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おまけのお話(※ラブコメ成分強めです※)
恋する乙女の空回り〜再び〜
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『冬季間の鳩みたいで可愛い』などと言われた日から数日後。
桜子は持ち前の心の強さで、何とか回復を果たし、次の作戦を練っていた。またまたベッドにペタンと座り、スケッチブックを手に持って、ああしてはどうか、こうしてはどうかと書いては消してを繰り返している。
「そのそも、私が愛玩物などではなく、一人の女性であると認識させるというお題に無理があるわ…… 」
記憶が無いからなのか、はたまた最初から知らないのか。何時間費やそうとサッパリ男性を誘惑する方法というものが思い付かない。胸くらいしかそもそも男女の差などわからず、それで駄目ならもう、料理洗濯などの家事力アピールくらいしか思い当たらなかったのだが、それらは今でもまだやらせてもらえないので早々に除外した。掃除だけはこの部屋を出なくても出来るからと許してもらえたが、それでは自分の部屋が快適になるだけで、魅惑的な誘惑行為からは程遠かった。
「…… 脚なら、どうだろう?」
はっと思い付き、自分の脚を見る。普段穿いているスカートはどれも膝下で太ももが見えていない。普段隠れている場所が見えるというのは、もしかしたらアピールになり、異性であると意識してもらえるのでは無いだろうか?
「こ、これだ!次はこれでいきましょう」
考え過ぎて煮詰まった脳味噌がやっと出した比較的にまともな作戦だったからか、桜子はこれこそが最適解に思えてきた。
「よいしょっと」と言いながら、ベッドから降りてスカートを軽く持ち上げる。さて、どうやって脚を出そうか。ここにはハサミが無いので裾を切って短くする事は出来ない。そもそも高そうなスカートなのでそんな事はしたくもない。
ならば「折るしかないかな?」と呟き、スカートのウエスト部分を内側に折り込んでいく。上の服を重ねれば、膨らんで不格好担ってしまう部分は何とか隠せそうだ。
問題は、どこまで脚を見せるかだ。あまりに持ち上げ過ぎてはショーツが見えてしまって自分の方が恥ずかしい。それは無理だ。そこまでは…… 自分からでは無くて、出来ればハクの方から求めて頂きたい。
「座っていてもショーツは見えなくて、でも太腿がしっかり出るラインをっと。…… このくらい、かな?」
膝と脚の付け根の丁度中間辺りまで、桜子はスカートを折ってみた。スッとした真っ白な素肌が惜しみなく晒され、自分でやってしまった後でカッと頰が赤くなる。
「こ、ここここ、ここまでやれば…… 流石に、ハクさんも私にノックアウトされてくれないかな」
ちょっと恥ずかしさで動揺しつつも、室内にある鏡の前でくるんと回る。大胆過ぎる気がするが、もう後戻りをする気は全く無かった。
◇
「やぁ、僕の小鳥。お昼ご飯が出来たから持って来たよ」
どうやらお昼時になったらしく、ハクが食事を持って桜子の部屋に入って来た。
「今日はサンドイッチにしてみたんだけど、問題ないかな?夜のリクエストがあれば言ってね。桜子のお願いであれば、何だって作るか——」
ハクの言葉が途中で途切れ、一瞬体が硬直した。
視線は確実にベッドの上でペタンと座り、スカートがギリギリまで捲れ上がっている桜子の太腿に釘付けになっている。
「…… えっと、ハクさん?」
照れ臭い気持ちを押し殺しながら、桜子がハクに声をかけた。
「あぁ、ごめんね。ちょっとびっくりしたもんだから」
彼の顔色が変わった気配は無かったが、驚かせる事は出来たみたいだ。だが桜子は別にハクを驚かしたかった訳ではないので嬉しくはない。いっそ『白くて綺麗でとても可愛い脚だね』と言って、素肌に直接触れてくれるくらいのことくらいをしてくれてもいいのだが…… 残念ながらそんな気配が無い。
持っていたトレーをテーブルに置き、ハクが室内にあるクロークの方へ無言のまま足を向ける。そして中からブランケットを一枚取り出すと、桜子の元へ戻って膝の上にさっと掛けた。
(あれ?ハクさんの対応がオカンだ!)
「女性が脚を冷やすのは良くないよ。もしかして、この部屋が暑かったのかな?」
室温も湿度も適温そのものなので、「いいえ、大丈夫です」と言って、桜子が首を横に振る。発言内容まで完全に保護者のもので、どうやらこの作戦も完璧に的外れだったみたいだ。
「そうなの?良かった。じゃあご飯にしようか」
「は、はい」
今日も今日とて食事を食べさせてもらいながら、桜子は『明日は着物で脚を見せてみようかな?驚くって事は、多少はハクさんを揺さぶれたって事だものね』と、ポジティブに現状を受け止め、作戦を再構築していたのだった。
【終わり】
桜子は持ち前の心の強さで、何とか回復を果たし、次の作戦を練っていた。またまたベッドにペタンと座り、スケッチブックを手に持って、ああしてはどうか、こうしてはどうかと書いては消してを繰り返している。
「そのそも、私が愛玩物などではなく、一人の女性であると認識させるというお題に無理があるわ…… 」
記憶が無いからなのか、はたまた最初から知らないのか。何時間費やそうとサッパリ男性を誘惑する方法というものが思い付かない。胸くらいしかそもそも男女の差などわからず、それで駄目ならもう、料理洗濯などの家事力アピールくらいしか思い当たらなかったのだが、それらは今でもまだやらせてもらえないので早々に除外した。掃除だけはこの部屋を出なくても出来るからと許してもらえたが、それでは自分の部屋が快適になるだけで、魅惑的な誘惑行為からは程遠かった。
「…… 脚なら、どうだろう?」
はっと思い付き、自分の脚を見る。普段穿いているスカートはどれも膝下で太ももが見えていない。普段隠れている場所が見えるというのは、もしかしたらアピールになり、異性であると意識してもらえるのでは無いだろうか?
「こ、これだ!次はこれでいきましょう」
考え過ぎて煮詰まった脳味噌がやっと出した比較的にまともな作戦だったからか、桜子はこれこそが最適解に思えてきた。
「よいしょっと」と言いながら、ベッドから降りてスカートを軽く持ち上げる。さて、どうやって脚を出そうか。ここにはハサミが無いので裾を切って短くする事は出来ない。そもそも高そうなスカートなのでそんな事はしたくもない。
ならば「折るしかないかな?」と呟き、スカートのウエスト部分を内側に折り込んでいく。上の服を重ねれば、膨らんで不格好担ってしまう部分は何とか隠せそうだ。
問題は、どこまで脚を見せるかだ。あまりに持ち上げ過ぎてはショーツが見えてしまって自分の方が恥ずかしい。それは無理だ。そこまでは…… 自分からでは無くて、出来ればハクの方から求めて頂きたい。
「座っていてもショーツは見えなくて、でも太腿がしっかり出るラインをっと。…… このくらい、かな?」
膝と脚の付け根の丁度中間辺りまで、桜子はスカートを折ってみた。スッとした真っ白な素肌が惜しみなく晒され、自分でやってしまった後でカッと頰が赤くなる。
「こ、ここここ、ここまでやれば…… 流石に、ハクさんも私にノックアウトされてくれないかな」
ちょっと恥ずかしさで動揺しつつも、室内にある鏡の前でくるんと回る。大胆過ぎる気がするが、もう後戻りをする気は全く無かった。
◇
「やぁ、僕の小鳥。お昼ご飯が出来たから持って来たよ」
どうやらお昼時になったらしく、ハクが食事を持って桜子の部屋に入って来た。
「今日はサンドイッチにしてみたんだけど、問題ないかな?夜のリクエストがあれば言ってね。桜子のお願いであれば、何だって作るか——」
ハクの言葉が途中で途切れ、一瞬体が硬直した。
視線は確実にベッドの上でペタンと座り、スカートがギリギリまで捲れ上がっている桜子の太腿に釘付けになっている。
「…… えっと、ハクさん?」
照れ臭い気持ちを押し殺しながら、桜子がハクに声をかけた。
「あぁ、ごめんね。ちょっとびっくりしたもんだから」
彼の顔色が変わった気配は無かったが、驚かせる事は出来たみたいだ。だが桜子は別にハクを驚かしたかった訳ではないので嬉しくはない。いっそ『白くて綺麗でとても可愛い脚だね』と言って、素肌に直接触れてくれるくらいのことくらいをしてくれてもいいのだが…… 残念ながらそんな気配が無い。
持っていたトレーをテーブルに置き、ハクが室内にあるクロークの方へ無言のまま足を向ける。そして中からブランケットを一枚取り出すと、桜子の元へ戻って膝の上にさっと掛けた。
(あれ?ハクさんの対応がオカンだ!)
「女性が脚を冷やすのは良くないよ。もしかして、この部屋が暑かったのかな?」
室温も湿度も適温そのものなので、「いいえ、大丈夫です」と言って、桜子が首を横に振る。発言内容まで完全に保護者のもので、どうやらこの作戦も完璧に的外れだったみたいだ。
「そうなの?良かった。じゃあご飯にしようか」
「は、はい」
今日も今日とて食事を食べさせてもらいながら、桜子は『明日は着物で脚を見せてみようかな?驚くって事は、多少はハクさんを揺さぶれたって事だものね』と、ポジティブに現状を受け止め、作戦を再構築していたのだった。
【終わり】
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