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【第二章】乙女の誘惑
【第六話】初夜①(十六夜・談)
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“忙しい休暇”という矛盾を孕んだ日々の中。驚くスピードで物事が進んでいった。通常執務に追われている私を置いてきぼりにしたまま、婚儀の儀式、結婚式や披露宴などといった行事が有り得ない程の段取りの早さで進み、そして今日——
とうとう全てが終わってしまった。
結婚関連の用意と共に並行して行っていたらしい王太子妃の為の教育は過去最短の短さで完了し、エレオスはその後の全てを結婚式関連の準備に充てていたそうだ。王太子の結婚となると、一年から一年半。中には慎重に進めて二年程用意に時間を費やす事だってあるというのに、エレオスは持ち前の有能さを存分に発揮し、ものの半年程度の期間に全てをこなしてしまったのだ。
『ドレスは既に仕立て済みでしたので』
一番用意が大変そうなウェディングドレスがコレだったおかげで見事時短に成功したらしい。いずれは弟のルークスとの婚儀を控えていた身であった事を考えると理解出来なくもない。披露宴の為にと用意してあったドレスのカラーが銀色ベースなのまではわかるのだが、差し色が何故か青藍色だった事が非常に気になる。
装飾の宝石が全てタンザナイトだなんて、これでは完全に“アウローラ”を意識した色ばかりではないか。
もし披露宴用のドレスや装身具さえも全て事前に用意 していた物なのだとしたら…… 断罪イベントが発生しなかった場合はどうするつもりだったのだろうか。気にはなるが、訊くのが怖い。どこからどこまでが彼女の願い通りの展開だったのか想像するのすら恐ろしい。
◇
湯浴みが終わり、ガウンを羽織ってベッドに腰掛ける。二人で使うにしたって広過ぎる天蓋付きのベッドを仰ぎ見ていると、音も立てずに部屋の扉が開き、ナイトウェアをその身に包んだエレオスが王太子夫婦の為にと新たに用意されたこの寝室へとやって来た。
「お待たせしてしまったでしょうか?」
「…… あ、いや。私も今来たところだ」
何とか冷静な声を返せた気がするが、心臓は今にも限界を迎えて止まってしまいそうな程に鼓動を早めている。
結婚に関わる一連のイベントは全て『結婚さえも、私にとっては仕事だ!公務だ!』と割り切れば案外緊張する事なく淡々と済ませる事が出来た。何の感慨も無く、ただ黙々と誘導に従い、王太子としての義務を果たす。ただそれだけでいい。困惑したままである気持ちさえ悟られなければ、エレオスを傷付ける心配をする必要すらもなかった。
だ、だが…… コレは別の次元の話だ。
一対一である事が一般的で、誰かの指示も仰げず、全てを逐次自己判断しながら挑まねばならん初夜だけは、事務的な心境で乗り切れる気が一切しない。前世を思い出した状態であろうが、“アウローラ”はネットや座学でしか閨事の知識が無い童貞だ。『王家の子種を無闇にばら撒く事になるのは危険だ』と、一度も夜伽を所望しないできた程の生真面目な性格がここで災いをもたらすとは。
唯一閨事の経験があるのは“十六夜”なのだが、あの時はお菓子の家を活用してというかなりの特殊環境下だったうえに、ハデス様に翻弄されるばかりで全てが受け身だった。記憶に残る行為を真似するにしたって、到底自分では出来る気がしないシーンばかりが頭に浮かぶ。
一つの器に三人分の知識と経験が詰め込まれている状態なのに、『初夜』という強敵の前では私達はあまりに無力だ。
頭の中が真っ白なままで、「…… 王太子殿下?」と声をかけられるまで、エレオスがもうすぐ側まで近づいて来て居た事にすら気が付かなかった。彼女が私の寝首をかくつもりの間者だったなら今頃冥土行きだっただろう。
「すまない、少し…… 疲れているみたいだな」
誤魔化しの言葉で取り繕い、軽く俯く。
「無理もありません。何年も休み無くお過ごしでしたから。ですが、明日からの一週間お休みを頂けましたし、久しぶりにゆっくり休めますね」
「そう、だな」
白磁の様な色をした小さな手で肩をそっと撫でられ、微かに体が跳ねた。緊張し過ぎで今にも吐きそうだ。嫌悪感でそうなっていると思わせてはならないと、無理矢理口元に笑みを作って顔を上げる。
「もう妻になったのだから、堅苦しい呼び方ではなく、名前で呼んでくれ。それと、もっと砕けた話し方をしてくれても構わないぞ」
「そうですか?ありがとうございます」
嬉しそうにクスクス笑うと、エレオスはそっとベッドの端に片足をついて近づき、「では…… 」と呟きながら耳元に顔を寄せ、吐息混じりに「——アウローラ様…… 」と、熱っぽい声で囁いた。
ゾクッと全身が震え、目の前がふらっと揺れる。と同時にアウローラの中の男としての部分が歓喜に満ちた。だが主人格である十六夜の気持ちの方がその感情を上回ってしまい、エレオスから少し身を引く。
…… 無理だ。
彼女と初夜なんか迎えられない。
『このままではハデス様を裏切ってしまうも同然ではないか』と考えてしまい、罪悪感で心が挫けそうだ。
いくら此処が乙女ゲームという物語の世界だとはいえ、今は肉体を持って生きている状態となんら変わりはない。誰かの人生に入り込んでいるとしても、はどうしたって私は十六夜なのだ。
前回は『ヘンゼルとグレーテル』の主人公・“グレーテル”であったとしても、兄の“ヘンゼル”の中身がハデス様だったから流されてしまっても『致し方なし』と、どうにか自己消化出来た。だが今回は違う。
このまま肌を重ねるなんて、どう考えたって浮気だ。
それに、ハデス様を番として認知している“十六夜”が、“アウローラ”を愛しているエレオスを抱くなど不誠実極まりないではないか。十六夜の意識が抜けてからなら『好き勝手にどうぞ』といった所だが、今この瞬間ではどうしたってご遠慮願いたいと思ってしまう。女性としての意識が邪魔をして、魅惑的な格好をしているエレオスを前にしても何の気持ちも湧いてこない時点で、この後彼女をベッドでどうこうと出来る気が全くしない。
もう、今夜は逃げるしか…… 。
どこまでの展開を十六夜が経験すればハデス様が回収してくれるのかわからないが、この世界から掬い上げてくださるまで逃げるべきだ!と心が叫ぶ。
「如何されましたか?」
筋肉質で硬い“アウローラ”の膝に手を置き、腕にはエレオスが自らの大きな胸を押し付けてきた。“アウローラ”を慕っている彼女が今何を期待しているのかがありありと伝わってくる。心臓がドキドキと高鳴っている鼓動まで伝わってくるが、困惑しか出来ない事実が私の心を苛む。
「エレオス…… 」
「はい」と答え、愛くるしいとはちょっと違う、冷めた表情をエレオスがこちらに向ける。でも目元が赤く染まり、情欲を宿している事は確かだった。
「今夜は…… このまま休まないか?行事続きで、其方も疲れただろう?今夜はしっかり休んでおいた方が…… 」
「——逃げるのかい?」
すっと瞳を細め、エレオスが女性とは思えぬ低めの声で呟いた。
「ずっとこの瞬間を待ち望んでいたのに、直前で逃げるだなんて…… 理由を聞かせてもらえるかな」と言い、エレオスはその身を翻し、私の膝の上にどんっと跨って座った。そして細い腕をアウローラの首に絡め、胸の形が変わるくらいまで体を寄せてくる。
動揺し、彼女から少しでも離れようと思い身を引くと、じっと赤い瞳がこちらを見上げて恨めしそうに歪んだ。
「エ、エレオス?」
驚きを隠せずにいると、彼女は更に体を擦り寄せてきた。互いの下半身がこれでもかというくらいに密着し、其の実とっくに融合していると見えてもおかしくない程の近さだ。
どうしていいか何も思い浮かばず、ぎゅっと瞼を強く閉じる。すると、チッと聞こえる小さな舌打ちが聞こえてきた。こちらの股間が無反応な事に苛立ったのではないだろうか…… 。
少しの間が空いた後、「んー?まさか、全然気が付いてもいない、とか?」と言って、エレオスは首を傾げた。彼女の言葉の意味がわからずにぽかんとしていると、エレオスは綺麗な濡羽色の髪を掻き上げ、ずっと隠し続けていた左目を晒した。
「コレでも、気が付かないかな?——僕の愛し子」
貴族令嬢らしからぬ、ニッとした笑みを浮かべるエレオスと目が合う。
黒髪に血の様に赤い瞳。そして、左目の下に横並ぶ二つのホクロ。十六夜の番であるハデス様と同じ特徴を持つこの少女の正体に今更気が付き、私は呆気に取られて言葉を失ってしまった。
とうとう全てが終わってしまった。
結婚関連の用意と共に並行して行っていたらしい王太子妃の為の教育は過去最短の短さで完了し、エレオスはその後の全てを結婚式関連の準備に充てていたそうだ。王太子の結婚となると、一年から一年半。中には慎重に進めて二年程用意に時間を費やす事だってあるというのに、エレオスは持ち前の有能さを存分に発揮し、ものの半年程度の期間に全てをこなしてしまったのだ。
『ドレスは既に仕立て済みでしたので』
一番用意が大変そうなウェディングドレスがコレだったおかげで見事時短に成功したらしい。いずれは弟のルークスとの婚儀を控えていた身であった事を考えると理解出来なくもない。披露宴の為にと用意してあったドレスのカラーが銀色ベースなのまではわかるのだが、差し色が何故か青藍色だった事が非常に気になる。
装飾の宝石が全てタンザナイトだなんて、これでは完全に“アウローラ”を意識した色ばかりではないか。
もし披露宴用のドレスや装身具さえも全て事前に用意 していた物なのだとしたら…… 断罪イベントが発生しなかった場合はどうするつもりだったのだろうか。気にはなるが、訊くのが怖い。どこからどこまでが彼女の願い通りの展開だったのか想像するのすら恐ろしい。
◇
湯浴みが終わり、ガウンを羽織ってベッドに腰掛ける。二人で使うにしたって広過ぎる天蓋付きのベッドを仰ぎ見ていると、音も立てずに部屋の扉が開き、ナイトウェアをその身に包んだエレオスが王太子夫婦の為にと新たに用意されたこの寝室へとやって来た。
「お待たせしてしまったでしょうか?」
「…… あ、いや。私も今来たところだ」
何とか冷静な声を返せた気がするが、心臓は今にも限界を迎えて止まってしまいそうな程に鼓動を早めている。
結婚に関わる一連のイベントは全て『結婚さえも、私にとっては仕事だ!公務だ!』と割り切れば案外緊張する事なく淡々と済ませる事が出来た。何の感慨も無く、ただ黙々と誘導に従い、王太子としての義務を果たす。ただそれだけでいい。困惑したままである気持ちさえ悟られなければ、エレオスを傷付ける心配をする必要すらもなかった。
だ、だが…… コレは別の次元の話だ。
一対一である事が一般的で、誰かの指示も仰げず、全てを逐次自己判断しながら挑まねばならん初夜だけは、事務的な心境で乗り切れる気が一切しない。前世を思い出した状態であろうが、“アウローラ”はネットや座学でしか閨事の知識が無い童貞だ。『王家の子種を無闇にばら撒く事になるのは危険だ』と、一度も夜伽を所望しないできた程の生真面目な性格がここで災いをもたらすとは。
唯一閨事の経験があるのは“十六夜”なのだが、あの時はお菓子の家を活用してというかなりの特殊環境下だったうえに、ハデス様に翻弄されるばかりで全てが受け身だった。記憶に残る行為を真似するにしたって、到底自分では出来る気がしないシーンばかりが頭に浮かぶ。
一つの器に三人分の知識と経験が詰め込まれている状態なのに、『初夜』という強敵の前では私達はあまりに無力だ。
頭の中が真っ白なままで、「…… 王太子殿下?」と声をかけられるまで、エレオスがもうすぐ側まで近づいて来て居た事にすら気が付かなかった。彼女が私の寝首をかくつもりの間者だったなら今頃冥土行きだっただろう。
「すまない、少し…… 疲れているみたいだな」
誤魔化しの言葉で取り繕い、軽く俯く。
「無理もありません。何年も休み無くお過ごしでしたから。ですが、明日からの一週間お休みを頂けましたし、久しぶりにゆっくり休めますね」
「そう、だな」
白磁の様な色をした小さな手で肩をそっと撫でられ、微かに体が跳ねた。緊張し過ぎで今にも吐きそうだ。嫌悪感でそうなっていると思わせてはならないと、無理矢理口元に笑みを作って顔を上げる。
「もう妻になったのだから、堅苦しい呼び方ではなく、名前で呼んでくれ。それと、もっと砕けた話し方をしてくれても構わないぞ」
「そうですか?ありがとうございます」
嬉しそうにクスクス笑うと、エレオスはそっとベッドの端に片足をついて近づき、「では…… 」と呟きながら耳元に顔を寄せ、吐息混じりに「——アウローラ様…… 」と、熱っぽい声で囁いた。
ゾクッと全身が震え、目の前がふらっと揺れる。と同時にアウローラの中の男としての部分が歓喜に満ちた。だが主人格である十六夜の気持ちの方がその感情を上回ってしまい、エレオスから少し身を引く。
…… 無理だ。
彼女と初夜なんか迎えられない。
『このままではハデス様を裏切ってしまうも同然ではないか』と考えてしまい、罪悪感で心が挫けそうだ。
いくら此処が乙女ゲームという物語の世界だとはいえ、今は肉体を持って生きている状態となんら変わりはない。誰かの人生に入り込んでいるとしても、はどうしたって私は十六夜なのだ。
前回は『ヘンゼルとグレーテル』の主人公・“グレーテル”であったとしても、兄の“ヘンゼル”の中身がハデス様だったから流されてしまっても『致し方なし』と、どうにか自己消化出来た。だが今回は違う。
このまま肌を重ねるなんて、どう考えたって浮気だ。
それに、ハデス様を番として認知している“十六夜”が、“アウローラ”を愛しているエレオスを抱くなど不誠実極まりないではないか。十六夜の意識が抜けてからなら『好き勝手にどうぞ』といった所だが、今この瞬間ではどうしたってご遠慮願いたいと思ってしまう。女性としての意識が邪魔をして、魅惑的な格好をしているエレオスを前にしても何の気持ちも湧いてこない時点で、この後彼女をベッドでどうこうと出来る気が全くしない。
もう、今夜は逃げるしか…… 。
どこまでの展開を十六夜が経験すればハデス様が回収してくれるのかわからないが、この世界から掬い上げてくださるまで逃げるべきだ!と心が叫ぶ。
「如何されましたか?」
筋肉質で硬い“アウローラ”の膝に手を置き、腕にはエレオスが自らの大きな胸を押し付けてきた。“アウローラ”を慕っている彼女が今何を期待しているのかがありありと伝わってくる。心臓がドキドキと高鳴っている鼓動まで伝わってくるが、困惑しか出来ない事実が私の心を苛む。
「エレオス…… 」
「はい」と答え、愛くるしいとはちょっと違う、冷めた表情をエレオスがこちらに向ける。でも目元が赤く染まり、情欲を宿している事は確かだった。
「今夜は…… このまま休まないか?行事続きで、其方も疲れただろう?今夜はしっかり休んでおいた方が…… 」
「——逃げるのかい?」
すっと瞳を細め、エレオスが女性とは思えぬ低めの声で呟いた。
「ずっとこの瞬間を待ち望んでいたのに、直前で逃げるだなんて…… 理由を聞かせてもらえるかな」と言い、エレオスはその身を翻し、私の膝の上にどんっと跨って座った。そして細い腕をアウローラの首に絡め、胸の形が変わるくらいまで体を寄せてくる。
動揺し、彼女から少しでも離れようと思い身を引くと、じっと赤い瞳がこちらを見上げて恨めしそうに歪んだ。
「エ、エレオス?」
驚きを隠せずにいると、彼女は更に体を擦り寄せてきた。互いの下半身がこれでもかというくらいに密着し、其の実とっくに融合していると見えてもおかしくない程の近さだ。
どうしていいか何も思い浮かばず、ぎゅっと瞼を強く閉じる。すると、チッと聞こえる小さな舌打ちが聞こえてきた。こちらの股間が無反応な事に苛立ったのではないだろうか…… 。
少しの間が空いた後、「んー?まさか、全然気が付いてもいない、とか?」と言って、エレオスは首を傾げた。彼女の言葉の意味がわからずにぽかんとしていると、エレオスは綺麗な濡羽色の髪を掻き上げ、ずっと隠し続けていた左目を晒した。
「コレでも、気が付かないかな?——僕の愛し子」
貴族令嬢らしからぬ、ニッとした笑みを浮かべるエレオスと目が合う。
黒髪に血の様に赤い瞳。そして、左目の下に横並ぶ二つのホクロ。十六夜の番であるハデス様と同じ特徴を持つこの少女の正体に今更気が付き、私は呆気に取られて言葉を失ってしまった。
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