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【最終章】
【第七話】帰還への努力②(雨宮七音・談)
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商店街から早々に抜け出し、昼間と同じ様に裏道を選んで進み、元々はアパートのあった空き地の前まで辿り着いた。此処に来るまでの間に少しだけ遠回りをしてちょっとした仕掛けも施して来たし、体制は万全のはずだ。道中ででもいいからヴァイスからの返事がこないかと期待していたのだが、結局返事は無かった。竜紀と何かあって手が離せないとか、そんな感じなのだろうからもう諦める事に。
更地になっているアパート跡地の前に立ち、ごくりと息を飲み込む。心臓はバクバクと煩く騒いでいるが、頭の中はそこそこ冷静だ。この体調不良が重なっていなければもっと集中出来るのだが…… 残念ながら、体調は悪化の一途を辿っている。そのせいか焦りが心を急きたてた。
「さて、始めますか」
ぐっと拳を握り、前を見据えた。魔法の結界は目で捉える事が出来ず、私の前には今何も無い様に見えるが、確かに存在しているのだから早々に仕留めてやる。
震える腕をなんとか前にかざし、両手を大きく広げる。相当強度の高い結界だが、今の力量ならば時間を掛ければ解けない事は無いはずだ。だが急がないと、“ヨミガエリ”が魔法を使う時に発せられる特有の甘い匂いに釣られて獣人型がやって来るかもしれないからのんびりもしていられないのが現実だ。
「大丈夫、大丈夫だよ、焦らずに…… でも急ごう」
意を決し、結界の解除魔法の術式を展開させ始めた。と同時に、此処まで来る道中に仕掛けて来たちょっとした罠が発動した事を私に知らせる機械の通知音にも似た音が耳元で聞こえた。
「良かった、上手くいったんだ」
今よりも少し前の事。帰還魔法の術式がなかなか思い付かず、あーだこーだと悪戦苦闘している期間に、実はこっそり、この周囲にばら撒いて来た物をコツコツ作っていた。
それは、“ヨミガエリ”が魔法を使った時に発してしまう匂いと似た香りを発生させる魔法具である。
木を隠すなら森の中ってやつだ。残念な事に、獣人型の嗅覚を持ってしても何故か完全再現は出来なかった。その理由はわからないが…… でもまぁ、限りなく類似した物は何とか作れたし、短時間だったら充分騙せるだろう。少なくとも時間稼ぎくらいにはなるはずだ。
「それじゃあ」と安堵しながらこぼし、解除魔法の展開速度と魔力を強める。そのせいなのか一層甘い匂いの量が増した気がするが、それに合わせて罠の方もちゃんとより一層引き寄せる香りを増しているはずだ。だから大丈夫、此処は安全だと自分に言い聞かせ、丁寧に結界を解除し続けた。
五分程度は経過しただろうか。
無事、空き地を取り囲んでいた結界の解除に成功した。その途端、全身からどっと汗が吹き出す。どうやら自覚していた以上に緊張していたみたいだ。
大丈夫だろうか?と周囲を見渡したが、この付近はまだ静まり返ったままなので位置は特定されていないっぽい。だが、少し遠くの方では武器同士がぶつかる感じの物騒な音が聞こえ始めているので先を急いだ方が良さそうだ。
「この辺がいいかな」
実家の裏手であるはずの場所に立ち、息を呑む。上手くいくだろうか?と不安が過ぎったが、此処まできてしまったのだからやるしかない。
元の世界に帰りたい。
この一心だけで手順を探してきたのに、術式を展開しようとした瞬間…… エルナトとクルスの顔がふと頭に浮かび、手が止まった。
私には過分な褒め言葉。挨拶みたいに何度もしてくるプロポーズ。たっぷりと甘やかしてくれる日々の生活。ほっと安堵の息をつける穏やかな時間の流れ。給料分の仕事をさせてくれないと拗ねる事は沢山あったけど、休める時間の多さは正直とってもありがたいものだった。
——と当時に、実家での生活も同時に浮かんでくる。
疲れたと思う時間すらも惜しいくらいに目まぐるしい生活リズム。家事、育児、介護、勉強、宿題、先生の手伝いや委員会の仕事。あの日々がこの先に待っているのだと思った瞬間、心の中に迷いが生まれた。
「…… 帰るの。ダメだよ、帰らないと、私は…… お姉ちゃんなんだから」
弟妹達の顔を思い出し、心を奮い立たせる。
甘えるな、私は長女だ。守らないと、育てないと、両親を助けないと。じゃないと誰があの子達の面倒を見るの?忙しい両親達の代わりが出来るのは長女である私と、すぐ下の弟である一雅と、その下の双葉と三葉の双子くらいなものだが、彼らだけではまだ重荷過ぎる。私ありきの生活リズムだったのだから、今頃すごく苦労しているに違いない。…… あんな大変な思いは、弟妹達にはさせたくない。
苦労するのは、私だけでいい。
自分は相当疲弊していたんだなと、改めて思う。じゃないとこの若さでいきなり倒れないっか。
「長い休暇は今日で終わりか。夢みたいな日々だったから、一生に一度のバカンスとしては最高だよね」
ふふっと笑い、瞳をゆっくりと閉じる。平々凡々を絵に描いた様な私ではイケメン二人との甘い新婚生活を疑似体験が出来る機会なんてこの先二度とこない。正直手放し難さはあれど、それでも私は帰還魔法の術式を空中に展開し始めた。
過保護な二人の目を掻い潜って、もう一度一人になれる機会はまず無いだろう。バレたら一層彼等の過保護っぷりが加速するはずだ。
失敗は許されない。なので私はまず、帰還魔法の術式だけを空中に描き、魔力は入れない方法を取る事にした。これなら下書きを描いているだけみたいなものなので、魔力は必要無い。そのおかげで固有の甘い匂いが発生しないのだ。急がないといけない状況下にある事には変わりないが、それでもゆっくり展開する余裕が多少は生まれるので、一言一句間違えずに描き進めていく事が出来る。
気持ちを切り替えるためにと閉じた瞼をゆるりと開き、空中の術式を確認していく。…… 間違いは、うん、大丈夫そうだ。あとは、鬼が出るか蛇が出るか。合っている自信はあるが、ヴァイスに答え合わせをしてもらえていないため確信は無いから、どうしたって過度に緊張してしまう。
「や、やったるで!」
なんか弟が読んでいた漫画で主人公が言っていた気がする台詞を口にしてみたのだが、ちょっと後悔した。私には合わなさ過ぎる!
でもまぁ、誰も傍に居なくて良かったと安堵しつつ、私は術式の下書きに魔力を流し始めた。
あと少し、もう少し。
半透明だった術式が徐々に光を帯びていく様子は絶景そのものだ。我ながら惚れ惚れする光景だが、見惚れている時間は無い。攻撃音が近づいてきている気がするので、獣人型の者達がすぐにでもこの魔力の光に気が付くかもしれないこの状況は危険以外に何物でも無いのだ。
心臓が最高潮にバクッバクッと跳ねている。ショックで倒れてしまいそうなレベルだ。なのに……
帰れる!と期待感が生まれないのは何故なんだろうか?
頭を軽く横に振って、不安を拭い捨てる。
「今、帰るからね…… 」
まだ弟妹達には聞こえるわけも無いのに小さな声で口にする。あと数秒程度で魔力が流れ終わり、術式の完成だ。——そう思っていたのに、何故か魔力の流れが強制的にピタリと止まり、私の体にビリッと微力の電撃が突如走った。
「——んあっ!」
急な事に驚きつつ、微弱な刺激のせい…… なのか、妙に艶のある変な声が出たと同時に膝から地面へと崩れる。
何?何が起きたの?訳が分からず周囲を見渡そうとしたら、私が展開していた術式に対し、一枚の羊皮紙が貼られたみたいになっている事に気が付いた。
「…… 魔法、契約書?」
見覚えのある書式の下には私の名前と、“エルナト・カストル”の名が書かれている。
あぁ…… やってしまった。失敗した。
現場での対応以前に、まず真っ先に私はあの雇用契約書を破棄すべきだったのか。そうしないと、そもそも自分は元の世界には帰れなかったのかと今更思い至ったが、後の祭りだ。どんなに頑張って頭を使っても、あと一歩、発想力と要領の良さが足りないせいでいつも上手くいかない。そんな自分に嫌気が差してきた。
「契約違反行為ですよ、七音」
聞き慣れた声が不意に背後から聞こえ、ビクッと体が跳ねる。しかも、“ナナリー”ではなく、“七音”と本名で呼ばれた気がするのは気のせい、だろうか?
「『本の読み聞かせ』『添い寝』『雇用主の淹れたお茶を飲む』『出された料理を食べる』『肩揉み』などをするって、僕とそう契約しましたよね?勝手に帰還したら、僕と離れ離れになっちゃうじゃないですか。コレって、立派な違反行為ですよ?七音」
ニコッと微笑む顔が逆に怖い。そのせいか体が勝手にガタガタと震え出した。
「さて、家でじっくり言い訳でも聞かせてもらいましょうか」
見下ろすみたいな視線を向けられてゾクッと背筋が凍った。体が上手く動かず、口も回らないせいで言い訳なんかも出てきやしない。
一刻も早くこの場から逃げたほうがいい。
そんな考えが頭の隅に浮かんだが、エルナトと共に来ていたクルスに体を横抱きに抱え上げられてしまい、完全に退路を塞がれてしまった。
「お仕置き、覚悟しておこうな」
クルスに優しい声色で言われても恐怖感は拭えない。
結局私は何も出来ないまま、一瞬のうちに魔装具店へ連れ戻されてしまった。
更地になっているアパート跡地の前に立ち、ごくりと息を飲み込む。心臓はバクバクと煩く騒いでいるが、頭の中はそこそこ冷静だ。この体調不良が重なっていなければもっと集中出来るのだが…… 残念ながら、体調は悪化の一途を辿っている。そのせいか焦りが心を急きたてた。
「さて、始めますか」
ぐっと拳を握り、前を見据えた。魔法の結界は目で捉える事が出来ず、私の前には今何も無い様に見えるが、確かに存在しているのだから早々に仕留めてやる。
震える腕をなんとか前にかざし、両手を大きく広げる。相当強度の高い結界だが、今の力量ならば時間を掛ければ解けない事は無いはずだ。だが急がないと、“ヨミガエリ”が魔法を使う時に発せられる特有の甘い匂いに釣られて獣人型がやって来るかもしれないからのんびりもしていられないのが現実だ。
「大丈夫、大丈夫だよ、焦らずに…… でも急ごう」
意を決し、結界の解除魔法の術式を展開させ始めた。と同時に、此処まで来る道中に仕掛けて来たちょっとした罠が発動した事を私に知らせる機械の通知音にも似た音が耳元で聞こえた。
「良かった、上手くいったんだ」
今よりも少し前の事。帰還魔法の術式がなかなか思い付かず、あーだこーだと悪戦苦闘している期間に、実はこっそり、この周囲にばら撒いて来た物をコツコツ作っていた。
それは、“ヨミガエリ”が魔法を使った時に発してしまう匂いと似た香りを発生させる魔法具である。
木を隠すなら森の中ってやつだ。残念な事に、獣人型の嗅覚を持ってしても何故か完全再現は出来なかった。その理由はわからないが…… でもまぁ、限りなく類似した物は何とか作れたし、短時間だったら充分騙せるだろう。少なくとも時間稼ぎくらいにはなるはずだ。
「それじゃあ」と安堵しながらこぼし、解除魔法の展開速度と魔力を強める。そのせいなのか一層甘い匂いの量が増した気がするが、それに合わせて罠の方もちゃんとより一層引き寄せる香りを増しているはずだ。だから大丈夫、此処は安全だと自分に言い聞かせ、丁寧に結界を解除し続けた。
五分程度は経過しただろうか。
無事、空き地を取り囲んでいた結界の解除に成功した。その途端、全身からどっと汗が吹き出す。どうやら自覚していた以上に緊張していたみたいだ。
大丈夫だろうか?と周囲を見渡したが、この付近はまだ静まり返ったままなので位置は特定されていないっぽい。だが、少し遠くの方では武器同士がぶつかる感じの物騒な音が聞こえ始めているので先を急いだ方が良さそうだ。
「この辺がいいかな」
実家の裏手であるはずの場所に立ち、息を呑む。上手くいくだろうか?と不安が過ぎったが、此処まできてしまったのだからやるしかない。
元の世界に帰りたい。
この一心だけで手順を探してきたのに、術式を展開しようとした瞬間…… エルナトとクルスの顔がふと頭に浮かび、手が止まった。
私には過分な褒め言葉。挨拶みたいに何度もしてくるプロポーズ。たっぷりと甘やかしてくれる日々の生活。ほっと安堵の息をつける穏やかな時間の流れ。給料分の仕事をさせてくれないと拗ねる事は沢山あったけど、休める時間の多さは正直とってもありがたいものだった。
——と当時に、実家での生活も同時に浮かんでくる。
疲れたと思う時間すらも惜しいくらいに目まぐるしい生活リズム。家事、育児、介護、勉強、宿題、先生の手伝いや委員会の仕事。あの日々がこの先に待っているのだと思った瞬間、心の中に迷いが生まれた。
「…… 帰るの。ダメだよ、帰らないと、私は…… お姉ちゃんなんだから」
弟妹達の顔を思い出し、心を奮い立たせる。
甘えるな、私は長女だ。守らないと、育てないと、両親を助けないと。じゃないと誰があの子達の面倒を見るの?忙しい両親達の代わりが出来るのは長女である私と、すぐ下の弟である一雅と、その下の双葉と三葉の双子くらいなものだが、彼らだけではまだ重荷過ぎる。私ありきの生活リズムだったのだから、今頃すごく苦労しているに違いない。…… あんな大変な思いは、弟妹達にはさせたくない。
苦労するのは、私だけでいい。
自分は相当疲弊していたんだなと、改めて思う。じゃないとこの若さでいきなり倒れないっか。
「長い休暇は今日で終わりか。夢みたいな日々だったから、一生に一度のバカンスとしては最高だよね」
ふふっと笑い、瞳をゆっくりと閉じる。平々凡々を絵に描いた様な私ではイケメン二人との甘い新婚生活を疑似体験が出来る機会なんてこの先二度とこない。正直手放し難さはあれど、それでも私は帰還魔法の術式を空中に展開し始めた。
過保護な二人の目を掻い潜って、もう一度一人になれる機会はまず無いだろう。バレたら一層彼等の過保護っぷりが加速するはずだ。
失敗は許されない。なので私はまず、帰還魔法の術式だけを空中に描き、魔力は入れない方法を取る事にした。これなら下書きを描いているだけみたいなものなので、魔力は必要無い。そのおかげで固有の甘い匂いが発生しないのだ。急がないといけない状況下にある事には変わりないが、それでもゆっくり展開する余裕が多少は生まれるので、一言一句間違えずに描き進めていく事が出来る。
気持ちを切り替えるためにと閉じた瞼をゆるりと開き、空中の術式を確認していく。…… 間違いは、うん、大丈夫そうだ。あとは、鬼が出るか蛇が出るか。合っている自信はあるが、ヴァイスに答え合わせをしてもらえていないため確信は無いから、どうしたって過度に緊張してしまう。
「や、やったるで!」
なんか弟が読んでいた漫画で主人公が言っていた気がする台詞を口にしてみたのだが、ちょっと後悔した。私には合わなさ過ぎる!
でもまぁ、誰も傍に居なくて良かったと安堵しつつ、私は術式の下書きに魔力を流し始めた。
あと少し、もう少し。
半透明だった術式が徐々に光を帯びていく様子は絶景そのものだ。我ながら惚れ惚れする光景だが、見惚れている時間は無い。攻撃音が近づいてきている気がするので、獣人型の者達がすぐにでもこの魔力の光に気が付くかもしれないこの状況は危険以外に何物でも無いのだ。
心臓が最高潮にバクッバクッと跳ねている。ショックで倒れてしまいそうなレベルだ。なのに……
帰れる!と期待感が生まれないのは何故なんだろうか?
頭を軽く横に振って、不安を拭い捨てる。
「今、帰るからね…… 」
まだ弟妹達には聞こえるわけも無いのに小さな声で口にする。あと数秒程度で魔力が流れ終わり、術式の完成だ。——そう思っていたのに、何故か魔力の流れが強制的にピタリと止まり、私の体にビリッと微力の電撃が突如走った。
「——んあっ!」
急な事に驚きつつ、微弱な刺激のせい…… なのか、妙に艶のある変な声が出たと同時に膝から地面へと崩れる。
何?何が起きたの?訳が分からず周囲を見渡そうとしたら、私が展開していた術式に対し、一枚の羊皮紙が貼られたみたいになっている事に気が付いた。
「…… 魔法、契約書?」
見覚えのある書式の下には私の名前と、“エルナト・カストル”の名が書かれている。
あぁ…… やってしまった。失敗した。
現場での対応以前に、まず真っ先に私はあの雇用契約書を破棄すべきだったのか。そうしないと、そもそも自分は元の世界には帰れなかったのかと今更思い至ったが、後の祭りだ。どんなに頑張って頭を使っても、あと一歩、発想力と要領の良さが足りないせいでいつも上手くいかない。そんな自分に嫌気が差してきた。
「契約違反行為ですよ、七音」
聞き慣れた声が不意に背後から聞こえ、ビクッと体が跳ねる。しかも、“ナナリー”ではなく、“七音”と本名で呼ばれた気がするのは気のせい、だろうか?
「『本の読み聞かせ』『添い寝』『雇用主の淹れたお茶を飲む』『出された料理を食べる』『肩揉み』などをするって、僕とそう契約しましたよね?勝手に帰還したら、僕と離れ離れになっちゃうじゃないですか。コレって、立派な違反行為ですよ?七音」
ニコッと微笑む顔が逆に怖い。そのせいか体が勝手にガタガタと震え出した。
「さて、家でじっくり言い訳でも聞かせてもらいましょうか」
見下ろすみたいな視線を向けられてゾクッと背筋が凍った。体が上手く動かず、口も回らないせいで言い訳なんかも出てきやしない。
一刻も早くこの場から逃げたほうがいい。
そんな考えが頭の隅に浮かんだが、エルナトと共に来ていたクルスに体を横抱きに抱え上げられてしまい、完全に退路を塞がれてしまった。
「お仕置き、覚悟しておこうな」
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