恋も知らぬ番に愛を注ぐ

月咲やまな

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【第四章】いやらしいのは隣のキミ一人

【第九話】二人の初めて③(十六夜・談)

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「十六夜さんの事が好きだなって自覚してから、ずっと抱きたくってしょうがなかったんだよ?多少の障害くらい覚悟の上さ」
 掴んでいる私の腕を彼が下に引っ張ったせいで、手の平に何やら硬いモノが触れた。布越しだろうが伝わってくるくらいにどくんどくんと脈打っていてとても熱く、それでいて少ししっとりとしている。今自分が触れているソレが何なのか、わからない程初心じゃないせいで顔がカッと真っ赤に染まる。慌てて手を引こうとしたが許しては貰えず、そのまま上下に擦るみたいに手を動かす羽目に。

「起きてる時に、こうやってさわ、触ってもらうの…… は、初めてだけど、やっぱ最高だなぁ」

 上擦った彼の声が妙に色っぽい。コレで成人したての男性だなんてまるで嘘みたいだ。だがそれ以上に彼の発言が聞き捨てならないものだったせいで、少しだけ冷静さを取り戻せた気がする。

「…… え?待って…… 私はコレを…… 何度も、さ、触ってる、の?」

 その時の私は寝ぼけてでもいたんだろうか?
 まさか、いたいけな少年だった彼をこんなふうに暴走させた一因は私にあるのでは?

 焦りのせいか顔から一気に血の気が引く。
「うん。ボクが初めて精通した時も、タイミング良く週末だったおかげで十六夜さんの隣で横になっていた時だったしね。警戒心の欠片もなくぐっすり眠っている十六夜さんの膣内ナカにコレを挿れて、狭くて美味しそうな膣を沢山擦って、初めて射精したモノを最奥にプレゼントしたい衝動をぐっと堪えたボクって、忍耐力すごいと思わない?」
 恍惚とした表情で恐ろしい事を言っている。私が彼に何かをシタわけではないみたいなのは朗報だが、中身はとんでもない内容の告白だった。

 え?待って。
 精通って…… 一般的には中学生くらいだったよね。

 って事は、彼がまだ中学生だった辺りにはもうそんな事を考えながら私の隣で天使みたいな顔をしながら寝ていたって事?嘘、普段は無辜な子供顔で笑っておきながら中身は淫魔みたいに性欲でドロドロだったなんて。

 こんなのもう、完全に詐欺じゃないか。

「それからはより一層週末が楽しみで仕方なかったよ。胸の間に顔を埋めていようが、こうやって勝手に柔らかな手を借りて擦ってもらおうが、コレを十六夜さんの脚に押し付けても起きないでくれるんだもん。まぁ流石に、口に入れたり、膣内ナカまで挿れたら起きそうだなと思ったからそこまではヤレなかったけど——」と言って、彼が私の手を離してくれた。ほっとしたのも束の間。その手が今度は私の穿いているショーツをツツッと撫で、布の上からぐいっと秘裂の中に押し込んでくる。
「——んあっ!」

「わぁ。今日はすごく濡れてるね…… 。いつもはココ、最初は乾いていて、触れるのも怖いくらいなんだけどなぁ」

 “ハデス様”ボイスで囁きながら、指先をぐりゅぐりゅと動かされる。既にもう脱ぎ捨ててしまいたくなるくらいに濡れていたショーツは彼のせいで一層湿り、中から溢れた蜜が太腿を伝い落ちて敷布をも汚した。
「こうされるのってもどかしいよね。布が邪魔で気持ちいい所に入ってこないのって、苦しくない?」
「や、止めて…… さ、触っちゃ、ダメェッ」
 浅い所を何度も布ごと撫でて、たまに彼の指が肉芽を掠めるせいで全身の震えが止まらない。腰は砕け、体に力が全く入らず、頭ん中が真っ白になる。
「違うでしょう?もっと奥まで入れてって言わないと」
 ニッと笑う顔には汗が滲んでいて高校生とは思えぬ淫猥さだ。
「いや…… んっ」
 歯を食いしばり、無理矢理与えられる快楽に耐える。首を横に振って彼の腕を掴み抵抗するも、力の入らぬ手では何の意味もなさない。
「あーかわいい…… 。無駄な抵抗ばっかしちゃってさ」
 もう我慢の限界だったのか、彼は指先でショーツを軽く除け、どろどろに濡れる蜜壺のナカにグチュッと骨張った指が入ってきた。粘膜を直に優しく撫でられ、腰が何度も跳ねる。
「んー…… この辺、かな?」
 何かを探すみたいに指が膣内を丹念に蹂躙し、より敏感な箇所を軽く掠めた。その途端目の前に火花の様な光が散り、言葉にならぬあられも無い声が部屋の中に響いた。
「あ。…… イッたみたいだね」とこぼし、ハデス君がふふっと嬉しそうに笑う。高揚に満ちた瞳で私を見下ろしながら彼は指をナカから抜き取ると、息を荒げながら自身の下着をずらし、臍まで届きそうな程の猛りを露わにした。太くて赤黒い剛直の鈴口にはぷっくりと蜜が滲み出ている様子が昼間の明るい室内で妙に生々しく感じられる。
 ごくっと無意識に喉が鳴ってしまう。“ハデス様”から何度も何度も貰った快楽を今は彼が与えてくれるのだという考えが頭の中に浮かび、否応無しに下っ腹の奥が期待で満ちて蜜口がヒクヒクと疼いた。ショーツを脱がされていたら彼にその様が丸見えだったろうから、下着と靴下だけであろうが着衣状態である事を嬉しく思う。
 彼は穿いているズボンの後ろポケットから小さな四角い物を取り出すと、かどを歯で噛んで開け、中身を取り出した。猛々しく勃起している雄にソレを装着すると、愛液でぐしょぐしょになっているショーツを強引にずらし、彼は身を屈めて濡れそぼる秘裂に切っ先を当てがった。

「初めての事…… ボクと一緒に楽しもうね」

 蠱惑的な瞳を向けられ、ゾクッと全身が歓喜に震えた。『でも、こんな事は駄目だ』と思う気持ちが、困った事に瞬時に消え去ってしまう。そのくらい彼の漆黒の瞳は甘い欲望を帯びていて、淫魔に淫紋を腹に刻まれた人間みたいにハデス君の腕に縋りついてしまった。心臓はこれ以上ないくらいにばくんばくんと煩く騒ぎ、呼吸なんか整える余裕もない。彼の視線に炙られて熱を持った体は、早く、とにかく早くこの先の行為を求めるみたいに体が動き、蜜口で彼の切っ先を意図せず撫でてしまう。
 昇りに震え、ハデス君の熱塊がぐぐっとナカにゆっくり押し込まれた。彼は甘い吐息を吐き出しながら蜜で溢れかえっている膣壁をゆるりと犯し、男を知らぬこの身にじわじわと雄を刻んでいく。

「き…… きつっ…… 。やば、すぐにで、でそう…… 」

 初めての交合だからか、余裕なさげにハデス君が眉を寄せる。だけど私も人の心配なんかする余地なんかまるで無く、はくはくと空気を食むばかりだ。まだちょっとしか彼のモノをナカに受け入れられていないのに、既にもう腹の中はいっぱいいっぱいで苦しくってしょうがない。涙が滂沱の如く眦から流れ落ち、破瓜の痛みで視界がぐらっと揺れる。

「ごめんね、痛い?…… 十六夜さん、胸以外は小さいからなぁ」

 彼は奥に進むのを止め、優しい手付きで頭をそっと撫でてくれた。汗と涙でベタベタなせいで髪が肌に張り付いている。そんな髪を軽く整え、ハデス君がキスの雨を降らせてくる。耳、額、頬や首にと、勝手に動かしてしまいそうになる腰をもどかしそうにしながら、馴染むのを待ってくれた。

「体の力、抜ける?やめるのは…… 絶対に無理だから、このまま頑張って欲しいな」

 はぁはぁはぁと浅い呼吸を繰り返しながら何とかして頷き返したが、思うように体から力を抜く事が出来ない。無理に奥へ押し込む様な真似はしないでくれているおかげで徐々に痛みは薄れてきたが、その代わり、この体は勝手に続きを求めるみたいに中へ中へハデス君を引き込みたそうに膣内がぎゅっと彼自身を食い締めた。

「——んぐっ!なっ、あ、んんっ!」

 私の体を急にぎゅっと強く抱き締めたかと思うと、次の瞬間、ハデス君の体が強張った。「…… あ、あっぶなぁ。今ので…… イクとこだった」と呟き、前髪をかき上げる。そんな仕草も色っぽくて彼はもう大人なのだなと改めて実感した。
「あ、あんまり…… 年下を苛めないでよ」
 拗ねた顔を向けられるとまだちょっと幼さを感じる。だけど腹のナカにある彼の熱はもう彼は子供では無いのだという現実を私に突き付け、享楽の沼に私を引きずり込もうとする。
「…… 奥、もういい?」
 切なそうに懇願する声が私の耳を犯す。口元をへの字に食いしばり、どうしようと一瞬迷った。だって彼とは付き合っているわけじゃないし…… でも此処まできているのに今更駄目だと拒否したとしても、彼はさっき『やめるのは絶対に無理』だと断言していたから逃げ出す事なんか出来ないだろう。それに、それ、に——

 私も、欲しい。

 それ以外には何も考えられず、私は頬を朱に染めながらそっと頷くと、ハデス君は無遠慮な動きで最奥にずんっと己の猛りを進み挿れた。切っ先が子宮口を容赦なく押し上げ、苦しくって息が詰まる。
 怒張する猛りを濡れそぼる膣壁で喰い締められるせいで今にも弾けそうになっているのを堪えているのか、彼の体が小さく震えている。肌から汗が滲み出て滴り、高揚している痴態をより際立たせ、そんな彼の肌に触れただけで私の瞳はとろりと溶けた。

 ハデス様、ハデス、様——

 快楽に脳内を支配されているせいか、“ハデス様”と酷似している彼の香りのせいなのか。何度も何度も『ハデス様』と、番の名前を胸の奥で叫びながらハデス君の首周りに腕を回して抱きつく。すると彼は逞しい胸筋や二の腕で私を抱き締め返してくれた。その熱に包まれると同時に罪悪感が心を蝕むんだが、彼が腰を引き、蜜口の最奥をずんっと硬い猛りで突いただけで瞬時に薄れてしまうとは自分でも驚きだ。

「十六夜さんは初めてなのに、もうナカで感じちゃうんだ?」

 意地の悪い声すらも心地いい。“ハデス様”と瓜二つな声色で言われたせいだろう。
「そろそろ好きに動いても良さそうだね」
 そう言うと彼は上半身を起こし、両方の太腿の裏側を大きな手で掴むと、私の体を二つに折りたたむみたいにぐいっと押してきた。そのせいでお互いの結合部が丸見えになる。自分の腕程に太いモノが身の内にあるだなんてこの目で見ても信じられない。この体勢のせいで苦しいのに、目の前の淫猥な状態から目が離せず、食いしばっている口元がぶるぶると震える。
 じゅるりと水音を鳴らしながらゆっくりと彼は腰を引き、また最奥へずんっ!と屹立を本能にままに穿った。二人の肌がぶつかり、パンッと叩くみたいな音が何度も部屋に響く。緩急をつけ、その動きを繰り返され、そのたんびに私の口からは大きなよがり声がまろび出た。抽挿は止まる事を知らず続けられ、次第に早くなり、激しさを増していく。これではまるで強姦だ。だけどそんな動きなのに気持ちよくってしょうがない。この体は処女でも、魂は“ハデス様”の手によって淫乱な者に書き換えられているせいなんだろうか。
「んあ!いぃっあぁぁっ!」
 言葉なんか紡げず、甘く切ない声ばかりが口をついて出る。

「十六夜さん、マジで可愛い。ホント…… もっと、もっと鳴かせたくなるよ」

 腰を止め、ぐりぐりと熱塊で膣壁を撫でられた。もうちょっとでイキそうだったのに急に緩やかな快楽に変わったせいで、やり場を失った悦楽が涙となって眦から流れ出る。

「あーあぁ。ナカに全部出して孕ませたいなぁ…… 。何でボクはまだ学生なんだろう」

 心底残念そうにため息を吐き、ハデス君がまた抽挿を再開した。若者らしい実に身勝手なものなのに根底には執愛があるからなのか、快楽のみしか感じ取れない。叫声に近い嬌声をあげながらも、身の内で暴れる淫楽に浸りきってしまう。

「も…… 流石に、んぐっ!」

 狭隘な膣内で彼の猛りが一層質量を増し、私を追い立てた。もう果てが近いのだと自分でもわかる。
 足のつま先に力が入り、腰がびくっと何度も跳ねて頭の中が真っ白に染まっていく。そんなタイミングでお互いの愛液でヌルついている肉芽を指先で優しく弄られ、思いもよらぬ早さで絶頂を迎えてしまった。声にもならぬ叫びをあげながら顎を仰け反らせ、身を弾く。全身が震えに震え、口からはだらしなく短い喘ぎ声と唾液が流れ出て瞳の焦点が合わないままだ。
 そんな私の膣内ナカから、ゆっくりと熱が抜かれていく。快楽の果てに追い詰められていたせいで他に気を配れないでいた間にハデス君も果てていたのか、彼の汗ばむ体は浅い呼吸を繰り返し、瞳は陶然としていた。
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