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日常ストーリー

3話 にゃんにゃんプレイ

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「尾餅くん、僕は猫です」
「は?」
「尾餅くんも猫です。なので今日のエッチでは語尾に『にゃん』をつけて喋ってください」
「は?は?」
「尾餅くんとちゅーがしたいにゃあ……♡尾餅くんのペロペロしてくれるちゅー、大好きなんだにゃあ……♡」
「……わ、分かった……にゃん……」
「うにゃあ~♡すんなり受け入れてくれて助かるにゃあ♡」

俺も毒されたもんだな、と思いながら尾餅はニッコリ笑顔の鎖原へ口づけた。いつも深いキスを好む自分たちであるが、尾餅は行為にいっぱいいっぱいになるとつい舌をペロペロするだけのキスをしがちである。そんな尾餅の舌をパクっと咥えてジュルジュルと吸い込むという変態プレイを見せてくれるのがいつもの鎖原なのだが、今日ばかりはそれこそグルーミングや猫の挨拶のような拙いキスを所望のようだった。お互いの舌先を触るだけのキスはくすぐったくて新鮮で、心がキュンキュンと高鳴った瞬間尾餅は(あ、俺これ好き)と新たな自分の性癖を知る。こういう決して派手ではない前戯というものは丁寧に重ねれば重ねるほど後々快感が倍増すると知っているのだしこれはありだろう。必死にペロペロと舌を出していたのに鎖原が一旦顔を離してしまうと「あぅ、?♡」と間抜けのように夢中だった自分の声が聞こえた。一拍おいてかぁっと尾餅の顔が熱くなる。まるで飼い主に戯れを中断されて不完全燃焼になった飼い猫のようだった。一人で盛り上がってしまったことを反省していると鎖原が何か箱のようなものを開け始める。パッケージからしてラブグッズに近いものなのだろうと尾餅にも予想が出来た。

「このにゃんにゃんコロン使ってみよ♡気分をエッチにしてくれるんだって♡」
「お前とセックスするのにエ……ッチな気分にならないことがないだろにゃん」
「嬉しいこと言ってくれるにゃ♡まぁお楽しみアイテムの一つだと思って♡」

シュッシュッ、と吹きかけられたコロンは甘くてスパイシーな匂いがして尾餅は(普段の鎖原の匂いと似てる……)とこの時点ですでに少しドキドキしていた。匂いにつられるようにして鎖原の首筋にパクリと噛みつく。喉仏をねろりと舐めあげて、肩、脇、指先に至るまでを舌で味わう。鼻の奥、喉の奥に溜まる甘い匂いが頭をぼーっとさせて股間が苦しくなる。それに気づいた鎖原は尾餅のペニスをシコシコと扱いてまずは一回抜いてくれた。「あ♡あ♡あ♡チンポ好き♡ノーマル手コキ気持ちいい♡」と尾餅が背中を反らして鎖原の手の中に射精する。鎖原はそれを舐めて綺麗にしてからもう一つパッケージを取り出した。

「猫ちゃんのチンチンはトゲトゲしてるんだにゃあ♡ってことでイボイボコンドームつけるよ♡」
「……それ、好きだ……♡」
「尾餅くんのお気に入りだもんね♡」

無言でコクリと頷く尾餅に鎖原は笑って「つけてくれる?」とパッキングされたコンドームを渡した。ピリ、と開けられたコンドームが鎖原の亀頭にあてられ、丸まったゴム部分が根元に向かってクルクルと下ろされる。ツブツブしたコンドームを着用した鎖原のペニスを尾餅は口の中に頬張って、これから自分の尻の中で暴れるその突起を舌の上で十分に感じ取った。硬くそそり立ったペニスが早く中に欲しくて尻を振ると鎖原が焦らすようにアナルの周りを撫でてくる。ゾクゾクゾク……ッ♡と尾餅の背筋を生暖かい快感が駆け抜けていった。

「じゃあ交尾のお時間です♡尾餅くんは猫のネコ役なので後ろを向いてくださいにゃ♡」
「う、うにゃ、あぁあ……♡」

バックの体位でマウントを取られた尾餅は恥ずかしそうにモジモジと身体を動かした。自分よりも身体の小さな雄にこれから抱かれるのだと思うと、それを許すことが受け入れの証明になるからだ。ぬぷぷっ♡と入ってきたペニスに尾餅はビクンッ!♡と足を伸ばしてベッドに倒れ伏した。これでは寝バックの体勢になってしまう、と慌てたがより抵抗が出来ず燃えるのはこちらの方かもしれない。バツバツと腰を振る鎖原に尾餅はみゃうみゃうと鳴いて応えた。普段出さない喘ぎ声を意識して出すのは難しいが、そういうロールプレイだと思うと俄然興奮してくる。シーツにこすれるペニスがビリビリと快感を呼び起こして、腹とベッドの間をぐちょぐちょにしながら尾餅は射精した。はひはひと呼吸する音が耳の奥に響いて目の前の空気を湿っぽく濡らしていく。最高にいい気分だった。

「にゃっ、ニャアッ、猫ちゃんだからガツガツ腰振っちゃうにゃお♡腐っても動物さんの交尾だから仕方ないにゃあ♡尾餅くんみたいな可愛いメス猫のお嫁さんがいて僕は幸せだにゃん♡」
「めっ、メスじゃにゃい゛!♡俺は鎖原の旦那さんだにゃん゛……!♡メスはどちらかと言えばお前の方、だにゃん゛……!♡」
「ん~♡そうにゃのかぁ♡じゃあ僕の旦那さんにゃんこは随分エッチなんだにゃあ……♡」

ビクビクッ、と尻の中で鎖原のペニスが膨張する感覚がして尾餅は「にゃおぉう゛ッ♡」と低く大きく喘いだ。役割としてはしっかりメスをこなしている中で唯一オスらしい要素だった。コンドームのイボイボが前立腺を何度もこすり上げて尾餅を絶頂に追い詰める。凶悪な装備をしたペニスが尾餅のいいところを容赦なく突き上げてくる。鎖原も興奮して尾餅のうなじをガブッと噛んでピストンをするとお互いの感度はどんどん上昇していく。尾餅は自重に押し潰されたペニスからしょわしょわと潮を漏らしていた。

「やっ、やっぱり中に欲しいみゃん゛♡ゴム外してっ、中出しして欲しい゛……っ♡種付けにゃんこになるんだにゃあ゛……♡」
「猫ちゃんの受精率は100%なんだにゃあ、尾餅くん赤ちゃん出来ちゃうにゃんよ……?♡僕との子猫いっぱい産んでくれるにゃんか?♡」
「うっ、産む産む!♡鎖原との子猫いっぱい欲しい!♡元気な子を産んで見せる、男と女で三人三人ずつ産むからな……!♡」
「頼もしいにゃあ……♡」

ずっ、ぽん♡と一度抜けた鎖原のペニスに尾餅は飛びついて「俺が脱がせる……♡」とコンドームを抜き去った。中に溜まったカウパーを舌の上にテロテロと垂らして飲み込むと鎖原が「エロ可愛くて最高……♡」と尾餅のことを褒めてくれる。コンドームを口の中に入れたままもう一度鎖原に尻を向けて両手で尻たぶを割り開いた。むちゅん♡とキスをするように入ってきた鎖原のペニスに尾餅は「おぉおお゛ッ♡生チンポ気持ちいいぃ゛♡」と鼻水とよだれを垂らしてよがり狂う。

「出してっ♡出してくれ♡あっついザーメン俺の中に出してくれにゃあ゛♡受精卵ポコポコ出しながら俺の方も待っているんだにゃん゛♡早く欲しいにゃ゛!♡早くっ早くっ!♡」
「急かしちゃ嫌だよ尾餅くん♡一番奥でっ、しっかり受精させるからにゃ~……!♡」

尾餅の腰をガッチリと掴んで結腸に向かってグリグリとペニスをこすりつける鎖原。次の瞬間ビュクビュクッ♡と尾餅の尻の中で鎖原のペニスが弾けた。「お゛~!♡お゛~!♡」と叫ぶように喘ぐ尾餅の中に一滴残らず精子を注いで、二人の身体はそのままベッドに崩れ落ちる。ぜぇ、ぜぇ、という呼吸音の中で尾餅が口を開いた。

「はぁ、はっ……何だかんだでノリノリだったな、俺たち……おい鎖原、大丈夫か」
「はーっ、はーっ、いっつも思うけど、尾餅くん、息整うの、早くない……?んん、気持ちよかったね♡赤ちゃん猫産んでくれるんだ?♡」
「あ、あれはプレイの一種だろ!本当に孕めたら……とっくに産んでる」
「……やだぁ、僕泣いちゃいそうなんだけど……そんなふうに思ってくれてたの……?」
「わー!?馬鹿馬鹿!冗談の話だろ!?本気にするな!お前なぁ……!」

「元気に育ってねぇ」と泣きながら腹を撫でてくる鎖原に尾餅はすっかり参ってしまった。そのままグスグスと眠りにつく鎖原が言った「起きたら猫ちゃんの尻尾バイブ、買いに行こう……」という台詞にプレイは続行するのか……と思いながらも「分かった」返した尾餅。その日見た夢は子沢山な自分たちが幸せな家庭を築いている夢で、子どもたちには猫耳や尻尾が生えていた。起きた時に鎖原も同じ夢を見ていたとはまだ知らずに、温かいベッドの中で夜は明けていくのだった。
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