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最終章
【最終話】番に、囚われる身の上
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「——おかえり、十六夜」
そう言うハデスに組み敷かれた状態になっている十六夜は、戸惑いながらも頬を染め、「た、ただいま、戻りました」と返した。馴染み深い真っ白な空間には天蓋付きの大きなベッド、紫色の葉と白い樹皮が特徴的な木の他には相変わらず目立つ物は少ないままだ。慣れ親しんだシーツの感触を肌で感じ、十六夜は『帰ってきたのだ』と感慨深い気持ちにはなってきた。今回は完全に本来の記憶も無く、十七年間も此処に戻らずにいたのだから当然と言えよう。
「…… えっと」
「ん?」
「流石にこれで、休暇は…… 終わり、ですよね?」
「何故そう思ったの?」
そう問い掛け、ハデスが十六夜の銀糸の様な髪を一房持ち上げ、口付けを贈る。たったそれだけの仕草でも、十六夜の胸の奥が喜びに震えた。
「えっと、だって、今回は結構濃密な時間を過ごしましたし、最後にはトラブルもあったので、もう流石に最後なのかなと」
「まぁ、そうだね。僕も目的が果たせたし、これ以上は物語の世界に頼らなくてもいいかなとは思ってる」
「じゃあ、休暇はこれで終わりですね。お仕事の再開はいつからにしますか?」と言って、十六夜が両手を軽く合わせる。押し倒されている状況なのに色気も何も感じられない。まるで業務前の上司と部下みたいな雰囲気になってしまった。
「そんなにあの作業に戻りたいの?」
“あの作業”とはもちろん、悔いを残したまま死亡した魂を、当人の望む仮想世界に送り出す行為の事だ。
「ハデス様のお役に立てますからね」
「…… まさか、あの作業に対して嫉妬する日がくるとはなぁ」とこぼし、ハデスが自分の額に手を当てた。
「僕としてはね、まだしばらくは休暇を取りたい気持ちままなんだけど…… 十六夜は違うの?」
耳を倒した大型犬みたいな表情をするハデスを目の前にして、十六夜の胸の奥がぎゅっと苦しくなった。体格の良いヒトなのに可愛くも思えてしまう。
「じゃ、じゃあ、今までの休暇を振り返って思い出話でもしましょうか。そのくらいなら、まだお休みしても、問題ないですよね?」
「おしゃべりするの?…… それって、お茶でもしながら的な?」
「はい!お菓子とお茶も用意して、木の下にテーブルセットも用意して」
番をベッドに押し倒しているこの状況で、何故そんな言葉が出てくるかな…… と、ハデスが遠い目をした。だが、愛おしい者の笑顔に勝るものなど存在せす、期待により満面の笑みを浮かべている十六夜の顔を間近に見て、ハデスが眩しいものでも見たみたいに目を細めた。この空間で彼女の笑顔を見られるというレア感がより彼の感動を加速させる。
ささやかな願いを叶えてあげたい。
今回は、ちゃんと。
だが、だからと言って、溜まりに溜まった性欲を抑える事は容易い事ではない。なのでハデスは妥協点は何かないかと必死に考えた。
「ねぇ、十六夜…… 」
「はい、ハデス様」
「ポリネシアン・セックスって知ってる?」
「ぽり…… え?」
突然そんな話を持ち出され、十六夜はきょとん顔だ。
「毎日裸で抱き合って、最終日にだけきちんとまぐわう行為だよ。挿入してからも長い時間そのままでじっと耐えて耐えて耐えて、そしてゆっくりじっくり焦らしていくらしいね」
仮初の身では何度も性交を経験しているクセに、カッと十六夜の顔が熱くなる。こうも初心な反応をされと、余計に早く抱きたいと心が急く。
「毎日、ですか?長い時間、そのまま…… 。えっと、それはどのくらいの期間なんですか?」
「五…… 」
「ご?」
「五年くらいだった、かな?挿入後も…… 三十年くらいだった、ような」
自分からした話題だったクセに、うろ覚えの知識だったせいでハデスはテキトウな事を口にしてしまった。
「そ、そんなにですか⁉︎人間だったら死んでませんか?」
絶対に間違ってると十六夜は確信したが、正解を知らないので訂正も出来ない。
「うん、流石僕もそんな気がしてきた。だけど、僕らなら平気だよね?」
「そ、それは確かに…… そう、ですけど…… 」
彼はソレを今からヤル気なんだと察し、十六夜が細い脚を無意識のうちにもじっと動かした。
「裸で抱き合って、ベッドの中で思い出話、とか…… どうかな。十六夜は、どうしたい?」
耳の輪郭をそっと指先で撫でられ、ビクッと体が跳ねる。今までに何度もハデスと繋がってきた十六夜の心は先の期待を勝手にし始め、体にまで変化を及ぼし始める。本体で繋がるのは初めての事なのにもう、股下は期待でしっとりとしてきた。
「私は…… えっと…… 」
恥ずかしさのせいか言葉が上手く出てこない。いつかはちゃんとこの身を捧げたいとは思っていたが、こんなにも急な話となると、気持ちの方はついていけていなかった。
「この日を僕はずっと待ち望んでいたんだ。…… 良いよね?十六夜」
耳の輪郭を撫でていた指先が頬の上を滑り、瑞々しい唇まで辿り着く。胸の内に抱え続けている強い恋情が抑えきれず、ハデスの理性はもう、今にも砕けそうだ。
「誘拐してまで僕を欲してくれたんだもん、少しは、僕らの気持ちも近づけたんだとは思わない?」
十六夜に対するハデスの恋心は、到底彼女に追いつける深さではない。だが『番であるという記憶が無い状態だったのに、誘拐してまで自分を求めてくれた』という事実はその差を埋める材料としては悪くなく、自分からの一方的な感情ではないのだと思うには充分なものではあった。
「好きだよ、十六夜…… 愛してる」
彼女の手を掴み取り、手の甲に優しく口付ける。すると十六夜は体を震わせ、ポロポロと歓喜に満ちた涙を流し始めた。
「私もです、ハデス様」と迷いなく言い、十六夜が彼の首回りに腕を回す。
「でも…… 五年も焦らされるのは、私が耐えられそうにないのですが…… もう少し早く、つ、つ…… 繋がれませんか?」
照れ臭そうにそう口にした十六夜の体をハデスは反射的に抱き返した。彼女の大きな胸がむぎゅっと潰れて形を変えている。
抱いたままハデスは体勢を変え、ベッドの上に座った。それにより二人は対面座位みたいな状態になり、十六夜の敏感な箇所にハデスの剛直が見事に当たる。無意識に十六夜の腰がもじっと動き、彼は意地悪な笑みを浮かべた。
「思い出話に話を咲かせなくっていいのかい?触れ合いながらでもいいなら、僕はいくらでも話したい事があるんだけど」
「意地悪、しないで…… 下さい」
雪の様に白い肌を桜色に染め、十六夜が力なくハデスの着ているローブをきゅっと掴んだ。
「ははは…… 参ったなぁ、そう言われると我慢出来なくなるじゃないか」
自分だけを愛するように。
二人だけの世界に閉じ込めるみたいにして一方的な愛を注ぎ続けてきたが、様々な世界を知り、経験を得ても尚、自分を選んでくれている番の仕草、一つ一つが愛おしい。他者に興味を持てない自分でも愛せる個体を手ずから造ったのだから当然と言えば当然なのだが、それでも嬉しいと感じる気持ちは一層募るばかりだ。
(十六夜を捕えているつもりでいたが、囚われていたのは自分の方だったんだな…… )
ありがちな事実に今更行き着いたが、悪い気分ではない。むしろ清々しい程に。番と繋がれるのならもう全てがどうでも良くなってくる。元々は自分の一部だったモノを分けて造りあげた弊害か、一つになりたいと求める気持ちが一層加速していく。
「えっと…… 肌を合わせることで、語れる事もあるそうですよ?」
「それは素晴らしい提案だな」
照れ臭そうな青藍色の瞳と赤い瞳の視線が絡み合う。熱い吐息をこぼす唇が重なった時、彼はやっと十六夜と番になれた気がした。
【完結】
そう言うハデスに組み敷かれた状態になっている十六夜は、戸惑いながらも頬を染め、「た、ただいま、戻りました」と返した。馴染み深い真っ白な空間には天蓋付きの大きなベッド、紫色の葉と白い樹皮が特徴的な木の他には相変わらず目立つ物は少ないままだ。慣れ親しんだシーツの感触を肌で感じ、十六夜は『帰ってきたのだ』と感慨深い気持ちにはなってきた。今回は完全に本来の記憶も無く、十七年間も此処に戻らずにいたのだから当然と言えよう。
「…… えっと」
「ん?」
「流石にこれで、休暇は…… 終わり、ですよね?」
「何故そう思ったの?」
そう問い掛け、ハデスが十六夜の銀糸の様な髪を一房持ち上げ、口付けを贈る。たったそれだけの仕草でも、十六夜の胸の奥が喜びに震えた。
「えっと、だって、今回は結構濃密な時間を過ごしましたし、最後にはトラブルもあったので、もう流石に最後なのかなと」
「まぁ、そうだね。僕も目的が果たせたし、これ以上は物語の世界に頼らなくてもいいかなとは思ってる」
「じゃあ、休暇はこれで終わりですね。お仕事の再開はいつからにしますか?」と言って、十六夜が両手を軽く合わせる。押し倒されている状況なのに色気も何も感じられない。まるで業務前の上司と部下みたいな雰囲気になってしまった。
「そんなにあの作業に戻りたいの?」
“あの作業”とはもちろん、悔いを残したまま死亡した魂を、当人の望む仮想世界に送り出す行為の事だ。
「ハデス様のお役に立てますからね」
「…… まさか、あの作業に対して嫉妬する日がくるとはなぁ」とこぼし、ハデスが自分の額に手を当てた。
「僕としてはね、まだしばらくは休暇を取りたい気持ちままなんだけど…… 十六夜は違うの?」
耳を倒した大型犬みたいな表情をするハデスを目の前にして、十六夜の胸の奥がぎゅっと苦しくなった。体格の良いヒトなのに可愛くも思えてしまう。
「じゃ、じゃあ、今までの休暇を振り返って思い出話でもしましょうか。そのくらいなら、まだお休みしても、問題ないですよね?」
「おしゃべりするの?…… それって、お茶でもしながら的な?」
「はい!お菓子とお茶も用意して、木の下にテーブルセットも用意して」
番をベッドに押し倒しているこの状況で、何故そんな言葉が出てくるかな…… と、ハデスが遠い目をした。だが、愛おしい者の笑顔に勝るものなど存在せす、期待により満面の笑みを浮かべている十六夜の顔を間近に見て、ハデスが眩しいものでも見たみたいに目を細めた。この空間で彼女の笑顔を見られるというレア感がより彼の感動を加速させる。
ささやかな願いを叶えてあげたい。
今回は、ちゃんと。
だが、だからと言って、溜まりに溜まった性欲を抑える事は容易い事ではない。なのでハデスは妥協点は何かないかと必死に考えた。
「ねぇ、十六夜…… 」
「はい、ハデス様」
「ポリネシアン・セックスって知ってる?」
「ぽり…… え?」
突然そんな話を持ち出され、十六夜はきょとん顔だ。
「毎日裸で抱き合って、最終日にだけきちんとまぐわう行為だよ。挿入してからも長い時間そのままでじっと耐えて耐えて耐えて、そしてゆっくりじっくり焦らしていくらしいね」
仮初の身では何度も性交を経験しているクセに、カッと十六夜の顔が熱くなる。こうも初心な反応をされと、余計に早く抱きたいと心が急く。
「毎日、ですか?長い時間、そのまま…… 。えっと、それはどのくらいの期間なんですか?」
「五…… 」
「ご?」
「五年くらいだった、かな?挿入後も…… 三十年くらいだった、ような」
自分からした話題だったクセに、うろ覚えの知識だったせいでハデスはテキトウな事を口にしてしまった。
「そ、そんなにですか⁉︎人間だったら死んでませんか?」
絶対に間違ってると十六夜は確信したが、正解を知らないので訂正も出来ない。
「うん、流石僕もそんな気がしてきた。だけど、僕らなら平気だよね?」
「そ、それは確かに…… そう、ですけど…… 」
彼はソレを今からヤル気なんだと察し、十六夜が細い脚を無意識のうちにもじっと動かした。
「裸で抱き合って、ベッドの中で思い出話、とか…… どうかな。十六夜は、どうしたい?」
耳の輪郭をそっと指先で撫でられ、ビクッと体が跳ねる。今までに何度もハデスと繋がってきた十六夜の心は先の期待を勝手にし始め、体にまで変化を及ぼし始める。本体で繋がるのは初めての事なのにもう、股下は期待でしっとりとしてきた。
「私は…… えっと…… 」
恥ずかしさのせいか言葉が上手く出てこない。いつかはちゃんとこの身を捧げたいとは思っていたが、こんなにも急な話となると、気持ちの方はついていけていなかった。
「この日を僕はずっと待ち望んでいたんだ。…… 良いよね?十六夜」
耳の輪郭を撫でていた指先が頬の上を滑り、瑞々しい唇まで辿り着く。胸の内に抱え続けている強い恋情が抑えきれず、ハデスの理性はもう、今にも砕けそうだ。
「誘拐してまで僕を欲してくれたんだもん、少しは、僕らの気持ちも近づけたんだとは思わない?」
十六夜に対するハデスの恋心は、到底彼女に追いつける深さではない。だが『番であるという記憶が無い状態だったのに、誘拐してまで自分を求めてくれた』という事実はその差を埋める材料としては悪くなく、自分からの一方的な感情ではないのだと思うには充分なものではあった。
「好きだよ、十六夜…… 愛してる」
彼女の手を掴み取り、手の甲に優しく口付ける。すると十六夜は体を震わせ、ポロポロと歓喜に満ちた涙を流し始めた。
「私もです、ハデス様」と迷いなく言い、十六夜が彼の首回りに腕を回す。
「でも…… 五年も焦らされるのは、私が耐えられそうにないのですが…… もう少し早く、つ、つ…… 繋がれませんか?」
照れ臭そうにそう口にした十六夜の体をハデスは反射的に抱き返した。彼女の大きな胸がむぎゅっと潰れて形を変えている。
抱いたままハデスは体勢を変え、ベッドの上に座った。それにより二人は対面座位みたいな状態になり、十六夜の敏感な箇所にハデスの剛直が見事に当たる。無意識に十六夜の腰がもじっと動き、彼は意地悪な笑みを浮かべた。
「思い出話に話を咲かせなくっていいのかい?触れ合いながらでもいいなら、僕はいくらでも話したい事があるんだけど」
「意地悪、しないで…… 下さい」
雪の様に白い肌を桜色に染め、十六夜が力なくハデスの着ているローブをきゅっと掴んだ。
「ははは…… 参ったなぁ、そう言われると我慢出来なくなるじゃないか」
自分だけを愛するように。
二人だけの世界に閉じ込めるみたいにして一方的な愛を注ぎ続けてきたが、様々な世界を知り、経験を得ても尚、自分を選んでくれている番の仕草、一つ一つが愛おしい。他者に興味を持てない自分でも愛せる個体を手ずから造ったのだから当然と言えば当然なのだが、それでも嬉しいと感じる気持ちは一層募るばかりだ。
(十六夜を捕えているつもりでいたが、囚われていたのは自分の方だったんだな…… )
ありがちな事実に今更行き着いたが、悪い気分ではない。むしろ清々しい程に。番と繋がれるのならもう全てがどうでも良くなってくる。元々は自分の一部だったモノを分けて造りあげた弊害か、一つになりたいと求める気持ちが一層加速していく。
「えっと…… 肌を合わせることで、語れる事もあるそうですよ?」
「それは素晴らしい提案だな」
照れ臭そうな青藍色の瞳と赤い瞳の視線が絡み合う。熱い吐息をこぼす唇が重なった時、彼はやっと十六夜と番になれた気がした。
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