恋も知らぬ番に愛を注ぐ

月咲やまな

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【第二章】乙女の誘惑

【第八話】贈り物

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 暗転していた十六夜の視界にゆるりと光が戻っていく。いまいち現実味が無く、まるで一幕の夢から覚めたような気分だ。「…… ——んっ」と十六夜が短く声をこぼし寝返りを打って体を横向きにすると、聞き慣れた声が彼女の耳奥を優しくくすぐった。

「あぁ、起きたみたいだね」

 数回瞬きを繰り返し、状況をやっと理解した十六夜が反射的にバッ!っと慌ててその身を後ろに引いた。
 まだ幾分微睡んでいた瞳で見たハデスの端麗な顔立ちの破壊力の高さに不意打ちを喰らい、心臓がバクバクと高鳴っている。そんな胸元をきゅっと掴みつつ上半身を起こして周囲を見渡すと、真っ白な空間にベッドしか存在せぬいつもの空間に戻っている事に彼女はやっと気が付いた。
 たった数ヶ月間離れていただけなのに、もう何年も離れていた様な気がする。

(あぁ、そうか。やっと戻って来られたんだ…… )

 ほっと安堵したのも束の間。ハデスが十六夜の体をそっと背後から抱き締めたせいで、彼女の心臓はまたもバクンッと激しく跳ねた。
「んー。どうやら今回は…… ちょっとだけ身長が高くなったくらいだね」
 残念そうにしゅんとした顔でハデスが呟く。
 彼が確認した通り、また十六夜の体が少しだけ成長したみたいだ。前回よりもスカートが短くなっていて、視界も多少は高くなっている気がする。
 自らの太腿の大半が絶対領域と化している様子を前にし、十六夜はそっとスカートの裾を下へ引っ張った。だがそんな事をしてもハデス手製の上等な布地は伸びてはくれず、隠れてくれる範囲は全く広がらない。ショーツまであと数十センチしか余裕がないせいで感じてしまう恥ずかしさに頬を染め、せめてと思い、ペタンと座っている状態の脚を彼女は閉じようとした。

 だが残念な事にハデスの方が僅差で動きが早かった。

 褐色肌の大きな手がぬっと内腿の柔らかな部分に触れ、彼の太い親指が秘部を軽く掠める。ぴくっと少し跳ねた十六夜の姿を後ろからじっと観察していたハデスが恍惚に染まる瞳を細めてニヤリと笑う。長い銀髪の隙間から見えている細いうなじが赤く染まっている様子が愛おしくって堪らない。
 初雪の様に白い十六夜の肌を舐めて吸って噛んで、愛おしい番に所有印を残したい衝動をぐっと耐える。現実でも味わってしまったら自分の欲は歯止めが効かないと自覚しているからだ。

「それでもまだ、この体が小さい事には変わりないのが残念だなぁ」

 跡までは無理でも、せめてこのくらいならとハデスが白磁のうなじに軽く口付けを落とすと、十六夜が背中を軽く反らせた。甘い吐息混じりだったせいでハデスの心拍が一気に上昇し、彼女の背中を背後から強く抱く。

「あぁ、もう!僕は君を壊したくないって、ちゃんとわかってる?」

 ごりっと硬いモノが背後に当たり、十六夜の顔から血の気が引いた。
 彼女の体が数ヶ月前よりも大人っぽく成長したとはいえ、まだまだ二人の身長差は大人と子供にも等しい。そのせいでハデスの持つ猛りは、彼女にとっては杭打ちの刑で使われる凶器が触れた時並みの恐怖を十六夜に感じさせる。興奮に任せて抱かれれば、流石に死にはせずとも、ほぼ確実に体の一部が裂けるだろう。
 彼の口ぶりからして今はまだ無理にどうこうする気が無い事が伝わってくるのだが、物語の世界へ引き込まれた時に、彼が自分に対して何を望んでいるのかを身を持って知ったせいで十六夜の心は重たく沈んだ。
 童話『ヘンゼルとグレーテル』の世界へ行った一度目での成長は目まぐるしいものだった。だが、今回はささやかな成長しかみられず、ハデスの期待に応えられなかった自分の不甲斐なさで胃の辺りがギリッと痛む。だがそれ以上にハデスからの抱擁が苦しく、十六夜は段々と呼吸が苦しくなっていった。

「ハ、デス…… さ、ま…… っ」

 息詰まったその声が交合時の喘ぎにも似ていて、ハデスは自分の衝動としばらく闘う羽目に。
 はぁはぁと雑に呼吸を繰り返し、十六夜の肩に手を置いてそっとゆっくり距離を取る。『君の小さな手でもいいからこの欲望を扱いて欲しい!』と言い掛けたが、少しでも己の猛りに触れさせようものならもうそこで止まれるはずがなく、情炎に満ちた言葉はそのまま腹の中に呑み込む事にした。


 しばらくして気持ちが落ち着き、ベッドのヘッドボードに寄り掛かってくつろぐハデスの膝の上に、十六夜が横向きになって座っている。身長差はあるままではあれど、彼女のボディラインはもう大人の女性と変わりない為か彼はソワソワとした気持ちを隠せそうにはなかった。

「ハデスさま。一つお訊きしてもよろしいですか?」

 先程、成長した体格に合わせて衣服のサイズを調整してもらったおかげで十六夜の方はもう普段通りの無表情に戻っている。彼女特有のすんっと冷めたその瞳のおかげでハデスもどうにか平静を保ててはいるが、些細な刺激で爆発しそうな状況である事には変わりない。だらかといって彼女から離れるなどもっての外で、ハデスは血を吐く事になろうがひたすら耐える道をこのまま選ぶと決めた。
「なんだい?」
 番の体を渇望する気持ちをひた隠しながら小首を傾げるハデスの仕草が十六夜の胸にストンッと刺さり、無表情のまま白い頬を桜色に染める。少し前の自分ならこの機微に対してちょっとだけ疑問を抱いて終わる様な些細な心の変化だったが、今の自分はこの感情の根底に何があるのか何となく察しがつき、己の細やかな成長を嬉しく思えた。
「えっと…… 」と呟き、一呼吸置いて十六夜が言葉を続ける。
「“アウローラ”と“エレオス”の二人は、あの後どうなったのでしょうか?」
 交合の最中という何とも中途半端なまま元の世界へ戻って来たからか、彼らがどうなったのか気になってしょうがない。仲良くあればそれでいい。だけど『そもそも物語のその後など、ハデス様が知っているのだろうか?』と今更不思議にも思った。

「それって、二人が最後までシタのかを訊きたいのかな?」

 ぼっ!と一気に十六夜の顔が赤く染まり、ブンブンと凄い勢いで『違う!違う!』と頭を横に振る。もちろん十六夜が訊きたい事はコレとは違うのだと彼もわかってはいたが、この顔が見たかったんだよねと言いたげに、ハデスが「ははっ」と笑った。

「ごめんごめん、おふざけが過ぎたかな?あの二人は大丈夫だよ。ちゃんと幸せになったから心配いらないさ。君でもあった“アウローラ”は、歴代最高の賢王としてちゃんと最後まで責務を果たしたからね」

 ハデスの置き土産として怪しい知識を得ている“エレオス”の手管にすっかりハマり、そりゃもう沢山子供が産まれる程激しい夜の営みにも毎晩の様に励んでしまった事を彼は敢えて黙っておく事にした。うらやまけしからん気持ちが邪魔をして口にするのも嫌になっている。

「そうでしたか」と十六夜はほっと安堵の息をついた。数ヶ月間だけだったとはいえ、自分が関わった人達が幸せな人生を送ってくれた事を嬉しく思う。たとえそれがゲームという物語の世界の住人であっても、受肉して、彼らの生活を実際に体験した十六夜にとっては空想世界も現実も大差は無いからだ。

「——そういえば、あの世界には僕らの他にも異分子が二人いた事は知っているよね」

「はい。他者の魂が憑依していた“フレサ”と、前世が現代人である“アウローラ”…… で、合っていますか?」
「正解。まぁ、あの世界の“設定”を知っていた君には簡単な質問だったね」
 物語の世界に入り込む初期の段階で“設定”として流れ込んでくる“記憶”などのおかげで、あの二人が憑依者と転生者である事を彼女知っていた。だが彼らが『ただそういった設定を持ったキャラクター』だったのか、本当に『憑依者と転生者』であったのかまではわからず、十六夜は続くはずの言葉を待つ。

「あの二人の中身はどちらも、現実世界からあの世界へ、僕が直々に魂を器へと押し込んだ人間だったんだよね」

「じゃあ——」
(“フレサ”の中の人はもう…… )

 そう心の中で呟いたが、声には出せなかった。
 あの時点では彼女に対して『自業自得だ』と思っていたのは事実だが、そういうキャラクターであった可能性もあったので、正直罪悪感は薄かった。だが今はそんな言葉では割り切れず、『一人の魂を完全に消滅させるきっかけを己が作ってしまったのでは?』という考えが心を苛む。
 そんな彼女の心境を全て察し、ハデスが優しい手付きで十六夜の体を抱き寄せた。聖母が小さな子供をあやすみたいな抱き方に彼女の心が少しだけ温かさを取り戻す。

「十六夜が気を病む必要はないよ。あの世界は彼女にとって、審判の舞台でもあったんだから」

「…… 審判、ですか?」
「うん。“フレサ”の中の人は、なかなかな激情型の娘さんだったろう?」
「そう、ですね。あの様な人を初めて見たので、正直驚きを隠せなかったです」
「君にはまともな子ばかりを任せてきたから、そうだよね。“アウローラ”の前世だった青年もまともな性格の子だったし」
 うんうんと頷き、ハデスが言葉を続ける。

「ソシオパス気味の子だったんだよね、彼女は。ただあれはサイコパスとは違って後天的なものだし、不幸な死に方だったから一度くらいチャンスをあげてもいいかなと思って、一番馴染みある物語の世界に送ってあげたんだ。殆どそれらしい事をしていないとはいえ、僕だって一応は神と呼ばれる者達の端くれだ。僕が創った世界は後悔の念を抱いたままにある魂を癒すだけじゃなく、魂の裁定や審判を行う要素も持っているんだよ。だからかその魂が持つ性質がそのまま如実に出るんだ。だから、あの結果は彼女自身の選択が招いたものだよ。光属性の加護を持っていた“フレサ”の器が直接断罪し、あの娘さんの魂を完全に消滅させた事からも、絞首刑になったのは自業自得以外の何物でも無い。真っ黒に染まった魂は、どんなに逃げようとしても何かしらの存在にいつかは裁かれるものなんだ。もしあのタイミングで僕の世界が手を下さなくても、他の誰かが違う形であの魂に折檻を加えた事は間違いないから、君が気にする必要は無いさ」

「…… 他のお方なら、折檻で済んだのですか?」
「みんな何だかんだ言って優しいからなぁ。冥土や地獄行きにはしても、滅多な事では魂の完全消滅まではさせないだろうね。でも僕はそもそも“死を司る者”だから、あぁいう結果は当然だろう?」
 ハデスと自分は根幹が同じでも、こうも発想が違うのかと十六夜が返答に困った。
 彼の番としては同意するべきなのか、自分はそうは思えないと本音を言うべきか。迷ってしまい言葉が出ない。困惑気味に十六夜が眉を顰めていると、彼は嬉しそうな声で「——そう言えば!」と言って、彼女の頬に顔を寄せてきた。

「『浮気はしたくない』って言ってくれたの、とっても嬉しかったよ」

「私はハデス様の番ですし、当然では?」
 きょとん顔をする十六夜の額に額を重ね、ハデスが優しく微笑む。
「でもほら。休暇前の君だったら、そんな発想にすらならなかったからさ」
「…… そもそも、浮気をする様な相手との遭遇もありませんから」
「や、まぁ、そう…… なんだけどね?んーっ。何て言ったら通じるのかなぁ」と不満気にこぼす。そしてハデスが黒髪をかき上げ、ガシガシとかいた。

「とにかく!『浮気したくない』って気持ちは、根底に僕への愛情がないと湧いてこないはずのものだろう?だから嬉しいんだ。僕はちゃんと、君に好意的に想ってもらえてはいるんだなって思えて」

 なるほど、と軽く頷き十六夜が虚空を見上げる。

(確かに自分はあの時、『ハデス様以外とは交わりたくない』と強く思っていた。それは『番を裏切る事になる』とか『浮気じゃないか』などといった考え以前の感情だった気がする。そもそも触れたくすらなかった。相手が自分と同じく女性だからとかの問題でもなく。それなのに中身がハデス様だとわかってからはその感情が驚く程スッと消えて…… あ、あんな事まで許してしまった。それってつまりは…… ハデス様の言う様に、私もハデス様の事を想っているから…… という結論に至る…… の、かな?)

 ふむ、と思い十六夜が軽く頷くと、ハデスは不思議そうな顔で彼女の顔を覗き込んだ。
「どうかしたのかい?僕の愛し子」
 惜しみなく愛情を伝え様とする彼の顔を見上げ、十六夜がじっと見詰める。するとハデスはたったそれだけの事に頬を染め、照れ臭そうに頬を指先で軽くかいた。

(…… ハデス様が私に贈ってくださる“愛”というものの感覚はよくわからないままだけど、このお方を裏切りたくないと強く想った感情の根っこにはきっと、その言葉を当てはめても間違いじゃない感情が転がっているんじゃないだろうか)

 十六夜が無言のままハデスの頬に手を添えると、彼の体が軽く跳ねた。彼女の方から触れてくるのは新鮮で、軽く戸惑ってもしまう。
 そんな彼の心情を読み解けはしているが、ハデスのこういった反応は珍しいなと感じ、悪戯心がくすぐられる。こんな感覚は初めてのもので、なんだか楽しくもなってきた。

「いざ…… よぃ?」
 お互いの唇が重なったが、ハデスがその事に気が付くのに数秒を要した。彼女の方から触れてくるだけでも意外なのに、十六夜からの口付けなど、この先数百年は待つくらいの覚悟が必要だと思っていたからだ。

「んっ…… あ、嘘…… え?…… ぁあ…… 夢、かな?——」

 唇が掠る程度のお遊びみたいな口付けを何度も繰り返され、合間合間でハデスの心の声がダダ漏れる。
 やっと『コレは夢なんかじゃないんだ!』と情報を処理出来た頃にはもう、彼は十六夜の唇に全てを奪い取るみたいなキスを押し付けていた。吐息をも貪り合うみたいな口付けを贈り合いながら、二人の体がベッドに倒れていく。

(コレ以上は…… まだ、十六夜には……。でもその代わり、口付け……口付けだけだから……)

 自制心を奮い立たせ、ハデスが何度も自分に言い聞かせる。そのおかげで二人はキスを交わすだけまでで済み十六夜は事なきを得はしたが、三日三晩続く口付けの嵐で脳味噌が溶けて死ぬかと思った。
 彼からの底知れぬ愛情に対して何か返せればと考えて口付けを贈ったのだが、その行動に対してちょっと後悔の念を抱いてしまった事は一生内緒にしておこうと、気を失うみたいに眠りに入っていく中で十六夜は決意したのだった。
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