らずじわりと汗が全身から吹き出す。そのせいで余計にルナールは難なく柊也の中へ猛る怒張を押し進めていけた。
「あぁ……んぁ……んっ。ルナァ、ルッ」
ぐ、ぐぐっと、ゆっくり慎重に、柊也の体を傷つけてしまわぬ様気を付ける。
「くっ……ん……」
甘い吐息をルナールがこぼす。予想以上に柊也の中が気持ちよくって、体がぶるっと震えた。
「……はぁはぁ……全部、入りましたよ、トウヤ様。わかりますか?」
浅い呼吸を繰り返し、柊也がボロボロと涙を流す。痛くてでは無く、味わった事の無い快楽に頭がついていけないせいだ。
ヒクヒクと自らの怒張を震わせ、柊也が視線だけを後ろに向ける。
「何……?コレ……すごぃ、きもちぃぃんだけど……」
その言葉を聞いた途端、ルナール中でプツンと糸が切れた。煽ったのは柊也なのだからいいよね?と、思いはしたが、それを言葉に出す余裕も無く、怒張を激しく穿ち始めた。
「ひゃんっ!だ、ダメだって、はげし——」
「気持ちいいのでしょう?ご自分でおっしゃったじゃないですか。なら従者としては、もっとして差し上げねば、ね?」
『いやいやいや!僕はこういった行為、始めてなんだよ⁈せめて普通にゆっくりとぉ!』とは思っても、柊也から出る声は「いや……ふぅ……あぁっ」なんて感じで、まともな言葉にする事が全く出来ない。
ルナールもルナールで余裕など全く無く、柊也から得られる快楽に浸り、最初から激しく挿入を繰り返す。人付き合いを避け、制約が多いせいで人並みに生活するのすら面倒なこの体では、適当な相手とでもいいから交尾をしたいとも考えなかったので、強い快楽に簡単に堕ちても無理はないだろう。特に相手が『元の世界へなど帰したく無い』と思い始めてしまう程に好きな相手だとあっては、尚更だ。
「トウヤ様……トウヤ……さ……」
「ル、ルナァ……んくっ」
熱に浮かされたみたいに、柊也の名前を何度もルナールが口にする。それに呼応するみたいに、柊也も何度もルナールの名前っぽい言葉を口にした。
前立腺を情け容赦なく怒張で擦られ続け、柊也が果てへと追い立てられていく。元の世界では、体調管理程度にこっそり隠れて自慰に耽る程度にしか嗜んでこなかった身としては、こんな行為をされて耐え続けられる訳がなかった。
「もっ……あぁ!でちゃっ……ルナッ、あぁぁ!」
柊也が背を逸らし、怒張がぐっと質量を増す。その途端、ソレはビクビクと緩く跳ね、白濁液を大量にベットのシーツの上に吐き出してしまった。
「あ……あぁっ……」
ヒクヒクと怒張が震え、柊也が全てを出し切ると、立てていた脚も崩れてベットへと横たわった。
それにより、ルナールの猛々しいままの怒張がずるりと柊也の狭隘な蕾から抜け落ちる。快楽を欲しドクンドクンと脈打つソレは天を突かんばかりの勢いのままだったが、ルナールは何度も深呼吸を繰り返して、自らの怒張を宥めた。
「トウヤ様……気持ちよかったですか?」
ルナールもベットへ横になり、柊也の体を背後から優しく抱き締める。お尻に当たる怒張を感じ、柊也の顔がカッと真っ赤に染まった。
「ル、ルナールは……まだ、だよね?」
「あぁ……私は、トウヤ様がご満足頂ければそれで。でも、充分過ぎる程の快楽を頂きましたから……今はこれで十分です」
黒い髪にそっとキスを落とし、ルナールが柊也の頭に頰を寄せる。
「もう一度、お風呂かシャワーを浴びるかしないといけませんね」
「でも……それだと……」
「お気遣いは無用ですよ……私が満足するまでとなると、トウヤ様の体が壊れてしまいますから」
そもそも、満足出来ぬ体で満足出来るまでなど、延々と行為をいたす事になるので、そもそも無理があるのだが……。
「そ、それは流石に許して下さい……」
「なら今日はもうここまでとしましょうね」
ものすごく気持ちよかったが、これ以上更にとなると、とてもじゃないが体が保ちそうにない。そう思った柊也は「……はい」と素直に従ったのだった。
「トウヤ様……可愛い」
うっとりとした声と表情をするルナールが、柊也の体をゆったりとした動きで撫で回す。その度に柊也が甘い声をあげて身をよじった。お酒で麻痺した頭の中は、理性や貞操観念は密閉容器の中へぶち込んだみたいに姿を消してしまっている。二十歳といえばまだまだ流されやすい、快楽に弱いお年頃だ。何度もルナールに弄られた体では、あっさりと快楽に落ちても無理はないだろう。
ルナールが柊也の様子を伺いながら、夜着を脱がせていく。下着一枚にされた柊也はベットの上で呼吸を荒げている。肌はしっとりと汗ばみ、白いシーツが軽く張り付いた。
「ルナ……ルゥッ……んんっ」
怒張からの先走りの蜜で濡れる下着は早々に脱ぎたいくらいひどく窮屈なのに、軽く触れたり、ちょっと擦られるだけで、それ以上は何もしてもらえない。ただただ背中や腹、太ももといった箇所を撫でたり舐めたりされるだけで、一番飢えている箇所は放置されているに近い。そんな生殺しの状態は酔った者にとっては厳しく、柊也は自分からうつ伏せになり、マットレスに自らの怒張を擦りつけてしまった。
「あぁ……トウヤ様が、ご自身からそんな事をしてしまうとは」
ルナールの背中がゾクッと震えた。快楽を求め、痴態に染まる柊也の姿に歓喜し、口元に弧を描いてルナールがニタリと笑った。ご褒美でもあげる様な仕草で、ルナールは柊也の下着にやっと手をかけてソレを脱がせた。
「は、恥ずかし……っ」
なけなしの理性で柊也が呟いたが、声が小さくルナールには届かなかった。
双丘を両手で揉まれ、「ひゃうっ」と変な声を柊也があげる。でもルナールの方は、固く閉ざされた柊也の蕾を目にし、少し不満気な顔をした。
「……そうか、体の構造がそもそも私達と違うんでしたね」
誰がどう見ても全身がグダグダに溶けきっている状態なのに、双丘に隠れる蕾は濡れておらず、入り口を指で触ってみても固く閉ざされたままだ。潤滑液などを使い、時間をかけて解さねばならないだろう事は、試すまでもなく明らかだった。
「な、何?なんで……そんなとこ触るの?」
蕩けた顔ではあるものの、ちょっと怯えた感のある声で柊也が訊いた。
「交尾をしようかと思ったのですが、用意が必要なので触れていたのですよ」
柊也の太ももを尻尾で撫でながら、ルナールが出来るだけ優しい声色で説明した。
「こ……こうび?……交尾⁈」
それってなんだっけ?といった声が、後半はハッキリとしたものになった。
「えぇ、そうですよ」
ニッコリと微笑むルナールに向かい、柊也が「いやいやいや!そういった事は、えっと……付き合ってる人達がとか、結婚したらするとかじゃないかな⁈」と、口元を震わせながら言った。
「そうですね、はい。何か問題が?」
「……ぼ、僕らでは、そういった事は……はや、早いんじゃないかな」
そうは言うも、体は快楽を欲してしまい、放置状態に等しい今の状況を耐えるのが辛い。こんな段階まできて今更それを気にするか?と言われそうではあるが、それでも、無責任に体をつなげてしまう事には対抗が——あるような、無いような……正直理性に手を伸ばすのもキツくって『流されてもいいかな』と、酔っ払いである柊也の中にいる誘惑の悪魔は叫んでいる。
「ほら……いつかは離れ離れになる訳だし、さ」
なけなしの理性が仕事をし、ルナールに止めるよう促す。
「……ならば余計に、トウヤ様との思い出を頂きたいのですが、ダメですか?」
ルナールの項垂れた尻尾と獣耳が、柊也の胸に刺さる。他者が見れば明らかにあざとい仕草なのだが、柊也相手だと効果は抜群だ。
「全てが終わればこの世界に置き去りにされる私に、一晩の思い出を頂けないでしょうか?」
一晩と言いつつも、実のところルナールにその気は無い。今この瞬間さえ乗り切れれば、柊也ならば何度だって流されてくれるだろうと楽観視しているが、その事を正直に言うつもりはもちろん皆無だ。
「思い出……?」
懇願するような眼差しを向けられ、柊也の心が難無くぐらつく。自分は男なんだし、結婚するまで大事に貞操を守る必要も無いような気さえしてきた。
嫌いな相手ならば、流石に酒に酔っていたとしても、柊也ですらこの状況を回避しただろうが、ルナールの事は嫌いどころか、むしろ好きと言った方が正しいだろう。カッコイイと綺麗が上手いこと同居した顔立ちで背も高く、口が悪い時はあっても根は優しい。頼り甲斐もあり、いきなりこんな世界へ飛ばされてきた赤の他人の面倒を自ら進んで引き受けてくれた部分も、柊也は好意的に思っている。となると「しょ、しょうがないなぁ……」と言ってしまうまで、そんなに時間はかからなかった。
途端、ルナールの表情がパッと明るくなり、尻尾を激しく左右に振った。
「好きですよ、トウヤ様」
ギューッと背後から強く抱きつき、ルナールが柊也の肌に頬擦りをしまくる。「や、やめっ。くすぐったぁ!」と柊也が叫んだが、大型犬にじゃれつかれたみたいでちょっと嬉しそうだ。
『好き』というルナールの言葉が柊也の心にじわりと広がる。
(好きでいてくれるなら、こうやって肌を重ねても……いいのかな、いいよね?……う、うん)
完全に、都合のいい人が陥りやすい思考になっているが、その事に気が付ける余裕は今の柊也には無かった。
尻尾を嬉しそうに揺らし、ルナールが柊也の双丘に指を沈める。顔も寄せると、濡れぬ蕾を丹念に舐め始めた。
「ひゃぁぁっ!ま、や、そ、ソコは無理だよぉ?違うよ?色々と!」
「このままでは確かに面どぅ……ごほんっ。厳しいので、私の体の不要な性能をトウヤ様に差し上げますね」
ルナールがそう言った途端、柊也の下腹部の奥が異様に熱くなった。痛くはないのだが、少しの不快感が体を襲う。
「……ご、ごめん。意味がわかんないんだけど……」
「今から身をもって知っていけばいいですよ」
柊也はルナールにとっても素敵な笑顔を向けられたが、ちょっと影を感じるものでもあった。
腹の内部が入れ替わる様な不快感が消えた途端、柊也の双丘に眠る蕾から蜜がトロリと流れ出す。その蜜を指に絡めると、ルナールが蕾の入り口を嬉しそうに指先で撫で始めた。
「な……何?え?どうなってるの?」
上半身を腕を使って起こし、柊也が振り返る。だが、ルナールの指が体の中にぬっと入ってきた瞬間、力が抜けてべちゃっとベットに潰れた。
「トウヤ様の体の一部に、私の一部を譲渡しただけなのでご安心を。痛くは無いでしょう?」
「魔法による、ぞ、臓器移植ですか!」
「……まぁ、大まかにそんな感じです」
指を二本に増やし、ルナールが柊也の前立腺を指の腹でくっと撫で、強制的に状況を淫猥なものへと戻す。
「んあぁ!」
背を逸らし、柊也が嬌声をあげた。その姿を、ルナールが満足そうな顔で見詰めながら、嬉しそうに微笑む。
指を動かすたびに、柊也の蕾からぬるつく蜜がじわじわと溢れ出す。感じる快楽に呼応し、怒張から零れ出る先走りと、蕾からの蜜とで下半身はもうぐっしょりとイヤラシイ姿になっていた。
指を中からずるりと抜き取り、ルナールが自身の着るトラウザーズの前を緩める。ガチガチに固くなっている怒張を中から晒すと、柊也の腰を持ち上げ、腕も立たせて四つん這いの状態にさせた。
ぐたぐたになっている柊也の蕾に怒張を当てがい、感無量な気分になったルナールがゆっくり息を吐き出す。今まで何度もこの状況を夢見つつ、どうせ今の自分では柊也をいくら抱き倒しても満足出来ないからとココまで彼を追い込んではこなかったのだが、もう心が満たされればそれでいいかと割り切った。
ぐぅっと柊也の蕾にルナールが自らの怒張の先を押し込むと、柊也の上半身がベットに再び崩れ、お尻を突き出すみたいな格好になってしまった。体内に異物が入ってくる感覚など始めて味わうせいか、体に力が入らずじわりと汗が全身から吹き出す。そのせいで余計にルナールは難なく柊也の中へ猛る怒張を押し進めていけた。
「あぁ……んぁ……んっ。ルナァ、ルッ」
ぐ、ぐぐっと、ゆっくり慎重に、柊也の体を傷つけてしまわぬ様気を付ける。
「くっ……ん……」
甘い吐息をルナールがこぼす。予想以上に柊也の中が気持ちよくって、体がぶるっと震えた。
「……はぁはぁ……全部、入りましたよ、トウヤ様。わかりますか?」
浅い呼吸を繰り返し、柊也がボロボロと涙を流す。痛くてでは無く、味わった事の無い快楽に頭がついていけないせいだ。
ヒクヒクと自らの怒張を震わせ、柊也が視線だけを後ろに向ける。
「何……?コレ……すごぃ、きもちぃぃんだけど……」
その言葉を聞いた途端、ルナール中でプツンと糸が切れた。煽ったのは柊也なのだからいいよね?と、思いはしたが、それを言葉に出す余裕も無く、怒張を激しく穿ち始めた。
「ひゃんっ!だ、ダメだって、はげし——」
「気持ちいいのでしょう?ご自分でおっしゃったじゃないですか。なら従者としては、もっとして差し上げねば、ね?」
『いやいやいや!僕はこういった行為、始めてなんだよ⁈せめて普通にゆっくりとぉ!』とは思っても、柊也から出る声は「いや……ふぅ……あぁっ」なんて感じで、まともな言葉にする事が全く出来ない。
ルナールもルナールで余裕など全く無く、柊也から得られる快楽に浸り、最初から激しく挿入を繰り返す。人付き合いを避け、制約が多いせいで人並みに生活するのすら面倒なこの体では、適当な相手とでもいいから交尾をしたいとも考えなかったので、強い快楽に簡単に堕ちても無理はないだろう。特に相手が『元の世界へなど帰したく無い』と思い始めてしまう程に好きな相手だとあっては、尚更だ。
「トウヤ様……トウヤ……さ……」
「ル、ルナァ……んくっ」
熱に浮かされたみたいに、柊也の名前を何度もルナールが口にする。それに呼応するみたいに、柊也も何度もルナールの名前っぽい言葉を口にした。
前立腺を情け容赦なく怒張で擦られ続け、柊也が果てへと追い立てられていく。元の世界では、体調管理程度にこっそり隠れて自慰に耽る程度にしか嗜んでこなかった身としては、こんな行為をされて耐え続けられる訳がなかった。
「もっ……あぁ!でちゃっ……ルナッ、あぁぁ!」
柊也が背を逸らし、怒張がぐっと質量を増す。その途端、ソレはビクビクと緩く跳ね、白濁液を大量にベットのシーツの上に吐き出してしまった。
「あ……あぁっ……」
ヒクヒクと怒張が震え、柊也が全てを出し切ると、立てていた脚も崩れてベットへと横たわった。
それにより、ルナールの猛々しいままの怒張がずるりと柊也の狭隘な蕾から抜け落ちる。快楽を欲しドクンドクンと脈打つソレは天を突かんばかりの勢いのままだったが、ルナールは何度も深呼吸を繰り返して、自らの怒張を宥めた。
「トウヤ様……気持ちよかったですか?」
ルナールもベットへ横になり、柊也の体を背後から優しく抱き締める。お尻に当たる怒張を感じ、柊也の顔がカッと真っ赤に染まった。
「ル、ルナールは……まだ、だよね?」
「あぁ……私は、トウヤ様がご満足頂ければそれで。でも、充分過ぎる程の快楽を頂きましたから……今はこれで十分です」
黒い髪にそっとキスを落とし、ルナールが柊也の頭に頰を寄せる。
「もう一度、お風呂かシャワーを浴びるかしないといけませんね」
「でも……それだと……」
「お気遣いは無用ですよ……私が満足するまでとなると、トウヤ様の体が壊れてしまいますから」
そもそも、満足出来ぬ体で満足出来るまでなど、延々と行為をいたす事になるので、そもそも無理があるのだが……。
「そ、それは流石に許して下さい……」
「なら今日はもうここまでとしましょうね」
ものすごく気持ちよかったが、これ以上更にとなると、とてもじゃないが体が保ちそうにない。そう思った柊也は「……はい」と素直に従ったのだった。
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