義弟が私を“オトコの娘”だと言う

月咲やまな

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最愛の君との未来を夢見る

赤い跡

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 軽くシャワーを浴び直し、浴室を出てタオルで体を拭く。陽は室内着に着替えを済ませたが、奏の方は手枷が邪魔で、ショーツとバスタオルという何とも心許ない姿をしている。
「こっちに来て、姉さん。あ、それとも運んであげようか」
 奏に対し、抱っこもおんぶもお姫様抱っこも、勝手にもう済ませてある陽が少し屈んで横抱きにしようとする。だが奏は、陽から一歩離れて首を横に振った。
「い、いえ!歩き、ます…… 」
 カーッと顔を真っ赤にしながら、奏が陽から視線をさっと逸らす。手枷がされたままである両手で体に巻いたバスタオルを押さえ、とぼとぼとした足取りで居間にあるソファーを目指した。
「大丈夫?…… さっき思いっ切り無理させちゃったから、心配だな」
 陽が気遣う様に声を掛けながら、上半身を少し前に倒して奏の腰に手を回す。タオル越しに感じる彼の温もりのせいで奏の胸の奥がどくんっと高鳴り、今さっきお風呂でおこなった行為を体が勝手に思い出してしまった。

(しかも、お、お、男の人の前で、ほぼバスタオル一枚だけとか…… はわぁぁっ)

 格好も格好なので、余計に心臓が騒がしくなる。彼から漂う柑橘系の香りは心地いいし、程よい体温だしで、奏は頭が少しクラッとした。
「大丈夫、ですよ。でも、あ、あの…… 『何もしない』という約束、だったのでは?」
 動揺のせいで吃ってしまいつつ、奏は軽く後ろに振り向き、ジト目で陽を見上げた。
「あ、ごめん。でも姉さんが逃げようとしたのかもと思ったらすごく焦っちゃって、許せなくって、もういっそ動けなくしてしまいたいなって思っちゃったんだ」

(でも、あれ?監禁はしてないから約束は反故にはしていないんだけどなぁ。…… それにしても可愛いなぁ、コレってもしかして姉さん的には睨んでるつもりなのかな?それとも呆れてる?んー、どういった感情だったにしても、表情も変えず、視線だけで訴える感じが可愛いなぁ)

 感極まわる表情を片手で隠し、陽が肩を震わせながら奏から顔を逸らす。会社内でした『しない』という約束に対して認識に差があるとは、全く思っていなかった。


「——さてと。じゃあ、じっくり話を聞かせてもらおうか、姉さん」
「…… いや、あの…… この体勢で、ですか?」
「うん」とキッパリ言い切られ、奏は珍しく『できるかぁぁぁぁ』と崩れた言葉で叫びたい気分になった。
 ソファーに座る陽の脚の上にバスタオル姿のまま座らされ、手枷付きの腕の間には陽の頭が入り込んでいる。挿入されてはいないだけで、コレではさっきと同じく、完全に対面座位の様な体勢だ。しかも何やら不遜なモノがちゃっかり奏の下腹部に当たっており、どう接していいのかわからず、奏は体の震えが止まらない。
「無理ですぅ…… 」
 くたっとなりながら、奏が陽に体を預ける。そんな彼女の背中をぽんぽんっと優しく叩きつつも彼は、「言ってくれないと、お仕置きするけどいいの?」と低い声で呟いた。

(…… それは勘弁して下さい)

 何をされるのかと思うと、ゾッとしつつも顔どころか耳まで赤くなった。咄嗟に顔を上げて『違う』と横に振りはしたが、内心ちょっとだけ、どんな事をされてしまうのか気になりもする。この数日間で、彼女の中に眠るマゾっ気が多少刺激されてしまったかもしれない。

「で?教えて、姉さん。何で他の支社に移れないか交渉していたの?ご両親も本社勤務だし、今まで一度もそんな事無かったよね?」

 伊達眼鏡の奥の瞳が、ジッと奏の瞳を射抜く。タオルで無造作に拭いただけで、きちんと整えられていない髪型をしているせいか、違う人に問い詰められている感じがした。
「それは、その…… 」
 普段と違う雰囲気を漂わせる陽の瞳にクラクラしてしまい、体が火照る。この体勢も最悪だし、何より下腹部に当たり続けている彼の股間が気になって気になってしょうがない。
「姉さん?」と、催促する陽の低い声が奏の耳元で響いた。
「あ、はい!えっとですね…… その、時間が、欲しいなと…… 思いまして」
「時間?」
 陽にきょとんとした顔をされ、奏の心臓がバクンッと跳ねる。髪型が無造作なだけで男性はここまで可愛くなれるのか!と驚きを隠せない。
「え、えっと、あの…… 」と言い、一度咳払いをする。『落ち着け、ちゃんと事情を話さねば、また彼の逆鱗に触れるかもしれないじゃないか』と何度も言い聞かせた。

「陽さんとの時間が、欲しいなと…… 思ったんです。自分も、陽さんも仕事が忙しいですし、金曜日の映画館へのお出かけも、ウチの父達を巻き込まないと陽さんは休めないくらいでしたし。それなら自分がもっと自由に行動出来る身になれれば、その…… もっと、一緒に居られるかな?と…… 」

 結局は『今の研究からアナタを抜く訳にいかないから無理よ。そもそも、研究職以外は何も出来ない奏を有効活用して働かせる支社は、他社への技術提供や人員交流以外には無いけど、それはそれで、どうせイヤなのでしょう?さ、ふざけた話をしていないで、仕事に戻って結果を出しなさい!』と人事担当の母親に一蹴されてしまった為、陽に話す気など全く無かったので、言うのがとっても恥ずかしかった。

(我ながら何という恋愛脳!)

 そう思うと、そもそもが無理難題だわ、恥ずかしいわ、馬鹿馬鹿しいやらで、こんな心境のままでは陽にも会いたくないとまで思ってしまった自分を思い出し、ずんっと気分が落ち込む。そもそもそんな事を望まれてすらいないかもしれないのに、先走った夕方の自分を刺したい気分にもなってきた。
「…… そ、そっかぁ」
 奏の話を聞き、陽がぽつりと呟く。自分との時間をもっと欲しいと思ってもらえていた事が嬉し過ぎて、言葉が全然出てこない。

(う、うわぁぁぁぁぁ!マジか!姉さんが、姉さんが私ともっと一緒に居たいとか!え、これもう告白の返答って思っていいんじゃ?むしろそれ以外に無いよね?入籍とかも、もうしてもいいって事だよね⁉︎そんでもって、私の子を沢山欲しいってのと同義だよね!)

 脳内で陽の思考が暴走する。
 だが奏は「私なんて都合のいいセフレでしかないかもしれないのに、気持ち悪い事を考えてしまってすみませんでした」と言い、思いっ切り彼の妄想に水を差した。

「…… 何でセフレ」

 意味がわからず、陽の表情が渋くなる。そして、そんな単語を奏が知っていた事にちょっと驚いた。
 体だけの関係なんかにそもそも興味は無いし、もし気まぐれで作るにしたって義姉の様に面倒な相手をソレにするワケがないのに、どうして奏の発想がそんな方向へ飛躍したのか全く思い浮かばなかった。
「えっと…… 手近だった、から?」
 悲しげな顔をして疑問形で言われても、「いや、違うし」としか答えられない。

「あのねぇ…… 奏さんが好きって、何度も言ってるよね?結婚しようともハッキリ言ったのに!」

「あれはその、ピロートーク的なものかと。元々陽さんは同性愛者なワケですし、姉へを気遣いとか、そんな感じかもとも。そう言えば色々と好き放題出来るから、ひとまず言っておくか的なものかとも…… 」
 タクシーの車内で見た夢が、奏の思考を明後日の方向へと導く。
「いやまぁ、確かにね、抱いている時は普段以上に愛を囁きたくはなるよ?でもそれを全部、姉への気遣いや性欲の暴走で片付けられるのは、かなり心外なんですけど!姉だとか、手近な相手だったからとかじゃなく、一人の人間として奏さんが好きだから抱くの!抱きたいの!今みたいにずっとくっついていたいし、沢山キスだってしていたいし、他なんか見る余裕もないくらいに支配していたいのに、何でそれが伝わらないの?」
 三日もかけて体に教え込んだつもりでいたので、色々と納得がいかない。

「…… 待って、姉さん。まずはお互いの情報を整理しようか」

「いいですね、とても合理的です」
 真面目な顔で言われ、奏も真顔で応える。
「姉さん——」
 もしかしたら、この呼称がまず色々と彼女の発想に誤解を生むのか?と思い、陽が「奏さん」と呼び直す。

「私は、一人の女性として、“椿原奏”さんが好きだよ」

 奏の頰に両手を添え、改まった顔で陽が言った。瞳をしっかりと真正面から見詰められ、照れて逸らす事も出来ない。嘘も誇張も無い、シンプルな告白を聞かされて、奏は口をパクパクと呼吸を奪われた魚の様に動かす。
「“弟”だからとか、“姉”としてとか、そういうのは抜きで受け止めてね?」と、小首を少し傾げながら陽に念押す様に言われ、口元を震わせながら何度も何度も奏が首肯した。

「じゃあ次。奏さんは、私の事は…… 好き?」
 改まって訊かれ、「すっ、んっ!」と変な声だけが奏から出た。
 何故彼はそんな事を面と向かって、恥ずかし気もなく訊けるのだろうか?と不思議でならない。陽と自分とでは、恋への敷居の高さが全然違うのだと強く実感する。
 きちんと陽に対して『自分も貴方が好きだ』と言いたいのに、声が出てこない。喉の辺りで言葉が詰まってしまう。週末の間中あれだけの行為をし、さっきだって風呂場で一度抱かれ、今だって現在進行形で滾る股間をさも当然の様に陰部へ押し付けられているというとんでもなく恥ずかしい状態だというのにだ。
「返事は?」と訊き、陽の端正な顔がより一層ずいっと近づいてくる。体を動かされたせいでゴリッと陰部をタオル類越しに擦られ、「あ、ひゃんっ!」と返事とは違う声をあげてしまった。

「あ…… その、ごめん。コレはその、生理現象というか、奏さんがそこに居て勃たない方が無理というか…… 正直、今すぐにでも挿れたい、です」

 視線を少し逸らし「でも今は、真面目な話をしている最中だから、我慢するけど…… 」と、この後はもちろん続きをしますね発言を堂々とする。だから、『しない』という約束はどこに⁉︎と奏は思ったが、ヒクッと物欲しそうに動いた怒張のせいで、拒否に近い発言すら出来なくなってしまった。

「私の事は、好き?こんな私は流石にイヤ?」

 不安そうに揺れる瞳が、奏の胸を締めつける。そんな表情ではもう『恋愛なんて自分には無理だ!』と奏の心の大半を陣取っていた意固地な感情が、白旗を揚げざるおえない所まで追い詰められ始めた。
「イヤなワケが、無いじゃないですか。大切な義弟…… なのですし。あ、いや、義弟だからとか抜きにしても、陽さんは…… 会社にとっても大事な人で、そうじゃ無い、違う…… えっと…… 」
 顔、耳、首までが真っ赤に染まり、とてもじゃないが面と向かって言う気になれない。なのに吐息が感じられる程に近過ぎる距離のせいで、顔を逸らしてもあまり意味は無かった。
「好き?嫌い?」

「えっと、あの、その…… す、す、すすき…… ですぅ」

 瞼をギュッと強く閉じ、勇気を振り絞って何とか口にはしたが、愛の告白と言うにはかなりお粗末なものになってしまった。
「それは、私を一人の男として、という事で間違いないんだね?」
「は、は…… はぃ」
 そう答えた声は小さ過ぎて、この距離でなければ聞き取れないくらいだった。
「よかったぁ…… 」と呟き、陽が安堵の息を吐く。緊張で、それなりには強張っていた気持ちが、やっと休息を得た。

「じゃあこれで私達は晴れて夫婦になれるって事でいいよね?」
「え?いや、ソレは無理です」

 ハッキリ即答され、「は⁉︎何で!」と陽が叫び瞳を見開く。
「…… だって、交際してませんよね?私達って」
「え、や、だから…… この数ヶ月の間で、十分交際みたいな事はしてきたと思うんだけど…… 」
「あれは姉と弟のスキンシップというか、交流的なものですから交際期間ではありません」と、奏が首を横に振る。スンッと冷めた表情で、本気でそう思っている事が陽でもわかった。

「結婚は、交際を経て色々互いを知り、それからするものだと私は認識しています。なのでまずはその…… 結婚を前提に、お、お付き合いを…… 出来たら、嬉しいな、と…… 」

 真顔での発言が、段々と途中から照れた様な気恥ずかしい様な、そんな愛らしい顔をしながら言われたものだから陽の思考回路があっさり『降参だ!こんな可愛い生き物に勝てるはずが無い!』と白旗をあげる。すぐにでも結婚したい、朝も昼も夜も四六時中隣に居たいという気持ちに変わりはないが、今ここでちょっとだけでも譲歩する事で奏が己の手中に堕ちるのならば、全て受け止めてもいいような気がしてきた。

 でも——

「ちなみに、参考まで。奏さんの考える交際の順番って…… どんな感じ?」
 どうしてもその点が気になる。

(結婚するまでえっちは禁止とか言われたら、どうしよう?口淫までならOKか?本番無しでお触りまでだったら?いや…… 中出しはしないとか、ゴムアリでだったらシてもいいと許してくれないと、奏さん不足で絶対に死ぬ!)

 今現在も必死に挿入を耐えているせいか卑猥な事しか考えられない。完全に発想が下半身に支配されているみたいだ。
「えっと…… そうですねぇ、交換日記とか?」
「奏さん…… 今時、小学生でもそんなレベルからはスタートしないと思うんだ」
 彼女のペースに合わせていたら、結婚する頃には老夫婦にでもなっていそうだ。沢山沢山、それこそ可能ならば毎日毎日八万六千四百秒は好きな人と一緒にいたい身には酷でしか無かった。
「じゃ、じゃあ…… 手を繋ぐとか」
 もうしてるけどなぁ、と思いながらも「うん、いいね」と陽が答える。スキンシップならばいくらでもどんとこいだ。
「あとは…… お弁当を持って、お花見とか。浴衣を着て花火も見に行きたいです。秋には紅葉狩りに、冬にはスケートとかも楽しそうですよね」
 ニコッとキスだって簡単に出来る距離感のまま楽しそうに言われ、陽が心をキュッと掴まれる。
「楽しそうだね、とっても」
 …… でも、このままだとそんな時間がなぁと思うと、少し気が遠くなる。一緒に色々やりたい気持ちはやまやまだが、ヤリたい気持ちも満々なので素直に両手をあげては賛同出来ない。

 あ、でもそれなら——

「…… そうだ、こんな案はどうだろう?」
「案、ですか?」と奏が首を軽く傾げる。きょとんとしつつも無表情のままなのに、キスをしてしまいたいくらい陽にとってその顔は可愛かった。

「昼間は奏さんのペースで交際しよう。でも夜は、私のペースでの交際をするとか、どうかな」

「…… えっと、それは」とまで言い、奏が言葉を詰まらせる。下腹部に当たったままのアレのせいで、どうしたって卑猥な提案にしか聞こえない。そして実際その勘が的外れでは無いのが厄介だ。
「ほら、人間は夜は眠る生き物でしょ?私に就業後のたった数時間をくれるだけで、昼間の長い長ーい時間は奏さんが私を好きに出来るんだけど…… ダメ?それとも、イヤ?」

(陽さんを、好きに出来る?)

 言葉の響きに惹かれ、奏の心がちょっと欲望でぐらつく。好きな人と、彼も自分の事が好きだと自覚したうえで傍に居られるという状況がとても魅力的なモノに思えてくる。ニンジンを目の前にぶら下げられた馬の様な気分だ。
「奏さんのペースで、ゆっくり恋愛出来るよ?…… ね、どうかな」と囁き、奏の頬に軽い口付けをする。

「わ、わかり…… ました。でも、でも、ちゃんと約束は守ってくださいね?」

 頰を染め、ちょっと困り顔に近い表情を奏がする。
「もちろん守るよ」
 爽やかな笑顔で返答されたが、かなり胡散臭い。だけど純粋な奏を騙すには充分なものだった。

「さてと、じゃあ奏さん」
「はい」
「今は夜なので、早速私の番からだね!」
「…… (あー…… 早まった事をしてしまいました)」
 奏が一瞬遠い目をしたが、首元を撫でられ現実に引き戻される。
「さっきは首まで絞めちゃってごめんね、少し赤くなってるや。奏さんの肌は白いから目立っちゃうね」
 しゅんっとなり、陽が凹む。だけど首の赤い跡を指先でそっとなぞりながら「…… でも、綺麗だなぁ」と恍惚とした眼差しを向けながら呟いた。本心としては『首を絞めると、奏さんのナカも絞まってすごく気持ちよかったなぁ』と言葉を続けたいところだったのだが、流石にそれは受け手を選ぶなと思い、事実を伏せた。

「所有印みたいで嬉しいって言ったら、引く?」
「正直、かなり」

 奏が素直な感想を簡素に伝える。
「出来ればもう、手枷も取って頂けると嬉しいんですが」
「…… えー」
「でも、転属希望理由に納得出来たら外してくれるって話だったのでは?」
「うん、言ったね。理由に納得は出来たし、すごく嬉しかったし、こうやって奏さんと正式に恋人同士になれたからとっても幸せだけど…… 手枷のせいで自由がきかない体を、好きに愛せるとすごく興奮するんだよねぇ」

(もしかして、陽さんはちょっと変態さんなのでは?)

 “ちょっと”ではないのだが、比較対象が奏の中にはいないので控えめに受け取る。今朝までもほとんどの間手枷付きがデフォルトでもあったし、ドラマやなんとなくの会話から得られた程度の知識しかない彼女は『えっちって、もしかしてこういうものなのだろうか?』と思い始めてきた。

「じゃ、じゃあ…… せめて後で手当てして下さいね?」

 今回は包帯無しで手枷が嵌められている為、正直手首周りの肌が金属のせいで擦れてもう既にちょっと痛い。風呂場から出て体を拭いた時に少し見た時もしっかりと赤い跡がついており、治るにはしばらくかかりそうな感じだった。
「うん、もちろん。でも…… ごめんね?長くはならない様に、ちゃんと気を付けるから」
 本当だろうか?『しない』はずが、『する』流れになってしまっているのでいまいち彼を信用出来ない。だけど、嬉しそうな顔をしてキスを何度も求められると、つい許してしまう。

(なるほど、コレが『惚れた弱み』というやつですね?)

 少しだけ、奏の中で恋愛に関する経験値が上がった。
「じゃあ…… 始めようか、奏さん」
「改めて言わないで下さい。こ、困ります…… 変に構えてしまうし、そわそわしちゃうので」
「了解、次からは気を付けるね」と言い、陽がクスッと笑う。
 
 結局はこの先も、昼間だろうが、一枚上手な陽に流され、今の状況やマッサージをしてもらった時の様な目に遭うのだろうなぁと頭では分かっていても、初めての恋心を育んでいる最中である奏は、『少しでも長く好きな人の傍に居たい、触れてみたい』という本能的な欲求からはどうしたって逃れられなかった。
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