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日常ストーリー

8話 イラマチオ

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その日の夕食後、ゆっくりコーヒーでも淹れようかという時に鎖原は言った。尾餅がスティックシュガーの在庫が残り少なくなっている、と思い出した時だった。

「尾餅くん、僕にイラマして欲しい……♡」
「嫌だ」
「なんで!?」
「鎖原が苦しい思いをするから」
「やだイケメン……でも今はそういうんじゃないんだよなぁ」
「おい一回キュンとしたなら突き通せよ」

後ろから尾餅の腰に手を回してブンブンと揺さぶる鎖原が不満そうな声をあげる。持った食器を落とさないようにしっかり握りながら尾餅は困ったことになったと眉を下げた。AVではよく見るシチュエーションではあるがプロの男優、女優であってもなかなかに苦しいとされるイラマチオ。あんなことしたらえずきたくなってしまうよな、と思う尾餅からしてみればそれはプレイの範疇を超えていた。カチャカチャと勝手に人のベルトを外してくる鎖原に「せめてフェラにしないか……」と提案するも「嫌っ」と否定の言葉が返ってくる。立ったままの尾餅のペニスを取り出しまずは玉からレロォ、と舌を這わせた鎖原に(俺がじっとしていればいい話か……)と思った尾餅はフェラ自体を止めはしなかった。ニュルニュルの口の中で温かな粘膜にぶつかるペニスに相変わらず腰が溶けそうだと思いながら優しく鎖原の頭を撫でる。尿道口をちゅうちゅうと吸われてくすぐったいような漏らしてしまいそうなゾクッとする快感が這い寄ってきて尾餅は「お゛……っ♡」と短く声を漏らした。亀頭をねろねろと舐められながら竿部分を手でシコシコと扱かれると男は当たり前のように射精がしたくなる。はっ、はっ、と浅く息をしながら腰を振りたくなるのを我慢して「鎖原、出そうだ……♡」と告げると鎖原の動きがピタリと止まった。突然消えた快感に尾餅は困惑して「えっ?♡」と不思議そうな声をあげる。口の中からゆっくりとペニスを引き抜いた鎖原は少しムッとした目で尾餅のことを見ていた。

「イラマして!」
「い、嫌だって言ってるだろ?夕飯を食ったあとで吐いたりしたらどうするんだ」
「慣れてるから大丈夫!久しぶりだけど」
「……昔の彼氏とはそんなことばかりしていたのか?妬けるな、けど俺はしたくない」
「尾餅くんの意地っ張り……」
「どっちが……」

そう言って再びペニスを咥えた鎖原が竿部分に何度もチュ、チュ、とキスをする。文句を言う割には好意が丸見えなその行為に尾餅は心がフワフワと浮きそうになった。喉の奥を締めてされるフェラはまるで本当に性器に挿入しているような感覚で尾餅は頭がクラリと回る。カポカポとリズミカルに出し入れされる色黒のペニスは鎖原の唾液でテカテカと光っていて、何だかとても背徳的な見栄えをしていた。上顎のザラザラで亀頭をすりおろされるたびに腰がビクンッ!♡と跳ねてしまうような快感が襲ってくる。あちこちからペニスに舌が回されると予測の出来ない刺激に尾餅は翻弄されるがままで素直に喘ぐことしか出来ない。喉奥にコチュ♡コチュ♡とキスするように亀頭がぶつかるのが酷く気持ちいい、だというのに尾餅がイキそうになったタイミングで鎖原はやはりフェラを止めてしまうのだ。

「く、鎖原ぁ……!♡頼む、イカせてくれ……!♡チンポ苦しい、お前の口の中でイキたい、頼むっ、頼むよぉ……!♡」
「ふ~ん?だって尾餅くんは僕の口を好きに使う権利があるんだよ?喉まんこをゴツゴツついてそこに濃い精子をぶっかけて喉妊娠させることだって出来るのに、それをしないなんてもったいないと思わないの……?♡」
「う、うぅう~……!♡」

『射精したい』その一心で尾餅は鎖原の頭をなるべく優しく掴み恐る恐る腰を振り出した。先ほどの数の子天井の上顎にペニスの上側をこすりつけて、時折柔らかい頬の内側をつく。尾餅が自主的に腰を振ると鎖原は自動的に舌を絡めてくれて射精サポートをしてくれる。裏筋に添えられた舌が熱くて気持ちよくて、尾餅の口からは「くぅううんっ♡」という情けない子犬の鳴き声のようなものがこぼれ出た。それに鎖原はニコニコとしながら自分の口を使って快感を拾っている尾餅を酷く可愛いものを見る目で見ていた。尾餅のために喉をきつく締めるとそこにもぐり込むように尾餅がペニスを突き立ててくる。オナホのくびれのようなその部分を目一杯堪能してやろうという意図がしっかりと伝わってきて鎖原はこの上なく嬉しい気持ちになった。扁桃体が予測出来ない刺激に晒されて息苦しさから涙目になるが、そんな鎖原を尾餅は申し訳なさと興奮が入り交じった顔で自分も泣きそうになりながら見つめる。

「すまないっ、すまない鎖原……っ!お前の喉まんこ気持ちいいっ、最高の名器だ!♡唾液がトロトロでどんなローションよりも気持ちいい、なんだそれどうやったら出せるようになるんだ!?♡チンポに吸いつくたびにひょっとこ顔になるのにそれでも可愛いってお前、反則だろ……っ!♡あ゛~っどうしよう、イラマ気持ちいい゛♡自分で好きに動くの気持ちよくて腰止まらない、苦しそうな鎖原の顔も見てるだけで興奮する♡酷いことしてごめんな、あとで殴ってくれて構わないからな……!♡」
「ん゛ッ、ん゛~ッ、んんん゛、んおぇ゛♡ごプッ、おむ゛、おぇ゛ん、あ゛、あぇ゛~っ……♡オェ゛ッ!♡え、えぇえ゛、んぇ゛~え゛、んんぶ、ぶぐッ♡ん゛~!♡んんんんぅ゛~!♡」

ここまでくれば尾餅はもう遠慮することをやめていた。鎖原の髪をわし掴んでガポッ!♡ガポッ!♡と思いきり腰を振る。鎖原が嗚咽して涙を流すのに酷い高揚感を覚えながらごめんごめんと謝るもののその目は嗜虐心に満ちて生き生きとしていた。鎖原がすがるように尾餅の腰に手を回して上着の裾をギュウッと掴む。鼻の奥がツンと痛んで目の前が涙でいっぱいになるが、尾餅が全力で自分に情欲をぶつけてくれているのだと思えば嬉しさ以外の感情は見つからなかった。嘔吐しないように何度もせり上がってくる胃の中身を飲み込んで、歯を立てないように細心の注意をはらいながら口を大きく開ける。喉奥にグリグリとマーキングするようにペニスをこすりつけられて、そこに盛大に射精をされた。

「あ゛~……!♡あ゛~……!♡出てるっ、鎖原の喉奥に寸止めされて余計に苛立ったグツグツザーメンぶっかけてる……!♡気持ちいい、気持ちいい、あぁああ……♡」
「ごぶっ、っあ゛は、尾餅くん、の゛っ、濃厚ザーメンもらっぢゃったぁ……♡ネバネバで濃いぃ、喉の奥に絡みついて、ッゲホ、取れないよぉお゛……♡じあわぜ……♡」

鼻の奥に入った精液に鎖原がゲホゲホと咳き込むと尾餅はハッとしたように慌てて背中をさすって水を用意する。ボロボロになった顔で「え゛へへ♡」と笑う鎖原に尾餅は困ったように眉を下げた。始まる前と同じ顔で今度こそ後悔をしている尾餅の背中を鎖原がポンポンと叩く。目元が赤く染まっていて痛々しかった。

「めっぢゃよがった♡ありがと~♡」
「そんなガラガラ声で何がよかっただ!何もよくないだろう!さぁ!俺を殴れ!」
「尾餅ぐん、正義感強すぎね」

結局このあと喉に優しい生姜入りの紅茶を尾餅が心を込めて淹れてくれるということで話はまとまった。いくら気持ちよかったとはいえやはり恋人のことは大切にしたいなと、同じひざ掛けをシェアしながら自分はブラックのコーヒー飲む尾餅は反省するように苦いそれをゆっくりとすする。鎖原の喉を労るようにキスをすれば「苦い♡」と大して嫌でもなさそうな不満が笑顔の鎖原からこぼれたのだった。
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