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第ニ章

【第一話】始めての戦闘って、男としてちょっと憧れる

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 森に隣接されたような位置に柊也達を送り出した神殿は建っていたため、外へ出てすぐ二人は森の中へと入って行った。最初の目的地はこの森を抜けた先にある、レーヌという名の小さな村だ。神殿の応接間で旅の準備をさせてもらいながら二人が最初の目的地を思案していた時、柊也は『城下町からではなくっていいんですか?』とルナールに訊いたのだが、『幽閉塔から近い分、きっとまたすぐに呪われますよ。少し離れた、解呪しても再度影響を受けづらそうな者が多い地域から、地道にいきましょう』と言われ、それもそうかと納得した結果決まった。

「ここから遠いんですか?レーヌ村って」
 大荷物を持つルナールに向かい、身軽な格好をした柊也が問いかけた。
 ゲーム画面とは違い、現実は随分大荷物な旅になるんだな。そりゃそうか、自分達だって修学旅行とかでは大きなキャリーバッグを引っ張ってたんだし、と思いながらルナールの返事を柊也が待つ。
「この森を横に抜けた先なので、歩いても二時間程度でしょう。道路もしっかり整備されていますし、最初の村としては楽な道程ですよ。魔物もほとんどいませんからね」
 右も左も高い木ばかりが並び、景色に変化がない。でも道だけは真っ直ぐどこまでも続いており、車二台分くらいの幅はある。たまに農作物を積んだ馬車も通り過ぎ、ルナールの言う通り街からも近いおかげか治安は悪くなさそうだ。
「じゃあ、夕方くらいまでには着ける感じだ」
「そうですね。街から近い観光地としても重宝されていて、宿も数多くあるみたいですから、今夜はしっかり休めますよ。トウヤ様は、長い時間歩くのは平気ですか?」
「自分の世界でも基本歩きで移動してきた奴なんで、全然問題ないよ」
「そうでしたか、なら安心ですね。ですが疲れたらいつでも仰って下さいね、私が抱え——」
 後に続くだろう言葉が想像でき、柊也が元気に「平気です!」と叫んだ。


「……あれ?」
 一時間ちょっと森の道を歩いた辺りで、茂みの奥を凝視しながら柊也が立ち止まった。
「いますね、魔物が」
 柊也の隣に寄り添うように、ルナールも歩くのをやめた。魔物が居る事を知っても、ルナールが警戒するような気配は無い。
「あれって危険じゃ無いの?放置で平気?」
 初めて見た魔物の姿に柊也は驚きつつも、ちょっと嬉しそうでもある。
「警護隊の者達すら見逃したくらいですから、問題無いでしょう」
「……そーなん、だ。ふーん……」
 じっと魔物を見詰め、柊也がソワソワしている。そんな様子を見て、ルナールはあれ?と思った。
(これはもしかして——……)
「倒してみますか?」
「え⁈いいの?」
 ルナールの提案を聞き、柊也の顔がパァ明るくなった。
「えぇ。とっても動きの遅い魔物ですし、巨体化しなければ戦闘経験が無いトウヤ様でも簡単に倒せますよ」
「やってみたい!」
 ギュッと拳を作って目を輝かせる柊也に対し、ルナールが眩しいものでも見るような顔をした。柊也が可愛いくって堪らないず、血が垂れ出しそうな自らの鼻を、フッサフサの尻尾を嬉しそうに振りながらルナールがそっと押さえた。
 そんなルナールの様子に気が付く事なく、柊也が整備された道から外れ、魔物のいる森の方へ駆けて行く。むにゅんむにゅんと揺れる複数居る物体に二人は近づき、ルナールは側にある木の根元に荷物を置いた。
「下級のスライムですね。ほぼ害はない魔物ですが、初めての戦闘ですから気をつけるのですよ?」
 保護者の様な目をルナールが柊也へ向ける。
「うん、頑張るよ!」
 腰から下げた細身の長剣を鞘から抜き、こうかな?とゲームや映画で観た記憶を頼りに柊也が剣を構える。
「危険そうでしたら助けますので、ご安心を」
「え?でもルナール、何も武器貰って来て無いよね?」
 不思議に思い、柊也がルナールの方を向いた。
 柊也と目が合った途端、ルナールは自信に溢れた瞳になり、口元がくっと上がった。服の左袖を軽く上に引っ張り、隠す様に身に付けていたブレスレットを露わにする。銀色をした太めのブレスレットには透明な丸い宝石が何個もはめられており、それぞれに武器の絵が彫られている。ルナールが「弓を」と短く呟きながらその宝石に触れた途端、ブレスレットの中から光のみで形作られた弓が、ルナールの手の中へと現れた。
「さぁどうぞ、トウヤ様」
 光の弓を構え、ルナールが弦を引く。すると、淡い赤色をした矢が勝手に弓と弦の間に現れた。
「ルナールの魔法すげぇぇぇっ!」
 剣を構えたまま素で驚く柊也の声に、ルナールが驚いて肩をビクッと震わせた。
「あ、いや……私の魔法というよりは、魔法具のおかげなだけであって……えっと——とにかく今はスライムを倒して!」
 矢を構えたままの説明が途中で面倒になり、ルナールが大声で叫ぶ。
「はい!」と柊也が素直に返事をすると、目の前のスライムに向かって走り出し、数匹居たうちの手前の一匹を長剣で真っ直ぐに切り裂いた。
『ミニャァァァァ——』
 断末魔の悲鳴をあげ、地面でただただぷよんぷよんとしていたスライムが塵になって消えていく。
「問題無く切れましたね!」
 ルナールは喜んで柊也の元に行ったのだが、柊也は複雑そうな顔でゆっくり彼の方へ振り返った。
「……え?どうされました?」
 初めて魔物を倒せた事を柊也は喜ぶかと思っていたので、予想外の表情をルナールはどう受け止めていいのかわからない。構えていた弓を下ろし、柊也の肩に手を置こうとした瞬間、彼はルナールの予想の更に斜め上の行動に出てしまった。
「む、無理ぃ!んな可愛い子倒すとか、もう出来ないよぉぉ!」
 叫び声をあげて、柊也が地面に長剣を放り出し、残りの魔物に向かって駆けて行く。
「ト、トウヤ様⁈」
 柊也に手を伸ばし、ルナールが慌てて腕を掴もうとしたが間に合わない。
 仲間が死んだにも関わらず、気に留める様子すら無いままプルプルと体を揺らすスライムの側に柊也が跪く。

「お前ら可愛いいな、おい!」と言いながら柊也はスライムの一匹を抱き上げると、頰っぽい部分にスリスリと顔を押し付けた。

「えぇぇぇぇぇ⁈」
 柊也の行動に驚き、ルナールの足が止まった。
「めっちゃ可愛いっ」
 スライムのゲル状の体を持ち上げて、柊也が笑う。魔物と柊也の目が合った途端、水色をしていたスライムの色がピンク色に変化し、目っぽい部分がハートマークに変わった。
『ンニャァァァァンッ!』
 甘い雰囲気のある声をあげ、スライムの体が一気に膨らむ。
「へ?」
 状況が全く分からず、柊也が抜けた声をこぼした途端、スライムが彼の体を自らのゲル状の体で覆った。
「ぎゃああああっ!」
 生暖かいゲルに首から下を全て包まれて、柊也は身動きが取れない。
「え?何これ⁈ルナール!ルナール助けてぇぇ!」
 顔を必死に後ろへ向けて、困惑顔をしたルナールに柊也が助けを求めた。
 あぁ……とこぼしながら、ルナールが額を押さえて上を向いた。『倒したい』と言っていたから、『触ったら危ない魔物』である事を言わなかった事を後悔したが、時すでに遅し。「ひゃああ!」と、ゲルに包まれたまま柊也が声をあげ続ける。ピンク色のゲルの中で、柊也の着衣が少しづつドロリと溶け始めた。
「……え?えぇぇぇ⁈溶けっ溶けてる?」
 必死に体を捩り、ゲルを剥がそうとするがじゅるんと逃げられ、抜け出すことが出来ない。ピンク色をしたスライムはハートの瞳にまま、頰っぽい部分を柊也の肌に擦り付けているが、肌が溶ける気配は無かった。
「ひ、やだ、体気持ちわるぃ」
 涙目になり、柊也がブンブンと顔を横振った。ゲルに包まれた体はもうほとんど服が無くなっており、短剣はゲルの中でユラユラと浮かんでいる。このスライムは幸いにして布位しか溶かせない程度の力しか無い様だ。もしくはそもそも、そうするつもりしか無いだけか。
「ルナ、ちょ、早くぅ……ひぅっ」
 ボロボロと涙を零し、柊也が立ち尽くしているルナールを見上げた。視線の合ったルナールは「くっ」と言いながら口元を隠して、柊也から目を逸らす。『エロ過ぎです!トウヤ様』と叫びそうになったが、必死に堪えた。
 体を包んでいるだけのはずのゲルが、柊也の胸の先をギュッと摘む。明確な意思を持ってスライムの体内が硬さを持った部分ができはじめた。
「やだ、きも!やめっ!やだっ」
 少しの端切れが残るだけになっている柊也を脚をぐいっと開かされ、フリーズしたままになっているルナールの尻尾がブワッと膨らんだ。
 硬さのまるで無いイチモツをゲルが持ち上げ、双丘の間にある蕾を撫でられた感触を感じ、柊也が悲鳴をあげた。悲痛な声が聞こえたと同時にルナールがブレスレットの中から真っ黒い影の様な見た目をした短剣を抜き出し、瞬時にスライムとの距離を詰める。風が吹き抜けたのかと思う程の速度で前に立つと、一切の躊躇無くピンク色のスライムを切り捨てた。側に居たままになっていた別の個体も全て倒し、周囲の魔物をルナールが一掃する。柊也の長剣が地面に落ち、カランッと音をたてた瞬間、ルナールが跪いて柊也をギュッと抱き締めた。
「大丈夫ですか?トウヤ様」
 後頭部を撫で、柊也の震える体をルナールが強く抱き締める。イヤラシイ姿をバッチリ真正面から見たせいで、ルナールの下半身はかなりヤバイ状態になっており、情けない事に腰は引けている。
「だ、大丈夫じゃ無い!な、中が気持ちわ…… 」
「なか?」
「お尻の…… 」
 恥ずかし過ぎて、柊也が言葉を詰まらせた。
「あ、あぁ。あのスライムは発情してしまいましたからね。トウヤ様と子供を作ろうとしたのでしょう」
「……はつじょう?子供?」
「ダメですよ?あんな事をスライムにやっては。些細なことで惚れて、すぐに孕ませようとする魔物なんですから」

「なんのエロゲー設定ですか!」

 先に言って欲しかったぁぁぁ!と思いながら、ルナールの服の袖に柊也がしがみつく。数時間前にもらったばかりだというのに服はもう使い物になりそうに無いし、ほぼ全裸に近い姿を早くどうにかしたい。
 ウネグに対し申し訳ないやら、体が気持ち悪いままやらでどうしていいのか困っていると、ルナールが深緑の長いマント脱ぎ、地面にバッと広げた。
「私がかき出しますので横になって下さい」
「嫌です!」
 考える間も無く、柊也が首を横に振って即座に断る。
「んー…… では、このままで」
 正面からルナールにすがりついている柊也のお尻まで手を伸ばし、必要もないのに双丘を撫でる。バッと離れようとした柊也の胴を片腕で抱きとめ、逃げられないように固定した。
「な、何してんの⁈」
 真っ赤な顔で柊也がルナールの顔を見上げた。
「このままでは孕んでしまいますよ?」
「僕、男ですよ?しかもそ、そこってお尻だよね?」
「魔物相手ですからね、誰だろうと不思議な作用で孕んでしまうんですよ。理由は不明です、私は研究者ではないですから詳しくは知りません。種族繁栄の為に魔物達が身に付けた能力なのかな?くらいでしか認識していないので。でもまぁ、同性でも孕めるのは何も魔物だけの話では無いのですけどね」
「そ、そんなぁぁぁぁ」
 ルナールが柊也の蕾にそっと触れると、スライムの発情効果のせいでソコはとても柔らかくなっており、解す必要も無く指が入った。温かいやら狭くてゾクゾクするわで、ルナールの顔がニヤケてしまう。それを隠すように柊也の髪に顔を埋め、ルナールは彼の体内からゆっくりゲル状のものをかき出し始めた。
「うあっ、やだ、何これっ」
 逞しい胸に抱かれ、蕾の中を指で擦られる感触に柊也の体がビクンビクンッと何度も跳ねる。中で指が動くたびに下っ腹が疼き、下腹部がくんっと持ち上がる。体内に何か入り込んでいるかもしれなくって怖いのに、そんな箇所が反応してしまった事に柊也は驚いた。
「あ、あぁ、あ…… どうしよ、どぅ…… 」
 体温が上がって肌がしっとりしだした柊也の姿を前に、ルナールの呼吸が乱れる。頭部のキツネ耳はピンッと立ち、尻尾がブンブンと揺れているが、柊也にはそれを認識する余裕が無い。
 体から力が抜け、膝立ちしたままでいられない。完全にルナールを頼り切った状態だ。
 柊也の中に少し硬さを感じた場所を見付け、ルナールが興味本位その箇所を指先で擦った。もう体内にスライムのゲルは残っておらず、この後処理を止めるべきなのに手が止まらない。
「ひゃんっ!な、何今の⁈っえ?」
 口が大きく開き、柊也が浅い呼吸を繰り返す。端からは唾液が垂れ落ち、腰が緩やかに揺れている。瞳がとろりと溶けて、快楽に堕ちた顔をしているが、ルナールは敢えてその様を見ないようにした。我慢がきかず、喰い物にしてしまうだろうと予測出来ているからだ。
「もう少し、もう少しだけ……」
 指を二本に増やし、柊也の前立腺を刺激する。森の中で嬌声をあげ、目的も忘れて淫猥に腰をくねらせる柊也の匂いをルナールがクンクンと何度も嗅ぐ。
「で、出ちゃ……や、ダメ……」
「良いんですよ。むしろ出さないと」
 柊也の小さな体を抱き上げ、先程から引きっぱなしのままにしてあったマントの上にそっと寝かせる。仰向けになり、溶けた顔のままあられもなく細い脚を開脚しているが柊也の頭の中は真っ白で、恥ずかしいだ何だと言える知性すら今は無い様だ。
 ギンギンに滾る怒張から蜜が垂れ出し快楽を求めてひくひくと震えている。中に入るルナールの指は相変わらず前立腺ばかりを攻め続け、柊也はひっきりなしに喘ぎ声をあげた。
「辛そうですね、私が手伝いましょう」
「へ?そ、ソコは、無関係じゃ——」
「いいえ。こちらにもゲルが入ったかもしれませんから!」
 言うが同時にルナールが柊也の怒張を大きな手で握り、容赦無く擦り始めた。雑な息遣いが彼のモノにかかり、柊也が甘い声をあげて背を反らす。
「やだ、ダメッ、もうで、出るぅ!」
 中を散々かき回されていたせいか柊也はあっさりと吐精し、勢いよくルナールの顔に白濁液がかかった。ルナールはゆっくりとした動きで柊也のくたりと力の無くなっていくモノから手を離し、蕾から指を引き抜く。頰にかかった白濁液を指差し指の背で拭うと、少しだけペロリと舐めた。
 達してしまった余韻がなかなか冷めず、柊也は腕を目元に当ててグッタリとしている。肩で息をし、脚は開脚したままだ。汗や涙やゲルの残りで身体中が気持ち悪く、孕む心配が無くなったかどうかも心配だった。
 怠い体を無理やり起こし、体育座りみたいな姿勢になる。柊也が周囲を観ると、ルナールが大きな鞄を二つ抱えて彼の元へ戻って来る所だった。
 どんっと地面に鞄を置いたルナールに向かい、柊也が「あの……」と声をかける。
「ん?」
 声に気が付いたルナールが、自身の下腹部が柊也には見えない様にしながら、側にしゃがんだ。
「取れた?スライムの……ヤバイやつ、全部」
「……あ、えぇ。心配いりませんよ。全てかき出しましたし、陰茎内に入り込んでいたかもしれないモノも全部出せたので、初日でいきなり魔物のお母さんにはならずに済みましたね」
「よ、よかったぁぁぁぁぁ」
 膝に顔を伏せ、柊也が安堵の息をもらした。
 徐々に冷静になり始め、『緊急処置だったとはいえ、やり過ぎだ!』と怒られるのでは?とヒヤヒヤしていたルナールが、肩透かしを食らった気分になっている。そもそも、もっと早くルナールが助けていれば起きないで済んだトラブルだ。なかなか見られない貴重なシーンに魅入っている隙に事態が悪化し、ルナールにとっては美味しい結果になったが、罪悪感はもちろんあった。
「トウヤ様、体をお拭きしますね。着替えはこちらに」
 鞄の中から服を一式取り出し、乾いたタオルを一枚手に持つ。水筒に入れてある飲み水でそのタオルを濡らすと、柊也の体をルナールが拭き始めた。
「自分でやるよ」
 手を伸ばしタオルを柊也が取ろうとしたが、力が入らず奪えない。そもそもルナールに渡す気がないので取れるはずが無かった。
 ぼぉとし、柊也の目がまだちょっとトロンとしている。諦めてされるがままになっている柊也の身支度を、ルナールが素早く済ませていく。
「終わりましたよ。では村に急いで向かいますか」
 一番大きな荷物を背負い、着替えの終わった柊也が立ち上がるのを、ルナールが手伝う。地面に落ちたままになっている長剣を回収し、土で汚れたマントを柊也の鞄詰め込むと、それを腕に引っ掛けた。
 力無く立っている柊也をルナールが抱え上げて、抵抗される事無く村に続く道のある方へと歩き出す。疲労からか、瞼の落ち始めた柊也の顔を見てルナールは、初日からこれだと、楽しい旅路になりそうだなと笑顔になった。
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