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最終章
【第五話】囚われの身の上⑤
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十六夜が喜びを噛み締めている中、ハデスはデウスの方にスッと手を伸ばした。彼の冷ややかな眼差しは他者に向けるべきではない程に暗く澱み、その視線だけで全てのものを凍り付かせてしまいそうだ。
「んじゃ、そろそろ消えてもらおうか」
眠る前に、部屋の明かりや蝋燭の火でも消すみたいな軽いノリでデウスがそう口にする。すると彼の側に控えていたセフィルはその発言を聞き、どこからともなく一冊の分厚い本を取り出した。十六夜にとっても馴染み深い革製の古そうな表紙には、見た事も無い文字が書き並んでいる。読めはしないがきっと、その本のタイトルは『君は僕の可愛い獣』だろうと彼女は思った。
「…… き、消える?」
デウスは『意味がわからない』と言いたげに呟くと、少し考え、やっと自分の置かれた状況を理解したのか、「——ま、待て!」と慌てて叫んだ。降参でもしているみたいに両手を軽く上げたが、ハデスが手を下げる気配は無い。
「『消える』とは、まさか…… 我の事を言っているのか?」
声は震え、威厳の欠片もない。怒りや恐怖といった感情がない混ぜになった様な複雑な表情をしている。そんな表情のせいですっかり小物感を漂わせており、十六夜と二人だけだった時に感じた神々しさや恐怖心は一体何だったのかと彼女は思った。
「お前以外に、対象となるものが誰かいるって言うのかい?」
首を一度傾げ、嫌味ったらしくハデスは周囲を見回す。が、粉々になった空間の欠片が舞っている青空の下で宙に浮いているこの状況で、この四人以外の『誰か』を見付けられるはずがなかった。
「わ、わわ、我を消せば、この世界はどうなるかわかっているのか?最高神である我が消えれば、この星に暮らす無数の生命達が指針を失う事になるんだぞ?…… 本体である貴様に会ってやっとわかった、ハデスも我と同じく“神”なのだろう?約二十年、この世界で生きてきた“ハデス”ならば、“神”であるなら、幾億万もの命を消し去るなど出来やしないだろう?」
「お前が先に見捨てた世界を、何故僕が気に掛けなければならないんだ?」
ハデスがそう言ったのと同時に、デウスは一瞬にして跡形も無く消え去ってしまった。…… まるで、最初からそこには誰もいなかったみたいに。命乞いする間も、言い訳や彼なりの言い分を更に口する隙もなくだ。
「…… え?」
十六夜はぽつりと呟き、ハデスが頭から被っているフード部分をぎゅっと掴む。いくらデウスという存在が物語の登場人物にすぎないとしても、欠片の慈悲もない行動に対し、十六夜は驚きを隠せない。だが、助けてもらった身としては、『酷い』とも『やり過ぎだ』とも言えず、ただただ困惑してしまう。
彼女がハデスに対して何も言えずにいると、足元に広がる広大な世界に揺らぎが生じた。星を守る主軸となっていた最高神であるデウスを失い、全てを構築している何かしらが不安定になり始めたのだろう。物語上では端役であろうと、神には変わりないのだから。
「セフィル。すまないけど、後は頼めるかい?」
「了解です」
はぁとセフィルが大げさにため息をつく。『こんな事の為に呼び出しやがって』と思っている感情がそのため息にありありと現れていた。
セフィルの持っていた一冊本がふわりと浮き上がり、勝手に開いていく。浮き上がった本とセフィルの手が同時に淡く光ったかと思うと、周囲の揺らぎが次第に落ち着いていった。いとも簡単に、彼の手によってこの物語の世界の均衡は保たれたみたいだ。本にまつわる精霊か付喪神の様な存在であるセフィルにとっては息をするよりも容易い事だったのだろう。
「…… 」
しばらく黙って様子を伺っていた十六夜だったが、意を決して「——あ、あのっ!」とハデスとセフィルに声をかけた。
「ん?どうかしたのかい?」
「デウスさんは…… どうなったんですか?」
目の前で消え去ったが、一瞬の出来事だったせいで事実を受け止めきれない。もしかして、『存在そのものを消し去ったんじゃなく、危険だからと別の何処かに移動させたのかも?』と少し思ったりもしたのだが、ハデスから返ってきた言葉は彼女の甘い考えを見事に打ち消すものだった。
「完全に消し去ったよ。だって、アレは十六夜に危害を加えたんだから、当然だよね」
褒めて褒めてとハデスの声が弾んでいる。だが十六夜は彼の望み通りの行動をする気には、とてもじゃないがなれなかった。
「…… あ、あの、えっと…… 」
「どうしたの?何か言い難い事でもあった?」
そう訊きながらデイスは肩から十六夜を下ろし、向かい合う様にして彼女を抱く。コツンッとお互いの額を重ねると、瞼を閉じて「ゆっくりでいいよ、僕に教えて?」と優しい声色で伝えた。
「…… デウスさんを、元に戻してあげる事は、出来ませんか?」
「彼を?」
「あ、甘い考えだって事は、はわかっています。でも、でも…… あのヒトの心境が、少しは理解出来ると言うか…… も、もちろん世界樹の養分にされそうになった事は許せません。許せません、けど…… 信じていたものが、感じていた事の全部が自分の考えや感情じゃないんだってなったら、かなりキツイと思うんです。それこそ、何としてでも現状を変えたいって必死に足掻きたくなる気持ちは、ちょっとわかるなって思って」
ゆっくりと、でもきちんと考えを伝え終えた十六夜がハデスの首回りにぎゅっと抱きついた。『どうかお願いです!』と気持ちを込めて。
「んー…… 」と少し悩み、「わかった」とハデスが答える。そして十六夜の背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「セフィル、追加で頼むよ」
「でも…… 」
ハデスの頼みに対し、セフィルは少し迷いを見せた。
「いいから」
不自然な笑みを浮かべ、ハデスが念を押す。すると彼は「わかりました」と言って頷き、手に持つ本を開いてすぐさま対処し始めた。
「——これでいいですか?」
パタンッと分厚い本を閉じ、右側にしているモノクルを指先でくいっと上げる。本当に望み通りになったのかを確認する術は十六夜にはなかったが、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます、セフィルさん」
「どういたしまして」
そう返しはしたが、彼の表情には少し気まずそうな雰囲気が感じられる。
『…… 一応はそれっぽくしておきましたが、コレでいいですか?』
セフィルはハデスにしか聞こえない音で、彼に声を掛けた。
『あぁ、ありがとうセフィル。本当に感謝するよ』
同じくセフィルにだけその声は聞こえ、ハデスが彼に笑顔を向ける。
『…… 十六夜さんに手出しなどせず、あのまま大人しくしていれば、いずれは本当に願いが叶ったのに。馬鹿な事をしましたね、デウスという者は』
『あぁ、そうだね』
セフィルはハデスの横に並び立ち、太陽の方へ目を向けた。
『アレはお前みたいな付喪神になりかけていたからなぁ。でもそのせいで、自分の世界が誰かの書いた物語でしかないと悟ってしまった。…… 知らなければ、せめて“設定”で持たされた権能が“全知全能”でなければ、奴は善神のままでいられただろうに』
『そうですね。せめて、貴方が物語に介入した時に、“アイデース”という鳥獣人に取って代われた時点で、自分の変化に気が付けていたら、また結末は違ったでしょうに』
突如強い風が吹き、セフィルと十六夜の長い髪を乱していく。だけど彼女は嬉しそうに瞳を細め、風の流れるまま身を任せた。正直に自分の考えを伝え、ハデスがその頼みを聞き入れてくれた事を嬉しく思っている。
だが実は、元の通りにと言った十六夜の願いは叶ってはいない。
ハデスの権能により消えた存在を元通りにするなど、本の精霊の様な存在であるセフィルにも無理な事だったからだ。文章上の存在のままだったのなら簡単に戻せたのだが、本の付喪神になりかけていた無二に存在を、欠片も残さず完全に消し去ってしまった後ではもうどうにもならない。だからセフィルは仕方なく、“デウス”と似て非なる者を新たに創り、後釜に据えた。その事はあえて伝えずともハデスも理解している。だけど二人がその事実を十六夜に伝える気配はまるでない。
「ハデス様も、許可して下さってありがとうございます」
「十六夜のお願いだからね。それに僕も、思い出深い世界を元通りに出来て嬉しく思うよ」
悪びれもせずに笑顔でそう言うと、ハデスは「さて、僕達は部屋に戻ろうか」と口にして十六夜を高らかに持ち上げた。
彼女に対して一つ秘密が出来てしまったが、二人が黙ってさえいれば済む事なので全く気にも留めていない。むしろ自分から十六夜を奪おうとした者を完全に消し去ったからか、満足気ですらある。
そんなハデスの様子を見て、『…… 自分は決して、ハデスの怒りを買うまい』とセフィルは改めて決意を固めた。
「では、私も妻の元に帰りますね」
「あぁ、そうだね。今回の件はいつか必ず礼をするよ」
自分も帰ると告げたセフィルにハデスがそう返す。その言葉を聞き、「約束ですからね?」と告げた次の瞬間にはもう、セフィルは早々にその場から消え去って行った。もちろん行き先は彼の愛妻のすぐ側だ。
「…… お早い、お戻りですね」
「あはは、そうだね。でも気持ちはわかるな、僕だって十六夜と離れている間はずっと、すぐにでも十六夜に逢いたくってたまらなかったもん」
ぎゅっと十六夜を抱きしめくるっと回る。すると二人の姿も物語の中から居なくなり、彼らはいつもの真っ白な空間へ即座に戻って行った。
「んじゃ、そろそろ消えてもらおうか」
眠る前に、部屋の明かりや蝋燭の火でも消すみたいな軽いノリでデウスがそう口にする。すると彼の側に控えていたセフィルはその発言を聞き、どこからともなく一冊の分厚い本を取り出した。十六夜にとっても馴染み深い革製の古そうな表紙には、見た事も無い文字が書き並んでいる。読めはしないがきっと、その本のタイトルは『君は僕の可愛い獣』だろうと彼女は思った。
「…… き、消える?」
デウスは『意味がわからない』と言いたげに呟くと、少し考え、やっと自分の置かれた状況を理解したのか、「——ま、待て!」と慌てて叫んだ。降参でもしているみたいに両手を軽く上げたが、ハデスが手を下げる気配は無い。
「『消える』とは、まさか…… 我の事を言っているのか?」
声は震え、威厳の欠片もない。怒りや恐怖といった感情がない混ぜになった様な複雑な表情をしている。そんな表情のせいですっかり小物感を漂わせており、十六夜と二人だけだった時に感じた神々しさや恐怖心は一体何だったのかと彼女は思った。
「お前以外に、対象となるものが誰かいるって言うのかい?」
首を一度傾げ、嫌味ったらしくハデスは周囲を見回す。が、粉々になった空間の欠片が舞っている青空の下で宙に浮いているこの状況で、この四人以外の『誰か』を見付けられるはずがなかった。
「わ、わわ、我を消せば、この世界はどうなるかわかっているのか?最高神である我が消えれば、この星に暮らす無数の生命達が指針を失う事になるんだぞ?…… 本体である貴様に会ってやっとわかった、ハデスも我と同じく“神”なのだろう?約二十年、この世界で生きてきた“ハデス”ならば、“神”であるなら、幾億万もの命を消し去るなど出来やしないだろう?」
「お前が先に見捨てた世界を、何故僕が気に掛けなければならないんだ?」
ハデスがそう言ったのと同時に、デウスは一瞬にして跡形も無く消え去ってしまった。…… まるで、最初からそこには誰もいなかったみたいに。命乞いする間も、言い訳や彼なりの言い分を更に口する隙もなくだ。
「…… え?」
十六夜はぽつりと呟き、ハデスが頭から被っているフード部分をぎゅっと掴む。いくらデウスという存在が物語の登場人物にすぎないとしても、欠片の慈悲もない行動に対し、十六夜は驚きを隠せない。だが、助けてもらった身としては、『酷い』とも『やり過ぎだ』とも言えず、ただただ困惑してしまう。
彼女がハデスに対して何も言えずにいると、足元に広がる広大な世界に揺らぎが生じた。星を守る主軸となっていた最高神であるデウスを失い、全てを構築している何かしらが不安定になり始めたのだろう。物語上では端役であろうと、神には変わりないのだから。
「セフィル。すまないけど、後は頼めるかい?」
「了解です」
はぁとセフィルが大げさにため息をつく。『こんな事の為に呼び出しやがって』と思っている感情がそのため息にありありと現れていた。
セフィルの持っていた一冊本がふわりと浮き上がり、勝手に開いていく。浮き上がった本とセフィルの手が同時に淡く光ったかと思うと、周囲の揺らぎが次第に落ち着いていった。いとも簡単に、彼の手によってこの物語の世界の均衡は保たれたみたいだ。本にまつわる精霊か付喪神の様な存在であるセフィルにとっては息をするよりも容易い事だったのだろう。
「…… 」
しばらく黙って様子を伺っていた十六夜だったが、意を決して「——あ、あのっ!」とハデスとセフィルに声をかけた。
「ん?どうかしたのかい?」
「デウスさんは…… どうなったんですか?」
目の前で消え去ったが、一瞬の出来事だったせいで事実を受け止めきれない。もしかして、『存在そのものを消し去ったんじゃなく、危険だからと別の何処かに移動させたのかも?』と少し思ったりもしたのだが、ハデスから返ってきた言葉は彼女の甘い考えを見事に打ち消すものだった。
「完全に消し去ったよ。だって、アレは十六夜に危害を加えたんだから、当然だよね」
褒めて褒めてとハデスの声が弾んでいる。だが十六夜は彼の望み通りの行動をする気には、とてもじゃないがなれなかった。
「…… あ、あの、えっと…… 」
「どうしたの?何か言い難い事でもあった?」
そう訊きながらデイスは肩から十六夜を下ろし、向かい合う様にして彼女を抱く。コツンッとお互いの額を重ねると、瞼を閉じて「ゆっくりでいいよ、僕に教えて?」と優しい声色で伝えた。
「…… デウスさんを、元に戻してあげる事は、出来ませんか?」
「彼を?」
「あ、甘い考えだって事は、はわかっています。でも、でも…… あのヒトの心境が、少しは理解出来ると言うか…… も、もちろん世界樹の養分にされそうになった事は許せません。許せません、けど…… 信じていたものが、感じていた事の全部が自分の考えや感情じゃないんだってなったら、かなりキツイと思うんです。それこそ、何としてでも現状を変えたいって必死に足掻きたくなる気持ちは、ちょっとわかるなって思って」
ゆっくりと、でもきちんと考えを伝え終えた十六夜がハデスの首回りにぎゅっと抱きついた。『どうかお願いです!』と気持ちを込めて。
「んー…… 」と少し悩み、「わかった」とハデスが答える。そして十六夜の背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「セフィル、追加で頼むよ」
「でも…… 」
ハデスの頼みに対し、セフィルは少し迷いを見せた。
「いいから」
不自然な笑みを浮かべ、ハデスが念を押す。すると彼は「わかりました」と言って頷き、手に持つ本を開いてすぐさま対処し始めた。
「——これでいいですか?」
パタンッと分厚い本を閉じ、右側にしているモノクルを指先でくいっと上げる。本当に望み通りになったのかを確認する術は十六夜にはなかったが、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます、セフィルさん」
「どういたしまして」
そう返しはしたが、彼の表情には少し気まずそうな雰囲気が感じられる。
『…… 一応はそれっぽくしておきましたが、コレでいいですか?』
セフィルはハデスにしか聞こえない音で、彼に声を掛けた。
『あぁ、ありがとうセフィル。本当に感謝するよ』
同じくセフィルにだけその声は聞こえ、ハデスが彼に笑顔を向ける。
『…… 十六夜さんに手出しなどせず、あのまま大人しくしていれば、いずれは本当に願いが叶ったのに。馬鹿な事をしましたね、デウスという者は』
『あぁ、そうだね』
セフィルはハデスの横に並び立ち、太陽の方へ目を向けた。
『アレはお前みたいな付喪神になりかけていたからなぁ。でもそのせいで、自分の世界が誰かの書いた物語でしかないと悟ってしまった。…… 知らなければ、せめて“設定”で持たされた権能が“全知全能”でなければ、奴は善神のままでいられただろうに』
『そうですね。せめて、貴方が物語に介入した時に、“アイデース”という鳥獣人に取って代われた時点で、自分の変化に気が付けていたら、また結末は違ったでしょうに』
突如強い風が吹き、セフィルと十六夜の長い髪を乱していく。だけど彼女は嬉しそうに瞳を細め、風の流れるまま身を任せた。正直に自分の考えを伝え、ハデスがその頼みを聞き入れてくれた事を嬉しく思っている。
だが実は、元の通りにと言った十六夜の願いは叶ってはいない。
ハデスの権能により消えた存在を元通りにするなど、本の精霊の様な存在であるセフィルにも無理な事だったからだ。文章上の存在のままだったのなら簡単に戻せたのだが、本の付喪神になりかけていた無二に存在を、欠片も残さず完全に消し去ってしまった後ではもうどうにもならない。だからセフィルは仕方なく、“デウス”と似て非なる者を新たに創り、後釜に据えた。その事はあえて伝えずともハデスも理解している。だけど二人がその事実を十六夜に伝える気配はまるでない。
「ハデス様も、許可して下さってありがとうございます」
「十六夜のお願いだからね。それに僕も、思い出深い世界を元通りに出来て嬉しく思うよ」
悪びれもせずに笑顔でそう言うと、ハデスは「さて、僕達は部屋に戻ろうか」と口にして十六夜を高らかに持ち上げた。
彼女に対して一つ秘密が出来てしまったが、二人が黙ってさえいれば済む事なので全く気にも留めていない。むしろ自分から十六夜を奪おうとした者を完全に消し去ったからか、満足気ですらある。
そんなハデスの様子を見て、『…… 自分は決して、ハデスの怒りを買うまい』とセフィルは改めて決意を固めた。
「では、私も妻の元に帰りますね」
「あぁ、そうだね。今回の件はいつか必ず礼をするよ」
自分も帰ると告げたセフィルにハデスがそう返す。その言葉を聞き、「約束ですからね?」と告げた次の瞬間にはもう、セフィルは早々にその場から消え去って行った。もちろん行き先は彼の愛妻のすぐ側だ。
「…… お早い、お戻りですね」
「あはは、そうだね。でも気持ちはわかるな、僕だって十六夜と離れている間はずっと、すぐにでも十六夜に逢いたくってたまらなかったもん」
ぎゅっと十六夜を抱きしめくるっと回る。すると二人の姿も物語の中から居なくなり、彼らはいつもの真っ白な空間へ即座に戻って行った。
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