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【ホテルという言葉の奥に潜む罠】
陽側の認識
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「なぁなぁ、やっぱさぁ綺麗な所がいいよね」
瞳をキラキラと輝かせ、五分程度で終わらせる約束で取ったプチ休憩時間に陽が寺島へと問い掛けた。
「主語を持ってこい、この恋愛脳が」
「この程度でも恋愛ネタだってわかってくれる辺り、流石だなぁ。これが付き合いの長さからくる推測ってヤツだね」
ニヤッと陽に笑われ、『当たり前だろぉ!お前最近仕事中以外はそっちの話題ばっかじゃねぇか!』と寺島は叫びたくなった。だがここは真昼間の職場で、今日はそれなりに他の社員達が秘書課の室内に居る。その為二人は小声でやり取りをし、窓の側にある陽の席の付近に集まり、寄り添う様になりながら会話を続けた。
「んで?何が綺麗なのがいいって?」
「もちろんホテルだよ」
「…… 昼にする話題じゃ無いな」
寺島は真顔でそう返したが、陽の方はこの話題を続ける気満々だ。
「まぁまぁ。今のうちに相談しておきたいんだ。兄さんのお仕事が定時で終われば、今夜でも行きたいくらいだし!」
語気は強いがちゃんと声のボリュームを抑えている辺り、一応周囲に配慮する気持ちはあるみたいだ。おかげで他の社員達は二人の事を気にも留めていない。いつも通り仲の良い距離感な為、隠れ貴腐人や腐女子達ががこっそり喜んではいるが、そこまでは二人の関与する所ではなかった。
「随分進展が早いな。もう告白でもし合ったのか?」
寺島がより一層陽の側へと近づき、こそっと顔の側で声をかける。陽が奏に想いを寄せている事を寺島は知っているが、彼と同じく陽と奏は男同士だと思い込んでいるので、あまり声を大にして言うべきではないと思った事からくる近さだ。でも、そんな配慮を知らぬ者達からしてみれば、休憩中にカップルがいちゃこらしている距離感にしか見えず、『やっぱり二人は付き合っているのねぇぇぇ!』と、美人揃いのお姉様達の手元が震えた。『ホントこの職場でよかった、最高だわ!』と、白鳥以外の面々は心躍らせながら仕事の効率をぐんっと上げる。
『やる気をありがとう!』
そう叫びたい者ばかりが室内の熱気を増やす中、陽と寺島はコソコソと会話を続ける。
「んー…… それっぽい事はあったかな」
「『ぽい?』雰囲気でそうなった、みたいな感じか?」
「いや、ただ食事をしただけでセックスまではいけていないよ。兄さんも私が好きみたいな感じだったから、散々誘ったんだけどねぇ」
(向こうも同性の壁とかは無いタイプなのか。よかったなぁ、相変わらずコイツはめっちゃ運がいいじゃねぇか。多分そうそうないぞ?好きになった義理の兄貴まで同性でもいいってパターンは)
繰り返すが奏は女性だ。心も体も純粋無垢な未来の義姉だ。もう少しでプチ休憩時間も終わりが迫ってきているのだが、コイツら二人は勘違いしたまま話が止まらない。
「お互いに好きあっていても、いくら何でもすぐにベッドへ行こうったって来るわけねぇだろ。段階踏めや。それにさ、どっちがどっちかで準備とかあるんじゃねぇの?」
「うん、だから最初は軽く『しごき合いたい』って言ったんだけどなぁ」
陽の発言を聞き、「——ブフッ」と寺島がいきなり吹き出した。飲み物でも飲んでいるタイミングだったら確実に大惨事だった勢いで。
「汚なっ。これ使って口元拭けって」
スーツのポケットからハンカチを取り出し、陽が寺島へと差し出す。
「ありがと、すまんな」と答えながらそれを受け取ると、恥ずかしながらちょっと唾液で汚れてしまった口元をそっと拭いた。
「洗って明日返すわ」
「そうしてくれ」
一呼吸おき、「さてと、だ」と寺島は言うと、「そのやり取りをした日の流れを、言える範囲でいいから教えてくれったら気持ち悪いか?」と続けて訊く。
「いや別に。いいよー」と答え、陽は前日の流れを寺島に話し始めた。
食事へ二人で行き、何故か急に奏が陽を褒めに褒め、褒めちぎって殺す気か?って程に絶賛しだした事。
容姿や匂いまでもを褒められ、『もうこれは私を好きも同意では?』と思った事などを前半は正確に、中盤はもうテンパっていて何と言われたのかあやふやになりつつも、持ち前の記憶力を頼りに時系列通りに、互いが言ったセリフも交えて説明した。
「——それ、会話が噛み合ってなくね?」
全てを聞き終え、内容を咀嚼した後に寺島がボソッと呟いた言葉を聞き、陽の目が見開かれた。
「え、どこらへんだが?私、何か間違った?失敗してる?不正解なの?」
焦りながら陽が寺島のスーツの袖を掴み、軽く揺する。
「そうだなぁ…… 。例えば、我が社の上役達や湯川社長が、家とか仕事で何かあって凹んだりしていたら、お前は励ましたり褒めたりとかするだろ?」
「当然だろ」
「椿原さんも、それじゃね?何か最初の言い回しとか、いかにも『噂話の寄せ集め』感があるし、でもそれには限界があるから、今、目の前で見たまんまをどうにかして褒めたっちゅうパターンな気がするな。仕事じゃお互いに接点も無いし、お前を接待しないとって必死だっただけで、別に『好きだ』『惚れてる』では、無くないか?」
「…… えぇぇ」
寺島の言葉を聞き、落胆がすごくて陽からまともに言葉が出てこない。
「『喰べたい』とかって発言やその辺のお前の言葉も、場所を選んでるからオブラートに多少は包んでるだろ?だから、意味が相手に通じてない可能性だってあるんじゃないか?」
「しごき合いたい、すらも?これかなり直球だよね?」
「まぁな。『シコり合いたい』の方がわかりやすかった気もするけど。でも、椿原さんの返答が『ダメですよ、そんな危ない事は』だった事を考えると、どうしたって真意が通じてないだろ。『恥ずかしいからダメ』なら、わかってるのに断ったんだなって思えるけど。だってさ、危ないか?お互いのモノを擦り合うだけだろ?いきなりケツを掘らせろだったら、切れたりとかするかもだから確かに危ないが」
「…… な、生々しいな。昼間だぞ?」
「お・前・が・言・う・な!」と言いながら、寺島が両拳で陽の頭を挟み、グリグリと挟みこむ。
「いたたたたた!」と陽が小声で文句を言った頃にはもう、休憩を始めてから十五分は経過していた。だが、誰も二人に『仕事をしろ』とは言わない。この眼福を潰す発言なんぞ、この室内で言う気のある者など一人も居ない。
「とにかくだ、食事に関連した会話を椿原さんは続けている事を考えて、多分普通にお食事をするホテルランチとかディナーの話を向こうは終始していた、が正解だと俺は思うぞ。こう言っちゃなんだけど…… 告白もされていないってのが正解じゃないかな。…… お前には、酷だけど」
「…… えぇぇぇ」
端正な顔が悲しそうに歪み、眼鏡の奥に見える眦には軽く涙が溜まっている。期待が大きかった分、ショックもデカイのだろうなと寺島は察した。
奏が陽と一緒に食事へ行ったのだって、『義弟になる人からの誘いだから』とか『直接の接点は無くとも、上司で実質社長な人からの誘いを断れる訳がない』くらいの気持ちで着いて来ただけかもしれない。そう推測を立てながらも、寺島はその点を黙っておくことにした。これ以上落ち込まれては、仕事に支障が出るからだ!
「でもまぁ、あれだ。綺麗なホテルのランチかディナーにでも誘って、少しづつ外堀でも埋めたらいいんじゃね?あんまし俺は椿原さんの事は知らんけど、遠くから見かける事があった感じ、自慰なんかしません、ってかもういっそ精通前の無垢な少年って雰囲気だったから、ゆっくり攻めていかないと、お前には堕ちないんじゃないかなぁ」
奏はそもそも少年では無いのだが、『ゆっくり攻めないと堕ちない』に関しては実に正しい分析だ。存在しもしない“義兄”への妄想が募り、欲求不満で倒れそうな陽に、それを実行出来る余力があるかどうかは別として。
「…… に、兄さんの、自慰!」
泣きそうだった顔が一気に高揚し、両手で顔を押さえて陽が俯く。
当然頭の中は、前ボタンを全て開けた白衣を羽織っている姿の奏がトイレの個室に篭り、中に着ていた服の裾を捲って口に咥え、お腹を丸出しにしている姿が浮かんでいる。しっかり服を噛み、喘ぐ声を必死に堪えながら、穿いているズボンの前を緩め、ボクサーパンツの中から滾るイチモツを露出させて自らの手で必死に扱く。『し、仕事中なのに…… が、我慢できっ』などと考え、『ダメだ、止めないと』と葛藤しつつも、社内でする奏の自慰が止まらな——
「元気でたみたいだな」
どんな妄想に浸っているのか寺島にはわからないが、ヤベェ内容だとだけは嫌でも伝わる。興奮で震える陽の肩を、後ろから腕を回してポンポンと叩き、「んじゃ仕事に戻ろうなー」と寺島が棒読みで言った。
「とにかくだ、次に椿原さんと会った時には『これは食事の話だ』って事を前提に会話してみろよ。それでもし、向こうもベッドイン前提でホテルの話しをしているっぽかったら、その時は改めて誘ってみたらいいんだからさ」
「そうだな、がっつき過ぎて嫌われても嫌だし…… 」
「んだぞ。男は皆基本的にはエロいけど、中には干物の水分程度にしか性欲が無い人もいるんだからさ」
「うん」と陽が答え、頷きながら二人が席に戻って行く。
五分の予定だったプチ休憩は結局二十分程のお休みとなってしまったが、他の秘書課の面々には会話の内容は全くわからずとも、ほぼ皆がサービスタイムの終了を残念がっていたのだった。
瞳をキラキラと輝かせ、五分程度で終わらせる約束で取ったプチ休憩時間に陽が寺島へと問い掛けた。
「主語を持ってこい、この恋愛脳が」
「この程度でも恋愛ネタだってわかってくれる辺り、流石だなぁ。これが付き合いの長さからくる推測ってヤツだね」
ニヤッと陽に笑われ、『当たり前だろぉ!お前最近仕事中以外はそっちの話題ばっかじゃねぇか!』と寺島は叫びたくなった。だがここは真昼間の職場で、今日はそれなりに他の社員達が秘書課の室内に居る。その為二人は小声でやり取りをし、窓の側にある陽の席の付近に集まり、寄り添う様になりながら会話を続けた。
「んで?何が綺麗なのがいいって?」
「もちろんホテルだよ」
「…… 昼にする話題じゃ無いな」
寺島は真顔でそう返したが、陽の方はこの話題を続ける気満々だ。
「まぁまぁ。今のうちに相談しておきたいんだ。兄さんのお仕事が定時で終われば、今夜でも行きたいくらいだし!」
語気は強いがちゃんと声のボリュームを抑えている辺り、一応周囲に配慮する気持ちはあるみたいだ。おかげで他の社員達は二人の事を気にも留めていない。いつも通り仲の良い距離感な為、隠れ貴腐人や腐女子達ががこっそり喜んではいるが、そこまでは二人の関与する所ではなかった。
「随分進展が早いな。もう告白でもし合ったのか?」
寺島がより一層陽の側へと近づき、こそっと顔の側で声をかける。陽が奏に想いを寄せている事を寺島は知っているが、彼と同じく陽と奏は男同士だと思い込んでいるので、あまり声を大にして言うべきではないと思った事からくる近さだ。でも、そんな配慮を知らぬ者達からしてみれば、休憩中にカップルがいちゃこらしている距離感にしか見えず、『やっぱり二人は付き合っているのねぇぇぇ!』と、美人揃いのお姉様達の手元が震えた。『ホントこの職場でよかった、最高だわ!』と、白鳥以外の面々は心躍らせながら仕事の効率をぐんっと上げる。
『やる気をありがとう!』
そう叫びたい者ばかりが室内の熱気を増やす中、陽と寺島はコソコソと会話を続ける。
「んー…… それっぽい事はあったかな」
「『ぽい?』雰囲気でそうなった、みたいな感じか?」
「いや、ただ食事をしただけでセックスまではいけていないよ。兄さんも私が好きみたいな感じだったから、散々誘ったんだけどねぇ」
(向こうも同性の壁とかは無いタイプなのか。よかったなぁ、相変わらずコイツはめっちゃ運がいいじゃねぇか。多分そうそうないぞ?好きになった義理の兄貴まで同性でもいいってパターンは)
繰り返すが奏は女性だ。心も体も純粋無垢な未来の義姉だ。もう少しでプチ休憩時間も終わりが迫ってきているのだが、コイツら二人は勘違いしたまま話が止まらない。
「お互いに好きあっていても、いくら何でもすぐにベッドへ行こうったって来るわけねぇだろ。段階踏めや。それにさ、どっちがどっちかで準備とかあるんじゃねぇの?」
「うん、だから最初は軽く『しごき合いたい』って言ったんだけどなぁ」
陽の発言を聞き、「——ブフッ」と寺島がいきなり吹き出した。飲み物でも飲んでいるタイミングだったら確実に大惨事だった勢いで。
「汚なっ。これ使って口元拭けって」
スーツのポケットからハンカチを取り出し、陽が寺島へと差し出す。
「ありがと、すまんな」と答えながらそれを受け取ると、恥ずかしながらちょっと唾液で汚れてしまった口元をそっと拭いた。
「洗って明日返すわ」
「そうしてくれ」
一呼吸おき、「さてと、だ」と寺島は言うと、「そのやり取りをした日の流れを、言える範囲でいいから教えてくれったら気持ち悪いか?」と続けて訊く。
「いや別に。いいよー」と答え、陽は前日の流れを寺島に話し始めた。
食事へ二人で行き、何故か急に奏が陽を褒めに褒め、褒めちぎって殺す気か?って程に絶賛しだした事。
容姿や匂いまでもを褒められ、『もうこれは私を好きも同意では?』と思った事などを前半は正確に、中盤はもうテンパっていて何と言われたのかあやふやになりつつも、持ち前の記憶力を頼りに時系列通りに、互いが言ったセリフも交えて説明した。
「——それ、会話が噛み合ってなくね?」
全てを聞き終え、内容を咀嚼した後に寺島がボソッと呟いた言葉を聞き、陽の目が見開かれた。
「え、どこらへんだが?私、何か間違った?失敗してる?不正解なの?」
焦りながら陽が寺島のスーツの袖を掴み、軽く揺する。
「そうだなぁ…… 。例えば、我が社の上役達や湯川社長が、家とか仕事で何かあって凹んだりしていたら、お前は励ましたり褒めたりとかするだろ?」
「当然だろ」
「椿原さんも、それじゃね?何か最初の言い回しとか、いかにも『噂話の寄せ集め』感があるし、でもそれには限界があるから、今、目の前で見たまんまをどうにかして褒めたっちゅうパターンな気がするな。仕事じゃお互いに接点も無いし、お前を接待しないとって必死だっただけで、別に『好きだ』『惚れてる』では、無くないか?」
「…… えぇぇ」
寺島の言葉を聞き、落胆がすごくて陽からまともに言葉が出てこない。
「『喰べたい』とかって発言やその辺のお前の言葉も、場所を選んでるからオブラートに多少は包んでるだろ?だから、意味が相手に通じてない可能性だってあるんじゃないか?」
「しごき合いたい、すらも?これかなり直球だよね?」
「まぁな。『シコり合いたい』の方がわかりやすかった気もするけど。でも、椿原さんの返答が『ダメですよ、そんな危ない事は』だった事を考えると、どうしたって真意が通じてないだろ。『恥ずかしいからダメ』なら、わかってるのに断ったんだなって思えるけど。だってさ、危ないか?お互いのモノを擦り合うだけだろ?いきなりケツを掘らせろだったら、切れたりとかするかもだから確かに危ないが」
「…… な、生々しいな。昼間だぞ?」
「お・前・が・言・う・な!」と言いながら、寺島が両拳で陽の頭を挟み、グリグリと挟みこむ。
「いたたたたた!」と陽が小声で文句を言った頃にはもう、休憩を始めてから十五分は経過していた。だが、誰も二人に『仕事をしろ』とは言わない。この眼福を潰す発言なんぞ、この室内で言う気のある者など一人も居ない。
「とにかくだ、食事に関連した会話を椿原さんは続けている事を考えて、多分普通にお食事をするホテルランチとかディナーの話を向こうは終始していた、が正解だと俺は思うぞ。こう言っちゃなんだけど…… 告白もされていないってのが正解じゃないかな。…… お前には、酷だけど」
「…… えぇぇぇ」
端正な顔が悲しそうに歪み、眼鏡の奥に見える眦には軽く涙が溜まっている。期待が大きかった分、ショックもデカイのだろうなと寺島は察した。
奏が陽と一緒に食事へ行ったのだって、『義弟になる人からの誘いだから』とか『直接の接点は無くとも、上司で実質社長な人からの誘いを断れる訳がない』くらいの気持ちで着いて来ただけかもしれない。そう推測を立てながらも、寺島はその点を黙っておくことにした。これ以上落ち込まれては、仕事に支障が出るからだ!
「でもまぁ、あれだ。綺麗なホテルのランチかディナーにでも誘って、少しづつ外堀でも埋めたらいいんじゃね?あんまし俺は椿原さんの事は知らんけど、遠くから見かける事があった感じ、自慰なんかしません、ってかもういっそ精通前の無垢な少年って雰囲気だったから、ゆっくり攻めていかないと、お前には堕ちないんじゃないかなぁ」
奏はそもそも少年では無いのだが、『ゆっくり攻めないと堕ちない』に関しては実に正しい分析だ。存在しもしない“義兄”への妄想が募り、欲求不満で倒れそうな陽に、それを実行出来る余力があるかどうかは別として。
「…… に、兄さんの、自慰!」
泣きそうだった顔が一気に高揚し、両手で顔を押さえて陽が俯く。
当然頭の中は、前ボタンを全て開けた白衣を羽織っている姿の奏がトイレの個室に篭り、中に着ていた服の裾を捲って口に咥え、お腹を丸出しにしている姿が浮かんでいる。しっかり服を噛み、喘ぐ声を必死に堪えながら、穿いているズボンの前を緩め、ボクサーパンツの中から滾るイチモツを露出させて自らの手で必死に扱く。『し、仕事中なのに…… が、我慢できっ』などと考え、『ダメだ、止めないと』と葛藤しつつも、社内でする奏の自慰が止まらな——
「元気でたみたいだな」
どんな妄想に浸っているのか寺島にはわからないが、ヤベェ内容だとだけは嫌でも伝わる。興奮で震える陽の肩を、後ろから腕を回してポンポンと叩き、「んじゃ仕事に戻ろうなー」と寺島が棒読みで言った。
「とにかくだ、次に椿原さんと会った時には『これは食事の話だ』って事を前提に会話してみろよ。それでもし、向こうもベッドイン前提でホテルの話しをしているっぽかったら、その時は改めて誘ってみたらいいんだからさ」
「そうだな、がっつき過ぎて嫌われても嫌だし…… 」
「んだぞ。男は皆基本的にはエロいけど、中には干物の水分程度にしか性欲が無い人もいるんだからさ」
「うん」と陽が答え、頷きながら二人が席に戻って行く。
五分の予定だったプチ休憩は結局二十分程のお休みとなってしまったが、他の秘書課の面々には会話の内容は全くわからずとも、ほぼ皆がサービスタイムの終了を残念がっていたのだった。
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