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【第三章】いやしは隣のキミ一人
【第七話】お出かけ・後編(十六夜・談)
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「…… 」
「ねぇねぇ、もう一度言った方がいいんじゃない?」
黙ったままでいる私の反応に困ったのか、取り巻き風の子がボソッと呟いた。私からの返事がなかなか返ってこない事に不安を感じ、さっきの声は聞こえていなかったのかもと判断したのだろう。
「——アナタ、宵川君の何なの?」
語調は強くなったが一言一句違えず。でも、さっきよりも大きな声で気の強そうな少女は再び私に対して同じ質問を投げかける。
「返答次第では——これ、鳴らすわよ!」と言って、手に持っている防犯ベルを、祖母と一緒に観ていた時代劇の印籠を見せ付けるワンシーンみたいにしてこちらに向けた。どうやら私は彼女達に『不審者なのでは?』と疑われているみたいだ。
クレープ屋の側で『美味しい物を食べさせてあげるから、こっちにおいで』とでも言ったと思われているのかもしれない。防犯意識が高いのは立派だが、うら若き乙女を相手に『不審かも』と思うのはホント勘弁して欲しい。…… まさか原因はこの胸だろうか。到底高一には見えない随分と豊かな胸のせいで、美少年を狙うショタコンの怪しい大人認定されてしまっている…… 様な気がする。
「ハデス君の家の、お隣の者です」
不審がられているからこそ、慌てず騒がず。私達の関係はそれ以上でも以下でもないので淡々と事実を伝える。友人と呼ぶには歳の差があるし、血縁者でもなく、今のこの世界では番でもないのでそれ以外に答えようが無い。
「本当…… かなぁ」
「でもほら、宵川君の名前は合ってるよ?」
「だけど、無理に名前を聞き出してるとか、お金で釣ってるのかも…… 」
「えぇー。宵川君がお金でなびくわけないじゃん。『お母さんが入院したから呼びに来た』とか言って、連れ去るやつじゃない?」
「でも…… それだったら、ここでのんびりクレープ食べる?」
「あ、そっか」
小声で相談し合っているが、全て丸聞こえである。思った通り、不審者容疑をかけられている事は間違いないみたいだ。
「えっと…… 君達は、ハデス君のクラスメイトかな?」
無理に笑顔を作り、優しい声色を意識して出し、そう訪ねてみた。相手の正体も知らずに対応し続けるのも面倒だ。全くの無関係な子なら適当にあしらうし、友人なら丁寧に接してあげなければ。人付き合いが苦手な主人公の“星”と、そもそも人付き合いの経験が皆無な“私”にそれが出来るかは大いに疑問があるままではあるが。
「…… あ、また言った。ねぇ、この人やっぱり知り合いじゃないんじゃない?」
「私もそんな気がする」
「だよねぇ」
彼女達がボソボソと相談を続けるせいで話が進まない。被る様な単語を発した記憶が無いため、『また言った』が何を差しての発言であるかも不明である。
「ねぇ!」
ボスみたいな少女に大声を掛けられ、「はい」と即座に答える。
「アナタ、宵川君の事何にも知らないみたいね!」
突如、自信満々といった顔をされたうえに指をさされた。
“ハデス様”とはもう二千年近くのお付き合いではあるが、“ハデス君”は、となると確かに出会って日が浅い。彼女の指摘は全くもってその通りなのだが、何故か私は『悔しい』と感じてしまった。
「何を根拠に?」と発した声には不機嫌が滲み出ていると自分でもわかる。
素直には認められず、まずは根拠を求めた。彼の事を私がわかっていないならいないで納得出来る理由が欲しい。
「宵川君はね、名前で呼ばれるのを嫌うからよ!」
彼女の背後でドンッと太鼓の様な効果音でも響いていそうな程のドヤ顔でそう言われたが、『そうだったのか!』と悔しくなる返答ではなかった。
名前で呼ばれるのが嫌いなのはきっと、“ハデス”が日本人としてはかなり珍しい名前だからだろう。でも私が名前で呼ぶ時には嫌そうな顔一つしないから、そうだと気が付いてあげられなかった事は申し訳なく思う。
「でも私はハデス君のお姉さんとも知り合いだから、彼の方からそう呼んで欲しいと頼まれたの」
これでもかというくらい柔かな笑顔を浮かべ、小首を傾げた。
実際には『様はやめて』と言われただけで、名前で呼んでとは言われていない。事実とは異なるが、この程度の嘘ならばハデス君は不快には思わないだろう。…… 多分。
意外にも、「は、はぁ⁉︎」と叫んだのはボス少女のみだった。
「え、嘘…… いいなぁ」
「ねぇ。この人、ちゃんと本当に宵川君とは知り合いなんじゃない?」
後の二人はもうすっかり戦意喪失しており、自信なさげに帰りたそうにしている。
「——何してるの?」
不意に聞こえた美声の方に私達の視線は一気に集まった。味付けの違う二つのクレープを持ったハデス君が、不快そうな顔をしてこちらに向かって歩いて来る。
「十六夜さん、お待たせ」
彼は三人の少女達を素通りし、何故か物凄く甘ったるい声でそう言って私の方へクレープを差し出してきた。
「ありが、とう」
普段の“ハデス様”並みの美声で驚いてしまったが、素直に受け取る。そして私は「あれ?」と首を傾げた。彼に頼んだ物と少し違ったからだ。
「アイスがのってる…… 」
「うん。食べたそうにしていたから、ついでに頼んでみたんだ。…… 余計、だった?」
しゅんとした声で訊かれ、慌てて首を横に振る。
「美味しそうだなと思ってたの、バレバレだったんだね。恥ずかしいなぁ…… 。あ、でも、ありがとう」
礼を言うと、ハデス君が瞬時に端正な顔を嬉しそうに綻ばせる。そんな彼が眩し過ぎるからなのか、三人の少女と私は揃って目を細めてしまった。深淵の奥底みたいな瞳を持つ少年なのに、何故か『天使の降臨か?』と疑うレベルの輝き様だ。
「あ、あの…… 宵川君っ」
「ん?」
私相手には威圧的だったボス少女が急にしおらしい声になり、祈るみたいなポーズをしながらハデス君に声を掛けた。
「わ、私達も一緒に食べていい?」
「うちらも、クレープ食べに来た所だったの。みんなで食べた方が美味しくない?」
「ど、どうかな?」
普段からとても仲の良い三人なのだろう。揃って同じ事を考えていたみたいで、『よく言った!』と褒めるみたいな視線を交わし合っている。
「え、それは無理だよ」
驚く程の早さで即座にハデス君は断った。そして困り顔をし、小首を傾げながら言葉を続ける。
「だって、ボクはいざよ…… 星さんと二人で来たのに、ここでいきなり知らない子が加わったらお互いに気不味いでしょう?門限も近いから、今から言葉を交わして親睦を深めてる様な時間もないし。ボクは別々に食べた方がいいと思うな」
ハッキリ断言して、ハデス君は空いている椅子に座った。そしてその椅子を座ったまま強引にずらして行き、ぴたりと私の真隣を陣取る。
「アイスが溶ける前に食べちゃおうか」
嬉しそうにハデス君が笑顔を作る。再び天使の御降臨だ。当然、その姿には四人揃って心を奪われた。
慌てて気を取り直し、「う、うん」と答える。
ハデス君の笑顔に心を奪われていた三人の少女は私の声でハッと我に返り、今度はキッと悪女並みの目線をこちらに向けて来た。
これは…… 完全に敵認定されたな。
だが、不審者よりはマシだろうと思っておく。『銀髪の若いショタコン女が住宅街に出没している』なんて不審者情報を警察経由で流されるよりはずっといい。
私が困り顔をしていると、それに気が付いたハデス君が「三人は買わないの?食べて来たら?その為に来たんだもんね」と少女達に声を掛けた。言外に『さっさと行け、邪魔だ』と匂わせているみたいに聞こえるのは間違いじゃない気がする。
「そ、そうだね。早くしないともう時間ヤバイかも」
「もう今日は持ち帰りにする?」
「そうだね」
相談し合い、三人が頷いた。
去り際に「宵川君。あ、あの…… 今度は一緒に食べよ?」と、ボス少女がもじもじと恥ずかしそうに手を祈るみたいに組みながらハデス君に告げた。
「んー…… 」と少し悩み、穏やかな笑みを浮かべながら「ボクがその時に一人で、時間に余裕があって、気が向いたらね!」とハデス君が返事をする。
その言葉が、『嫌だよ、時間の無駄』って返事に聞こえたのは、私だけだろうか。
「ねぇねぇ、もう一度言った方がいいんじゃない?」
黙ったままでいる私の反応に困ったのか、取り巻き風の子がボソッと呟いた。私からの返事がなかなか返ってこない事に不安を感じ、さっきの声は聞こえていなかったのかもと判断したのだろう。
「——アナタ、宵川君の何なの?」
語調は強くなったが一言一句違えず。でも、さっきよりも大きな声で気の強そうな少女は再び私に対して同じ質問を投げかける。
「返答次第では——これ、鳴らすわよ!」と言って、手に持っている防犯ベルを、祖母と一緒に観ていた時代劇の印籠を見せ付けるワンシーンみたいにしてこちらに向けた。どうやら私は彼女達に『不審者なのでは?』と疑われているみたいだ。
クレープ屋の側で『美味しい物を食べさせてあげるから、こっちにおいで』とでも言ったと思われているのかもしれない。防犯意識が高いのは立派だが、うら若き乙女を相手に『不審かも』と思うのはホント勘弁して欲しい。…… まさか原因はこの胸だろうか。到底高一には見えない随分と豊かな胸のせいで、美少年を狙うショタコンの怪しい大人認定されてしまっている…… 様な気がする。
「ハデス君の家の、お隣の者です」
不審がられているからこそ、慌てず騒がず。私達の関係はそれ以上でも以下でもないので淡々と事実を伝える。友人と呼ぶには歳の差があるし、血縁者でもなく、今のこの世界では番でもないのでそれ以外に答えようが無い。
「本当…… かなぁ」
「でもほら、宵川君の名前は合ってるよ?」
「だけど、無理に名前を聞き出してるとか、お金で釣ってるのかも…… 」
「えぇー。宵川君がお金でなびくわけないじゃん。『お母さんが入院したから呼びに来た』とか言って、連れ去るやつじゃない?」
「でも…… それだったら、ここでのんびりクレープ食べる?」
「あ、そっか」
小声で相談し合っているが、全て丸聞こえである。思った通り、不審者容疑をかけられている事は間違いないみたいだ。
「えっと…… 君達は、ハデス君のクラスメイトかな?」
無理に笑顔を作り、優しい声色を意識して出し、そう訪ねてみた。相手の正体も知らずに対応し続けるのも面倒だ。全くの無関係な子なら適当にあしらうし、友人なら丁寧に接してあげなければ。人付き合いが苦手な主人公の“星”と、そもそも人付き合いの経験が皆無な“私”にそれが出来るかは大いに疑問があるままではあるが。
「…… あ、また言った。ねぇ、この人やっぱり知り合いじゃないんじゃない?」
「私もそんな気がする」
「だよねぇ」
彼女達がボソボソと相談を続けるせいで話が進まない。被る様な単語を発した記憶が無いため、『また言った』が何を差しての発言であるかも不明である。
「ねぇ!」
ボスみたいな少女に大声を掛けられ、「はい」と即座に答える。
「アナタ、宵川君の事何にも知らないみたいね!」
突如、自信満々といった顔をされたうえに指をさされた。
“ハデス様”とはもう二千年近くのお付き合いではあるが、“ハデス君”は、となると確かに出会って日が浅い。彼女の指摘は全くもってその通りなのだが、何故か私は『悔しい』と感じてしまった。
「何を根拠に?」と発した声には不機嫌が滲み出ていると自分でもわかる。
素直には認められず、まずは根拠を求めた。彼の事を私がわかっていないならいないで納得出来る理由が欲しい。
「宵川君はね、名前で呼ばれるのを嫌うからよ!」
彼女の背後でドンッと太鼓の様な効果音でも響いていそうな程のドヤ顔でそう言われたが、『そうだったのか!』と悔しくなる返答ではなかった。
名前で呼ばれるのが嫌いなのはきっと、“ハデス”が日本人としてはかなり珍しい名前だからだろう。でも私が名前で呼ぶ時には嫌そうな顔一つしないから、そうだと気が付いてあげられなかった事は申し訳なく思う。
「でも私はハデス君のお姉さんとも知り合いだから、彼の方からそう呼んで欲しいと頼まれたの」
これでもかというくらい柔かな笑顔を浮かべ、小首を傾げた。
実際には『様はやめて』と言われただけで、名前で呼んでとは言われていない。事実とは異なるが、この程度の嘘ならばハデス君は不快には思わないだろう。…… 多分。
意外にも、「は、はぁ⁉︎」と叫んだのはボス少女のみだった。
「え、嘘…… いいなぁ」
「ねぇ。この人、ちゃんと本当に宵川君とは知り合いなんじゃない?」
後の二人はもうすっかり戦意喪失しており、自信なさげに帰りたそうにしている。
「——何してるの?」
不意に聞こえた美声の方に私達の視線は一気に集まった。味付けの違う二つのクレープを持ったハデス君が、不快そうな顔をしてこちらに向かって歩いて来る。
「十六夜さん、お待たせ」
彼は三人の少女達を素通りし、何故か物凄く甘ったるい声でそう言って私の方へクレープを差し出してきた。
「ありが、とう」
普段の“ハデス様”並みの美声で驚いてしまったが、素直に受け取る。そして私は「あれ?」と首を傾げた。彼に頼んだ物と少し違ったからだ。
「アイスがのってる…… 」
「うん。食べたそうにしていたから、ついでに頼んでみたんだ。…… 余計、だった?」
しゅんとした声で訊かれ、慌てて首を横に振る。
「美味しそうだなと思ってたの、バレバレだったんだね。恥ずかしいなぁ…… 。あ、でも、ありがとう」
礼を言うと、ハデス君が瞬時に端正な顔を嬉しそうに綻ばせる。そんな彼が眩し過ぎるからなのか、三人の少女と私は揃って目を細めてしまった。深淵の奥底みたいな瞳を持つ少年なのに、何故か『天使の降臨か?』と疑うレベルの輝き様だ。
「あ、あの…… 宵川君っ」
「ん?」
私相手には威圧的だったボス少女が急にしおらしい声になり、祈るみたいなポーズをしながらハデス君に声を掛けた。
「わ、私達も一緒に食べていい?」
「うちらも、クレープ食べに来た所だったの。みんなで食べた方が美味しくない?」
「ど、どうかな?」
普段からとても仲の良い三人なのだろう。揃って同じ事を考えていたみたいで、『よく言った!』と褒めるみたいな視線を交わし合っている。
「え、それは無理だよ」
驚く程の早さで即座にハデス君は断った。そして困り顔をし、小首を傾げながら言葉を続ける。
「だって、ボクはいざよ…… 星さんと二人で来たのに、ここでいきなり知らない子が加わったらお互いに気不味いでしょう?門限も近いから、今から言葉を交わして親睦を深めてる様な時間もないし。ボクは別々に食べた方がいいと思うな」
ハッキリ断言して、ハデス君は空いている椅子に座った。そしてその椅子を座ったまま強引にずらして行き、ぴたりと私の真隣を陣取る。
「アイスが溶ける前に食べちゃおうか」
嬉しそうにハデス君が笑顔を作る。再び天使の御降臨だ。当然、その姿には四人揃って心を奪われた。
慌てて気を取り直し、「う、うん」と答える。
ハデス君の笑顔に心を奪われていた三人の少女は私の声でハッと我に返り、今度はキッと悪女並みの目線をこちらに向けて来た。
これは…… 完全に敵認定されたな。
だが、不審者よりはマシだろうと思っておく。『銀髪の若いショタコン女が住宅街に出没している』なんて不審者情報を警察経由で流されるよりはずっといい。
私が困り顔をしていると、それに気が付いたハデス君が「三人は買わないの?食べて来たら?その為に来たんだもんね」と少女達に声を掛けた。言外に『さっさと行け、邪魔だ』と匂わせているみたいに聞こえるのは間違いじゃない気がする。
「そ、そうだね。早くしないともう時間ヤバイかも」
「もう今日は持ち帰りにする?」
「そうだね」
相談し合い、三人が頷いた。
去り際に「宵川君。あ、あの…… 今度は一緒に食べよ?」と、ボス少女がもじもじと恥ずかしそうに手を祈るみたいに組みながらハデス君に告げた。
「んー…… 」と少し悩み、穏やかな笑みを浮かべながら「ボクがその時に一人で、時間に余裕があって、気が向いたらね!」とハデス君が返事をする。
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