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第四章
【第二話】瀬田のお友達とワタシ②
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「…… 美味いな」
「本当ですか?ありがとうございます!」
キッチンスペースにある対面式のカウンターテーブルに並ぶウルカの手料理を口にして、瀬田が驚いた顔をした。人外が作る料理となると、彼が読んだお話の世界ではゲテモノがぐちゃりと盛り付けられているものばかりだったので、見た目がまともだろうとも正直口に入れる瞬間は少し怖かったからだ。人外に会った事などコレが初めての経験だ、比較参照する事例が空想のモノとなるのは致し方の無いだろう。
「嬉しいです!お口に合って。好きじゃないならもう死んで詫びようと思っていたので、ホント良かったです」
ウルカがほっと胸を撫で下ろすと、瀬田の箸からボロッとおかずが落ちた。
「いやいや、詫び方!ソレはやり過ぎだろ」
「でも、ワタシにはそれくらいしか出来ないので…… 」
彼の真隣の席に座るウルカが、しゅんっと項垂れる。そんな彼女の髪をくしゃりと撫で、瀬田が優しく微笑んだ。
「そんな顔をするな、お前には笑っていて欲しいんだからな」
「…… は、はい!」
顔を真っ赤に染め、ウルカが頷いた。瀬田の優しい笑顔が心に染みる。
(押し掛け女房的行為をしてでも、彼に嫁いできて良かった!)
じーんっとウルカが一人感動している隣で、黙々と瀬田が手料理を平らげていく。ウルカはその姿をニコニコと笑いながら見ているだけだったので、「お前は食べないのか?」と瀬田が訊いた。
「まぁ一緒に食べられはしますけど、ワタシは瀬田さんの事が喰べられれば、ソレが最高の食事なので」
ウルカはサラッと普通の表情で言ったが、言われた側の瀬田は顔が真っ赤に染まった。
「…… そ、そうか」
「なので、沢山ご飯を食べて、体力つけて下さいね」
「…………」
ニコニコと微笑むウルカの顔から視線を逸らし、瀬田が食事を再開する。
『喰べるって…… アレだよなぁ。コイツはサキュバス、なんだし』と考えてしまう。黙々と朝食を咀嚼しながらも彼の顔はまだ赤いままで、カリカリに焼かれたベーコンを頬張りながら、頭の中は卑猥な妄想でいっぱいになっていく。
だがしかし、言った本人は淫猥な妄想を掻き立てる発言をしていた事に全く気が付いていない。そんなウルカが可愛いく感じ、瀬田は食事を続けながらも小さく笑った。
食事をする瀬田の姿をニコニコ顔で見詰めるウルカと、そんな彼女の様子を、瀬田がこそばゆい気持ちを抱えながらチラ見する。ほんわかとした空気が部屋を満たす中、瀬田のスマートフォンから突然着信音が流れ始めた。
「電話みたいですね」
「スマン、取ってもらえるか?」
座る椅子を半分回転させ、瀬田がウルカに向かい手を差し出す。
ウルカはカウンターテーブルの上を軽く見渡して、自分側に置かれたまま放置されていたスマートフォンを手に取ると、それをぽんっと彼の手の上にのせた。
「——もしもし」
画面をタップし電話に出る。画面に表示されていた名前を確認する事なく出たので、瀬田の声が少し固い。
『もしもーし!お前今どこにいんだよ!』
電話の主は水谷智一という、瀬田の大学生時代からの友人だった。
「…… 家、だが?」
『はぁ⁉︎何でまだ家にいんだよ、待ち合わせ時間過ぎてんぞ?』
「待ち合わせ?」
何のことだ?と不思議に思いながら瀬田が壁に貼っているカレンダーに目をやり、壁掛け時計に視線を移し、またカレンダーへと戻る。書き込んであった予定を見て、眉間にシワができた。
「…… すまん、完全に忘れてた」
はぁと深くため息を吐き、瀬田が目元を押さえて俯いた。
「本当ですか?ありがとうございます!」
キッチンスペースにある対面式のカウンターテーブルに並ぶウルカの手料理を口にして、瀬田が驚いた顔をした。人外が作る料理となると、彼が読んだお話の世界ではゲテモノがぐちゃりと盛り付けられているものばかりだったので、見た目がまともだろうとも正直口に入れる瞬間は少し怖かったからだ。人外に会った事などコレが初めての経験だ、比較参照する事例が空想のモノとなるのは致し方の無いだろう。
「嬉しいです!お口に合って。好きじゃないならもう死んで詫びようと思っていたので、ホント良かったです」
ウルカがほっと胸を撫で下ろすと、瀬田の箸からボロッとおかずが落ちた。
「いやいや、詫び方!ソレはやり過ぎだろ」
「でも、ワタシにはそれくらいしか出来ないので…… 」
彼の真隣の席に座るウルカが、しゅんっと項垂れる。そんな彼女の髪をくしゃりと撫で、瀬田が優しく微笑んだ。
「そんな顔をするな、お前には笑っていて欲しいんだからな」
「…… は、はい!」
顔を真っ赤に染め、ウルカが頷いた。瀬田の優しい笑顔が心に染みる。
(押し掛け女房的行為をしてでも、彼に嫁いできて良かった!)
じーんっとウルカが一人感動している隣で、黙々と瀬田が手料理を平らげていく。ウルカはその姿をニコニコと笑いながら見ているだけだったので、「お前は食べないのか?」と瀬田が訊いた。
「まぁ一緒に食べられはしますけど、ワタシは瀬田さんの事が喰べられれば、ソレが最高の食事なので」
ウルカはサラッと普通の表情で言ったが、言われた側の瀬田は顔が真っ赤に染まった。
「…… そ、そうか」
「なので、沢山ご飯を食べて、体力つけて下さいね」
「…………」
ニコニコと微笑むウルカの顔から視線を逸らし、瀬田が食事を再開する。
『喰べるって…… アレだよなぁ。コイツはサキュバス、なんだし』と考えてしまう。黙々と朝食を咀嚼しながらも彼の顔はまだ赤いままで、カリカリに焼かれたベーコンを頬張りながら、頭の中は卑猥な妄想でいっぱいになっていく。
だがしかし、言った本人は淫猥な妄想を掻き立てる発言をしていた事に全く気が付いていない。そんなウルカが可愛いく感じ、瀬田は食事を続けながらも小さく笑った。
食事をする瀬田の姿をニコニコ顔で見詰めるウルカと、そんな彼女の様子を、瀬田がこそばゆい気持ちを抱えながらチラ見する。ほんわかとした空気が部屋を満たす中、瀬田のスマートフォンから突然着信音が流れ始めた。
「電話みたいですね」
「スマン、取ってもらえるか?」
座る椅子を半分回転させ、瀬田がウルカに向かい手を差し出す。
ウルカはカウンターテーブルの上を軽く見渡して、自分側に置かれたまま放置されていたスマートフォンを手に取ると、それをぽんっと彼の手の上にのせた。
「——もしもし」
画面をタップし電話に出る。画面に表示されていた名前を確認する事なく出たので、瀬田の声が少し固い。
『もしもーし!お前今どこにいんだよ!』
電話の主は水谷智一という、瀬田の大学生時代からの友人だった。
「…… 家、だが?」
『はぁ⁉︎何でまだ家にいんだよ、待ち合わせ時間過ぎてんぞ?』
「待ち合わせ?」
何のことだ?と不思議に思いながら瀬田が壁に貼っているカレンダーに目をやり、壁掛け時計に視線を移し、またカレンダーへと戻る。書き込んであった予定を見て、眉間にシワができた。
「…… すまん、完全に忘れてた」
はぁと深くため息を吐き、瀬田が目元を押さえて俯いた。
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