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第二章

【第八話】『瀬田浩二』という名の災難⑧ (ウルカ・談)

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 はぁはぁと肩で息をしつつ、浩二さんの筋肉質な胸に縋りつく。シャワーを浴びていたからなのか汗なのか、水の滴る肌がひどく熱い。
「もう動いていいよな?」
「…… は、はい」
 イッたばかりではあるが、早く中に浩二さんのくれる快楽が欲しい。淫楽や歓楽ででワタシを満たし、もっと愛して欲しい。

 この刹那が延々に続けばいいと、浩二さんも…… 想って——

 力の入らない体を無理に動かし、彼の頰にキスをする。啄むようなキスをしながら、首筋や鎖骨、胸の先を小さな舌でなめていくと、浩二さんが息をを荒げながらワタシの腰を前後に揺すって膣壁を優しく擦り始めた。それにより、じんわりと感じる快楽が気持ちいい。

 浩二さんも、胸を舐められて気持ちいい?

 恐る恐る上に視線をやると、渋い顔と目が合ってしまい、ワタシは慌てて視線を逸らした。

 き、気持ちいいいのか、嫌なのかわからない。
 でも拒否はされていないから嫌いではないのかな?
 んー…… 困った。

 そう思っていると、ワタシの体を揺する動きが段々と早く、そして独りよがりなものに戻っていく。最果てを目指す激しい動きに翻弄され、ワタシからの愛撫が完全に中断させられる。
 腰を掴み、上下に揺すられ、脳髄に悦楽が響く。
「あぁぁ!うあ!ひゃんっ——」
 甘いというにはちょっと程遠い声が口から出てしまう。
 子宮までも彼の怒張で直接突かれるに近いくらい深い挿入を繰り返され、また絶頂が戻ってきた。胸の尖りが疼き、自分で触れてしまいたくなる。でも恥ずかしい、触れてももらいたい。仕方なくワタシは自ら浩二さんの逞しい上半身に体を擦りつけ、自分の胸の尖りを刺激してみた。
「自分から胸を擦るとか、いやらし過ぎだろ。何処で覚えてきたんだ?…… いや、言わないでくれ。知りたくもない」
 最後は吐き捨てるように言われ、穿つ動きが更に雑になる。それでも陰部が気持ちよくって、声が我慢出来ない。
「欲しいのか?気持ちいいか?好き、なんだろう?」

 好きです、浩二さんが好き、一目惚れです、愛してますって今なら断言出来ます!

「…… す、好きぃ」
 激しく体を揺さぶられてしまい、想っている事の全てをきちんと伝えられない。
「そう、だよな」
 はぁと息を吐かれてしまい、ちょっと胸の奥が痛くなった。ワタシの『好き』は喜んでもらえたんだろうか?と疑問がわく。
「まぁいい。据え膳は最後まで頂かないと、男の恥だしな」と浩二さんが言うと一心不乱に、彼が快楽に浸り、貪ってくれる。激しい動きと怒張の滾りがワタシの体の全てを支配し、翻弄する。そのせいで、目の前がまた真っ白になった。
「んあぁぁ!あ…… あぁ…… 」
 背を後ろに反らし、口がはしたなく開いて上手く呼吸が出来ない。何度も何度も彼から絶頂をもらったが、この快楽は段違いだった。
 浩二さんの怒張が、ワタシの中で弾けたのがわかる。白濁液が体に注がれ、子宮いっぱいに広がっていくような錯覚がワタシを満たす。
「くっ…… 」と短い呻き声をこぼし、浩二さんがワタシの頭に額を寄せる。
 陰部の中でヒクヒクと怒張が動き、全てを吐き出しているのを感じ、ワタシは恍惚としな眼差しで甘い吐息をそっとこぼした。
『あぁ…… この為にワタシは生まれたのね』と、ここまで実感出来る瞬間など今まで一度でもあっただろうか?いいや、無い。断言出来る。
 今この瞬間、ワタシはやっとサキュバスとして生まれた事を実感した。完璧に、完全に、魔力がワタシの体に充ち満ちる。彼と婚姻関係にある為もう不完全な身では無くなり、魔力効率も悪くなく、サキュバスとして概ね完全無欠の存在になれた。

 ならばもっと喜んでもらわないと。
 もっと好きになってもらって、愛を囁き合い、沢山沢山抱いてもらうのだ。この先の生の中心は、今までと違って抱き合う時間に重きをおかないと!

 その一心でワタシは姿を変幻させる方へ魔力を注いだ。子供のようだった体がジワジワと大きくなり、胸や腰つき、お尻のラインとが女性らしい凹凸の激しい姿へと変わる。顔立ちもセクシーに、唇だって林檎のような赤さを目指した。

「…… 浩二さん」

 姿に見合った美声で浩二さんの名を呼び、長い指先で頰に触れる。膣の中に入ったままである彼の怒張をキュッと意識して抱き締め、しっとりとした彼の唇に触れようとしたのだが——「降りろ」と、怒気のを孕んだ声で言われ、突然肩をグッと押されてしまった。
「…… え?」

「早く、俺から、降りろ」

「…… は、はい!」
 声も表情も、ちょっと怖い。
 ワタシは慌てて腰を上に持ちあげ、自分で陰部から浩二さんの怒張を引き抜いた。ずるっと抜き出たソレはもう硬さがあまりなく、くたりとしていて元気も無い。吐精したからなだけ、だとは思うが正直とても残念だ。
 もっと続きがしたかったなぁと思いながら立ち上がり、背筋を正して一歩下がる。
 すると浩二さんはワタシの方など目もくれず、シャワーを浴び始め、汗を流し終えると、さっさと浴室を出て行ってしまった。

 どうしたんだろう?急に冷たくなったけど。
 浴室と脱衣場を区切る扉を開けて、彼の様子を伺うと、浩二さんはもうラフな格好に着替えを済ませていた。そんな彼と目が合った途端、目の前にバスタオルを差し出される。
「ありがとう、ございます」
 小声で礼を言い、ソレを受け取る。
 水気はタオルで拭き取り、髪などはもう変幻の魔法でパッと乾いた状態にすると、浩二さんがワタシの頭から男性モノの水色をしたシンプルな柄のTシャツを無理矢理かぶせてきた。
 彼シャツならぬ、彼Tシャツ姿になったが、腕が通せていないせいでかなり不恰好だ。でも浩二さんの服だと思うとちょっと嬉しい。
 軽く頰の緩むワタシの肩を背後から片手で抱き、歩くように促される。
 どこに行く気なのだろうか?せめてTシャツの袖に腕を通してからにしてもらえると有難いのだが、浩二さんは止まる事無く背中を押して、何故かワタシは玄関まで案内された。

「出て行け。姿、行く当てなんか山程あるんだろ?」

 粗大ゴミでも見るかのような目を一度向け、そう言いながら浩二さんは玄関の鍵を開けると、袖を通し損ねたままなせいで拘束具でも着ているみたいに腕の自由がきかない状態にあるワタシは体を押され、マンションの廊下へ投げ捨てられてしまった。

「…… え?」

 状況がイマイチ理解出来ず、後ろを振り返った時にはもう玄関ドアは閉まっていて、ワタシの耳に鍵をかけるガチャンッという音だけが聞こえてきた。

「えぇぇぇ⁈」

 サキュバスやインキュバスといえば、遥か昔は人間を摘み食いしては孕ませ、一晩で捨て去ってきたこともあったと伝え聞いた事はあったが——ま、まさかワタシがその立場になったのだろうか?それとも…… コレが噂に聞く人間の倦怠期⁈

 ひとまず着ているTシャツの袖に腕を通し、それに似合いそうなジーンズを履いた状態に姿を変える。
 これで人に見られても平気な格好にはなったが…… 彼の真意は見えず仕舞いだった。
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