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最愛の君との未来を夢見る
仮眠室①
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同僚である佐々木が電話で手配してくれた社内の端っこにある仮眠室の前に辿り着き、ドアを開けて奏が中に入った。四畳もなさそうなくらい狭い室内にはシングルベッドが一台と、荷物を置いておける小さめのテーブルが一つ、他には一人掛けのソファーが置いてある。カーテンは既に閉まっていて薄暗く、壁に掛けられた時計の規則的な音が微かに聞こえた。
「ふぅ…… 」
今日で何度ため息を吐いただろうか?数えてはいなかったが、きっと十や二十では済まないだろう。
ソファーに鞄を置き、ベッドの上にぽすんっとうつ伏せになりながら奏は寝転んだ。洗濯済みのシーツの匂いをスッと嗅ぎ、今度は安堵の息を吐く。
(…… あぁ、やっと、ちゃんと眠れる)
週末はどの日も気絶するみたいな導入の仕方をした睡眠しか取れなかったし、睡眠中も体を酷使されていた気がして寝ていた間ですらも休まった気がしなかった。シャワーはちゃんと浴びさせてもらえ、食事も合間合間にきちんと取れたのだが、全て陽と一緒だったうえに、常にどこかしらに触れられていて心が片時も落ちつかなかった。
「…… 好きなのに一緒に居たくないとか、コレってかなりの大問題ですよね」
んーと唸りながら、奏が顔を顰める。恋心を自覚してすぐに深い関係になってしまった事実が貞操観念をしっかり持っている彼女の心に重くのし掛かった。
(好きな人にオイルマッサージをしてもらってテンションが変になっていたとはいえ、碌に抵抗も出来なかったし、流されやすい軽い女だと思われていたらどうしましょう?軽率な奴なんかこの先が不安で興味は無いと最速で切り捨てられる可能性だってありますよね。私が義姉だからと気を遣ってくれているのか、プ、プロポーズめいた事まで言わせてしまったし…… あれって、絶対に本心じゃなく、流れで仕方なく言った言葉、ですよねぇ。…… 自分達は付き合ってすらいない訳ですし)
媚薬成分のせいでまともに抵抗も出来ず、あれよあれよと陽の底無しな欲望のままに抱かれてしまったのだと全く思い付きもしていない無垢な奏は、かなり凹みながら枕に顔を深く沈めた。
『自分はどうやら、貴方が好きみたいです』すらも言えず、体の関係だけ持ってしまった事実が受け止めきれない。“義兄”では無く、“義姉”であるという事に関しては別に怒ったふうでも、騙されたと騒ぐ感じでも無かった事は救いだったが、この先どうやって彼と接していくべきなのか、枕の心地良さに支配されながらちょっと考えてみたが、彼女にはこれっぽっちも思い浮かばなかった。
(で、でも…… 好きって何度も言ってくれていましたよね。あれって、あれって…… 義弟として何でしょうか?それとも、一人の異性として?『奏さんが、好き』って言い方をしてくれていたような記憶も薄らとありますけど…… もうあれが幻聴だったのか、本当にもらった言葉なのか、頭の中が完全に馬鹿になっていて全く思い出せませんっ)
枕に顔をつけたまま、「ふぐっー!」と叫び、奏が脚をバタつかせる。連休中の行為をちょっと思い出してしまっただけで、穴があったら飛び込んでしまいたいくらいに恥ずかしく、そして体の奥が変に疼いた。
(中にまだ何か入っている感じがして…… 何だか変な気分になってきちゃいますぅ)
脚をもじっとさせ、奏の顔が赤らむ。どうしよう?何なんだろうか?この感覚は…… 。初めての経験に困惑しながらシーツを奏がギュッと掴んだ時、仮眠室のドアノブがゆっくりと音も無く回ったのだが…… 彼女は全く気が付かなかった。
「ふぅ…… 」
今日で何度ため息を吐いただろうか?数えてはいなかったが、きっと十や二十では済まないだろう。
ソファーに鞄を置き、ベッドの上にぽすんっとうつ伏せになりながら奏は寝転んだ。洗濯済みのシーツの匂いをスッと嗅ぎ、今度は安堵の息を吐く。
(…… あぁ、やっと、ちゃんと眠れる)
週末はどの日も気絶するみたいな導入の仕方をした睡眠しか取れなかったし、睡眠中も体を酷使されていた気がして寝ていた間ですらも休まった気がしなかった。シャワーはちゃんと浴びさせてもらえ、食事も合間合間にきちんと取れたのだが、全て陽と一緒だったうえに、常にどこかしらに触れられていて心が片時も落ちつかなかった。
「…… 好きなのに一緒に居たくないとか、コレってかなりの大問題ですよね」
んーと唸りながら、奏が顔を顰める。恋心を自覚してすぐに深い関係になってしまった事実が貞操観念をしっかり持っている彼女の心に重くのし掛かった。
(好きな人にオイルマッサージをしてもらってテンションが変になっていたとはいえ、碌に抵抗も出来なかったし、流されやすい軽い女だと思われていたらどうしましょう?軽率な奴なんかこの先が不安で興味は無いと最速で切り捨てられる可能性だってありますよね。私が義姉だからと気を遣ってくれているのか、プ、プロポーズめいた事まで言わせてしまったし…… あれって、絶対に本心じゃなく、流れで仕方なく言った言葉、ですよねぇ。…… 自分達は付き合ってすらいない訳ですし)
媚薬成分のせいでまともに抵抗も出来ず、あれよあれよと陽の底無しな欲望のままに抱かれてしまったのだと全く思い付きもしていない無垢な奏は、かなり凹みながら枕に顔を深く沈めた。
『自分はどうやら、貴方が好きみたいです』すらも言えず、体の関係だけ持ってしまった事実が受け止めきれない。“義兄”では無く、“義姉”であるという事に関しては別に怒ったふうでも、騙されたと騒ぐ感じでも無かった事は救いだったが、この先どうやって彼と接していくべきなのか、枕の心地良さに支配されながらちょっと考えてみたが、彼女にはこれっぽっちも思い浮かばなかった。
(で、でも…… 好きって何度も言ってくれていましたよね。あれって、あれって…… 義弟として何でしょうか?それとも、一人の異性として?『奏さんが、好き』って言い方をしてくれていたような記憶も薄らとありますけど…… もうあれが幻聴だったのか、本当にもらった言葉なのか、頭の中が完全に馬鹿になっていて全く思い出せませんっ)
枕に顔をつけたまま、「ふぐっー!」と叫び、奏が脚をバタつかせる。連休中の行為をちょっと思い出してしまっただけで、穴があったら飛び込んでしまいたいくらいに恥ずかしく、そして体の奥が変に疼いた。
(中にまだ何か入っている感じがして…… 何だか変な気分になってきちゃいますぅ)
脚をもじっとさせ、奏の顔が赤らむ。どうしよう?何なんだろうか?この感覚は…… 。初めての経験に困惑しながらシーツを奏がギュッと掴んだ時、仮眠室のドアノブがゆっくりと音も無く回ったのだが…… 彼女は全く気が付かなかった。
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