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メインストーリー
デート日和な二人を覗き見
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「尾餅くん、準備はいーい?」
「鎖原、やっぱりこんなことやめるべきだと思うんだが……」
「あー!まだ言うか!全く、気持ちの方もついてる金玉と同じくらいどっしり構えてよね」
「金玉は今関係ないだろう!」
「じゃあいくよ!せーの!」
「あっ、待て待てちょっと……!」
────ヴィイインっ!♡────
「あ゛っあ゛っあ゛っ!♡んも、もう、駄目だろこんなこと……!♡人として恥ずかしっ、嫌だって……!♡ちくしょう……ッ!♡」
「あっあん!♡気持ちい!♡あはーっ!♡じゃあ僕達の『Wとびっこデート大作戦』決行~!♡たっくさん気持ちよくなって楽しい思い出作ろうね!♡尾餅くん!ちゅー!♡」
「ひゃぷ、♡ん、んぴゅ♡んむ♡鎖原、これもうちょっとよわ、弱くしよう、立てなくなる……ッ♡振動強すぎだ、駄目だ……!♡」
早々に床にぺたりと座り込んだ黒髪短髪の男、尾餅。仕事の出来る三十歳会社員、女性によくモテるがそれ以上にゲイにモテる。スッと通った目尻には薄らと涙が浮かんでおり、彼の快楽への耐性のなさを現していた。その隣でぴょんぴょんとハイテンションに跳ねるのは鎖原、二十五歳。栗毛色のふわふわとした髪の毛が触っていて心地いい青年で職業はアダルト系の配信者。柔らかいその声に彼をオカズに抜いたあとASMRのように寝落ちしてしまうファンも少なくないとか。ちなみに彼らのことを軽く説明するならば尾餅と鎖原は正真正銘恋人同士であり、尾餅は鎖原の職業をよく思っていない。言わずもがな自身の恋人が不特定多数にオカズにされているという嫉妬心からである。それに恋愛としてではないとわかっていながらも鎖原がファンへ向ける『愛してるよ』の言葉は恋人として独占したいものだ。あとこれは余談だが尾餅は鎖原を置いて一足先に三十路に突入してしまったことを少々気にしている。鎖原に対して自身のことを「こんなおじさん相手に……」とよく卑下するが鎖原は「それがいいんじゃん?」とよくわかっていない様子だ。尾餅はそれが嬉しくもあり複雑でもある。ともすれば兄と弟のような関係に見える彼らの見た目だが、お互いがお互いへ向ける情欲や愛情は生半可ではなかった。アダルト配信者の特性とでもいうのか、鎖原の性行為やプレイの知識はとても広い。それを一般的な前戯や挿入の知識しかなかった尾餅に教えこみ、今や二人で様々な『楽しみ方』を出来るようになった彼らの性生活は非常に潤っていた。今回彼らがするのは二人共が尻にローターを仕込み、お互いのコントローラーリモコンを交換して持つ。あくまでも二人が他者に迷惑をかけない範囲で楽しむことが目的なので唐突に振動をMAXにする、なんていうことは尾餅が鎖原を必死に説得して無効にした。純粋に観光を楽しみたい時にはスイッチを切るのもありだろう。今のところ床に這いつくばって前立腺を揺らされることによる絶頂を迎えている尾餅のローターのコントローラーが弱に切り替えてもらえる様子はないが。むしろ鎖原はそんな様子の尾餅のシャツの下にニコニコとしながら手を入れた。驚いている尾餅にろくな説明もせず今までのプレイで肥大気味の乳首を指先でつまむ。ひゅ、と尾餅の息が止まった。尾餅にとって乳首を弄られることは発情へのトリガーであり、男としての矜恃を丁寧にぐずぐすに溶かされる一等好きなプレイでもあった。
「ま、まだ早いぃ♡まだ家から出てもいないんだぞ、射精したくないッ♡やだ、汚れる、汚れる♡やめてくれ鎖原ぁ♡」
「んー?尾餅くんまた乳首大きくなった?コリコリのナッツみたいで美味しそうだね♡ほら、僕のも吸っていいよ♡乳首よしよしし合おう♡」
「ンッ、鎖原の乳首……っ♡色が綺麗で可愛い、薄桃色で小さい……♡いいな、俺のと違って人に見せられる乳首で……あっあっ!♡つねるな鎖原っ♡やめてくれぇ♡んぅう♡」
「はっ、はっ、乳首ちゅぱちゅぱ楽しい?♡お腹の方までそわそわして気持ちいいね、乳首……っ♡大丈夫、僕もイくから♡一緒に初回アクメしよ?♡尾餅くん、せーの、あ、あ、うふぅ゛ッ♡」
「んぅあああッ♡鎖原と一緒にイく♡イくぅ♡」
二人にとってセックスや手遊びをする場所が家の中のどこであるかはあまり関係ない。尾餅は基本的にベッドルームや汚れの片づけやすいシャワールームを好むが、鎖原は家具の取り替えが必要になるほど激しい行為をするわけではないのならどこでもいいのだ。仕事から帰ってきた尾餅を鎖原が襲って玄関で盛ることもしばしばな二人が今回のようにそこで情事を始めてしまうのはなんら珍しいことでもなかった。はぁはぁと荒い息をしながらお互いの唇を奪い合う。絶頂を迎えたあとにキスをすると幸福感でいっぱいになれると尾餅と鎖原はいつの日か語ったことがある。片方は赤面をしてもう片方は満面の笑みであったが恋愛における利害の一致であった。たまに興奮しすぎた尾餅が鎖原の舌を噛んで出血させることがある以外は二人にとってこのキスは幸せの味がする行為である。
「……パンツの中、べちゃべちゃだぞ……気持ち悪いな、大人なのにこんな……」
「ちゃんとオムツはいてるよね?パンツじゃないって。いっぱい吸収してくれるから平気だよ」
「オムツとか言うな!恥ずかしい!」
「いや本当のことだし。僕が怒られても」
尾餅と鎖原はお揃いの大人用オムツをはいている。これからのデートで我慢汁やら精液やらを存分に吐き出すことを承知しており、期待しているからだ。そのせいで好みのピタッとしたズボンがはけず慣れないダボッとしたシルエットのファッションにするしかなかった尾餅は些か不満げだが、鎖原が「似合うねぇ!かっこいいねぇ!」とはやし立てたため嫌というわけではないらしい。何より普段はしない鎖原とのお揃いコーデは意外にウブな尾餅の心に新鮮なトキメキを与えていた。
「ヤケクソだ、ほら行こう。……絶対人として間違ってる……」
「人の真髄はスケベだよ、安心して」
財布にスマホに車のキー、その他諸々を持ってさあ出発。家から出る短い間にも手を恋人繋ぎにして車まで向かった尾餅と鎖原の上をカラスが通る。それに挨拶をするように「カー」と鳴いた鎖原に尾餅が「やめろよ人間だろ」とすかさずツッコミを入れる。「あはは」と笑いながら鎖原が助手席に乗り込んで、それにクスリと笑い返した尾餅は運転席へと着席した。
「僕はね、動物の言ってることがわかるんだよ」
「嘘つけ……いや本当か?それ」
「冗談だよ、本気にしないで。それっ」
「あひぃ!?️♡いたっ!おまっ、やめろこれから運転なんだぞ!事故を起こしたらどうする!?」
「ごめんごめん、尾餅くん可愛いから」
いたずらに一瞬だけローターの振動を強くされた尾餅が腰を浮かせて尻を押さえる。立ち上がったせいで天井に頭をぶつけた尾餅が空いた方の手で頭も押さえた。涙目の尾餅の目尻を指でぬぐってやった鎖原はついた涙をペロリと舐める。尾餅から短い悲鳴が上がってその顔がみるみるうちに真っ赤になっていった。
「ゴックンだよ尾餅くん、嬉しいの?」
「ゴックンじゃない!それはゴックンじゃない!ちょっとびっくりしただけだ!」
「これよりすごいことたくさんしてるよ僕達」
「照れるんだよ!」
「わあ可愛い」
からかわれていると判断した尾餅が鎖原の頭をぽこんと殴る。痛いわけもないその攻撃に鎖原は「ごめんって、ごめんごめん」と早口で喋った。あまり尾餅を興奮させすぎてはいけないのだ、出てきたばかりだというのに今すぐに家に戻ってベッドへと向かうことになる。パニックになるととりあえず『セックスしよう!?』となってしまうのは記念日、喧嘩をした日、お互いが泣いて帰ってきた日など様々な用件にかこつけてセックスをしてきたからである。健やかなる時も病める時も、なんて皆さんご存知の通りのセリフがあるがそれのフッ軽版、困った時のとりあえずセックスだ。空調を調節する尾餅の手に鎖原が手を重ねた。尾餅の体温がほんの少し上昇する。
「じゃあ最初にコンビニ寄ろうよ」
「……う……分かった……」
車内の空気は平和なものだった。車が信号待ちをしている時くらいしか鎖原は尾餅のローターを強めなかったし、運転中の尾餅は鎖原のローターをとりあえず中の振動にしていたためそれなりの反応を二人で楽しんだ。鎖原が「尾餅っ、くぅん!️♡」と犬の鳴き声のような喘ぎ方をした時には二人してケラケラと笑ったし、面白い方向で興奮した鎖原はそれでイッていた。少し暑くなってきた車内で鎖原が「あっついね、尾餅くん」をシャツの中にパタパタと風を送るのを見て尾餅は「もう着いたぞ」とコンビニの駐車場で車をパーキングに入れる。車内から逃げ出すようにコンビニに入っていった鎖原を見て尾餅はもう一度笑った。
「鎖原、ジュース買うぁッ!?️♡」
なんで奥の酒コーナーなんて見ているんだ、と思いながら鎖原に声をかけた尾餅がバッと口を押さえる。ローターの振動だ。男にある柔いしこりをぶるぶると揺らされて足がくじけてしまいそうになるこの感覚。ニヤニヤとしている鎖原のところまで歩いた尾餅が支えを求めるようにその肩に手を置いた。
「さっそくピンチだね~尾餅くん♡」
「……っじゅ……じゅーす……♡選べ……♡んぁ……♡お、おおう……♡」
「ウッソ、スルーして買い物続ける気だよ」
ソーダを手に取った鎖原が尾餅の腰をそっと支える。「ブラック?微糖?」と尾餅の飲み物も選ぶ鎖原に尾餅はプルプルとしながら無糖のコーヒーを指さした。「苦いの好きだね」と言った鎖原に尾餅がコクコクと頷く。「じゃあゴックンも好きだね」と笑った鎖原の肩に軽い一発を叩き込んで尾餅はビリビリと痺れる下腹を押さえた。グス、と鼻をすすった尾餅を後ろに連れて鎖原がレジへと向かう。真っ赤な顔を下を向いて隠している尾餅のことを分かっていながら鎖原は「尾餅くん?」と悪い笑みで呼んだ。
「ポイントカード持ってる?」
「……あ、あぅ……ある️……♡」
「ありがと。……あ、十円ある?僕のところ細かいのないや」
「……は、い……どうぞ……♡」
「なんかホットスナック食べる?フランクフルト美味しそうだよ」
「……い、らないっ!️♡」
「そう?」
わざと長引かせた会計を終わらせて鎖原と尾餅は車へ戻る。涼しかったはずのコンビニの中で体温を上げた尾餅のローターの振動がようやく緩められた。ハンドルに縋りついてハァハァと息をする尾餅の目尻からポロリと一滴涙が落ちる。その濡れた瞳は鎖原のことを恨めしそうに睨んでいた。
「いらないっ!の時イッてたでしょ」
「し、仕方がないだろ!?限界だったんだ……!お前、無駄に話しかけてきて……!」
「んふふ、さっきのレジの子可愛かったね、バイトの高校生かな?なーんか尾餅くんのことチラチラ見てたけど顔赤くなかった?……バレちゃったんじゃない?」
「~~~ッ!そんなことない……っ!」
「えーなんで分かるの。バレてたかもじゃん」
「バレてない可能性もある、俺はそっちを信じる……!」
「都合がいいなぁ」
プシュ、と炭酸のはじける音。それを一気に飲み干した鎖原も「ぷはぁ️♡」と息を抜いた。鎖原の方もローターは振動したままなのである、快感で身体が火照っているのは当然だった。尾餅は言う、「味が分からん……」と。未だ抜けきらない緊張と羞恥のせいで味覚が麻痺してしまったようだった。「あはは、あとで飲みなよ」「そうする」という会話のあとに再び車のエンジンが唸った。飲み物も買ってこれからどこに行くかというと予定しているのは水族館である、涼しくて薄暗くて平日である今日なら人で混み合うこともないだろう。目的地に向かい始めた車の中で恋人同士の会話に花が咲く。
「鎖原はあれだよな……床上手」
「今時なかなか聞かないけどね、床上手って」
「減っているのか?床上手」
「その言い方古くてあんまり言わないよって意味だよ尾餅くん」
「そうなのか」
太陽が照っている。信号も少ない道に出ると尾餅は鎖原の下腹に置いた手をグッ♡と押し込んだ。「アァンっ!?♡」と喘いだ鎖原がぱぁっと顔を綻ばせる。薄い下腹を尾餅の大きくて硬い手で押されるとローターの振動がより激しく感じられて、鎖原は窓側に身を捩ってあんあんと声を出した。尾餅くんしてやったりという顔をしているんだろうなぁ、と思う鎖原の想像通り得意げな顔でハンドルを操作する尾餅が珍しく攻め役にノリノリになっている。そのままスライドさせた尾餅の手でズボンの上から鎖原のペニスが揉まれる。「きゃあ゛んッ♡」と身体を大きく跳ねさせた鎖原にも構わずその愛撫はオムツの中がグチョグチョと音を立てるほど激しく荒々しくなっていき、責め立てている尾餅の方がその音に当てられて興奮するほどであった。鎖原が刺激に耐えられず絶頂すると尾餅の方も「ヴ♡」と低い声を出して身体を震わせた。つられて絶頂したらしい。ゼェゼェと息を吐き出す二人の間に暫くの沈黙の後、笑い声が響き渡った。
「はぁ~!びっくりした!気持ちよかった!何するの尾餅くん、っあはは!なんでそっちがイッてんの!」
「お前がエロい声出すからだろ、外に見えたらどうする」
「サービスってことでいいんじゃない?」
「そんなの俺が嫌だ!」
「手ぇワキワキするのやめなよ、それ何?」
「いや、お前の……アレの感触が残っていて興奮するなと……」
「尾餅くんびっくりするほど変態臭いよ」
今まで自分を喜ばせてくれた尾餅の手にチュッとキスをした鎖原が「あむ♡」とそのまま指を咥えた。ハンドル操作が少々よろけた尾餅が「おっ♡」とアクセルを踏む足を緩めて股をもじつかせる。何を危ないことをしているんだ、と第三者が見たらツッコむような戯れをしている二人であるが走る道については一応安全を選んでいるのでご安心を。その乳繰り合いは尾餅が真剣に運転をしなければいけなくなる太い道路に出るまで続き、暇にならないようにと鎖原はローターの強さを強にしてもらったのだった。
***
「……は、はぁ……鎖原、魚も見ろよ……ん、んふ、ふぅ……っ♡」
「ほら、魚だけにキスしてるじゃん?♡んんふ……♡」
「それつまんないって……♡オヤジギャグ……♡」
水族館に着いた二人がまずしたことは深海魚の並ぶ水槽たちの角の方で濃厚なキスをすることだった。デートはどうしたデートは、と言いたくなるが彼らにとってはこれこそが醍醐味のデートでもあるので悪しからず。上顎を舐められるたびにカクカクと腰が揺れる尾餅とその跳ね上がる尻を手のひらに押さえ込んで揉む鎖原。どうにか尾餅も鎖原の胸も揉む……というよりも焦点の定まらない手で乳首の辺りを探っている。こりこりと硬くなった乳首が爪に当たると「んぅ!♡」とカクンッと腰を落とす鎖原に「乳首弱ぇんだから……♡」と尾餅が手に力を取り戻した。じゅ、と首筋を吸われて「~~~……ッ!♡」と鎖原が自分の口元を押さえる。薄い首の皮膚がチリリと痛むのに言いようのない興奮を覚えた鎖原が尾餅の太ももに股間を擦りつけた。そのまましばらくカクカクと腰を振っていればあっという間の絶頂感が鎖原の下半身を駆けていく。先ほどのキスで唾液で汚れた唇をペロリと舐めて尾餅が「俺の勝ちな」と嬉しそうに目を細めた。鎖原はとろんとした目で「うん、僕の負け♡」と素直に頷いて唇の端から垂れた唾液を舌で舐め取った。お互いの腰を抱きしめる力が強くなる。
「じゃあ……チンアナゴ、見に行く?♡」
「……水族館の?俺たちの?」
「ふふふ、さぁ、どっちがいい……?♡」
「……水族館の本物!」
「いやそっちなんかーい。じゃ、行こっか」
「ああ」
さっと手を取って恋人繋ぎにしていった鎖原に尾餅は三十路に入った男とは思えないような純粋さで顔を赤くした。そんな尾餅を見て最初の頃は大人同士が手を繋ぐなんてこと恥ずかしいと指を一本絡めるのも大変だったんだよなぁと鎖原がこっそり笑う。わざといやらしく指の股を撫でさすると「ギャッ♡」と色気のない声を上げるところは変わっていないがここはそのままの尾餅でいてほしいなぁと鎖原は思うのだった。鎖原の尻をぱしん!としばきながらも手を離すことはなかった尾餅の不器用な優しさと喜びを鎖原だけが知っていた。
「あ、チンチンアナゴいた」
「それやめろ、なんだチンチンアナゴって」
「この子たちってチン細だよね、物足りなくならないのかな」
「気持ちよくなるために穴に潜っているんじゃないからな……アッ♡」
「あ、今イッたでしょ」
「ち、ちが、イきかけて……やっやっあっ♡」
「ね、もしかしてチンアナゴが穴に出たり入ったりしてるところ見て興奮してる?想像力豊すぎない?」
「そ、そんな変態みたいなことあるわけないだろ!んひッ……いぃうッ♡」
「素直じゃないからローター強くしちゃお」
「やっやだやだやめろ!あっこれダメ、やめぇええ゛っ♡」
「あはは、チンアナゴもぴょこぴょこして尾餅くんのアクメ応援してるよ♡」
「そういうのじゃないからぁ♡チンアナゴでイくやつなんて見たことないからぁ♡やだっ見たくない!♡」
「ほーら、このつぶつぶとしましまの模様が穴にずっぽずっぽしてるところを見て?こういう玩具ありそうだよねー、尾餅くんなら十本くらいお尻で咥えられるんじゃない?」
「チンアナゴに失礼だろっ♡やめろ鎖原っ♡彼らは性的に消費していいコンテンツじゃないんだぞ!♡んっ!?♡んっんっぶっ……♡」
「本当に変なところで真面目だね」
声が大きくなってきた尾餅の口につぽつぽと指を出し入れしながら鎖原が半分感心したような息を吐いた。指を噛んでしまわないようにと必死に唇の筋肉を緩める努力をする尾餅のことを「立派なアヘ顔だ♡」と笑う鎖原。それだけで尾餅は膝がガクガクと震えてその場に座り込みたくなってしまう。くちょ、と湿っぽいような粘っこいような音が尾餅の股座の向こうから聞こえてきたと同時に鎖原は尾餅の身体を壁に押しつけた。こうでもしないと尾餅が立っていられず、鎖原の力では尾餅を支えるのに不足していると判断したからである。ともすればレジャー施設である水族館のどこからともなく漂う人の熱に当てられた年上の男を介抱している部下か何かのように見えるその構図は、だがしかし尾餅と鎖原による挿入を抜きにしただけのプレイでありセックスだった。尾餅の口から垂れそうになる唾液を鎖原が何とか押し込んで「ゴックンして、ゴックン」と少々焦ったように純粋な意味として尾餅に促す。シャツ等の着替えは持ってきていないからなのだが、それをまた下ネタとしてからかわれたと判断した尾餅が嫌々と首を振った。ふぅふぅと音になるような大きさの呼吸をして鎖原を自分から離そうとする。それではないとイッてしまうのである、鎖原に触られるところ、持たれた部分が熱くてじわじわと毒のように甘くだるくなっていく。そんな尾餅を見て鎖原も下腹が切なくなった。自分で下腹部をごりごりと押して薄暗い館内の中自慰行為にふける。んは、んは、と下品になりかけた息継ぎを聞かせながらお互いだけが相手の痴態を知っているという狭く尖った背徳感の中で尾餅と鎖原は射精をした。それぞれが涙目でお互いのことをじっと眺める、酷い顔だと両者が思う。下品な顔だ、盛っても盛っても盛り足りない雄の動物の顔をしている。
「……鎖原」
「……尾餅くん」
『ただいまより二階大型プールでイルカショーを開始します。ぜひ皆さんお越しくださ~い!』
「タイミングがおかしいけど行きたいかも」
「……この顔で行くのか」
「でも見たいし。なるべく顔隠していけば大丈夫でしょ」
「俺は不安だよ、こんなはしたない顔で公共施設の中を歩くのは……」
アナウンスに空気を裂かれ二人の足は階段を探して振り返る。「うう、気持ち悪い」と己の陰部とオムツが粘液によって絡まり合う感覚に尾餅はぶるりと身体を震わせた。「尾餅くん出す量が多いもんね……」と困ったように笑う鎖原と何か言い返してやりたいが本当のことを言われているだけなので何も言えない尾餅。見つけた階段を上がっていくと今までのエリアよりも明るく比較的人が多くいるように思う。開放的になっている大型プールの場所はすぐに分かった。
「端っこで見よう、端っこで。流石に正面まで行ったら変態罪で捕まっちゃうよ僕達」
「死んでもごめんだな、変態罪……」
大きなポールの影に隠れるようにして身体を収めた尾餅と鎖原がとりあえず人にバレるようなことはないと安心から息を吐く。お互いにドキドキして興奮している、イルカは少々見えづらい位置にいるが仕方ない。別の方向にペンギンもいるのが見えた鎖原がそちらに向かって指をさした。尾餅も「おお」とポールから身を乗り出して向こうを見る。「可愛いな」「可愛いね」と二人の意見が合致した。「俺たちに似てるのがいる」「あのくっついてるやつ?」「そうそう」と会話は思った以上に盛り上がった。「あんな可愛いあいつらもセックスするんだなぁ……」としみじみ言う尾餅に「それってペンギンを見た感想としては最低だね」と笑う鎖原。余談ではあるがあのペンギンのペアもオス同士である。イルカショーが始まると最前列の観客が水しぶきをかけられているのを鎖原が羨ましいと駄々をこねた。出ていこうとするのを尾餅が必死に引き止める。正面に行ったら捕まると言っていたのは誰だというのか。ぶぅ、とぶすくれた鎖原の頬をつついて「我慢しろ」と言うとぷすりと抜けていった空気と共に鎖原がニヤッと笑った。嫌な予感がした尾餅が離れようとするがポールの陰には限りがある、すぐに鎖原に捕まってしまう。
「えいっ!♡」
「あっちょっ、ひきゅっ!♡て、手ぇ突っ込むな、汚れるぞ……!♡あ゙っせめて中に戻る……う、うう、うぁん……っ♡」
カチカチ、とローターの振動が上がる音とくちゅくちゅと尾餅の亀頭を弄くり回す鎖原の手が悪さを始めた。どろどろに汚れたペニスを触られるだけでも腰が抜けるほど気持ちいいというのに、とりわけ敏感な亀頭は擦られるだけで細かい空イキが何度も尾餅を襲う。あく、あく、と口から空気を吐きながら必死に声を出さないように身をよじる尾餅の努力に構わず鎖原は脇腹にまで手を入れてこしょこしょとくすぐる。「へふぅ゙ッ♡んぶッ♡」とかなり恥ずかしい息の塊が出たことで尾餅はポールの影の中でもはっきり分かるほど顔を赤く染めた。そんな尾餅に「はぁん、可愛いねぇ尾餅くん♡」と甘えた声を出す鎖原。絶対あとで復讐してやる、とその時の尾餅は心に決めた。力量差の関係で今の加減のきかない腕で殴れば鎖腹が痛いでは済まない思いをする。そんな良心が仇となって尾餅は腰をくねらせることしか出来なかった。靴の中でもじもじと足の指を閉じたり開いたりしても快感はやりすごせず尾餅は上半身を折ってポールに手をつきもはやされるがままになってしまっている。わぁぁ、と歓声が向こうから聞こえてくるのにぎくりとすると先にそっちを見ていたらしい鎖原が目を輝かせていた。尻の中の振動と一緒に鎖原を視認する視界がぶるぶると揺れて、その時だいぶ自身が快楽の波に飲まれていることを知った尾餅は「なに、♡」と息も絶え絶えに言った。
「すごーい、イルカさんが潮吹きしてる♡尾餅くんも出来るよね?おチンポモミモミしてあげるから吹いちゃいなよ……♡」
「ヒッ!♡や、やめ、俺はイルカじゃないぃ……!♡違う、今俺はトイレに行きたくて……!♡あっあっア゛っ!♡くぅッ、クるクる、キちゃう……!♡本当に出そう、だから……!♡ひぃッう゛♡」
「なぁんで、今日は垂れ流しオッケーの日だよ?トイレなんて気遣わずにここでシちゃいなよ」
ジタバタと暴れる尾餅だが文字通りペニスを握られている状態ではろくな抵抗もできずそのままぬちぬちと尿道口を弄られるがままになってしまった。目の前にチカチカと星が飛んでよだれが垂れる。床を汚してしまってごめんなさい、なんてことを真面目な尾餅は考えながら口の中に残った唾液を一生懸命に飲み込んだ。全てはオムツの中で起こっていることだというのにその惨状は見るまでもなく分かってしまう。きっとぐちょぐちょのねちょねちょで、とんでもなく卑猥で、はしたない状態になってしまっているはずだ。そこをさらに完全な液体でびしょびしょになるまで汚すなんて気持ち悪くて気持ちよくてわけが分からなくなってしまう。潮を吹かせようとしてくる鎖原の期待に応えられずきっと別の液体を出してしまうことが分かっていたから嫌だったというのに、もう我慢の限界もすぐそこだ。尾餅はぎゅっと目を瞑って喉の奥から情けない悲鳴を絞り出した。もちろん大声にならない範囲で、だが。身体から力が抜けていくのを自身の尊厳も一緒に抜け落ちていくようだと思いながら、ペニスに熱いものが通っていった。
「……あぁあ゛~~~……♡……っひぐ……っ♡」
「……あれ?もしかして本当にお漏らしの方だった?ありゃー、それじゃあスッキリしたね」
ぐっしょりと濡れた手で感じた液体の勢いの差に気づいた鎖原がオムツの中をかき回す。「やぇろよもう……♡」と泣き出しそうになっている尾餅がいよいよ鎖原を軽めに突き飛ばした。「おっと」とたたらを踏んだ鎖原が慌ててポールの陰へと帰ってくる。ふぅふぅと荒い息をする尾餅の手には鎖原へと繋がっているローターのコントローラー。真っ赤な顔でやけくその笑顔を浮かべながら未だ足を震わせている。
「この、クソ野郎……!♡」
「あっあぁん!?♡ちょ、音漏れしちゃ……!♡」
腹いせにローターの振動を最大に上げられかくんっと膝が折れる鎖原。そのままぺたりと座り込んで興奮しきった様子で尾餅の足にすがりついた。それに少し可哀想だな、なんて少々お人好しすぎる思いを胸に抱いた尾餅はだから自分が度を越して鎖原にいじめられてしまうのだということを理解していない。鎖原は鎖原で怒っている尾餅が態度で示してくれているのが嬉しくてたまらず、地面についてしまう腰を何とか浮かせて地上数センチのところでカクカクと腰を振る。その間にも何度も射精は繰り返し行われている、鎖原はどんどん重たくなっていくオムツをそろそろ交換しなければいけないなとイキっぱなしの頭でぼんやりと考えていた。手も洗わなければいけない、鎖原が懲りずにねばついていてかつ濡れている手を使って指の間で糸を引いてみせると尾餅は自身の痴態の証拠を見せつけられ「んなっ……♡」と声を漏らした。そのお仕置きに股間をぐりぐりとつま先でなぶられる鎖原。「あっあんっあんんっ♡」と行きすぎた快感に鎖原は涙をこぼして、それでもその先を求めるように足を開いた。これ以上先は車に戻ってからだな、とその様子を見ていた尾餅は自分も顔を赤くしてお仕置きに一旦ストップをかけたのだった。
「ほら、手洗うんだろ。そこのトイレまでその状態で行ってこい。文句は聞かん」
「……お、おっけー、ぇ、あぁあ……ッ♡て、手だけ貸して、お願いぃ……♡」
「……まあ、それくらいなら。いや俺も手洗わなきゃいけなくなるじゃねぇか。いやまあいいけど」
結局介護のような形でトイレへと行くことになった二人、先客はいないかと尾餅が辺りを見渡す。あまり混まないのが男子トイレの利点というべきか、個室がひとつ閉まっているだけだった。これなら素早く手を洗って退散できる。尾餅がそう思った矢先、鎖原が言った。
「オムツ、変えなくちゃでしょ……♡ 」
「……あー、そろそろな」
かくしてそれぞれビニール袋と替えのオムツを持ち個室にこもった尾餅と鎖原。尾餅の方は(こんなに出していたのか……♡)と自分に純粋に驚き鎖原の方は(オムツの性能すっご。めちゃめちゃ吸水するじゃん)と意外な製品の優秀さに驚いていた。ほぼ同時に個室から出てきた二人がゴミをどうするかを小声で話し合っていると最初から閉まっていた個室の扉が開く。中から出てきた小学生くらいの男の子にじっと見られ尾餅と鎖原は相手が子供だとしてもそそくさと逃げようとした。その瞬間に男の子が言う。
「赤ちゃんいるんじゃないの?」
聞かれていた。『オムツ』というワードとその他諸々を。「あー……」と頬をかく鎖原がなんて言おうかと迷っているとその前に耐えきれなくなった尾餅が「子育てのシュミレーションをしていたんだ!」と意味不明なことを言いながらその場から飛び出して行った。不思議そうな顔をしている男の子に「パパになる予定があるんだって。騒がしくしてごめんね」と笑いながら鎖原もトイレを後にする。トイレの外、しかもしばらく離れたところで尾餅は様子を窺っていた。非常に決まりの悪そうな顔をしている。わけの分からないことを口走った羞恥心と鎖原を置いていった罪悪感からである。手を上げた鎖原が「尾餅く、んっ!?♡」とその場で飛び上がる。股間を押さえてよろよろと尾餅の方まで近寄った。尾餅が慌てて鎖原を抱き抱える。
「ど、どうしたっ?」
「ろー、たー、強いッ!♡まだ怒ってるの……!?♡も、ごめんてぇ……っ♡」
「え!?何もしてない!さっき弱めたままだ!こ、故障したんじゃないのか!?」
「う、うぅうう~……♡」
「あっおいこら俺の方まで強めるなっあぁあ!?♡や、八つ当たりだろ!♡」
二人してふらふらとしながら水族館を後にする。緊急事態だ、まだクラゲコーナーを見ていないが仕方ない。駐車場まで来た時には尾餅と鎖原の顔はさながら熱に浮かされたようになっていた。二人揃って内股気味になっているのは傍から見ていて奇妙だが恐らくトイレでも我慢しているのだと思われているだろう。
「……お、尾餅くん……早く車開けて、僕もう限界……♡」
「ま、待ってろ、今……よし、開いたぞ……!♡」
二人してなだれ込むように座った運転席と助手席で尾餅と鎖原はそれぞれハンドルとシートベルトにすがるようにがくがくがくっ♡と身体を震わせた。ヴィイイイン、というモーター音がピシャピシャと水っぽい体液をかき回している。取り急ぎズボンとパンツを脱がせた尾餅が鎖原の足を片方上げる形でかぱっと開いた。犬の排泄のようなポーズに鎖原の顔がかああっと赤くなる。
「やっ、やぁだ、尾餅くん!♡恥ずかしいよぉ!♡んやっ、あっ、はぁああんっ♡」
「ほら、抜いてやったんだから俺のも止めろ……!♡」
「ん、はぁい……♡」
お互いようやく腰を落ち着けられた。へにゃへにゃとしている鎖原のスボンがガッと脱がされる。「へ!?なに!?」と困惑している鎖原に尾餅がジロリと睨みをきかせた。がるる、と今にも唸りそうな表情で口を開く尾餅は何やらとても不満そうである。
「散々やってくれたな?チンポ出せ。やり返してやる」
「ん、ん、ん!?♡尾餅くん!?♡なんかすごく怒ってる!?♡ご、ごめんなさ、きゃん゛っ!♡」
ボロン、と取り出されたぺニスの亀頭がぐしゅりと手のひらに包み込まれる。くちょくちょくちょっ♡と水っぽい音を出しながらそこが高速で撫で擦り回されると鎖原は息を浅くして自身のペニスをじぃっと見つめた。そわそわとする快感、粘膜の薄いところを何度も何度も摩擦で擦られると足をじっとしていることが出来なくなってしまう。思わずジタバタと狭い車内で動くと「じっとしてろ」と尾餅が低い声で言った。その命令に鎖原はどうしようもなく興奮して「ひゃい♡」と震える声で返すのが精一杯だった。大好きな相手から施される愛撫は鎖腹を簡単に絶頂まで引っ張っていってくれる。
「あ、あ、あーっ!♡イ、イク、イクイクイク!♡尾餅くん!♡僕イク!♡イキます!♡あー!♡」
「そうか」
「あ、ふぁあ、あふッ!♡イッた!♡イキました!♡尾餅くんの手に射精しました!♡待って!♡待ってぇ!♡ひにゃああ!♡」
「俺の時お前はやめてくれなかっただろ」
手がネトネトになっても尾餅は鎖原のペニスを擦るのをやめてくれない。カリ首の周りをグルグルと輪っかにした指で回してペニスのくびれに抵抗しようのない快感を与えてくる。口からヨダレが垂れてしまうのを一生懸命に拭う鎖原の手はベタベタになってしまった。座席のシートから腰が浮くのを尾餅が無理やり下へ下へと沈めてくる。尾餅は力が強いのだ、逆らえない。鎖原はシートのスプリングをギシギシと軋ませて再び射精をした。強すぎる快感のあまりポロポロと涙を流している鎖原を見てその時初めて尾餅が慈悲的な表情を見せた。鎖原に優しい口調で話しかける。
「あ、あー、そんなにつらいか、鎖原」
「気持ちいい゛っ♡すっごく気持ちいい゛っ♡気持ちよすぎてどおしたらいいか分かんない♡やめないで尾餅くん、ごめんなさいぃ゛♡」
「あーそういうやつだよな、お前!」
鎖原がガクガクと太ももを震わせる。ついには三度目の射精をした。この頃には身体に力が入らない部分が出てきたり、逆に変なところに力が入ってしまって足が跳ね上がったりしてしまう。尾餅は車にクリーニングが必要になるのではと臭いを気にしていた。臭いから嫌なのではない、鎖原の体液の臭いを嗅ぐと必要以上に興奮してしまって生活が成り立たないから困るのだ。仕事に行くにも使っている車だ、平日毎日勃起しながら出社するのでは社会人としての威厳に関わる。それにしても手が疲れるな、と尾餅は普段自分が味わっている責め苦(嫌いではない)に存外労力がかかっていることを改めて痛感した。自分なんかの硬い手では鎖原もペニスが痛くないだろうか、と考えるがそれで喜ぶのが彼だということにも薄々気づいてはいる。
「あ゛ーっ、あ゛ーっ、ひぐっ、も、もおやめて、やだ、やぁ、やめないで、やだっ、僕のおチンポ壊れちゃ、あ゛ッあ゛ッあ゛ッ、だめっだめっ!♡まだ尾餅くんとセックスしたいから壊しちゃダメェッ♡出ちゃ、ショパショパ出ちゃう、あ゛っ、ごめんなさいぃい~!♡」
「うっ……顔にかかったぞ……♡」
鎖原が存外派手に潮を吹いたので尾餅はこの時点で車内の臭いを諦めることにした。いや潮自体にそこまでの臭いはないのだがシートに染み込んだ分というのは先程の精液も含めて取り返しがつかなくなっている。元気よく溢れる潮が二人分の洋服を生ぬるく濡らしていく。外に出ればこの陽気ではすぐに乾くだろうが、それでは何の水遊びをしてきたのかと周りの人間に思われかねない。次の目的地に着くまでにクーラーをかけてなるべく早く乾かすのが吉だろう。何を考えるでもなく手を濡らしている液体をペロリと舐める尾餅に鎖原が「キャッ♡」と嬉しそうな悲鳴を上げた。それにハッとした尾餅が気まずそうにゆっくりと口から手を離す。鎖原は嬉しそうに言った。
「いつからそんなにエッチになったの、尾餅くん~……♡」
「違う、お前がいつもペロペロしてるのを見てるからそういうもんかと……目が覚えていて……」
「パブロフの犬ってやつ?♡舐め犬尾餅くん?♡」
「馬鹿か、そんなんじゃない!もう一回吹くか!?咥えてやるよ!」
「ふへ!?♡やっあぁあ!?♡尾餅く、もう出ないってばぁ!♡」
車内で大きな体を無理やり折りたたんでパクンッ♡と尾餅が鎖原のペニスを咥え込んだ。若干柔らかくなっていた鎖原のペニスはあっという間に再び硬くなり我慢汁を分泌するようになる。正直なところ尾餅の時々歯がぶつかるフェラは上手といえるものではないのだがそれがまた鎖原の癖に刺さるのだ。肉厚な舌が亀頭をベロベロと舐め回すと鎖原は早々にぴゅる、と尿道内に残っていた潮を尾餅の口に吐き出した。一瞬動きを停止した尾餅がしばらく固まった後に首筋まで顔を赤くしてコクン、とそれを飲み込む。ちゅっぱ、ちゅっぱ、と赤子がミルクを飲むようなおしゃぶりフェラに変わった動きに鎖原は胸がときめく思いがした。
「こ、これが母性……?♡あん、あ、あん……♡尾餅くん可愛いよぉ、こんな可愛い尾餅くんの口にお潮出しちゃう……っ!♡いやっ、だめぇ♡悪いことしてる気分になるよぉ、興奮しておチンポ硬くなっちゃう♡尾餅くん、もっとちゅうちゅうしてぇ♡全部飲んでほしいよぉ♡」
「ん、んふー……♡んむ、んふ……♡ふふ……♡」
とろけきった顔の鎖原を見て尾餅も表情が柔らかくなる。口いっぱいに頬張った鎖原の熱が愛おしい。興奮のあまり時折亀頭に歯を立てるとさすがに「ギャッ♡」という悲鳴が飛び出すのだがそれに尾餅が申し訳なさそうな顔をしても鎖原は笑うだけだ。喉の奥でジュウジュウとペニスを吸うと鎖原は自身の股間に上半身を傾けている尾餅の服が伸びてしまうくらいぎゅうっと掴んで快楽に耐えた。亀頭を熱い舌が通っていくたびに歯がかすった部分がじくじくと痛いほどに良く疼く。尾餅も尾餅で咥えた鎖原のペニスの苦くてしょっぱい味が舌にこびりついて酷く興奮していた。思わず鎖原の手を取って自身の頭へと誘導する。撫でてもらいたいのだ。尾餅の意図にすぐに気づいた鎖原がさっそく自分のペニスをしゃぶってくれる大好きな恋人の頭をよしよしと撫で始めた。尾餅の目尻が下がる。
「ふぅ、ふぅ、いー、こ、尾餅く、ぅ♡あっ、ひゃん!♡気持ちー、よ、いいこぉ……っ♡あ゛っ尿道ぐりぐりするのだめぇ!♡あ゛ーっ!♡それ!♡それやばいぃ!♡イッちゃうイッちゃう!♡あっひぎっ、ぎッ♡やぁん!♡だめだよぉ!♡」
「ん~……んっんっんっ……♡」
鎖原が出す精液も潮も余すことなくごくりごくりと飲み込んだ尾餅がそこでようやく口を離した。チャポチャポになってしまった腹を撫でさすって「ふー……♡」と一息つく。はぁはぁと震えながら座席の背もたれを掴んでいる鎖原がすごいものを見るような目で尾餅のことを見ていた。口の周りをべろりと舐める動作をしたところで鎖原が尾餅にぎゅうっと抱きつく。下半身は丸出しだ。
「おっ、尾餅くん、なにあれ!めちゃめちゃ気持ちよかったよ!?ありがとう!いっぱいゴックンしてくれた!嬉しい!嬉しい!」
「あー、そりゃよかった……なんで車の中でこんなことしてたんだっけか……そうだ、お前に仕返しするために始めたことだったのに。お前が何でも喜ぶからやりようがないじゃないか、全く……」
「それはね、でも尾餅くんも本当に嫌がってたわけじゃないし少なからず喜んでるし」
「うるさい」
「あ、尾餅くん手も口もベタベタじゃん。どうしよ。もう一回洗いに行く?」
「こんなこともあろうかとウェットティッシュを完備している」
「さすが、僕のスーパーダーリン」
シュピッシュピッと取り出したウェットティッシュですっかり清潔になった手と口でドヤ顔をする尾餅に「すごいねぇ」と獲物を取ってきた猫に言う口調で褒める鎖原。可愛いと思われたことに気づいたのか少し恥ずかしそうに咳払いをする尾餅。照れているのを誤魔化すためにさっさと車を出すことにした。少しの間のあとバックで発進した車内では慌ててパンツとズボンを上げた鎖原に尾餅が「あ、すまん」と謝っていた。車道に出たところで鎖原が尾餅に話しかける。その首筋をつつーっと撫でる指には思惑がありそうだ。
「僕にセクハラプレイしてよ尾餅くん」
「は?セクハラは犯罪だが?俺の会社だったら干されてる」
「プレイだってば」
車の中の余興に少しばかり考えたらしい。Tシャツを少しめくったところに見える腹斜筋を筋通りになぞってくる鎖原に尾餅はゾクゾクっとした悦楽を覚えた。肌の表面をくすぐられると弾けた泡にその場所を晒しているかのような気分になる。優しい指で触られると静かにあやされている気分になる。心地いい、ずっと触られていたい。背筋が少しだけソワソワするのも気持ちいい、運転に集中は出来ないがこういう穏やかな戯れはいくつあってもいい。尾餅は運転中だというのについつい目を瞑りそうになった。
「……尾餅くん?大丈夫?」
「あっ、ああ。セクハラ……セクハラってなんだ。やったことないぞ」
「やったことがあるとは思ってないよ」
「……こうか?」
膝を丸く撫でてくる尾餅に鎖原は微妙な顔で笑った。チラチラとこちらを見ながら様子を窺ってくる尾餅には申し訳ないが何か気を使われている時の親切にしか思えない。
「僕のおばあちゃんみたい……」
「誰がお前のおばあさんだ!こんなにいやらしく触っているんだぞ!?お前とおばあさんはどんな関係なんだよ!」
「いや痛めた膝をあっためてくれてるようにしか見えなかったって」
「失礼だろお前!」
「あ!」
「……なんだよ?」
「ハメッぱデートなのに僕玩具ないじゃん。ちょっとそこの……公園がある。停まってくれる?」
「……嫌な予感」
しぶしぶ公園の狭い駐車場に車を停めた尾餅がそわそわと足をもじつかせた。自分の中で動かないだけで未だ入っているローターに気が向いてしまったのである。そのまま忘れてくれればよかったのに、なんて思っても鎖原が思い出してしまったものは仕方ない。後ろの座席に降りてゴソゴソとしている鎖原に尾餅は「何やってるんだ」と声をかけた。
「というかローターもじんじんしてきて辛いんだが。今からでもこのデートのルール変えないか」
「しょうがないなぁ、尾餅くんも玩具変えていいよ」
「ほっ、本当か!?他にも持ってきてたんだな!良かった、どんなマシなのがある……」
「はい、じゃあこのイボイボディルドを挿れてね♡固定用のエッチな下着も用意してあるから♡」
「ま゛っ、待て待て待て!やっぱりナシ!普通のローターでいい!それを近づけるな!やめろ!」
「このデートには正当な理由がない限り相手の提案を拒否することは出来ないルールだよ♡これも僕達が楽しく過ごすための約束なんだから、二人で決めたよね?さ、そこの公衆トイレで下着下ろそうか♡」
「……ひん……死ぬ……♡」
公衆トイレは便利である。よくハッテン場になっていることからその利便性が窺える。幸いウォシュレット付きの綺麗なトイレだ、管理人がいるらしい。玩具の入った無駄に高級感のある袋を片手にした鎖原に連られて尾餅も個室に入っていった。
「ま、まって、」
「ん?なぁに?」
「……それ……ディルド、挿れる前に……チンポハメてくれ……♡」
「……あはぁ~、尾餅くんエッチだぁ♡」
いい加減手前にある玩具の振動ばかりで奥が寂しくなってしまった尾餅のオネダリが入る。鎖原が尾餅の後孔に指を三本入れてぐしゅぐしゅとかき混ぜた。がくんっと腰を落とした尾餅が「へーっ♡へーっ♡」と犬のような呼吸をする。立派な臀部が上下に揺れて絶景だが本人に言うとキレ散らかしそうなので鎖原は言わない。ローターをぬぽ、と引き抜いて咥えるものがなくなってしまったアナルが寂しげにヒクヒクと収縮するのに鎖原はペニスをあてがった。ぬぷぷぷぷ、と大した抵抗もなくペニスが入っていく。尾餅が「あお゛んっ!♡」と一際大きく喘いだ。
「おぉおっ!♡おッ!♡おぉッ!♡奥キてる……!♡鎖原の硬いチンポ、しっかりハマって俺のケツとラブラブになってる……!♡気持ちいい、これ好き♡セックス好き♡もっと動いてくれ♡」
「尾餅くんのつるつるお股、僕のチンポとしっかり密着するね……♡」
「そ、それはお前が剃りたがるからぁ……♡」
尾餅と鎖原の間で定番となっているうちのひとつに剃毛プレイがある。絶対に勃起してしまうのでそのままセックスに移行することがお決まりのプレイなのだが鎖原いわく『尾餅くんみたいなタイプの人がパイパンなのは破壊力がやばい』だそうだ。鎖原しか見ない部分ではあるが喜んでくれるならいいか、と尾餅はそのプレイを許可している。それに密着感のアップするこの股間は初めてセックスした時感動ですらあった、正直いって気に入っている。パチュパチュとピストンの音が響く中、尾餅はここに誰か人が来てしまった時のことを考えてペニスを硬くしていた。十中八九何をしているかなんて分かってしまうセックスの音、熱気、自分の声。それが管理人なら注意されるかもしれないし物好きなやつであれば上から覗かれることもあるかもしれない。鎖原とのセックスを他人に見られるなんてまっぴらごめんだが、どうもその瞬間を想像すると被虐的な興奮が入ってしまう。ペニスをぎゅっと掴まれて「ギャヒッ️♡」と動物のような鳴き声を出した尾餅はその場に穴を掘って埋まりたくなった。落ち着いた低い声は会社の人間からも『いい声をしている』と褒められ、時にはからかわれる対象であるというのに鎖原とこういうことをする時の自分の声はまるで豚が鳴いているかのような錯覚に陥る。気持ちいい、気持ちいいと伝えるために荒い呼吸と一緒に出る媚びた喘ぎ声は汚ければ汚いほど鎖原は興奮するらしい。なんかその感覚俺もわかるな、と尾餅は思った。可愛い顔をした鎖原から濁点つきの喘ぎ声が出ると信じられないような気分になって、その声を出させているのが自分だということに恍惚としてしまう。初めの頃は快感からヨダレの垂れた顔を見せることすら許せなくて散々枕で顔を隠したものだ。声を聞かせるなんてもっての外で唇に血が滲むほど噛み締めていた。そんな尾餅を見かねた鎖原が積極的にネコに回り、大きな汚い喘ぎ声を大袈裟なほど聞かせてくれたのだ。『気持ちいいことはいいことなんだよ、それを相手に伝えるのは嬉しいことだよ』と汗で張りついた前髪をよけながら鎖原は言っていた。それなら、と尾餅が初めて自分の意思で出した喘ぎ声は酷いものだったと思う。今のような感じで濁っていて声量の調節も出来ていなくて、出した後に嫌われないかと顔を青くしたのを覚えている。その直後により一層激しくなった鎖原のピストンを思い返せばそれがどんな効果を発揮したのかなんて言うまでもないが。とにかく、鎖原とのセックスは気持ちいいと尾餅は思うのだった。
「あっ️♡浅いとこばっかクポクポするのやめてくれッ️♡連続イキする、それ弱いッ️♡ち、乳首も触ってくれ……っ️♡ッあ゛~それそれ、コリコリするのすぐイクっ️♡お前のせいでどんどん乳首でかくなるっ️♡会社でもこっそりトイレにこもってチクニーしてるんだぞ、お前のせいだ……っ️♡」
「マジで?エッロ️♡尾餅くんどんどんスケベになってくね、育てがいがあるよ️♡」
余計なことを口走ったかもしれない、と尾餅は手で口を塞いだが遅すぎる。ぬちゃぬちゃと糸を引く結合部の音に酔いそうになりながらトイレの個室の熱気は凄まじいことになっていた。目をぎゅっと瞑って迫り来る大きな絶頂感に耐える準備をする。反り返って腹に向けられたペニスがヒクヒクっと震えて上下に振れる。「お、お、お、お♡」と身体を小刻みに痙攣させながらドポドポと射精をした尾餅に鎖原は熱烈なキスで口を塞いだ。絶頂しながら口を塞がれると上手く呼吸が出来なくて苦しいのか尾餅が鎖原の身体をバシバシと叩く。尾餅の射精したペニスをくちゅくちゅとシゴきながら鎖原は自分がイクためのピストンを更に続行した。眼球を上に向けて震えている尾餅のことを少し心配になりながらそんな顔も可愛いとキスを繰り返す。骨盤をしっかりと掴んできつい締めつけのアナルを何度もペニスで掘り返して、鎖原は「イク、イクね♡尾餅くんの中に出すね♡」と息を荒くして呟いた。それにコクコクと頷く尾餅に笑って「ふっうぅう……♡」と鎖原は尾餅の中に射精した。びゅーびゅーと注がれる熱に尾餅がうっとりとした顔になる。尾餅は無意識のうちに腹をさする動作をしてしまい、またしても「可愛い♡」と鎖原に言われてしまった。ペニスの引き抜かれたアナルからブビュッと精液が溢れてきてトイレの床をポタポタと汚す。すっかりイカ臭い個室になってしまった。
「お゛~……♡おぉ~……♡あへ……♡」
「はは、尾餅くんイッちゃってる。大丈夫?」
「……ハッ!んん、問題ない……♡」
「急にキリッとしたね。なにそれ可愛い。じゃ、ディルド挿れようか♡」
「あー、何の話だ?」
「とぼけちゃってもダメだよ♡」
「クソ……」
袋から出されたディルドを見てごくりと尾餅の喉が鳴る。大きなサイズ、反り返った形、イボイボ付きのデザイン。どこをどうとっても凶悪だ。そんなものを尻に押しつけられてドキドキしている時点でもう引き返せないところまできていると尾餅は自分のことを自嘲した。だがそれを喜んでくれる鎖原がいるならそれでもいいと思えてしまうのは惚れた弱み以外にないだろう。ディルドのカリ首がぬぷ、と尾餅のアナルをくぐっていった。
「お、おぅぅ……♡このディルドお前のよりも大きいぞ、慣れなくて腹がきつい……♡」
「何気に酷くない?みんながみんな尾餅くんレベルのチンポだと思わないでよ」
「お、俺のは普通だ……」
「じゃあ僕がちっちゃいってことになっちゃうじゃん!僕は平均サイズ!」
「だってそんな、他人のチンポなんてまじまじ見るものでもあるまいし。知らない」
「僕は仲良くなった人の何を知りたいかって言ったらまず最初にチンポを挙げるよ」
「特殊だろ」
腹に納まったディルドで腹を膨らませながら尾餅が鎖原のペニスをまじまじと見る。オナニー配信なんかやってペニスを酷使している割には随分綺麗な色をしていて形も曲がっていない。鎖原以外に挿入したことのないペニスなのに左曲がりで色も濃い自分のものを恥ずかしく思う気持ちもあったが、鎖原からしてみればペニスなんて十人十色で見飽きているのだろうと思えた。それにこの言ってしまえばグロテスクなペニスを咥える鎖原のことはエロくて大好きであったし、これを鎖原が求めてセックスにまでこぎつけているのだと思えば嫌いにはなれない。
「じゃあ交代しよ。おチンポ選手交代♡」
鎖原が尾餅に尻を向けてフリフリと振った。ゴクン、と尾餅の喉が鳴る。あれだけ射精したのにも関わらず鎖原のことを見ていると何度でも勃ち上がってしまう。尾餅にとって自分の性欲の強さは昔から悩めるところであった。仕事終わりに家に帰ると真夜中までオナニーにふけってしまうことも珍しくなく、鎖原という相手が出来るまで正しい発散の方法が分からないオナニーは大好きであると同時に苦手だった。本やビデオで身につけた知識を早く使ってセックスをしてみたいという憧れは人一倍強かったが人選びにもとりわけ慎重であった尾餅は鎖原に出会うまでに随分一人の時間を過ごしたように思う。亀頭で何度も鎖原のアナルの浅いところをヌチヌチとえぐってからゆっくりと挿入した。もうそれだけでピュ、と出てしまった精液に鎖原は気づいているのかいないのか。気づいていたとしても気にしないかもしれない。尾餅のペニスは萎えることなく硬いままであったし、鎖原はそれより先を待ちきれないとでも言うように自分から腰を振ってねだった。小ぶりな尻を尾餅の大きな手のひらで鷲掴まれると鎖原はこれから食べられてしまうんだ、と言わんばかりに酷く被虐的な気分に酔うことができた。これでも丁寧にしているつもりの尾餅からすると自身の余裕のなさというものにはまるで気づいていない。鎖原は荒々しいセックスが好きなのでなるべく真実を尾餅に伝えないまま行為は進んでいく。
「あ~ん♡尾餅くんのチンポ大っきいね♡僕のお尻めくれちゃうかもぉ♡あっお゛っおぉ゛♡本当にデカッ♡気持ちイイ゛っ!♡最高っ!♡」
「そうしたらっ、俺が、俺だけが一生責任を持ってお前とセックスするからな……♡」
鎖原の目がキュン!とハート型になった。いや比喩ではあるのだがそう言っても過言ではないくらい尾餅への好意がありありと目に現れた。ぬっとん、ぬっとん、と気持ちのいいリズムで重たくて粘っこい音をさせながら繰り返されるピストンは背筋からじわじわと快感が湧き上がってくる。鎖原は「すき、すき♡尾餅くんすき♡」と何度も声に出して尻に入ったペニスをぎゅうぎゅうと肛門括約筋で締めつけた。ポタポタと尿道口から垂れる精液は締め損なった水道のようで、トータルしてみればかなりの量を射精していることになる。歴代彼氏に『お前はセックスのことしか考えていないのか』となじられ別れを告げられてきた鎖原にとっても、尾餅との出会いは運命的であった。なにせセックスに対する知識が基礎中の基礎のようなところしかないので『今日は五回戦するよ♡盛り上がろうね♡』と言えば疑問を唱えるよりも先に顔を赤く染めてコクコクと頷いた。鎖原は既存の性欲の強さに加えて好きな相手には更に行為の回数が上乗せされる。それに引くどころか自分まで楽しくなって付き合ってくれる尾餅のことがもう一生手放せないだろうなと思うくらいには大好きだった。
「お゛~ッ♡ドチュドチュすごいッ♡尾餅くんの本気ピストン僕のお尻まんこにとってもよくキくよぉ゛♡あ゛っあ゛っあ゛っ!♡マジ壊れ、る゛ッ!♡そんなに、揺さぶられた、らァ゛ッ!♡僕の頭馬鹿になっちゃうぅう゛!♡」
「ふーっ、大丈夫だ、鎖原……♡お前は地頭が良いんだから問題ない……♡馬鹿にはならない……♡それに、セックスに知能はいらないって言ってただろ……♡」
「だ、だってぇ、尾餅くんが『挿入の角度は!?』とか『腰は何回振ればいい!?』とか変なことばっかり気にしてる時があったからじゃん!♡それこそ馬鹿みたいだったって!♡んひッいィイ゛!?♡なんで酷くする、のぉ゛!?♡」
「お、お前が恥ずかしいこと思い出させるからだろ!♡」
パンッパンッパンッパンッ!と肌同士が打ち付け合う音がトイレ内に響く。鎖原の広げられたアナルから尾餅の血管の浮いたどす黒いペニスが白く泡立った腸液に塗れて抜き差しされている。鎖原はガクガクと震える足に何とか力を入れて、便器の蓋に手をついてがに股になってしまうのを堪えようとしていた。バックでヤるのに腰が下がってしまうとただでさえ鎖原より身長の高い尾餅が大変になってしまう。やっぱりセックスってベッドでするのが模範解答なのかも、と鎖原は思った。
「んはっ、んはっ、んはっ……!♡お、尾餅くん、イきそうでしょっ?♡おチンポピクピクしてるよ、僕の中にザーメン流し込みたいって教えてくれてる♡いいよ、イッて、僕の中で種付けしていいからね……っ!♡あっあっあぁん~っ!♡」
「……鎖原……鎖原……っ!♡はぁ、ブッ濃いの出る……!♡」
ブビュブビュとペニスで栓のしきれなかった精液が鎖原のアナルからこぼれ出して太ももを伝っていった。出した精液をまるで子宮に着床させるかのように結腸に膨らんだ亀頭でゴリゴリと擦りつける快感に二人とも腰を震わせる。ぐったりとしてしまった鎖原を尾餅が引っ張り上げて一旦便器へと座らせた。まるでレイプに遭ったようだな、と白濁に濡れてくたりと力の抜けた鎖原が今いる場所も相まってかそんなことを尾餅に思わせた。だが神妙な顔をしている尾餅を見て「?♡」と微笑みこちらに向かって手を伸ばしてくる鎖原を見て『そんなことないか』と思い直した尾餅はベトベトの身体同士で抱き合う。鎖原は幸せそうに「えへへ」と笑った。尾餅は純粋な触れ合いの気恥ずかしさから唇を少し尖らせる。
「こ、こんなところでガチセックスするのはやっぱりどうかと……思った……」
「うっわ今更。というかそれ今言う?」
ぶちゅ、と鎖原が尾餅にした雑なキスでも二人は気持ちよく舌を絡め合う。濃厚なキスを丸々五分ほど堪能したあとは「「よし」」と揃って言ってテキパキとその場を片付け始めた。便器も床も綺麗に拭き上げ、尾餅は車から持ってきた消臭剤を辺り一面に吹きかける。その横で自分用の新しい玩具を選んでいる鎖原に「もう汚すなよ」と尾餅は釘をさした。
「僕もっとおっきいローターにしよ♡お尻の中で卵孕んでるみたいになるね♡それからアナルプラグで蓋するんだ♡」
「そうか、好きにしてくれ……なんだそのサイズのローター。もうそれローターって呼ばないだろ」
ニワトリの卵以上に大きさがあるぞ、と初めて見る玩具に慄いている尾餅の手にそれがポンと渡される。「重……」と呟いた尾餅の目の前で鎖原がまだ上げていないズボンとオムツをそのままに尻を突き出してくる。ほぐれきったアナルがひくひくと開いたり閉じたりしているのに尾餅はごくりと唾を飲み込む。
「僕のお尻のローター尾餅くんが挿れて♡ちゃんと気持ちいいところにセットしてね?♡」
「……おー……♡」
片手でミッとアナルを割り開いてローターを押しつけた。ぐに、ぐに、という肉感のある抵抗の後にむぷ、と音がして徐々にローターの先端が入っていく。一番太いところまでくるとあとは簡単でにゅぷん、と勝手に飲み込まれていった。そこからは指で少しずつ中のローターを押したり手前に持ってきたりして位置を調節していく。くちょくちょと控えめな水音をさせながら鎖原の気持ちいいところを尾餅が探し当てようとする。
「……ここか?」
「んっ♡惜しいっ!♡」
「じゃあここ……」
「もっと手前だよ……♡」
「ここ……?」
「あ゛ンっ!♡そうっ!♡そこ!♡」
いい位置にセット出来たらしい。ほっとしている尾餅に「ありがとー♡」とニコニコ笑っている鎖原が感謝を伝えるように大きく尻を振った。そんな鎖原の様子に満足した尾餅がもう一度アナルに指を入れて前立腺に向けてローターをぐっ、ぐっ、と押す。前立腺は圧迫するのが一番気持ちいい、とどこかで聞いたのでそれを試してみたくなったのだ。鎖原の反応を見てローターがズレない程度に前立腺を圧迫していく。
「お前の前立腺小さくて分かりづらいんだよ、ローターごりごりぶつけて育ててやろうな……♡」
「あ゛ッ!♡それたまんないッ!♡」
ヴン、という低い音が鳴り響いてローターのスイッチが入れられた。指先でその振動を受け取っている尾餅はそのパワーの強さに驚く。もしこれを自分が受けたら射精を繰り返してしまって外を歩くなんて叶わないだろうな、と想像によって勃起してしまったペニスをさすった。鎖原は壁に手をついてヘコヘコと腰を振って身悶えしている。その時外から人の声が聞こえてきた。焦った尾餅が鎖原にオムツとズボンをはかせて「一回車の中戻るぞ」とその手を取り連れ出す。運転席と助手席から見る限り子供連れの家族のようだったので「こんなところ見せたら教育に悪いからな」「目覚めちゃう?」「まあそういうこともあるかもしれない」と適当な会話をしながら転がるサッカーボールを眺めていた。鎖原はいいのだが尾餅はというとディルドの固定用の下着の上からオムツを履いているためゴワゴワしてしまうし、更にその上から洋服を着ると尻の辺りがパツパツになってしまった。「これ……おかしくないか」「すっごいセクシーなことになってる。ボンキュッボンって感じ」「ふざけるなよ」というやり取りのあと尾餅はなんとなく座席の上で身を捩った。
「尾餅くん座席で擦りつけオナニーしてるの?」
「ディルドの違和感がすごいんだよ!♡」
座ったことによってディルドが下から圧迫されて前立腺や結腸を押し潰している。やはり圧迫というのは下手なピストンよりも気持ちいいものらしい、と尾餅は身をもって知った。ドライブに入れた車を発進させながら尾餅は鎖原にナビの設定を頼む。スマホをポチポチと弄っている鎖原にバレないように、尾餅はブルルッ……と圧迫感からくる快感によって絶頂を迎えていた。
「……次……目的地まで、どのくらいだ……?」
「五十一分だって。ちょっと遠いね」
「その内に何回イくんだろうな……」
「百?」
「洒落にならん」
そのまましばらく車を走らせていたのはいいのだが横から聞こえてくる喘ぎ声に尾餅はすっかり参ってしまっていた。左を見れば両手で乳首を弄りながらシートから腰を浮かせてヘコつかせる鎖原が見える。すれ違う車がいる時だけはそれもなりを潜めるのだが周りに誰もいなくなるとこれだ。鎖原が「イグ♡」と声を出すたびに踏みすぎたアクセルを調整するためのブレーキが必要になる。
「お゛~……♡お゛~……♡お゛~……♡」
「……ええい!鎖原!運転の気が散る!」
「だってこれローター振動エグくってぇ……♡おっほ……イグ……イグぅ……♡」
「エロい声出すな頼むから……!」
そんな会話をしながらきっかり五十一分後、尾餅と鎖原はとある道の駅に来ていた。噴水でキャイキャイとはしゃぎながら髪の毛をペチャンコにしている子供とズボンを膝までまくった親を眺めながら車から降りる。だいぶ日差しが強くなってきたな、と尾餅は二本目の飲み物を買うため自動販売機に吸い寄せられるようにして近づいて行った。……微糖しかないな、と思いながら仕方なくそのボタンを押す。鎖原の分もとコーラのボタンを押すと何故かこっちの方が冷えている気がする。首筋から頬にかけてにペットボトルを当てて体温を下げていると人混みの中から鎖原が出てきた。こちらに向かってくるのでペットボトルを持った手を振ると鎖原の方も何やら飲食物を持っているようだ。
「見て尾餅くん、チンポ」
「鎖原、それはフランクフルトだ。そんなに食べたかったのか」
「尾餅くんのもあるよ。はいあーん」
「ん……むぅッ!?️♡げほっ、の、喉奥突くな!」
「イマラだよ、尾餅くん」
「ふざけるな、もう渡せ!」
鎖原からフランクフルトを奪い取った尾餅がそれを一齧りして脇に挟んでおいたコーラを「ン!」と顎でしゃくった。「ふわぁあいあおう」と喋る鎖原の方を向くとカポカポとフェラの真似ごとをして遊んでいたので思わずコーヒーでぶん殴った。コン!といい音がしたところで鎖原が「イテッ」と笑って舌を出す。そんなぶりっ子じみた動作が似合ってしまうのも考えものだな、と尾餅は短くなったフランクフルトを横から食べていた。すると「あの~」と後ろから声が聞こえる。振り向くと二人組の女性だった。観光だろうか、パンフレットを持っているがそれにしては心もとないサイズのカバンしか持っていない。
「お兄さん達今お二人ですか~?」
「向こうから見ててもかっこよくて声かけちゃいました!」
ナンパか。適当にあしらおう……と考えていたところだったのにその時いきなり鎖原が尾餅の尻を揉み始めたことで事態はよろしくない方向へと傾き始める。幸い女性たちはまだこのことに気づいていないが変に目でサインを送って怪しまれるわけにもいかない。尾餅は鎖原にやめてくれと本気で焦り始めた。
「あ、あ、えと、その……」
「えー!お兄さんその感じでコミュ障なんですか!?可愛い~!もっとお堅い系かと思った~!」
「お兄さんは!?可愛い系ですよね?うわ~っ、女の子みたいにまつ毛ふさふさ!」
「……んふふ……ありがと♡」
やばい、鎖原が駄目なことをする時のモードに入っている。手のひらでディルドをグリグリと押される感覚は言わずもがな気持ちいい。向き合わせになっている四人の中で尾餅と鎖原が何をしているかなんて知らぬまま女性二人はテンションを高く喋り続ける。尾餅は下を向いてしまって顔を上げられない。鎖原はニコニコというかニヤニヤとしている。
「……お兄さん大丈夫ですか?あっつい?顔真っ赤ですよ?」
「……いっ、いや、だいじょう、ぶ、……!♡」
何も大丈夫ではあるまい。どこか雰囲気がおかしいということに気づき始めた女性二人がごくりと唾を飲み込むのがわかった。もはや鎖原は尾餅の尻を揉んでいることを隠す気はない。大胆にまさぐられるその手に女性二人の視線は釘づけになっていた。尾餅は泣き出しそうになりながら鎖原の方を見て『は や く』と口パクをする。もちろん早くここから逃げ出そうという意味である。そこでやっと鎖原がこの場から立ち去るという意志を見せた。
「僕達カップルなんだ♡だからデートのお誘いは……ごめん、ね……ッ!あは……ッ!♡」
「う、うぅ……すまないな、んッ、んん~……ッ!♡鎖原、早く行こう……ッ♡」
二人同時に迎えた絶頂に足を震わせてその場から離れる尾餅と鎖原を女性二人はぽーっとした表情で見送った。薄々何をしていたのか気づいてはいるがなまじっか顔の良い男二人がいわゆるそういうことを公共の場で楽しんでいたことに未だ脳みそがついていかないらしい。「……残念だったね、イケメンだったのに……」「うん。……暑いね、ソフトクリーム食べない?」「食べる……」女性二人がそんな会話をした今日の天気は快晴でまるで白昼夢を見たのかもしれなかった。
「絶対バレた、絶対バレた、女性の前でイッてしまった……!♡見られながら……!♡しっかり見られながらイッたぞどうしてくれる鎖原……!♡」
「めっちゃくちゃ興奮してたくせに何言ってんの、尾餅くんマゾさんの才能ありすぎ♡大丈夫、通報されなきゃこっちの勝ちだから」
「馬鹿言え!」
もう使われていないコンテナハウスがあったのでその裏で息を整え合う。いわゆる壁ドン状態で鎖原に迫られている尾餅はキスを突っぱねようとするが、ペニスを服の上から揉まれると抵抗する気はすっかり失せてしまう。快楽に弱いという鎖原の前では致命的な欠点だ。にゅるにゅると唇の上や口の中を這い回る舌に目をぎゅっと瞑って「んん~♡」とその感覚を享受する。プシップシッとオムツの中で断続的な潮吹きをしている尾餅とそのペニスの動きを楽しんでいる鎖原。もはや尾餅の方からキスをねだっていると言っても過言ではなく、「チンポっ、太ももで、グリグリしてくれっ♡」というお願いまで飛び出した。コンテナハウスに背中をつける状態で股間をグリグリと蹴り上げてもらっている尾餅はビクビクと痙攣しながら何度も何度も絶頂を迎える。「あ゛っ♡あ゛っ♡お゛っ♡」と短く汚く喘ぐ白目を剥いた男前は正に鎖原の好みど真ん中であった。そこで鎖原は思いつく。スマホを取り出して、慣れた様子でとある設定を完了した。尾餅は不思議そうな顔しているが、これから起こることを知れば顔を真っ赤に染めるだろう。
「……はーい、画面真っ暗で失礼しまーす♡今日は音声配信だよ、スペシャルゲストもいるからね。じゃじゃーん、僕の彼氏!今ちょうど僕達、いやらしいことしてまーす♡」
「はぁ!?ちょっと、ぐっ……!」
「彼氏くん、名前はNGだよ。えー今、野外でおチンポの揉み合いっこしてるんだけど彼氏くんのチンポ超ガチガチ♡立派な勃起ペニスでいつも僕のこと満足させてくれてまーす♡ほら聞こえる?くちゅくちゅいってて普段より我慢汁多めです♡今から完全に露出したいと思います、そ~れ解放~♡」
「ちょちょ、ちょっと、おい……!」
────は?エロ過ぎるが
────俺のくーくんが!!!!!
────くーくん彼氏持ち!?
────ガチ恋降りますさよなら
────ズリネタあざすあざす
そんなコメントが飛び交う画面をチラリと見てから鎖原は尾餅のオムツをずり下ろした。ディルド固定用の下着はベルトのようになって尻へと回っているためペニスへの影響はない。すっかり勃起している尾餅のペニスを片手でシコシコと扱き、その度にクチクチと包皮が擦れて鳴る水音をスマホで拾っていく。手のひら全体で裏スジを包み込むように扱くと尾餅がヒンヒンと身体をくねらせ始めた。もちろんその声も配信にしっかりと入っている、下手に声を出さないように頑張ると喉の奥から高くて細い子犬のような喘ぎ声が出てしまうらしい。
「ひィ、ィ、ィう、あンッ♡……ッフー……ッフー……も、無理……イクっ、イクっ……!♡」
「はーい彼氏くんが大量射精しました~♡ビュルルって音が聞こえたかな?彼氏くんは射精量とっても多いんだよね、いつも僕のお腹の中パンパンだよ~♡いつか子供が出来るんじゃないかっていうくらい!♡男同士の孕まセックス最高だよ♡」
少なからず自分の声で性的興奮を覚えている輩が視聴者という形で画面の向こうにいるのだろうということは配信や何やらに詳しくない尾餅にも分かった。ただ鎖原のリスナーは変態が多いことで有名なのだと本人が言っていたのを覚えていて、それはマスクで隠していても中性的な柔らかさを感じたりまだあどけない美少年の面影を残していたりする鎖原の見た目につられてきた輩なのだと思っていたのだ。低くて想像通り丈夫な作りをした男の自分の声が鎖原のリスナーにとって需要となるとはにわかに信じ難いことで、何より尾餅自身がそんな変態の巣窟に一歩踏み入れてしまうことになるとは思ってもみないことだった。未知の体験をしていることへの緊張感で萎えてしまってもいいはずの尾餅のペニスは、けれども鎖原の手に包まれていると否が応でも勃起を続けてしまう。鈴口にキツめに爪を立てられると尾餅は情けないような声を出してショロショロとお漏らしのような潮吹きまでしてしまった。足元にビタビタと潮の降ってくる音が画面の向こうではよく響いていることだろう。「止まって、止まって……っ!♡」と必死に自分のペニスに懇願している声が酷く滑稽に思えてきて尾餅は羞恥で死にたくなる。この時ばかりは鎖原の言う「か~わいい♡」が悪魔の囁きのように聞こえた。
「彼氏くんのチンポスペック紹介しまーす♡長さはなんと脅威の二十センチ!お手本みたいな巨根さんでーす♡太さは握った時に『あん♡』って声が出てうっとりしちゃうようなサイズ♡亀頭を責められるのが好きでさっきみたいにたっくさんお潮を吹いて楽しませてくれます♡タマタマもでっかいよ~!♡プリプリ精子こしらえるためのビッグなタンクがぶら下がっててバックでハメてもらうと金玉でどつかれます♡射精量が半端じゃなくて一日でも出さない日があると翌日はゼリーみたいなザーメン出してくるから毎日チンポケアが必要ですね~♡じゃあ彼氏くん、僕チンポ味見いきまーす♡」
「うぁああ゛ッ!♡もうやだっ、見るな見るな!♡こんなの同意の上じゃない……!♡ひ、人に俺のチンポの情報なんて与えて何になるんだよ!?♡なぁ、皆からもこいつがやめるように言ってくれよ……!♡」
「あは、そんなこと言っちゃったら皆そそるって♡余計いじめてくれってコメントばっかりだよ?♡あ~、ん、んんん……♡んぷっんぷっぷぷ……♡」
唾液をたっぷり含んだ鎖原の口の中の粘膜をペニスが擦ってジュプジュプといやらしい音が辺りに響く。鎖原が片手に持ったスマホを尾餅の眼前につきつけた。そこに書かれている言葉の数々に尾餅は今すぐに穴にでも入りたくなる。ほとんどが自分を辱めるような下品なワードばかりだったからだ。中には尾餅のことを抱きたい、可愛い、彼氏にしたいと物好きなことを書き込むリスナーもいた。これは鎖原相手だから晒している姿及び声なのだと、誰が何処の馬の骨とも分からないお前らなんかの彼氏になるかと抗議したい気持ちでいっぱいだったがペニスをしゃぶられて喘いでいる声を聞かれている以上偉そうなことは言えない。それにこういうものはふとしたところで本人バレという最悪の形になる可能性があるのではと尾餅は戦慄した。なのでなるべく声を聞かせたくないのに口から出るのはざらついたオホ声ばかりで尾餅は自分の堪え性のなさに辟易する。そこで尾餅は鎖原のスマホにとあるコメントを発見してしまう。
────彼氏くんも淫乱の変態なんだ
「……っち、違うゥ!♡お前が俺たちの何を知ってるんだ!?♡お、俺たちは少しセックスが好きなだけのただのカップルなのに!♡俺たちの情事に聞き耳立てて興奮してるお前らの方が変態だろう!♡あ、イクイクイク……!♡っとにかく!俺は変態じゃないからな、そんなふうに言うな!♡」
ビュルルル~っ!と鎖原の口の中で思いきり射精をしながらそんなことを口走った尾餅が髪をかき乱す。「うう!♡」「ああ!♡」と短く叫びながら最後の一滴まで絞り出すように鎖原の口に向かって腰を振った。鎖原は目を瞑ってそんな尾餅の精液をごくごくと喉に通している。亀頭をレロレロと舐めしゃぶってツルツルの質感のそこを楽しむように舌を動かす鎖原。今頃スパチャがすごいことになっているんだろうなぁ、という鎖原の読み通りにスマホの画面には赤スパが飛び交っていた。
────彼氏くんマジで素人?
────合意じゃないの?シコいわ
────もっといっぱいイッてほしい
────くーくん意外とドSじゃん
ぜぇ、ぜぇ、と荒い呼吸の音。精液を飲みきった鎖原が尾餅の顔を下からチラリと見た。その顔はこれ以上ないくらい羞恥に染まっていて怒りにも満ちていると見える。と、次の瞬間鎖原の身体がグラリと傾いた。それが鎖原を尾餅が突き飛ばしていったのだと理解するまでに時間はかからず、鎖原は「ちょっと!?」と慌てた声を出す。オムツとズボンを転びかけながら腰まで上げて、尾餅はここから逃げることにしたようだった。バタバタという足音と突如聞こえなくなった尾餅の声にコメント欄が困惑する。鎖原の「あ~……」という声には『やってしまった』感が滲み出ている。
「振られたらどうしよ、皆~」
俺が彼氏になるよ!という赤スパに鎖原は苦笑いするしかなかった。今回は本当にまずい。口の周りについた先走りと精液をペロペロと舐め取って焦る頭で尾餅を追いかけるべきか否かを考える。あんなに怒った尾餅は初めて見た、と思うと同時に彼氏の知らなかった一面を知れたことに喜びの気持ちもあり……この戯れを更に続行したいとも考えていた。鎖原がスマホに向かって喋りかける。
「彼氏くんにもっとすごいこと仕掛けようと思いまーす♡けど二人っきりになる必要があるので配信はここまで、あとで報告動画上げるね~♡」
見せろ!今見せろ!とうるさいコメント欄に「じゃあね~♡」と華麗なスルーを決めつつ鎖原は配信を切った。きっと人気のないところで一人反省会をしているのだろうと見込んで尾餅のあとを追うことにした鎖原。その予想通り、尾餅は整備がされていない植え込みの向こう側で大きな木に手をついて「ああ~……」と鼻をすすっていた。
「……暴力を……振るってしまった……鎖原に……俺の方が体格もいいのに、力も強いのに、怖かっただろうな……いやでもあいつも悪いんだ、いくら何でもあそこまでやるのはやりすぎだし……でも今日はそういうデートの日なんだからあいつの考えたプレイとして受け入れるべきだったのかも……」
一人でブツブツブツブツ、尾餅は自己嫌悪に陥りながら勃起の収まらないペニスを前かがみになって押さえていた。音声だけとはいえ赤の他人に自分の喘ぎ声を聞かれたこと、ヤケクソじみた反撃の言葉を衝動のままに口走ったこと、あの状況で鎖原にイかされたこと。全てが恥ずかしすぎてどうにかなりそうだった。体が熱い。しゃがみ込んでズボンのチャックを開けてオムツをずらしてペニスを取り出した。クチュ、クチュ、と音をさせながら亀頭を指の腹で優しく撫でる。先走りが糸を引いて、それにドキドキとしながら濡れた指を口まで持っていった。しょっぱくてねとついた味がする、鎖原のモノをしゃぶる時とは違ってどこか雄臭さが拭えないのは不思議だ。苦しょっぱい精液の中にどこか甘さがある鎖原が特殊なのか自分が不摂生なのかは分からないがこれはこれで興奮してしまう。その時だった。
「ッお゛!?♡なっ、なに、嫌だっ、ディルド、動いて……!?♡クソ、これも遠隔で動くのかよ……!♡」
尾餅の尻にズッポリとはまっているディルドが振動し始めた。ヴィンヴィン、と音を立てながら中で曲がりくねる動きもする。尾餅はガニ股になって震える手でズボンとオムツを脱ぎ去った。腹の中で動き回る玩具にドキドキしながら下腹部に手を当てると強力な振動が伝わってきて尻がきゅう、と締まる。
(これ、鎖原がやっているんだよな……?どこかで見ているのか?それとも鎖原も怒っているだろうか、振動パターンがころころ変わるから楽しんでいる可能性もなくはないが……が、我慢出来ない。尻を刺激されるとどうしてもセックスかオナニーをしたくなる、ここで一人で処理するしかないのか……?こ、こんなところでなんて変態なのに……ああでも、チンポが苦しい!)
木の陰に手をついて腰を突き出しヘコヘコと振る。まるで水やりをするように尾餅の出した精液がピシャピシャと木の根元にかかっていく。洋服の裾を噛んでふぅふぅと荒い息をしながら声を我慢しつつ今感じられる快楽に最大限集中した。前立腺を小刻みに叩くリズミカルな振動のたびに腰がクイッ♡クイッ♡と前に動いて太ももがブルブルと震える。自分以外誰もいないのをいいことにその場で我慢しきれずジョロロロ……ッ♡と放尿までしてしまった。勃起したペニスがピコピコと動いてあちらこちらに尿を撒き散らす。目を瞑ってその開放感に「はぁあぁ……♡鎖原、鎖原……っ♡」と恍惚に浸っていた、その時だった。
「そこで何してるの?」
「っえ!?うぁ、あ……っ!?」
突如として目の前が真っ暗になった。目隠しをされたのだと瞬時に気づくがこんな醜態を見られたのだと悟ってしまえば抵抗する気も起きなかった。くぐもった声は聞き覚えがなくて、知らない相手にこれから何をされるのだろうと恐怖心が何よりも煽られる。訴えたところで先に露出狂をやっていたのはこちら側だ、黙っていてくれと頼み込むのは尾餅の方かもしれなかった。カチン、と固定用下着が外される音がする。ズル、とディルドが引き抜かれたあとにピトリ、と尻に馴染みのある熱があてがわれる。尾餅は血の気が引いた。
「や、やめて、やめてください、あ、あ~……!あぁあッ……!」
懇願虚しくも挿入されたペニスが無遠慮にガツガツと最奥を突く。尾餅は泣きそうになってしまった。レイプされたことの喪失感も確かにあったが、何よりも強姦魔相手に吐精している自分に絶望したのだ。ごちゃごちゃとする頭の中でペニスの存在感はあまりにも大きかった。素直に喘いでいれば強姦魔は酷いことをするつもりはないのか、尾餅をなだめるようによしよしと頭を撫でてくる。ふざけるな、と言ってやりたかった尾餅だが、その思いは反映されず口からは喘ぎ声ばかりが漏れ出る。
(こんなことなら鎖原に怒らなければよかった、ちゃんと顔は隠してくれたのに必要以上に責め立ててしまった……。二人でいたら変なやつに絡まれることも、ましてやこんなふうに……レイプされることもなかったのに……。俺が外でオナニーする変態だからバチが当たったんだ、全部俺が悪い……!)
尾餅を襲ったのは一種の諦念だった。レイプをする方が悪いに決まっているが、その被害上で感じてしまっている自分を責め立てる思いだった。自分の喘ぎ声が酷くうるさく聞こえる、自分のことがろくでもない変態に思えて仕方ない。強姦魔の手がまるで恋人相手に普通のセックスをする真人間のように大切に尾餅のペニスを扱くので、快感に素直な尾餅はそれに声を震わせて射精をしてしまう。こんなことをするくせにペニスを弄る時は丁寧だなんて、真面目な人間が何かの拍子に限界を迎えてこのような愚行をしでかしているのではないかと尾餅はいらぬ推測をした。玉を揉まれると安心感にも似た快感が押し寄せてきて思わず目を瞑って感じ入りそうになる。尾餅は強姦魔相手に声を張った。
「やっ、優しくなんてするな!♡お前なんかに、お前みたいな汚い人間相手なんかに素直にイきたくない……!♡どうせならもっと手荒く犯せばいいだろう!♡意気地なし!♡」
「………………」
「あ゛ッ、あぅう゛!?♡」
バチンッ!という音と共に尾餅の尻に強い衝撃が走った。遅れてジンジンと熱を持って甘く痛むそこに、尻を思いきり叩かれたのだと悟る。それからすぐに尻ビンタの刑が始まった。バチンッ!バチンッ!と派手に音を鳴らしながら何度も何度も尻を平手打ちされる。そのたびに尾餅は「やめて!♡やめてくれ!♡」と自分で言ったことも忘れて強姦魔に慈悲を懇願した。それでも続く臀部へのビンタは酷く被虐心を打ちのめされる行為で、叩かれる時にビクンッと痙攣する腰の振動がペニスにも伝ってブルンッと揺れる。そうすると尾餅は壊れたように射精を繰り返すのをやめられなくなってしまって口からは嬉しそうな嬌声ばかりが響き渡ってしまうのだ。そのうち尾餅はひぐひぐと泣き出して強姦魔相手に自尊心など打ち捨てた情けないお願いをすることになる。先ほど啖呵を切った時とは偉い違いで、崩れ落ちそうになる足を何とか立てて鼻水をすすって「お願いじまず……♡」と頭を下げながら頼み込む。
「おと、音出さないで、バレちゃ、鎖原にバレちゃうぅ゛……♡やめて、こんなとこバレたら……静かに犯してぇ……♡」
「……?」
強姦魔が困惑しているのが伝わってくるが尾餅は必死だった。わざわざ犯行を隠蔽する手助けになるようなセリフを言っているのがこの時の尾餅には分かっておらず、この不可抗力な浮気を鎖原に知られないためにはどうすればいいかということしか頭にはなかったのだ。プピュプピュとアナルから吹き出す精液の音が間抜けに響く周辺で木々がザアザアと揺れている。強姦魔はしばらく手をウロウロさせて、それから尾餅の背中を優しくさすった。そこで聞き覚えのある声が聞こえる。
「尾餅くん?」
「ふぇ、?あ、鎖原……?どこ……やだ、いやだ、見ないでくれ……これ、俺これ無理やりされて……浮気じゃない……」
「いや今尾餅くんとセックスしてるの僕だよ、本当に気づいてなかった?」
「……え……?」
現実を受け止める勇気がないのかそのまま固まってしまった尾餅に鎖原がパッと目隠しを取る。そこにいたのは間違いなく鎖原本人で、自分でしたくせに今の状態の尾餅を酷く心配しているようであった。
「え、だってさぁ、僕一回喋ったじゃん!そこで何してるのって聞いたよね?その時に気づかなかった?」
「こ、声が違った!」
「ちょーっとダンディに喋ったんだよ!その方が雰囲気出るかと思って!まさかガチレイプになっていたとは……僕驚き」
「驚きはこっちのセリフだ!もう抜け!っひ、あ、ぁ、揺すらないで……っ♡」
「傷心エッチしようよ、慰めてあげる♡」
「いや今回はお前が悪い……!♡んぉ、お、おッ、イクッ……!♡」
だがしかし身体は素直なもので、相手が鎖原だとわかった尾餅は安心して絶頂を迎えるようになっていた。「ごめんね、ごめんね♡」と謝りながらパチュパチュと尾餅のアナルにペニスを出し入れする鎖原の表情が演技でもいいと思うほど酷く優しくて、先ほどめちゃくちゃに尻を叩かれたのが嘘のように丁寧に尻たぶをあやしてくる。機嫌を取るように正面に回された鎖原の手がコショコショと尾餅の喉をくすぐってくるので、その時に起こるゾワゾワとした快感に腹に力が入ってペニスを締め付けてしまう。尾餅は頬を膨らませて「ゆ、許さないぞ……そんなことしても……!♡」と頭を振って気を確かに持つ。「いいよ、あとで仕返ししてくれても♡」と鎖原が言うので尾餅は少し考えた。次の瞬間には今しているセックスのことで頭がいっぱいになり「イきそうぅ゛……♡」と低く唸って自分のペニスをグチュグチュと扱くのに忙しくなってしまったが。
「僕もイク……♡尾餅くん、中に出していい?♡」
「な、中は嫌だ、外、外にしてくれ……♡」
「尾餅くんの中以外にぶちまけちゃっていーの?僕の精子を?」
「あ、ひぅ、ひぃ……♡……や、やぁ、やだ……♡嫌だぁ、鎖原ぁ……♡」
「何が嫌なの?」
「せーし、外に出すのいやぁ……♡証拠残っちゃうだろ……?♡中に出して……♡」
「あはは、確かに!証拠が残っちゃうもんね?ああ、外でやったんだなーって。じゃあ中出ししても仕方ないもんね」
尾餅の尻を鷲掴む鎖原の指が肉に食い込む。ムッチリとした尾餅の尻はしっとりと汗ばんでいて、いつも尾餅が作ってくれる自家製の鶏ハムのようだと鎖原はこっそり思った。尻穴がめくれてペニスにすがりついてくる、真っ赤に充血したフチ周りが痛々しいほどに扇情的だ。泡立った我慢汁が太ももを伝って垂れていく、びしょ濡れの玉がずっしりと重く感じる。鎖原は汗に濡れた尾餅のうなじをベロリと舐めて味見したあとに続けてそこをがぶりと噛んだ。人体特有の塩気が舌にしびれて興奮に拍車をかける。「フー……♡フー……♡」と雄犬のような息遣いで尾餅の中に射精をする様子はさながら獣の交尾と同等のように見えて、尾餅はメス役として種付けられることを心から喜んでしまっていた。腹がどんどん熱く、重たくなっていく。内部から押し出されるようにして射精をしてしまう尾餅も、それが三十秒を超えれば一度に発射できる子種も尽きて長すぎる鎖原の射精に焦りがやってくる。身体をよじっても尻を振ってもハメ込んだ状態から解放してくれる様子のない鎖原に尾餅はビクビクと痙攣しながらやっとのことでセックスの終わりを頼み込んだ。
「も、抜いてっ抜いてっ!️♡抜いてくれ、それ以上出すな……!♡腹ちゃぷちゃぷになる、下したらどうするんだよ……!♡」
「赤ちゃん出来る」
「ふざけてんな!」
「あんっそんな怒鳴らないで♡もっと出ちゃう♡」
尾餅は困惑することがある。鎖原の行動の節々にはマゾっ気を感じられることが多々あるのに、酷いことをする時はそのまま容赦しないサドっ気もあるのが不思議なのだ。応用の利く人間であると常々思う。やっとのことで出ていった鎖原のペニスをちらりと見るとあれだけ出した後だというのにまだ半勃ちの状態で物足りなさそうに震えていた。自分も人のことは言えないが元気すぎるだろうとため息をつきたくなる。目には目を、歯には歯を、ペニスにはペニスを。そんなことを思いながら尾餅は鎖原をギロッと睨んだ。「ひゃあ♡激おこ♡」と反省の様子のない鎖原に命令する。
「鎖原、後ろ向け。アナルプラグもローターもいらない」
「えっなになに?はい、抜いたし向いたよ?」
「……よい、しょっ!」
「うわっ!え、ねぇこれって!?あ、あぁん!️♡深いところまでキてるぅ゛……っ!️♡」
いわゆる逆駅弁。それが尾餅が鎖原にした仕返しであった。鎖原とて百七十センチの平均的な身長はあるが、尾餅はそれに十センチを足した身長をしているためこの体位は手軽い。頭の後ろで荒い息をする尾餅に鎖原は耳の奥が溶けるようにその音に鼓膜を犯されているのを感じた。
「ねぇ、これご褒美っ?♡あっあぁん♡そんなに興奮しちゃったの?♡あ゛ッそこ好きッ♡お゛ッお゛ッお゛ッ♡激しいの好きッ♡ねぇ尾餅くんっ♡」
「うるさくするな、人が来るぞ……!あとこれはご褒美じゃない!仕置きだからな!」
「やだ~っ、尾餅くんがなんかエッチな言葉覚えてる♡それ僕以外に言わないでね?♡約束だよ?♡んぁッあッあッ♡」
「そんな機会お前以外にあると思うか!?ないだろ!」
「うわッ嬉しい!♡」
「喜ぶな!静かにしろ!」
鎖原の腹がたまらなく甘く疼く。重くねっとりした息を吐きながらその甘美な快楽に酔う。全細胞が歓喜するような至極の快感。経験豊富な鎖原であるがひとつのセックスにこれほどまでに夢中にさせてくれる相手には出会ったことがない。必死に声を噛み殺しながら尾餅のピストンに大人しく揺られるたびに勃起したペニスもぷるんぷるんと揺れた。遺伝子レベルで相性のいい相手というのは探せば見つかるものなのだな、と鎖原は尾餅との出会いを改めて嬉しく思うのだった。一旦は黙ったものの尾餅のペニスに犯されていると考えると腹の中の甘い思いは口からこぼれ落ちていく他にない。背中に電流が走ったような快感に「んひぎッ!♡」と鎖原が背を反らせても尾餅は鎖原を落とすことなく、むしろ先ほどまでよりも強く鎖原の裏ももを支える手に力を込めた。パッカリと開脚した股ぐらの真ん中で勃起したペニスが丸見えの状態になっている。もしこの状況を正面から見る者がいたらそれはそれは結合部までよく眺めることが出来ただろう。今度この体位を大きな鏡のあるラブホテルでヤッてもらうんだ、と鎖原は一人心の中で決めていた。大きなペニスで尻穴を蹂躙されるところをまざまざと見せつけられて、自分のペニスは間抜けにも上下に振れて情けない射精を繰り返す。そんな様子を見ることができたらもうそれは視覚だけで興奮してイッてしまうだろう!鎖原は鏡に映る未来の自分の醜態を想像してブルルッ……♡と這い寄ってくるようなアクメをキメていた。中を締め付けたことで尾餅のペニスがより一層いきり立った気がする。
「あーっやっぱり尾餅くんのチンポでかい!️♡マジイキするっ、デカチンで前立腺いっぱい潰してもらえるっ♡はぁ~、どこまでも最高のチンポ……♡僕のお尻と運命だねこれ♡」
「またお前はっ、俺を煽るようなことばかり……!ああそうだな、運命的ぴったりチンポ死ぬ気で食い締めろ!」
ぶちゅんっ♡と音がして尾餅のペニスが鎖原の結腸にハマった。内臓を無理やり押し広げられているような、苦しいのに弱点をピンポイントで押されたような気持ちよさがあって鎖原の身体からへなりと力が抜ける。カリ首のくびれで結腸の出入り口をぐぽぐぽとこじ開けて一番奥に精子を注ぎ込むと鎖原はガチガチと歯を鳴らしてその苛烈すぎる快感に耐えた。初めて尾餅のペニスのサイズで結腸を開けられた時には自分らしくもなく痛い痛いと泣いてしまったことを思い出す。それと同時に、ありえないくらいの快感が襲ってきてもう戻れないところまで連れてこられたのだと思ったことも。そのせいで鎖原の結腸に挿れることをしばらくは怖がっていた尾餅だが、鎖原はもう大丈夫、もっと奥にほしいと結腸の拡張に何度も尾餅を誘った。だんだん泣く割合よりも啼く割合の方が多くなっていって、百パーセント尾餅の結腸責めを快感として受け入れることが出来るようになった時の喜びといったら。完璧に繋がることが出来たようで、結ばれたのだと鎖原は痛くないのに泣いてしまった。その時にしたキスは酷く甘い味がしたのを覚えている。
「奥、はまってる……!♡しゅごい、ぴったんこだよ僕のお尻と尾餅くんのチンポ……♡はは、もう尾餅くん以外とエッチできないねぇ……♡っお゛、はげ、しぃ゛っ!♡あ゛ッあーッ♡イク♡イク♡尾餅く、もっと激しく、してぇ゛!♡僕のこと壊してほしいのぉ゛!♡」
「……クソ、AVみたいなセリフ言いやがって……」
ぷしゃあああっ♡と鎖原の吹いた潮が辺りの地面に染みを作った。奥を突かれるたびにぷしゃっ♡ぷしゃっ♡と飛び出す潮はなかなか止まることがなく、周りの木々にしてみればいい水やりだろう。水分を出した代わりとでもいうように精液が注ぎ込まれる、鎖原の腹は尾餅の子種でパンパンだった。中をぎゅんぎゅんと締め付けて、更に尾餅の子種を搾り取ろうと鎖原が腸内を動かす。まるで電動オナホールのようにぐねぐねと蠢く鎖原の中に、尾餅は「まっ、待て待て待て!」と焦ったような声を出した。
「なんだそれ!うわっ……なんだそれ!あッ、気持ちよ……ッ!♡ま、て、俺も出るから……ッ!♡」
「これ以上何が出るのぉ♡ひぃッいッい゛ッ♡僕お潮止まんない、お漏らしばっかりしてごめんなさいぃ♡ゆるゆる尿道でごめんなさい♡普段尾餅くんに弄ってもらってるからすぐしょぱしょぱ出しちゃうのぉ♡ごめんねぇ、お外でこんなことして環境破壊だ♡」
「……お、れも……潮吹く……っ!♡」
「えっ!?♡」
ぷしぃいいい~……っ♡と鎖原の中で音がしてあっという間に腹がきつくなる。まさか挿入されたまま潮を吹かれるとは思わず鎖原は未知の快感に「あッあッダメぇ!♡」と身をよじって抵抗した。「すまんっ……すまんっ……!♡」と繰り返しながらも鎖原の中から抜く気のない尾餅はじょばじょばと潮吹きを続ける。「はわわ……♡」と腹に溜まっていくチャポチャポした液体に鎖原は目を見開きながらもその行為を受け入れることにした。腹がぽっこりと膨れるほどまで潮を出されたあと尾餅のペニスがゆっくりと引き抜かれる。すると栓のなくなった鎖原の尻からはシャアアアア……と音を立てながら尾餅が出した潮が噴射された。流石にカアっと頬を赤く染める鎖原に気まずそうな尾餅の表情。「ふぁあああ……♡」とプルプル震えながら最後まで中の潮や精液を出しきった鎖原の尻からぷびゅっ♡びゅぷっ♡と恥ずかしい音が鳴るのを尾餅はごくりとつばを飲み込んで見つめていた。それからお互いの視線がパチリと合うとその場の雰囲気が軟化する。尾餅はポリポリと頬をかいた。鎖原はくねりと腰をくねらせて尾餅に仲直りのチャンスだとアピールをする。
「あー……反省したか?俺はした」
「最高だった♡怒られなければもう一回ヤリたいくらい♡」
尾餅が大きくため息をついた。ススス、と鎖原に近づいていってギュッとハグをする。エヘエヘと締りのない顔をしている鎖原が純粋にスキンシップを楽しんでいるのに対し尾餅はグスグスと鼻をすすって少し泣いていた。「ごめんねぇ、嘘だよ、もうしないよ」「……事前に許可があればいい」という会話にますます鎖原が笑顔になる。レイプごっこが二人の新たなプレイに加わった瞬間であった。それから地面に投げていた玩具を回収して、再びつけたオムツは冷たくなって湿っていた。とりあえず人に見せられる格好になったことに安堵する尾餅の袖を鎖原が引っ張って「ん♡」と唇を突き出す。ぐ、と息を詰まらせた尾餅が照れて強張った表情のままキスをした。ちゅくちゅく、という水音を鳴らしながら唾液の滴るキスをする。お互いの舌が歯列をなぞるたびに指先や肩がピクッと跳ねて、それぞれの手が服越しに乳首や尻を揉み始める。もう一回戦始まるか、という雰囲気の中鎖原の視界で何かがピカッと光った。尾餅が気づいていないようなので一旦くっつくのをやめてトントン、と靴を地面に叩きつける。
「うわ、今撮られたね」
「は?何に?」
「あそこにいる……あ、バレてるのに気づいた。逃げるつもりだ、盗撮だよ」
「えっ!?おい嫌だぞ!こんなところお前以外にオカズにされたくない!ど、どうする!?」
「ちょっと行ってくる」
「ええ!?」
ワタワタとしている尾餅を置いて鎖原は行ってしまった。昔顔が睨んでいるように見えるという理由だけで不良に絡まれて、その時喧嘩慣れしておらず一発も殴り返さなかったことを学校の先生なんかに褒められたな、という思い出が尾餅の中に蘇った。ギャーギャーと喚く盗撮犯に鎖原が何か大きな身振り手振りで説明している。そして盗撮犯の股間に向けてビッ!と指を差した。何か屈辱的なことを言ってこの行為の卑怯さを責めているのだろう。盗撮犯の顔が真っ赤になっている。今にも暴れだしそうだ、という尾餅の心配はすぐに現実になってしまいそうだった。
「あっ、危な……ビンタしたぞあいつ」
盗撮の罪を問い詰められ最後の抵抗とばかりに拳を振りかぶった相手よりも早く相手を平手打ちした鎖原に尾餅は「ほ~……」と息を吐いた。少し近づいてみると「正当防衛で~す」というおちゃらけた声。「男かよ!女みたいな顔しやがって!」と盗撮犯が捨て台詞を吐いてその場を逃げ出した。一体どんな顔をして盗撮犯とやり合ったんだとドキドキしていた尾餅に振り返った鎖原の顔は、いつも通りの笑顔だった。
「スマホ、取り上げてきた️♡」
「……お前が喧嘩してるところ初めて見た」
「喧嘩ってほどでもないよ、お話し合い️♡」
スマホのストラップに指を引っかけてクルクルと回したあと電源をつけた鎖原。光を当ててパスキーを指紋の跡で解除する様子に尾餅は感心したような声を上げる。何かそういうのは犯罪じみた可能性を感じるのだが鎖原に限って悪いことに使うということはないだろう。ポチポチと画面をタップする鎖原の手元が軽快で先程のことが怖くなかったのかと尾餅は意外な鎖原の豪胆さに驚いていたところだった。そしてパッと目の前に突き出されるスマホの画面。無駄に綺麗な画角で尾餅と鎖原のキスシーンが絵画のように写っていた。
「いやよく撮れてるねこれ。僕たちがイチャついてるとこ。僕自分のスマホに送っちゃお」
「やめろよ!」
「あとで尾餅くんにも共有してあげるね」
「……秘密フォルダに入れる」
「そうしな~」
そんな会話をしながら尾餅と鎖原は車へと戻っていった。辺りは日が落ちかけて施設や売店はシャッターが降りている。カラスの鳴き声が響く中、車に乗り込んで尾餅がエンジンキーを回した。ウ~ン……という普段にしてはいささか弱い音。「ん?あれ?なんだ?」という尾餅の困惑した声から何かトラブルの気配を感じ取った鎖原は「大丈夫?」と声をかける。
「……車、故障したかもしれない」
「えっ嘘。もう車屋さんやってなくない?」
「……明日の朝イチだな」
「でも今日夜暑くなるってよ」
「……いや?そうでもないって天気予報には……」
「……『熱くなる』ってよ?♡」
「……盛って熱くなるのは俺たちの勝手だからな、気象庁が知ってるわけないだろ」
言うまでもなく始まってしまった二人の熱帯夜にはこの事態を一番近く車の外で傍聴していた野良猫でさえも暑苦しいと言わんばかりに離れていってしまった。夜中一晩中ライトもつけずにガタガタと揺れる車を訝しむ人も多かったが何となく察して離れていったそう。後日カーセックスの件は伏せて不運にも故障した車で一晩を過ごしたことを車屋に伝えた二人が「大変でしたねぇ、そんなに虫に食われちゃって」と言われてお互いの首元を照れたように見やる、そんな旅の終わりだった。以下、二人の会話である。
「……お前がキスマークのつけ合いっこしようなんて言い出すから……!いくら何でもこんなに虫がいるわけないだろ、客の何人かは気づいてるぞ……!」
「いや~、ヤッてる時は暗くて分かんなかったけど朝になってみたらすごかったね!でも僕服の下もすごいよ、自分じゃ見えないけど多分腰の辺りとかもめちゃくちゃにつけられて……」
「だー!見せるな見せるな!いいから!分かった!悪かったから!だってお前が腰にキスすると特に喜ぶって知ってるから……!」
「ちょ、尾餅くん声大きいよ!恥ずかしい!それより車大丈夫だって?」
「鎖原、今日から俺たちの飯はもやしご飯だ」
「ぶっ、あはは!駄目だったんだ!いいよ、尾餅くんとならどんなご飯も美味しいよ。車、新しくなったらまた……心機一転、そこでシよ?♡」
「……悪くないな」
「へへ、やったぁ♡尾餅くん大好き♡」
「……俺も好き」
「鎖原、やっぱりこんなことやめるべきだと思うんだが……」
「あー!まだ言うか!全く、気持ちの方もついてる金玉と同じくらいどっしり構えてよね」
「金玉は今関係ないだろう!」
「じゃあいくよ!せーの!」
「あっ、待て待てちょっと……!」
────ヴィイインっ!♡────
「あ゛っあ゛っあ゛っ!♡んも、もう、駄目だろこんなこと……!♡人として恥ずかしっ、嫌だって……!♡ちくしょう……ッ!♡」
「あっあん!♡気持ちい!♡あはーっ!♡じゃあ僕達の『Wとびっこデート大作戦』決行~!♡たっくさん気持ちよくなって楽しい思い出作ろうね!♡尾餅くん!ちゅー!♡」
「ひゃぷ、♡ん、んぴゅ♡んむ♡鎖原、これもうちょっとよわ、弱くしよう、立てなくなる……ッ♡振動強すぎだ、駄目だ……!♡」
早々に床にぺたりと座り込んだ黒髪短髪の男、尾餅。仕事の出来る三十歳会社員、女性によくモテるがそれ以上にゲイにモテる。スッと通った目尻には薄らと涙が浮かんでおり、彼の快楽への耐性のなさを現していた。その隣でぴょんぴょんとハイテンションに跳ねるのは鎖原、二十五歳。栗毛色のふわふわとした髪の毛が触っていて心地いい青年で職業はアダルト系の配信者。柔らかいその声に彼をオカズに抜いたあとASMRのように寝落ちしてしまうファンも少なくないとか。ちなみに彼らのことを軽く説明するならば尾餅と鎖原は正真正銘恋人同士であり、尾餅は鎖原の職業をよく思っていない。言わずもがな自身の恋人が不特定多数にオカズにされているという嫉妬心からである。それに恋愛としてではないとわかっていながらも鎖原がファンへ向ける『愛してるよ』の言葉は恋人として独占したいものだ。あとこれは余談だが尾餅は鎖原を置いて一足先に三十路に突入してしまったことを少々気にしている。鎖原に対して自身のことを「こんなおじさん相手に……」とよく卑下するが鎖原は「それがいいんじゃん?」とよくわかっていない様子だ。尾餅はそれが嬉しくもあり複雑でもある。ともすれば兄と弟のような関係に見える彼らの見た目だが、お互いがお互いへ向ける情欲や愛情は生半可ではなかった。アダルト配信者の特性とでもいうのか、鎖原の性行為やプレイの知識はとても広い。それを一般的な前戯や挿入の知識しかなかった尾餅に教えこみ、今や二人で様々な『楽しみ方』を出来るようになった彼らの性生活は非常に潤っていた。今回彼らがするのは二人共が尻にローターを仕込み、お互いのコントローラーリモコンを交換して持つ。あくまでも二人が他者に迷惑をかけない範囲で楽しむことが目的なので唐突に振動をMAXにする、なんていうことは尾餅が鎖原を必死に説得して無効にした。純粋に観光を楽しみたい時にはスイッチを切るのもありだろう。今のところ床に這いつくばって前立腺を揺らされることによる絶頂を迎えている尾餅のローターのコントローラーが弱に切り替えてもらえる様子はないが。むしろ鎖原はそんな様子の尾餅のシャツの下にニコニコとしながら手を入れた。驚いている尾餅にろくな説明もせず今までのプレイで肥大気味の乳首を指先でつまむ。ひゅ、と尾餅の息が止まった。尾餅にとって乳首を弄られることは発情へのトリガーであり、男としての矜恃を丁寧にぐずぐすに溶かされる一等好きなプレイでもあった。
「ま、まだ早いぃ♡まだ家から出てもいないんだぞ、射精したくないッ♡やだ、汚れる、汚れる♡やめてくれ鎖原ぁ♡」
「んー?尾餅くんまた乳首大きくなった?コリコリのナッツみたいで美味しそうだね♡ほら、僕のも吸っていいよ♡乳首よしよしし合おう♡」
「ンッ、鎖原の乳首……っ♡色が綺麗で可愛い、薄桃色で小さい……♡いいな、俺のと違って人に見せられる乳首で……あっあっ!♡つねるな鎖原っ♡やめてくれぇ♡んぅう♡」
「はっ、はっ、乳首ちゅぱちゅぱ楽しい?♡お腹の方までそわそわして気持ちいいね、乳首……っ♡大丈夫、僕もイくから♡一緒に初回アクメしよ?♡尾餅くん、せーの、あ、あ、うふぅ゛ッ♡」
「んぅあああッ♡鎖原と一緒にイく♡イくぅ♡」
二人にとってセックスや手遊びをする場所が家の中のどこであるかはあまり関係ない。尾餅は基本的にベッドルームや汚れの片づけやすいシャワールームを好むが、鎖原は家具の取り替えが必要になるほど激しい行為をするわけではないのならどこでもいいのだ。仕事から帰ってきた尾餅を鎖原が襲って玄関で盛ることもしばしばな二人が今回のようにそこで情事を始めてしまうのはなんら珍しいことでもなかった。はぁはぁと荒い息をしながらお互いの唇を奪い合う。絶頂を迎えたあとにキスをすると幸福感でいっぱいになれると尾餅と鎖原はいつの日か語ったことがある。片方は赤面をしてもう片方は満面の笑みであったが恋愛における利害の一致であった。たまに興奮しすぎた尾餅が鎖原の舌を噛んで出血させることがある以外は二人にとってこのキスは幸せの味がする行為である。
「……パンツの中、べちゃべちゃだぞ……気持ち悪いな、大人なのにこんな……」
「ちゃんとオムツはいてるよね?パンツじゃないって。いっぱい吸収してくれるから平気だよ」
「オムツとか言うな!恥ずかしい!」
「いや本当のことだし。僕が怒られても」
尾餅と鎖原はお揃いの大人用オムツをはいている。これからのデートで我慢汁やら精液やらを存分に吐き出すことを承知しており、期待しているからだ。そのせいで好みのピタッとしたズボンがはけず慣れないダボッとしたシルエットのファッションにするしかなかった尾餅は些か不満げだが、鎖原が「似合うねぇ!かっこいいねぇ!」とはやし立てたため嫌というわけではないらしい。何より普段はしない鎖原とのお揃いコーデは意外にウブな尾餅の心に新鮮なトキメキを与えていた。
「ヤケクソだ、ほら行こう。……絶対人として間違ってる……」
「人の真髄はスケベだよ、安心して」
財布にスマホに車のキー、その他諸々を持ってさあ出発。家から出る短い間にも手を恋人繋ぎにして車まで向かった尾餅と鎖原の上をカラスが通る。それに挨拶をするように「カー」と鳴いた鎖原に尾餅が「やめろよ人間だろ」とすかさずツッコミを入れる。「あはは」と笑いながら鎖原が助手席に乗り込んで、それにクスリと笑い返した尾餅は運転席へと着席した。
「僕はね、動物の言ってることがわかるんだよ」
「嘘つけ……いや本当か?それ」
「冗談だよ、本気にしないで。それっ」
「あひぃ!?️♡いたっ!おまっ、やめろこれから運転なんだぞ!事故を起こしたらどうする!?」
「ごめんごめん、尾餅くん可愛いから」
いたずらに一瞬だけローターの振動を強くされた尾餅が腰を浮かせて尻を押さえる。立ち上がったせいで天井に頭をぶつけた尾餅が空いた方の手で頭も押さえた。涙目の尾餅の目尻を指でぬぐってやった鎖原はついた涙をペロリと舐める。尾餅から短い悲鳴が上がってその顔がみるみるうちに真っ赤になっていった。
「ゴックンだよ尾餅くん、嬉しいの?」
「ゴックンじゃない!それはゴックンじゃない!ちょっとびっくりしただけだ!」
「これよりすごいことたくさんしてるよ僕達」
「照れるんだよ!」
「わあ可愛い」
からかわれていると判断した尾餅が鎖原の頭をぽこんと殴る。痛いわけもないその攻撃に鎖原は「ごめんって、ごめんごめん」と早口で喋った。あまり尾餅を興奮させすぎてはいけないのだ、出てきたばかりだというのに今すぐに家に戻ってベッドへと向かうことになる。パニックになるととりあえず『セックスしよう!?』となってしまうのは記念日、喧嘩をした日、お互いが泣いて帰ってきた日など様々な用件にかこつけてセックスをしてきたからである。健やかなる時も病める時も、なんて皆さんご存知の通りのセリフがあるがそれのフッ軽版、困った時のとりあえずセックスだ。空調を調節する尾餅の手に鎖原が手を重ねた。尾餅の体温がほんの少し上昇する。
「じゃあ最初にコンビニ寄ろうよ」
「……う……分かった……」
車内の空気は平和なものだった。車が信号待ちをしている時くらいしか鎖原は尾餅のローターを強めなかったし、運転中の尾餅は鎖原のローターをとりあえず中の振動にしていたためそれなりの反応を二人で楽しんだ。鎖原が「尾餅っ、くぅん!️♡」と犬の鳴き声のような喘ぎ方をした時には二人してケラケラと笑ったし、面白い方向で興奮した鎖原はそれでイッていた。少し暑くなってきた車内で鎖原が「あっついね、尾餅くん」をシャツの中にパタパタと風を送るのを見て尾餅は「もう着いたぞ」とコンビニの駐車場で車をパーキングに入れる。車内から逃げ出すようにコンビニに入っていった鎖原を見て尾餅はもう一度笑った。
「鎖原、ジュース買うぁッ!?️♡」
なんで奥の酒コーナーなんて見ているんだ、と思いながら鎖原に声をかけた尾餅がバッと口を押さえる。ローターの振動だ。男にある柔いしこりをぶるぶると揺らされて足がくじけてしまいそうになるこの感覚。ニヤニヤとしている鎖原のところまで歩いた尾餅が支えを求めるようにその肩に手を置いた。
「さっそくピンチだね~尾餅くん♡」
「……っじゅ……じゅーす……♡選べ……♡んぁ……♡お、おおう……♡」
「ウッソ、スルーして買い物続ける気だよ」
ソーダを手に取った鎖原が尾餅の腰をそっと支える。「ブラック?微糖?」と尾餅の飲み物も選ぶ鎖原に尾餅はプルプルとしながら無糖のコーヒーを指さした。「苦いの好きだね」と言った鎖原に尾餅がコクコクと頷く。「じゃあゴックンも好きだね」と笑った鎖原の肩に軽い一発を叩き込んで尾餅はビリビリと痺れる下腹を押さえた。グス、と鼻をすすった尾餅を後ろに連れて鎖原がレジへと向かう。真っ赤な顔を下を向いて隠している尾餅のことを分かっていながら鎖原は「尾餅くん?」と悪い笑みで呼んだ。
「ポイントカード持ってる?」
「……あ、あぅ……ある️……♡」
「ありがと。……あ、十円ある?僕のところ細かいのないや」
「……は、い……どうぞ……♡」
「なんかホットスナック食べる?フランクフルト美味しそうだよ」
「……い、らないっ!️♡」
「そう?」
わざと長引かせた会計を終わらせて鎖原と尾餅は車へ戻る。涼しかったはずのコンビニの中で体温を上げた尾餅のローターの振動がようやく緩められた。ハンドルに縋りついてハァハァと息をする尾餅の目尻からポロリと一滴涙が落ちる。その濡れた瞳は鎖原のことを恨めしそうに睨んでいた。
「いらないっ!の時イッてたでしょ」
「し、仕方がないだろ!?限界だったんだ……!お前、無駄に話しかけてきて……!」
「んふふ、さっきのレジの子可愛かったね、バイトの高校生かな?なーんか尾餅くんのことチラチラ見てたけど顔赤くなかった?……バレちゃったんじゃない?」
「~~~ッ!そんなことない……っ!」
「えーなんで分かるの。バレてたかもじゃん」
「バレてない可能性もある、俺はそっちを信じる……!」
「都合がいいなぁ」
プシュ、と炭酸のはじける音。それを一気に飲み干した鎖原も「ぷはぁ️♡」と息を抜いた。鎖原の方もローターは振動したままなのである、快感で身体が火照っているのは当然だった。尾餅は言う、「味が分からん……」と。未だ抜けきらない緊張と羞恥のせいで味覚が麻痺してしまったようだった。「あはは、あとで飲みなよ」「そうする」という会話のあとに再び車のエンジンが唸った。飲み物も買ってこれからどこに行くかというと予定しているのは水族館である、涼しくて薄暗くて平日である今日なら人で混み合うこともないだろう。目的地に向かい始めた車の中で恋人同士の会話に花が咲く。
「鎖原はあれだよな……床上手」
「今時なかなか聞かないけどね、床上手って」
「減っているのか?床上手」
「その言い方古くてあんまり言わないよって意味だよ尾餅くん」
「そうなのか」
太陽が照っている。信号も少ない道に出ると尾餅は鎖原の下腹に置いた手をグッ♡と押し込んだ。「アァンっ!?♡」と喘いだ鎖原がぱぁっと顔を綻ばせる。薄い下腹を尾餅の大きくて硬い手で押されるとローターの振動がより激しく感じられて、鎖原は窓側に身を捩ってあんあんと声を出した。尾餅くんしてやったりという顔をしているんだろうなぁ、と思う鎖原の想像通り得意げな顔でハンドルを操作する尾餅が珍しく攻め役にノリノリになっている。そのままスライドさせた尾餅の手でズボンの上から鎖原のペニスが揉まれる。「きゃあ゛んッ♡」と身体を大きく跳ねさせた鎖原にも構わずその愛撫はオムツの中がグチョグチョと音を立てるほど激しく荒々しくなっていき、責め立てている尾餅の方がその音に当てられて興奮するほどであった。鎖原が刺激に耐えられず絶頂すると尾餅の方も「ヴ♡」と低い声を出して身体を震わせた。つられて絶頂したらしい。ゼェゼェと息を吐き出す二人の間に暫くの沈黙の後、笑い声が響き渡った。
「はぁ~!びっくりした!気持ちよかった!何するの尾餅くん、っあはは!なんでそっちがイッてんの!」
「お前がエロい声出すからだろ、外に見えたらどうする」
「サービスってことでいいんじゃない?」
「そんなの俺が嫌だ!」
「手ぇワキワキするのやめなよ、それ何?」
「いや、お前の……アレの感触が残っていて興奮するなと……」
「尾餅くんびっくりするほど変態臭いよ」
今まで自分を喜ばせてくれた尾餅の手にチュッとキスをした鎖原が「あむ♡」とそのまま指を咥えた。ハンドル操作が少々よろけた尾餅が「おっ♡」とアクセルを踏む足を緩めて股をもじつかせる。何を危ないことをしているんだ、と第三者が見たらツッコむような戯れをしている二人であるが走る道については一応安全を選んでいるのでご安心を。その乳繰り合いは尾餅が真剣に運転をしなければいけなくなる太い道路に出るまで続き、暇にならないようにと鎖原はローターの強さを強にしてもらったのだった。
***
「……は、はぁ……鎖原、魚も見ろよ……ん、んふ、ふぅ……っ♡」
「ほら、魚だけにキスしてるじゃん?♡んんふ……♡」
「それつまんないって……♡オヤジギャグ……♡」
水族館に着いた二人がまずしたことは深海魚の並ぶ水槽たちの角の方で濃厚なキスをすることだった。デートはどうしたデートは、と言いたくなるが彼らにとってはこれこそが醍醐味のデートでもあるので悪しからず。上顎を舐められるたびにカクカクと腰が揺れる尾餅とその跳ね上がる尻を手のひらに押さえ込んで揉む鎖原。どうにか尾餅も鎖原の胸も揉む……というよりも焦点の定まらない手で乳首の辺りを探っている。こりこりと硬くなった乳首が爪に当たると「んぅ!♡」とカクンッと腰を落とす鎖原に「乳首弱ぇんだから……♡」と尾餅が手に力を取り戻した。じゅ、と首筋を吸われて「~~~……ッ!♡」と鎖原が自分の口元を押さえる。薄い首の皮膚がチリリと痛むのに言いようのない興奮を覚えた鎖原が尾餅の太ももに股間を擦りつけた。そのまましばらくカクカクと腰を振っていればあっという間の絶頂感が鎖原の下半身を駆けていく。先ほどのキスで唾液で汚れた唇をペロリと舐めて尾餅が「俺の勝ちな」と嬉しそうに目を細めた。鎖原はとろんとした目で「うん、僕の負け♡」と素直に頷いて唇の端から垂れた唾液を舌で舐め取った。お互いの腰を抱きしめる力が強くなる。
「じゃあ……チンアナゴ、見に行く?♡」
「……水族館の?俺たちの?」
「ふふふ、さぁ、どっちがいい……?♡」
「……水族館の本物!」
「いやそっちなんかーい。じゃ、行こっか」
「ああ」
さっと手を取って恋人繋ぎにしていった鎖原に尾餅は三十路に入った男とは思えないような純粋さで顔を赤くした。そんな尾餅を見て最初の頃は大人同士が手を繋ぐなんてこと恥ずかしいと指を一本絡めるのも大変だったんだよなぁと鎖原がこっそり笑う。わざといやらしく指の股を撫でさすると「ギャッ♡」と色気のない声を上げるところは変わっていないがここはそのままの尾餅でいてほしいなぁと鎖原は思うのだった。鎖原の尻をぱしん!としばきながらも手を離すことはなかった尾餅の不器用な優しさと喜びを鎖原だけが知っていた。
「あ、チンチンアナゴいた」
「それやめろ、なんだチンチンアナゴって」
「この子たちってチン細だよね、物足りなくならないのかな」
「気持ちよくなるために穴に潜っているんじゃないからな……アッ♡」
「あ、今イッたでしょ」
「ち、ちが、イきかけて……やっやっあっ♡」
「ね、もしかしてチンアナゴが穴に出たり入ったりしてるところ見て興奮してる?想像力豊すぎない?」
「そ、そんな変態みたいなことあるわけないだろ!んひッ……いぃうッ♡」
「素直じゃないからローター強くしちゃお」
「やっやだやだやめろ!あっこれダメ、やめぇええ゛っ♡」
「あはは、チンアナゴもぴょこぴょこして尾餅くんのアクメ応援してるよ♡」
「そういうのじゃないからぁ♡チンアナゴでイくやつなんて見たことないからぁ♡やだっ見たくない!♡」
「ほーら、このつぶつぶとしましまの模様が穴にずっぽずっぽしてるところを見て?こういう玩具ありそうだよねー、尾餅くんなら十本くらいお尻で咥えられるんじゃない?」
「チンアナゴに失礼だろっ♡やめろ鎖原っ♡彼らは性的に消費していいコンテンツじゃないんだぞ!♡んっ!?♡んっんっぶっ……♡」
「本当に変なところで真面目だね」
声が大きくなってきた尾餅の口につぽつぽと指を出し入れしながら鎖原が半分感心したような息を吐いた。指を噛んでしまわないようにと必死に唇の筋肉を緩める努力をする尾餅のことを「立派なアヘ顔だ♡」と笑う鎖原。それだけで尾餅は膝がガクガクと震えてその場に座り込みたくなってしまう。くちょ、と湿っぽいような粘っこいような音が尾餅の股座の向こうから聞こえてきたと同時に鎖原は尾餅の身体を壁に押しつけた。こうでもしないと尾餅が立っていられず、鎖原の力では尾餅を支えるのに不足していると判断したからである。ともすればレジャー施設である水族館のどこからともなく漂う人の熱に当てられた年上の男を介抱している部下か何かのように見えるその構図は、だがしかし尾餅と鎖原による挿入を抜きにしただけのプレイでありセックスだった。尾餅の口から垂れそうになる唾液を鎖原が何とか押し込んで「ゴックンして、ゴックン」と少々焦ったように純粋な意味として尾餅に促す。シャツ等の着替えは持ってきていないからなのだが、それをまた下ネタとしてからかわれたと判断した尾餅が嫌々と首を振った。ふぅふぅと音になるような大きさの呼吸をして鎖原を自分から離そうとする。それではないとイッてしまうのである、鎖原に触られるところ、持たれた部分が熱くてじわじわと毒のように甘くだるくなっていく。そんな尾餅を見て鎖原も下腹が切なくなった。自分で下腹部をごりごりと押して薄暗い館内の中自慰行為にふける。んは、んは、と下品になりかけた息継ぎを聞かせながらお互いだけが相手の痴態を知っているという狭く尖った背徳感の中で尾餅と鎖原は射精をした。それぞれが涙目でお互いのことをじっと眺める、酷い顔だと両者が思う。下品な顔だ、盛っても盛っても盛り足りない雄の動物の顔をしている。
「……鎖原」
「……尾餅くん」
『ただいまより二階大型プールでイルカショーを開始します。ぜひ皆さんお越しくださ~い!』
「タイミングがおかしいけど行きたいかも」
「……この顔で行くのか」
「でも見たいし。なるべく顔隠していけば大丈夫でしょ」
「俺は不安だよ、こんなはしたない顔で公共施設の中を歩くのは……」
アナウンスに空気を裂かれ二人の足は階段を探して振り返る。「うう、気持ち悪い」と己の陰部とオムツが粘液によって絡まり合う感覚に尾餅はぶるりと身体を震わせた。「尾餅くん出す量が多いもんね……」と困ったように笑う鎖原と何か言い返してやりたいが本当のことを言われているだけなので何も言えない尾餅。見つけた階段を上がっていくと今までのエリアよりも明るく比較的人が多くいるように思う。開放的になっている大型プールの場所はすぐに分かった。
「端っこで見よう、端っこで。流石に正面まで行ったら変態罪で捕まっちゃうよ僕達」
「死んでもごめんだな、変態罪……」
大きなポールの影に隠れるようにして身体を収めた尾餅と鎖原がとりあえず人にバレるようなことはないと安心から息を吐く。お互いにドキドキして興奮している、イルカは少々見えづらい位置にいるが仕方ない。別の方向にペンギンもいるのが見えた鎖原がそちらに向かって指をさした。尾餅も「おお」とポールから身を乗り出して向こうを見る。「可愛いな」「可愛いね」と二人の意見が合致した。「俺たちに似てるのがいる」「あのくっついてるやつ?」「そうそう」と会話は思った以上に盛り上がった。「あんな可愛いあいつらもセックスするんだなぁ……」としみじみ言う尾餅に「それってペンギンを見た感想としては最低だね」と笑う鎖原。余談ではあるがあのペンギンのペアもオス同士である。イルカショーが始まると最前列の観客が水しぶきをかけられているのを鎖原が羨ましいと駄々をこねた。出ていこうとするのを尾餅が必死に引き止める。正面に行ったら捕まると言っていたのは誰だというのか。ぶぅ、とぶすくれた鎖原の頬をつついて「我慢しろ」と言うとぷすりと抜けていった空気と共に鎖原がニヤッと笑った。嫌な予感がした尾餅が離れようとするがポールの陰には限りがある、すぐに鎖原に捕まってしまう。
「えいっ!♡」
「あっちょっ、ひきゅっ!♡て、手ぇ突っ込むな、汚れるぞ……!♡あ゙っせめて中に戻る……う、うう、うぁん……っ♡」
カチカチ、とローターの振動が上がる音とくちゅくちゅと尾餅の亀頭を弄くり回す鎖原の手が悪さを始めた。どろどろに汚れたペニスを触られるだけでも腰が抜けるほど気持ちいいというのに、とりわけ敏感な亀頭は擦られるだけで細かい空イキが何度も尾餅を襲う。あく、あく、と口から空気を吐きながら必死に声を出さないように身をよじる尾餅の努力に構わず鎖原は脇腹にまで手を入れてこしょこしょとくすぐる。「へふぅ゙ッ♡んぶッ♡」とかなり恥ずかしい息の塊が出たことで尾餅はポールの影の中でもはっきり分かるほど顔を赤く染めた。そんな尾餅に「はぁん、可愛いねぇ尾餅くん♡」と甘えた声を出す鎖原。絶対あとで復讐してやる、とその時の尾餅は心に決めた。力量差の関係で今の加減のきかない腕で殴れば鎖腹が痛いでは済まない思いをする。そんな良心が仇となって尾餅は腰をくねらせることしか出来なかった。靴の中でもじもじと足の指を閉じたり開いたりしても快感はやりすごせず尾餅は上半身を折ってポールに手をつきもはやされるがままになってしまっている。わぁぁ、と歓声が向こうから聞こえてくるのにぎくりとすると先にそっちを見ていたらしい鎖原が目を輝かせていた。尻の中の振動と一緒に鎖原を視認する視界がぶるぶると揺れて、その時だいぶ自身が快楽の波に飲まれていることを知った尾餅は「なに、♡」と息も絶え絶えに言った。
「すごーい、イルカさんが潮吹きしてる♡尾餅くんも出来るよね?おチンポモミモミしてあげるから吹いちゃいなよ……♡」
「ヒッ!♡や、やめ、俺はイルカじゃないぃ……!♡違う、今俺はトイレに行きたくて……!♡あっあっア゛っ!♡くぅッ、クるクる、キちゃう……!♡本当に出そう、だから……!♡ひぃッう゛♡」
「なぁんで、今日は垂れ流しオッケーの日だよ?トイレなんて気遣わずにここでシちゃいなよ」
ジタバタと暴れる尾餅だが文字通りペニスを握られている状態ではろくな抵抗もできずそのままぬちぬちと尿道口を弄られるがままになってしまった。目の前にチカチカと星が飛んでよだれが垂れる。床を汚してしまってごめんなさい、なんてことを真面目な尾餅は考えながら口の中に残った唾液を一生懸命に飲み込んだ。全てはオムツの中で起こっていることだというのにその惨状は見るまでもなく分かってしまう。きっとぐちょぐちょのねちょねちょで、とんでもなく卑猥で、はしたない状態になってしまっているはずだ。そこをさらに完全な液体でびしょびしょになるまで汚すなんて気持ち悪くて気持ちよくてわけが分からなくなってしまう。潮を吹かせようとしてくる鎖原の期待に応えられずきっと別の液体を出してしまうことが分かっていたから嫌だったというのに、もう我慢の限界もすぐそこだ。尾餅はぎゅっと目を瞑って喉の奥から情けない悲鳴を絞り出した。もちろん大声にならない範囲で、だが。身体から力が抜けていくのを自身の尊厳も一緒に抜け落ちていくようだと思いながら、ペニスに熱いものが通っていった。
「……あぁあ゛~~~……♡……っひぐ……っ♡」
「……あれ?もしかして本当にお漏らしの方だった?ありゃー、それじゃあスッキリしたね」
ぐっしょりと濡れた手で感じた液体の勢いの差に気づいた鎖原がオムツの中をかき回す。「やぇろよもう……♡」と泣き出しそうになっている尾餅がいよいよ鎖原を軽めに突き飛ばした。「おっと」とたたらを踏んだ鎖原が慌ててポールの陰へと帰ってくる。ふぅふぅと荒い息をする尾餅の手には鎖原へと繋がっているローターのコントローラー。真っ赤な顔でやけくその笑顔を浮かべながら未だ足を震わせている。
「この、クソ野郎……!♡」
「あっあぁん!?♡ちょ、音漏れしちゃ……!♡」
腹いせにローターの振動を最大に上げられかくんっと膝が折れる鎖原。そのままぺたりと座り込んで興奮しきった様子で尾餅の足にすがりついた。それに少し可哀想だな、なんて少々お人好しすぎる思いを胸に抱いた尾餅はだから自分が度を越して鎖原にいじめられてしまうのだということを理解していない。鎖原は鎖原で怒っている尾餅が態度で示してくれているのが嬉しくてたまらず、地面についてしまう腰を何とか浮かせて地上数センチのところでカクカクと腰を振る。その間にも何度も射精は繰り返し行われている、鎖原はどんどん重たくなっていくオムツをそろそろ交換しなければいけないなとイキっぱなしの頭でぼんやりと考えていた。手も洗わなければいけない、鎖原が懲りずにねばついていてかつ濡れている手を使って指の間で糸を引いてみせると尾餅は自身の痴態の証拠を見せつけられ「んなっ……♡」と声を漏らした。そのお仕置きに股間をぐりぐりとつま先でなぶられる鎖原。「あっあんっあんんっ♡」と行きすぎた快感に鎖原は涙をこぼして、それでもその先を求めるように足を開いた。これ以上先は車に戻ってからだな、とその様子を見ていた尾餅は自分も顔を赤くしてお仕置きに一旦ストップをかけたのだった。
「ほら、手洗うんだろ。そこのトイレまでその状態で行ってこい。文句は聞かん」
「……お、おっけー、ぇ、あぁあ……ッ♡て、手だけ貸して、お願いぃ……♡」
「……まあ、それくらいなら。いや俺も手洗わなきゃいけなくなるじゃねぇか。いやまあいいけど」
結局介護のような形でトイレへと行くことになった二人、先客はいないかと尾餅が辺りを見渡す。あまり混まないのが男子トイレの利点というべきか、個室がひとつ閉まっているだけだった。これなら素早く手を洗って退散できる。尾餅がそう思った矢先、鎖原が言った。
「オムツ、変えなくちゃでしょ……♡ 」
「……あー、そろそろな」
かくしてそれぞれビニール袋と替えのオムツを持ち個室にこもった尾餅と鎖原。尾餅の方は(こんなに出していたのか……♡)と自分に純粋に驚き鎖原の方は(オムツの性能すっご。めちゃめちゃ吸水するじゃん)と意外な製品の優秀さに驚いていた。ほぼ同時に個室から出てきた二人がゴミをどうするかを小声で話し合っていると最初から閉まっていた個室の扉が開く。中から出てきた小学生くらいの男の子にじっと見られ尾餅と鎖原は相手が子供だとしてもそそくさと逃げようとした。その瞬間に男の子が言う。
「赤ちゃんいるんじゃないの?」
聞かれていた。『オムツ』というワードとその他諸々を。「あー……」と頬をかく鎖原がなんて言おうかと迷っているとその前に耐えきれなくなった尾餅が「子育てのシュミレーションをしていたんだ!」と意味不明なことを言いながらその場から飛び出して行った。不思議そうな顔をしている男の子に「パパになる予定があるんだって。騒がしくしてごめんね」と笑いながら鎖原もトイレを後にする。トイレの外、しかもしばらく離れたところで尾餅は様子を窺っていた。非常に決まりの悪そうな顔をしている。わけの分からないことを口走った羞恥心と鎖原を置いていった罪悪感からである。手を上げた鎖原が「尾餅く、んっ!?♡」とその場で飛び上がる。股間を押さえてよろよろと尾餅の方まで近寄った。尾餅が慌てて鎖原を抱き抱える。
「ど、どうしたっ?」
「ろー、たー、強いッ!♡まだ怒ってるの……!?♡も、ごめんてぇ……っ♡」
「え!?何もしてない!さっき弱めたままだ!こ、故障したんじゃないのか!?」
「う、うぅうう~……♡」
「あっおいこら俺の方まで強めるなっあぁあ!?♡や、八つ当たりだろ!♡」
二人してふらふらとしながら水族館を後にする。緊急事態だ、まだクラゲコーナーを見ていないが仕方ない。駐車場まで来た時には尾餅と鎖原の顔はさながら熱に浮かされたようになっていた。二人揃って内股気味になっているのは傍から見ていて奇妙だが恐らくトイレでも我慢しているのだと思われているだろう。
「……お、尾餅くん……早く車開けて、僕もう限界……♡」
「ま、待ってろ、今……よし、開いたぞ……!♡」
二人してなだれ込むように座った運転席と助手席で尾餅と鎖原はそれぞれハンドルとシートベルトにすがるようにがくがくがくっ♡と身体を震わせた。ヴィイイイン、というモーター音がピシャピシャと水っぽい体液をかき回している。取り急ぎズボンとパンツを脱がせた尾餅が鎖原の足を片方上げる形でかぱっと開いた。犬の排泄のようなポーズに鎖原の顔がかああっと赤くなる。
「やっ、やぁだ、尾餅くん!♡恥ずかしいよぉ!♡んやっ、あっ、はぁああんっ♡」
「ほら、抜いてやったんだから俺のも止めろ……!♡」
「ん、はぁい……♡」
お互いようやく腰を落ち着けられた。へにゃへにゃとしている鎖原のスボンがガッと脱がされる。「へ!?なに!?」と困惑している鎖原に尾餅がジロリと睨みをきかせた。がるる、と今にも唸りそうな表情で口を開く尾餅は何やらとても不満そうである。
「散々やってくれたな?チンポ出せ。やり返してやる」
「ん、ん、ん!?♡尾餅くん!?♡なんかすごく怒ってる!?♡ご、ごめんなさ、きゃん゛っ!♡」
ボロン、と取り出されたぺニスの亀頭がぐしゅりと手のひらに包み込まれる。くちょくちょくちょっ♡と水っぽい音を出しながらそこが高速で撫で擦り回されると鎖原は息を浅くして自身のペニスをじぃっと見つめた。そわそわとする快感、粘膜の薄いところを何度も何度も摩擦で擦られると足をじっとしていることが出来なくなってしまう。思わずジタバタと狭い車内で動くと「じっとしてろ」と尾餅が低い声で言った。その命令に鎖原はどうしようもなく興奮して「ひゃい♡」と震える声で返すのが精一杯だった。大好きな相手から施される愛撫は鎖腹を簡単に絶頂まで引っ張っていってくれる。
「あ、あ、あーっ!♡イ、イク、イクイクイク!♡尾餅くん!♡僕イク!♡イキます!♡あー!♡」
「そうか」
「あ、ふぁあ、あふッ!♡イッた!♡イキました!♡尾餅くんの手に射精しました!♡待って!♡待ってぇ!♡ひにゃああ!♡」
「俺の時お前はやめてくれなかっただろ」
手がネトネトになっても尾餅は鎖原のペニスを擦るのをやめてくれない。カリ首の周りをグルグルと輪っかにした指で回してペニスのくびれに抵抗しようのない快感を与えてくる。口からヨダレが垂れてしまうのを一生懸命に拭う鎖原の手はベタベタになってしまった。座席のシートから腰が浮くのを尾餅が無理やり下へ下へと沈めてくる。尾餅は力が強いのだ、逆らえない。鎖原はシートのスプリングをギシギシと軋ませて再び射精をした。強すぎる快感のあまりポロポロと涙を流している鎖原を見てその時初めて尾餅が慈悲的な表情を見せた。鎖原に優しい口調で話しかける。
「あ、あー、そんなにつらいか、鎖原」
「気持ちいい゛っ♡すっごく気持ちいい゛っ♡気持ちよすぎてどおしたらいいか分かんない♡やめないで尾餅くん、ごめんなさいぃ゛♡」
「あーそういうやつだよな、お前!」
鎖原がガクガクと太ももを震わせる。ついには三度目の射精をした。この頃には身体に力が入らない部分が出てきたり、逆に変なところに力が入ってしまって足が跳ね上がったりしてしまう。尾餅は車にクリーニングが必要になるのではと臭いを気にしていた。臭いから嫌なのではない、鎖原の体液の臭いを嗅ぐと必要以上に興奮してしまって生活が成り立たないから困るのだ。仕事に行くにも使っている車だ、平日毎日勃起しながら出社するのでは社会人としての威厳に関わる。それにしても手が疲れるな、と尾餅は普段自分が味わっている責め苦(嫌いではない)に存外労力がかかっていることを改めて痛感した。自分なんかの硬い手では鎖原もペニスが痛くないだろうか、と考えるがそれで喜ぶのが彼だということにも薄々気づいてはいる。
「あ゛ーっ、あ゛ーっ、ひぐっ、も、もおやめて、やだ、やぁ、やめないで、やだっ、僕のおチンポ壊れちゃ、あ゛ッあ゛ッあ゛ッ、だめっだめっ!♡まだ尾餅くんとセックスしたいから壊しちゃダメェッ♡出ちゃ、ショパショパ出ちゃう、あ゛っ、ごめんなさいぃい~!♡」
「うっ……顔にかかったぞ……♡」
鎖原が存外派手に潮を吹いたので尾餅はこの時点で車内の臭いを諦めることにした。いや潮自体にそこまでの臭いはないのだがシートに染み込んだ分というのは先程の精液も含めて取り返しがつかなくなっている。元気よく溢れる潮が二人分の洋服を生ぬるく濡らしていく。外に出ればこの陽気ではすぐに乾くだろうが、それでは何の水遊びをしてきたのかと周りの人間に思われかねない。次の目的地に着くまでにクーラーをかけてなるべく早く乾かすのが吉だろう。何を考えるでもなく手を濡らしている液体をペロリと舐める尾餅に鎖原が「キャッ♡」と嬉しそうな悲鳴を上げた。それにハッとした尾餅が気まずそうにゆっくりと口から手を離す。鎖原は嬉しそうに言った。
「いつからそんなにエッチになったの、尾餅くん~……♡」
「違う、お前がいつもペロペロしてるのを見てるからそういうもんかと……目が覚えていて……」
「パブロフの犬ってやつ?♡舐め犬尾餅くん?♡」
「馬鹿か、そんなんじゃない!もう一回吹くか!?咥えてやるよ!」
「ふへ!?♡やっあぁあ!?♡尾餅く、もう出ないってばぁ!♡」
車内で大きな体を無理やり折りたたんでパクンッ♡と尾餅が鎖原のペニスを咥え込んだ。若干柔らかくなっていた鎖原のペニスはあっという間に再び硬くなり我慢汁を分泌するようになる。正直なところ尾餅の時々歯がぶつかるフェラは上手といえるものではないのだがそれがまた鎖原の癖に刺さるのだ。肉厚な舌が亀頭をベロベロと舐め回すと鎖原は早々にぴゅる、と尿道内に残っていた潮を尾餅の口に吐き出した。一瞬動きを停止した尾餅がしばらく固まった後に首筋まで顔を赤くしてコクン、とそれを飲み込む。ちゅっぱ、ちゅっぱ、と赤子がミルクを飲むようなおしゃぶりフェラに変わった動きに鎖原は胸がときめく思いがした。
「こ、これが母性……?♡あん、あ、あん……♡尾餅くん可愛いよぉ、こんな可愛い尾餅くんの口にお潮出しちゃう……っ!♡いやっ、だめぇ♡悪いことしてる気分になるよぉ、興奮しておチンポ硬くなっちゃう♡尾餅くん、もっとちゅうちゅうしてぇ♡全部飲んでほしいよぉ♡」
「ん、んふー……♡んむ、んふ……♡ふふ……♡」
とろけきった顔の鎖原を見て尾餅も表情が柔らかくなる。口いっぱいに頬張った鎖原の熱が愛おしい。興奮のあまり時折亀頭に歯を立てるとさすがに「ギャッ♡」という悲鳴が飛び出すのだがそれに尾餅が申し訳なさそうな顔をしても鎖原は笑うだけだ。喉の奥でジュウジュウとペニスを吸うと鎖原は自身の股間に上半身を傾けている尾餅の服が伸びてしまうくらいぎゅうっと掴んで快楽に耐えた。亀頭を熱い舌が通っていくたびに歯がかすった部分がじくじくと痛いほどに良く疼く。尾餅も尾餅で咥えた鎖原のペニスの苦くてしょっぱい味が舌にこびりついて酷く興奮していた。思わず鎖原の手を取って自身の頭へと誘導する。撫でてもらいたいのだ。尾餅の意図にすぐに気づいた鎖原がさっそく自分のペニスをしゃぶってくれる大好きな恋人の頭をよしよしと撫で始めた。尾餅の目尻が下がる。
「ふぅ、ふぅ、いー、こ、尾餅く、ぅ♡あっ、ひゃん!♡気持ちー、よ、いいこぉ……っ♡あ゛っ尿道ぐりぐりするのだめぇ!♡あ゛ーっ!♡それ!♡それやばいぃ!♡イッちゃうイッちゃう!♡あっひぎっ、ぎッ♡やぁん!♡だめだよぉ!♡」
「ん~……んっんっんっ……♡」
鎖原が出す精液も潮も余すことなくごくりごくりと飲み込んだ尾餅がそこでようやく口を離した。チャポチャポになってしまった腹を撫でさすって「ふー……♡」と一息つく。はぁはぁと震えながら座席の背もたれを掴んでいる鎖原がすごいものを見るような目で尾餅のことを見ていた。口の周りをべろりと舐める動作をしたところで鎖原が尾餅にぎゅうっと抱きつく。下半身は丸出しだ。
「おっ、尾餅くん、なにあれ!めちゃめちゃ気持ちよかったよ!?ありがとう!いっぱいゴックンしてくれた!嬉しい!嬉しい!」
「あー、そりゃよかった……なんで車の中でこんなことしてたんだっけか……そうだ、お前に仕返しするために始めたことだったのに。お前が何でも喜ぶからやりようがないじゃないか、全く……」
「それはね、でも尾餅くんも本当に嫌がってたわけじゃないし少なからず喜んでるし」
「うるさい」
「あ、尾餅くん手も口もベタベタじゃん。どうしよ。もう一回洗いに行く?」
「こんなこともあろうかとウェットティッシュを完備している」
「さすが、僕のスーパーダーリン」
シュピッシュピッと取り出したウェットティッシュですっかり清潔になった手と口でドヤ顔をする尾餅に「すごいねぇ」と獲物を取ってきた猫に言う口調で褒める鎖原。可愛いと思われたことに気づいたのか少し恥ずかしそうに咳払いをする尾餅。照れているのを誤魔化すためにさっさと車を出すことにした。少しの間のあとバックで発進した車内では慌ててパンツとズボンを上げた鎖原に尾餅が「あ、すまん」と謝っていた。車道に出たところで鎖原が尾餅に話しかける。その首筋をつつーっと撫でる指には思惑がありそうだ。
「僕にセクハラプレイしてよ尾餅くん」
「は?セクハラは犯罪だが?俺の会社だったら干されてる」
「プレイだってば」
車の中の余興に少しばかり考えたらしい。Tシャツを少しめくったところに見える腹斜筋を筋通りになぞってくる鎖原に尾餅はゾクゾクっとした悦楽を覚えた。肌の表面をくすぐられると弾けた泡にその場所を晒しているかのような気分になる。優しい指で触られると静かにあやされている気分になる。心地いい、ずっと触られていたい。背筋が少しだけソワソワするのも気持ちいい、運転に集中は出来ないがこういう穏やかな戯れはいくつあってもいい。尾餅は運転中だというのについつい目を瞑りそうになった。
「……尾餅くん?大丈夫?」
「あっ、ああ。セクハラ……セクハラってなんだ。やったことないぞ」
「やったことがあるとは思ってないよ」
「……こうか?」
膝を丸く撫でてくる尾餅に鎖原は微妙な顔で笑った。チラチラとこちらを見ながら様子を窺ってくる尾餅には申し訳ないが何か気を使われている時の親切にしか思えない。
「僕のおばあちゃんみたい……」
「誰がお前のおばあさんだ!こんなにいやらしく触っているんだぞ!?お前とおばあさんはどんな関係なんだよ!」
「いや痛めた膝をあっためてくれてるようにしか見えなかったって」
「失礼だろお前!」
「あ!」
「……なんだよ?」
「ハメッぱデートなのに僕玩具ないじゃん。ちょっとそこの……公園がある。停まってくれる?」
「……嫌な予感」
しぶしぶ公園の狭い駐車場に車を停めた尾餅がそわそわと足をもじつかせた。自分の中で動かないだけで未だ入っているローターに気が向いてしまったのである。そのまま忘れてくれればよかったのに、なんて思っても鎖原が思い出してしまったものは仕方ない。後ろの座席に降りてゴソゴソとしている鎖原に尾餅は「何やってるんだ」と声をかけた。
「というかローターもじんじんしてきて辛いんだが。今からでもこのデートのルール変えないか」
「しょうがないなぁ、尾餅くんも玩具変えていいよ」
「ほっ、本当か!?他にも持ってきてたんだな!良かった、どんなマシなのがある……」
「はい、じゃあこのイボイボディルドを挿れてね♡固定用のエッチな下着も用意してあるから♡」
「ま゛っ、待て待て待て!やっぱりナシ!普通のローターでいい!それを近づけるな!やめろ!」
「このデートには正当な理由がない限り相手の提案を拒否することは出来ないルールだよ♡これも僕達が楽しく過ごすための約束なんだから、二人で決めたよね?さ、そこの公衆トイレで下着下ろそうか♡」
「……ひん……死ぬ……♡」
公衆トイレは便利である。よくハッテン場になっていることからその利便性が窺える。幸いウォシュレット付きの綺麗なトイレだ、管理人がいるらしい。玩具の入った無駄に高級感のある袋を片手にした鎖原に連られて尾餅も個室に入っていった。
「ま、まって、」
「ん?なぁに?」
「……それ……ディルド、挿れる前に……チンポハメてくれ……♡」
「……あはぁ~、尾餅くんエッチだぁ♡」
いい加減手前にある玩具の振動ばかりで奥が寂しくなってしまった尾餅のオネダリが入る。鎖原が尾餅の後孔に指を三本入れてぐしゅぐしゅとかき混ぜた。がくんっと腰を落とした尾餅が「へーっ♡へーっ♡」と犬のような呼吸をする。立派な臀部が上下に揺れて絶景だが本人に言うとキレ散らかしそうなので鎖原は言わない。ローターをぬぽ、と引き抜いて咥えるものがなくなってしまったアナルが寂しげにヒクヒクと収縮するのに鎖原はペニスをあてがった。ぬぷぷぷぷ、と大した抵抗もなくペニスが入っていく。尾餅が「あお゛んっ!♡」と一際大きく喘いだ。
「おぉおっ!♡おッ!♡おぉッ!♡奥キてる……!♡鎖原の硬いチンポ、しっかりハマって俺のケツとラブラブになってる……!♡気持ちいい、これ好き♡セックス好き♡もっと動いてくれ♡」
「尾餅くんのつるつるお股、僕のチンポとしっかり密着するね……♡」
「そ、それはお前が剃りたがるからぁ……♡」
尾餅と鎖原の間で定番となっているうちのひとつに剃毛プレイがある。絶対に勃起してしまうのでそのままセックスに移行することがお決まりのプレイなのだが鎖原いわく『尾餅くんみたいなタイプの人がパイパンなのは破壊力がやばい』だそうだ。鎖原しか見ない部分ではあるが喜んでくれるならいいか、と尾餅はそのプレイを許可している。それに密着感のアップするこの股間は初めてセックスした時感動ですらあった、正直いって気に入っている。パチュパチュとピストンの音が響く中、尾餅はここに誰か人が来てしまった時のことを考えてペニスを硬くしていた。十中八九何をしているかなんて分かってしまうセックスの音、熱気、自分の声。それが管理人なら注意されるかもしれないし物好きなやつであれば上から覗かれることもあるかもしれない。鎖原とのセックスを他人に見られるなんてまっぴらごめんだが、どうもその瞬間を想像すると被虐的な興奮が入ってしまう。ペニスをぎゅっと掴まれて「ギャヒッ️♡」と動物のような鳴き声を出した尾餅はその場に穴を掘って埋まりたくなった。落ち着いた低い声は会社の人間からも『いい声をしている』と褒められ、時にはからかわれる対象であるというのに鎖原とこういうことをする時の自分の声はまるで豚が鳴いているかのような錯覚に陥る。気持ちいい、気持ちいいと伝えるために荒い呼吸と一緒に出る媚びた喘ぎ声は汚ければ汚いほど鎖原は興奮するらしい。なんかその感覚俺もわかるな、と尾餅は思った。可愛い顔をした鎖原から濁点つきの喘ぎ声が出ると信じられないような気分になって、その声を出させているのが自分だということに恍惚としてしまう。初めの頃は快感からヨダレの垂れた顔を見せることすら許せなくて散々枕で顔を隠したものだ。声を聞かせるなんてもっての外で唇に血が滲むほど噛み締めていた。そんな尾餅を見かねた鎖原が積極的にネコに回り、大きな汚い喘ぎ声を大袈裟なほど聞かせてくれたのだ。『気持ちいいことはいいことなんだよ、それを相手に伝えるのは嬉しいことだよ』と汗で張りついた前髪をよけながら鎖原は言っていた。それなら、と尾餅が初めて自分の意思で出した喘ぎ声は酷いものだったと思う。今のような感じで濁っていて声量の調節も出来ていなくて、出した後に嫌われないかと顔を青くしたのを覚えている。その直後により一層激しくなった鎖原のピストンを思い返せばそれがどんな効果を発揮したのかなんて言うまでもないが。とにかく、鎖原とのセックスは気持ちいいと尾餅は思うのだった。
「あっ️♡浅いとこばっかクポクポするのやめてくれッ️♡連続イキする、それ弱いッ️♡ち、乳首も触ってくれ……っ️♡ッあ゛~それそれ、コリコリするのすぐイクっ️♡お前のせいでどんどん乳首でかくなるっ️♡会社でもこっそりトイレにこもってチクニーしてるんだぞ、お前のせいだ……っ️♡」
「マジで?エッロ️♡尾餅くんどんどんスケベになってくね、育てがいがあるよ️♡」
余計なことを口走ったかもしれない、と尾餅は手で口を塞いだが遅すぎる。ぬちゃぬちゃと糸を引く結合部の音に酔いそうになりながらトイレの個室の熱気は凄まじいことになっていた。目をぎゅっと瞑って迫り来る大きな絶頂感に耐える準備をする。反り返って腹に向けられたペニスがヒクヒクっと震えて上下に振れる。「お、お、お、お♡」と身体を小刻みに痙攣させながらドポドポと射精をした尾餅に鎖原は熱烈なキスで口を塞いだ。絶頂しながら口を塞がれると上手く呼吸が出来なくて苦しいのか尾餅が鎖原の身体をバシバシと叩く。尾餅の射精したペニスをくちゅくちゅとシゴきながら鎖原は自分がイクためのピストンを更に続行した。眼球を上に向けて震えている尾餅のことを少し心配になりながらそんな顔も可愛いとキスを繰り返す。骨盤をしっかりと掴んできつい締めつけのアナルを何度もペニスで掘り返して、鎖原は「イク、イクね♡尾餅くんの中に出すね♡」と息を荒くして呟いた。それにコクコクと頷く尾餅に笑って「ふっうぅう……♡」と鎖原は尾餅の中に射精した。びゅーびゅーと注がれる熱に尾餅がうっとりとした顔になる。尾餅は無意識のうちに腹をさする動作をしてしまい、またしても「可愛い♡」と鎖原に言われてしまった。ペニスの引き抜かれたアナルからブビュッと精液が溢れてきてトイレの床をポタポタと汚す。すっかりイカ臭い個室になってしまった。
「お゛~……♡おぉ~……♡あへ……♡」
「はは、尾餅くんイッちゃってる。大丈夫?」
「……ハッ!んん、問題ない……♡」
「急にキリッとしたね。なにそれ可愛い。じゃ、ディルド挿れようか♡」
「あー、何の話だ?」
「とぼけちゃってもダメだよ♡」
「クソ……」
袋から出されたディルドを見てごくりと尾餅の喉が鳴る。大きなサイズ、反り返った形、イボイボ付きのデザイン。どこをどうとっても凶悪だ。そんなものを尻に押しつけられてドキドキしている時点でもう引き返せないところまできていると尾餅は自分のことを自嘲した。だがそれを喜んでくれる鎖原がいるならそれでもいいと思えてしまうのは惚れた弱み以外にないだろう。ディルドのカリ首がぬぷ、と尾餅のアナルをくぐっていった。
「お、おぅぅ……♡このディルドお前のよりも大きいぞ、慣れなくて腹がきつい……♡」
「何気に酷くない?みんながみんな尾餅くんレベルのチンポだと思わないでよ」
「お、俺のは普通だ……」
「じゃあ僕がちっちゃいってことになっちゃうじゃん!僕は平均サイズ!」
「だってそんな、他人のチンポなんてまじまじ見るものでもあるまいし。知らない」
「僕は仲良くなった人の何を知りたいかって言ったらまず最初にチンポを挙げるよ」
「特殊だろ」
腹に納まったディルドで腹を膨らませながら尾餅が鎖原のペニスをまじまじと見る。オナニー配信なんかやってペニスを酷使している割には随分綺麗な色をしていて形も曲がっていない。鎖原以外に挿入したことのないペニスなのに左曲がりで色も濃い自分のものを恥ずかしく思う気持ちもあったが、鎖原からしてみればペニスなんて十人十色で見飽きているのだろうと思えた。それにこの言ってしまえばグロテスクなペニスを咥える鎖原のことはエロくて大好きであったし、これを鎖原が求めてセックスにまでこぎつけているのだと思えば嫌いにはなれない。
「じゃあ交代しよ。おチンポ選手交代♡」
鎖原が尾餅に尻を向けてフリフリと振った。ゴクン、と尾餅の喉が鳴る。あれだけ射精したのにも関わらず鎖原のことを見ていると何度でも勃ち上がってしまう。尾餅にとって自分の性欲の強さは昔から悩めるところであった。仕事終わりに家に帰ると真夜中までオナニーにふけってしまうことも珍しくなく、鎖原という相手が出来るまで正しい発散の方法が分からないオナニーは大好きであると同時に苦手だった。本やビデオで身につけた知識を早く使ってセックスをしてみたいという憧れは人一倍強かったが人選びにもとりわけ慎重であった尾餅は鎖原に出会うまでに随分一人の時間を過ごしたように思う。亀頭で何度も鎖原のアナルの浅いところをヌチヌチとえぐってからゆっくりと挿入した。もうそれだけでピュ、と出てしまった精液に鎖原は気づいているのかいないのか。気づいていたとしても気にしないかもしれない。尾餅のペニスは萎えることなく硬いままであったし、鎖原はそれより先を待ちきれないとでも言うように自分から腰を振ってねだった。小ぶりな尻を尾餅の大きな手のひらで鷲掴まれると鎖原はこれから食べられてしまうんだ、と言わんばかりに酷く被虐的な気分に酔うことができた。これでも丁寧にしているつもりの尾餅からすると自身の余裕のなさというものにはまるで気づいていない。鎖原は荒々しいセックスが好きなのでなるべく真実を尾餅に伝えないまま行為は進んでいく。
「あ~ん♡尾餅くんのチンポ大っきいね♡僕のお尻めくれちゃうかもぉ♡あっお゛っおぉ゛♡本当にデカッ♡気持ちイイ゛っ!♡最高っ!♡」
「そうしたらっ、俺が、俺だけが一生責任を持ってお前とセックスするからな……♡」
鎖原の目がキュン!とハート型になった。いや比喩ではあるのだがそう言っても過言ではないくらい尾餅への好意がありありと目に現れた。ぬっとん、ぬっとん、と気持ちのいいリズムで重たくて粘っこい音をさせながら繰り返されるピストンは背筋からじわじわと快感が湧き上がってくる。鎖原は「すき、すき♡尾餅くんすき♡」と何度も声に出して尻に入ったペニスをぎゅうぎゅうと肛門括約筋で締めつけた。ポタポタと尿道口から垂れる精液は締め損なった水道のようで、トータルしてみればかなりの量を射精していることになる。歴代彼氏に『お前はセックスのことしか考えていないのか』となじられ別れを告げられてきた鎖原にとっても、尾餅との出会いは運命的であった。なにせセックスに対する知識が基礎中の基礎のようなところしかないので『今日は五回戦するよ♡盛り上がろうね♡』と言えば疑問を唱えるよりも先に顔を赤く染めてコクコクと頷いた。鎖原は既存の性欲の強さに加えて好きな相手には更に行為の回数が上乗せされる。それに引くどころか自分まで楽しくなって付き合ってくれる尾餅のことがもう一生手放せないだろうなと思うくらいには大好きだった。
「お゛~ッ♡ドチュドチュすごいッ♡尾餅くんの本気ピストン僕のお尻まんこにとってもよくキくよぉ゛♡あ゛っあ゛っあ゛っ!♡マジ壊れ、る゛ッ!♡そんなに、揺さぶられた、らァ゛ッ!♡僕の頭馬鹿になっちゃうぅう゛!♡」
「ふーっ、大丈夫だ、鎖原……♡お前は地頭が良いんだから問題ない……♡馬鹿にはならない……♡それに、セックスに知能はいらないって言ってただろ……♡」
「だ、だってぇ、尾餅くんが『挿入の角度は!?』とか『腰は何回振ればいい!?』とか変なことばっかり気にしてる時があったからじゃん!♡それこそ馬鹿みたいだったって!♡んひッいィイ゛!?♡なんで酷くする、のぉ゛!?♡」
「お、お前が恥ずかしいこと思い出させるからだろ!♡」
パンッパンッパンッパンッ!と肌同士が打ち付け合う音がトイレ内に響く。鎖原の広げられたアナルから尾餅の血管の浮いたどす黒いペニスが白く泡立った腸液に塗れて抜き差しされている。鎖原はガクガクと震える足に何とか力を入れて、便器の蓋に手をついてがに股になってしまうのを堪えようとしていた。バックでヤるのに腰が下がってしまうとただでさえ鎖原より身長の高い尾餅が大変になってしまう。やっぱりセックスってベッドでするのが模範解答なのかも、と鎖原は思った。
「んはっ、んはっ、んはっ……!♡お、尾餅くん、イきそうでしょっ?♡おチンポピクピクしてるよ、僕の中にザーメン流し込みたいって教えてくれてる♡いいよ、イッて、僕の中で種付けしていいからね……っ!♡あっあっあぁん~っ!♡」
「……鎖原……鎖原……っ!♡はぁ、ブッ濃いの出る……!♡」
ブビュブビュとペニスで栓のしきれなかった精液が鎖原のアナルからこぼれ出して太ももを伝っていった。出した精液をまるで子宮に着床させるかのように結腸に膨らんだ亀頭でゴリゴリと擦りつける快感に二人とも腰を震わせる。ぐったりとしてしまった鎖原を尾餅が引っ張り上げて一旦便器へと座らせた。まるでレイプに遭ったようだな、と白濁に濡れてくたりと力の抜けた鎖原が今いる場所も相まってかそんなことを尾餅に思わせた。だが神妙な顔をしている尾餅を見て「?♡」と微笑みこちらに向かって手を伸ばしてくる鎖原を見て『そんなことないか』と思い直した尾餅はベトベトの身体同士で抱き合う。鎖原は幸せそうに「えへへ」と笑った。尾餅は純粋な触れ合いの気恥ずかしさから唇を少し尖らせる。
「こ、こんなところでガチセックスするのはやっぱりどうかと……思った……」
「うっわ今更。というかそれ今言う?」
ぶちゅ、と鎖原が尾餅にした雑なキスでも二人は気持ちよく舌を絡め合う。濃厚なキスを丸々五分ほど堪能したあとは「「よし」」と揃って言ってテキパキとその場を片付け始めた。便器も床も綺麗に拭き上げ、尾餅は車から持ってきた消臭剤を辺り一面に吹きかける。その横で自分用の新しい玩具を選んでいる鎖原に「もう汚すなよ」と尾餅は釘をさした。
「僕もっとおっきいローターにしよ♡お尻の中で卵孕んでるみたいになるね♡それからアナルプラグで蓋するんだ♡」
「そうか、好きにしてくれ……なんだそのサイズのローター。もうそれローターって呼ばないだろ」
ニワトリの卵以上に大きさがあるぞ、と初めて見る玩具に慄いている尾餅の手にそれがポンと渡される。「重……」と呟いた尾餅の目の前で鎖原がまだ上げていないズボンとオムツをそのままに尻を突き出してくる。ほぐれきったアナルがひくひくと開いたり閉じたりしているのに尾餅はごくりと唾を飲み込む。
「僕のお尻のローター尾餅くんが挿れて♡ちゃんと気持ちいいところにセットしてね?♡」
「……おー……♡」
片手でミッとアナルを割り開いてローターを押しつけた。ぐに、ぐに、という肉感のある抵抗の後にむぷ、と音がして徐々にローターの先端が入っていく。一番太いところまでくるとあとは簡単でにゅぷん、と勝手に飲み込まれていった。そこからは指で少しずつ中のローターを押したり手前に持ってきたりして位置を調節していく。くちょくちょと控えめな水音をさせながら鎖原の気持ちいいところを尾餅が探し当てようとする。
「……ここか?」
「んっ♡惜しいっ!♡」
「じゃあここ……」
「もっと手前だよ……♡」
「ここ……?」
「あ゛ンっ!♡そうっ!♡そこ!♡」
いい位置にセット出来たらしい。ほっとしている尾餅に「ありがとー♡」とニコニコ笑っている鎖原が感謝を伝えるように大きく尻を振った。そんな鎖原の様子に満足した尾餅がもう一度アナルに指を入れて前立腺に向けてローターをぐっ、ぐっ、と押す。前立腺は圧迫するのが一番気持ちいい、とどこかで聞いたのでそれを試してみたくなったのだ。鎖原の反応を見てローターがズレない程度に前立腺を圧迫していく。
「お前の前立腺小さくて分かりづらいんだよ、ローターごりごりぶつけて育ててやろうな……♡」
「あ゛ッ!♡それたまんないッ!♡」
ヴン、という低い音が鳴り響いてローターのスイッチが入れられた。指先でその振動を受け取っている尾餅はそのパワーの強さに驚く。もしこれを自分が受けたら射精を繰り返してしまって外を歩くなんて叶わないだろうな、と想像によって勃起してしまったペニスをさすった。鎖原は壁に手をついてヘコヘコと腰を振って身悶えしている。その時外から人の声が聞こえてきた。焦った尾餅が鎖原にオムツとズボンをはかせて「一回車の中戻るぞ」とその手を取り連れ出す。運転席と助手席から見る限り子供連れの家族のようだったので「こんなところ見せたら教育に悪いからな」「目覚めちゃう?」「まあそういうこともあるかもしれない」と適当な会話をしながら転がるサッカーボールを眺めていた。鎖原はいいのだが尾餅はというとディルドの固定用の下着の上からオムツを履いているためゴワゴワしてしまうし、更にその上から洋服を着ると尻の辺りがパツパツになってしまった。「これ……おかしくないか」「すっごいセクシーなことになってる。ボンキュッボンって感じ」「ふざけるなよ」というやり取りのあと尾餅はなんとなく座席の上で身を捩った。
「尾餅くん座席で擦りつけオナニーしてるの?」
「ディルドの違和感がすごいんだよ!♡」
座ったことによってディルドが下から圧迫されて前立腺や結腸を押し潰している。やはり圧迫というのは下手なピストンよりも気持ちいいものらしい、と尾餅は身をもって知った。ドライブに入れた車を発進させながら尾餅は鎖原にナビの設定を頼む。スマホをポチポチと弄っている鎖原にバレないように、尾餅はブルルッ……と圧迫感からくる快感によって絶頂を迎えていた。
「……次……目的地まで、どのくらいだ……?」
「五十一分だって。ちょっと遠いね」
「その内に何回イくんだろうな……」
「百?」
「洒落にならん」
そのまましばらく車を走らせていたのはいいのだが横から聞こえてくる喘ぎ声に尾餅はすっかり参ってしまっていた。左を見れば両手で乳首を弄りながらシートから腰を浮かせてヘコつかせる鎖原が見える。すれ違う車がいる時だけはそれもなりを潜めるのだが周りに誰もいなくなるとこれだ。鎖原が「イグ♡」と声を出すたびに踏みすぎたアクセルを調整するためのブレーキが必要になる。
「お゛~……♡お゛~……♡お゛~……♡」
「……ええい!鎖原!運転の気が散る!」
「だってこれローター振動エグくってぇ……♡おっほ……イグ……イグぅ……♡」
「エロい声出すな頼むから……!」
そんな会話をしながらきっかり五十一分後、尾餅と鎖原はとある道の駅に来ていた。噴水でキャイキャイとはしゃぎながら髪の毛をペチャンコにしている子供とズボンを膝までまくった親を眺めながら車から降りる。だいぶ日差しが強くなってきたな、と尾餅は二本目の飲み物を買うため自動販売機に吸い寄せられるようにして近づいて行った。……微糖しかないな、と思いながら仕方なくそのボタンを押す。鎖原の分もとコーラのボタンを押すと何故かこっちの方が冷えている気がする。首筋から頬にかけてにペットボトルを当てて体温を下げていると人混みの中から鎖原が出てきた。こちらに向かってくるのでペットボトルを持った手を振ると鎖原の方も何やら飲食物を持っているようだ。
「見て尾餅くん、チンポ」
「鎖原、それはフランクフルトだ。そんなに食べたかったのか」
「尾餅くんのもあるよ。はいあーん」
「ん……むぅッ!?️♡げほっ、の、喉奥突くな!」
「イマラだよ、尾餅くん」
「ふざけるな、もう渡せ!」
鎖原からフランクフルトを奪い取った尾餅がそれを一齧りして脇に挟んでおいたコーラを「ン!」と顎でしゃくった。「ふわぁあいあおう」と喋る鎖原の方を向くとカポカポとフェラの真似ごとをして遊んでいたので思わずコーヒーでぶん殴った。コン!といい音がしたところで鎖原が「イテッ」と笑って舌を出す。そんなぶりっ子じみた動作が似合ってしまうのも考えものだな、と尾餅は短くなったフランクフルトを横から食べていた。すると「あの~」と後ろから声が聞こえる。振り向くと二人組の女性だった。観光だろうか、パンフレットを持っているがそれにしては心もとないサイズのカバンしか持っていない。
「お兄さん達今お二人ですか~?」
「向こうから見ててもかっこよくて声かけちゃいました!」
ナンパか。適当にあしらおう……と考えていたところだったのにその時いきなり鎖原が尾餅の尻を揉み始めたことで事態はよろしくない方向へと傾き始める。幸い女性たちはまだこのことに気づいていないが変に目でサインを送って怪しまれるわけにもいかない。尾餅は鎖原にやめてくれと本気で焦り始めた。
「あ、あ、えと、その……」
「えー!お兄さんその感じでコミュ障なんですか!?可愛い~!もっとお堅い系かと思った~!」
「お兄さんは!?可愛い系ですよね?うわ~っ、女の子みたいにまつ毛ふさふさ!」
「……んふふ……ありがと♡」
やばい、鎖原が駄目なことをする時のモードに入っている。手のひらでディルドをグリグリと押される感覚は言わずもがな気持ちいい。向き合わせになっている四人の中で尾餅と鎖原が何をしているかなんて知らぬまま女性二人はテンションを高く喋り続ける。尾餅は下を向いてしまって顔を上げられない。鎖原はニコニコというかニヤニヤとしている。
「……お兄さん大丈夫ですか?あっつい?顔真っ赤ですよ?」
「……いっ、いや、だいじょう、ぶ、……!♡」
何も大丈夫ではあるまい。どこか雰囲気がおかしいということに気づき始めた女性二人がごくりと唾を飲み込むのがわかった。もはや鎖原は尾餅の尻を揉んでいることを隠す気はない。大胆にまさぐられるその手に女性二人の視線は釘づけになっていた。尾餅は泣き出しそうになりながら鎖原の方を見て『は や く』と口パクをする。もちろん早くここから逃げ出そうという意味である。そこでやっと鎖原がこの場から立ち去るという意志を見せた。
「僕達カップルなんだ♡だからデートのお誘いは……ごめん、ね……ッ!あは……ッ!♡」
「う、うぅ……すまないな、んッ、んん~……ッ!♡鎖原、早く行こう……ッ♡」
二人同時に迎えた絶頂に足を震わせてその場から離れる尾餅と鎖原を女性二人はぽーっとした表情で見送った。薄々何をしていたのか気づいてはいるがなまじっか顔の良い男二人がいわゆるそういうことを公共の場で楽しんでいたことに未だ脳みそがついていかないらしい。「……残念だったね、イケメンだったのに……」「うん。……暑いね、ソフトクリーム食べない?」「食べる……」女性二人がそんな会話をした今日の天気は快晴でまるで白昼夢を見たのかもしれなかった。
「絶対バレた、絶対バレた、女性の前でイッてしまった……!♡見られながら……!♡しっかり見られながらイッたぞどうしてくれる鎖原……!♡」
「めっちゃくちゃ興奮してたくせに何言ってんの、尾餅くんマゾさんの才能ありすぎ♡大丈夫、通報されなきゃこっちの勝ちだから」
「馬鹿言え!」
もう使われていないコンテナハウスがあったのでその裏で息を整え合う。いわゆる壁ドン状態で鎖原に迫られている尾餅はキスを突っぱねようとするが、ペニスを服の上から揉まれると抵抗する気はすっかり失せてしまう。快楽に弱いという鎖原の前では致命的な欠点だ。にゅるにゅると唇の上や口の中を這い回る舌に目をぎゅっと瞑って「んん~♡」とその感覚を享受する。プシップシッとオムツの中で断続的な潮吹きをしている尾餅とそのペニスの動きを楽しんでいる鎖原。もはや尾餅の方からキスをねだっていると言っても過言ではなく、「チンポっ、太ももで、グリグリしてくれっ♡」というお願いまで飛び出した。コンテナハウスに背中をつける状態で股間をグリグリと蹴り上げてもらっている尾餅はビクビクと痙攣しながら何度も何度も絶頂を迎える。「あ゛っ♡あ゛っ♡お゛っ♡」と短く汚く喘ぐ白目を剥いた男前は正に鎖原の好みど真ん中であった。そこで鎖原は思いつく。スマホを取り出して、慣れた様子でとある設定を完了した。尾餅は不思議そうな顔しているが、これから起こることを知れば顔を真っ赤に染めるだろう。
「……はーい、画面真っ暗で失礼しまーす♡今日は音声配信だよ、スペシャルゲストもいるからね。じゃじゃーん、僕の彼氏!今ちょうど僕達、いやらしいことしてまーす♡」
「はぁ!?ちょっと、ぐっ……!」
「彼氏くん、名前はNGだよ。えー今、野外でおチンポの揉み合いっこしてるんだけど彼氏くんのチンポ超ガチガチ♡立派な勃起ペニスでいつも僕のこと満足させてくれてまーす♡ほら聞こえる?くちゅくちゅいってて普段より我慢汁多めです♡今から完全に露出したいと思います、そ~れ解放~♡」
「ちょちょ、ちょっと、おい……!」
────は?エロ過ぎるが
────俺のくーくんが!!!!!
────くーくん彼氏持ち!?
────ガチ恋降りますさよなら
────ズリネタあざすあざす
そんなコメントが飛び交う画面をチラリと見てから鎖原は尾餅のオムツをずり下ろした。ディルド固定用の下着はベルトのようになって尻へと回っているためペニスへの影響はない。すっかり勃起している尾餅のペニスを片手でシコシコと扱き、その度にクチクチと包皮が擦れて鳴る水音をスマホで拾っていく。手のひら全体で裏スジを包み込むように扱くと尾餅がヒンヒンと身体をくねらせ始めた。もちろんその声も配信にしっかりと入っている、下手に声を出さないように頑張ると喉の奥から高くて細い子犬のような喘ぎ声が出てしまうらしい。
「ひィ、ィ、ィう、あンッ♡……ッフー……ッフー……も、無理……イクっ、イクっ……!♡」
「はーい彼氏くんが大量射精しました~♡ビュルルって音が聞こえたかな?彼氏くんは射精量とっても多いんだよね、いつも僕のお腹の中パンパンだよ~♡いつか子供が出来るんじゃないかっていうくらい!♡男同士の孕まセックス最高だよ♡」
少なからず自分の声で性的興奮を覚えている輩が視聴者という形で画面の向こうにいるのだろうということは配信や何やらに詳しくない尾餅にも分かった。ただ鎖原のリスナーは変態が多いことで有名なのだと本人が言っていたのを覚えていて、それはマスクで隠していても中性的な柔らかさを感じたりまだあどけない美少年の面影を残していたりする鎖原の見た目につられてきた輩なのだと思っていたのだ。低くて想像通り丈夫な作りをした男の自分の声が鎖原のリスナーにとって需要となるとはにわかに信じ難いことで、何より尾餅自身がそんな変態の巣窟に一歩踏み入れてしまうことになるとは思ってもみないことだった。未知の体験をしていることへの緊張感で萎えてしまってもいいはずの尾餅のペニスは、けれども鎖原の手に包まれていると否が応でも勃起を続けてしまう。鈴口にキツめに爪を立てられると尾餅は情けないような声を出してショロショロとお漏らしのような潮吹きまでしてしまった。足元にビタビタと潮の降ってくる音が画面の向こうではよく響いていることだろう。「止まって、止まって……っ!♡」と必死に自分のペニスに懇願している声が酷く滑稽に思えてきて尾餅は羞恥で死にたくなる。この時ばかりは鎖原の言う「か~わいい♡」が悪魔の囁きのように聞こえた。
「彼氏くんのチンポスペック紹介しまーす♡長さはなんと脅威の二十センチ!お手本みたいな巨根さんでーす♡太さは握った時に『あん♡』って声が出てうっとりしちゃうようなサイズ♡亀頭を責められるのが好きでさっきみたいにたっくさんお潮を吹いて楽しませてくれます♡タマタマもでっかいよ~!♡プリプリ精子こしらえるためのビッグなタンクがぶら下がっててバックでハメてもらうと金玉でどつかれます♡射精量が半端じゃなくて一日でも出さない日があると翌日はゼリーみたいなザーメン出してくるから毎日チンポケアが必要ですね~♡じゃあ彼氏くん、僕チンポ味見いきまーす♡」
「うぁああ゛ッ!♡もうやだっ、見るな見るな!♡こんなの同意の上じゃない……!♡ひ、人に俺のチンポの情報なんて与えて何になるんだよ!?♡なぁ、皆からもこいつがやめるように言ってくれよ……!♡」
「あは、そんなこと言っちゃったら皆そそるって♡余計いじめてくれってコメントばっかりだよ?♡あ~、ん、んんん……♡んぷっんぷっぷぷ……♡」
唾液をたっぷり含んだ鎖原の口の中の粘膜をペニスが擦ってジュプジュプといやらしい音が辺りに響く。鎖原が片手に持ったスマホを尾餅の眼前につきつけた。そこに書かれている言葉の数々に尾餅は今すぐに穴にでも入りたくなる。ほとんどが自分を辱めるような下品なワードばかりだったからだ。中には尾餅のことを抱きたい、可愛い、彼氏にしたいと物好きなことを書き込むリスナーもいた。これは鎖原相手だから晒している姿及び声なのだと、誰が何処の馬の骨とも分からないお前らなんかの彼氏になるかと抗議したい気持ちでいっぱいだったがペニスをしゃぶられて喘いでいる声を聞かれている以上偉そうなことは言えない。それにこういうものはふとしたところで本人バレという最悪の形になる可能性があるのではと尾餅は戦慄した。なのでなるべく声を聞かせたくないのに口から出るのはざらついたオホ声ばかりで尾餅は自分の堪え性のなさに辟易する。そこで尾餅は鎖原のスマホにとあるコメントを発見してしまう。
────彼氏くんも淫乱の変態なんだ
「……っち、違うゥ!♡お前が俺たちの何を知ってるんだ!?♡お、俺たちは少しセックスが好きなだけのただのカップルなのに!♡俺たちの情事に聞き耳立てて興奮してるお前らの方が変態だろう!♡あ、イクイクイク……!♡っとにかく!俺は変態じゃないからな、そんなふうに言うな!♡」
ビュルルル~っ!と鎖原の口の中で思いきり射精をしながらそんなことを口走った尾餅が髪をかき乱す。「うう!♡」「ああ!♡」と短く叫びながら最後の一滴まで絞り出すように鎖原の口に向かって腰を振った。鎖原は目を瞑ってそんな尾餅の精液をごくごくと喉に通している。亀頭をレロレロと舐めしゃぶってツルツルの質感のそこを楽しむように舌を動かす鎖原。今頃スパチャがすごいことになっているんだろうなぁ、という鎖原の読み通りにスマホの画面には赤スパが飛び交っていた。
────彼氏くんマジで素人?
────合意じゃないの?シコいわ
────もっといっぱいイッてほしい
────くーくん意外とドSじゃん
ぜぇ、ぜぇ、と荒い呼吸の音。精液を飲みきった鎖原が尾餅の顔を下からチラリと見た。その顔はこれ以上ないくらい羞恥に染まっていて怒りにも満ちていると見える。と、次の瞬間鎖原の身体がグラリと傾いた。それが鎖原を尾餅が突き飛ばしていったのだと理解するまでに時間はかからず、鎖原は「ちょっと!?」と慌てた声を出す。オムツとズボンを転びかけながら腰まで上げて、尾餅はここから逃げることにしたようだった。バタバタという足音と突如聞こえなくなった尾餅の声にコメント欄が困惑する。鎖原の「あ~……」という声には『やってしまった』感が滲み出ている。
「振られたらどうしよ、皆~」
俺が彼氏になるよ!という赤スパに鎖原は苦笑いするしかなかった。今回は本当にまずい。口の周りについた先走りと精液をペロペロと舐め取って焦る頭で尾餅を追いかけるべきか否かを考える。あんなに怒った尾餅は初めて見た、と思うと同時に彼氏の知らなかった一面を知れたことに喜びの気持ちもあり……この戯れを更に続行したいとも考えていた。鎖原がスマホに向かって喋りかける。
「彼氏くんにもっとすごいこと仕掛けようと思いまーす♡けど二人っきりになる必要があるので配信はここまで、あとで報告動画上げるね~♡」
見せろ!今見せろ!とうるさいコメント欄に「じゃあね~♡」と華麗なスルーを決めつつ鎖原は配信を切った。きっと人気のないところで一人反省会をしているのだろうと見込んで尾餅のあとを追うことにした鎖原。その予想通り、尾餅は整備がされていない植え込みの向こう側で大きな木に手をついて「ああ~……」と鼻をすすっていた。
「……暴力を……振るってしまった……鎖原に……俺の方が体格もいいのに、力も強いのに、怖かっただろうな……いやでもあいつも悪いんだ、いくら何でもあそこまでやるのはやりすぎだし……でも今日はそういうデートの日なんだからあいつの考えたプレイとして受け入れるべきだったのかも……」
一人でブツブツブツブツ、尾餅は自己嫌悪に陥りながら勃起の収まらないペニスを前かがみになって押さえていた。音声だけとはいえ赤の他人に自分の喘ぎ声を聞かれたこと、ヤケクソじみた反撃の言葉を衝動のままに口走ったこと、あの状況で鎖原にイかされたこと。全てが恥ずかしすぎてどうにかなりそうだった。体が熱い。しゃがみ込んでズボンのチャックを開けてオムツをずらしてペニスを取り出した。クチュ、クチュ、と音をさせながら亀頭を指の腹で優しく撫でる。先走りが糸を引いて、それにドキドキとしながら濡れた指を口まで持っていった。しょっぱくてねとついた味がする、鎖原のモノをしゃぶる時とは違ってどこか雄臭さが拭えないのは不思議だ。苦しょっぱい精液の中にどこか甘さがある鎖原が特殊なのか自分が不摂生なのかは分からないがこれはこれで興奮してしまう。その時だった。
「ッお゛!?♡なっ、なに、嫌だっ、ディルド、動いて……!?♡クソ、これも遠隔で動くのかよ……!♡」
尾餅の尻にズッポリとはまっているディルドが振動し始めた。ヴィンヴィン、と音を立てながら中で曲がりくねる動きもする。尾餅はガニ股になって震える手でズボンとオムツを脱ぎ去った。腹の中で動き回る玩具にドキドキしながら下腹部に手を当てると強力な振動が伝わってきて尻がきゅう、と締まる。
(これ、鎖原がやっているんだよな……?どこかで見ているのか?それとも鎖原も怒っているだろうか、振動パターンがころころ変わるから楽しんでいる可能性もなくはないが……が、我慢出来ない。尻を刺激されるとどうしてもセックスかオナニーをしたくなる、ここで一人で処理するしかないのか……?こ、こんなところでなんて変態なのに……ああでも、チンポが苦しい!)
木の陰に手をついて腰を突き出しヘコヘコと振る。まるで水やりをするように尾餅の出した精液がピシャピシャと木の根元にかかっていく。洋服の裾を噛んでふぅふぅと荒い息をしながら声を我慢しつつ今感じられる快楽に最大限集中した。前立腺を小刻みに叩くリズミカルな振動のたびに腰がクイッ♡クイッ♡と前に動いて太ももがブルブルと震える。自分以外誰もいないのをいいことにその場で我慢しきれずジョロロロ……ッ♡と放尿までしてしまった。勃起したペニスがピコピコと動いてあちらこちらに尿を撒き散らす。目を瞑ってその開放感に「はぁあぁ……♡鎖原、鎖原……っ♡」と恍惚に浸っていた、その時だった。
「そこで何してるの?」
「っえ!?うぁ、あ……っ!?」
突如として目の前が真っ暗になった。目隠しをされたのだと瞬時に気づくがこんな醜態を見られたのだと悟ってしまえば抵抗する気も起きなかった。くぐもった声は聞き覚えがなくて、知らない相手にこれから何をされるのだろうと恐怖心が何よりも煽られる。訴えたところで先に露出狂をやっていたのはこちら側だ、黙っていてくれと頼み込むのは尾餅の方かもしれなかった。カチン、と固定用下着が外される音がする。ズル、とディルドが引き抜かれたあとにピトリ、と尻に馴染みのある熱があてがわれる。尾餅は血の気が引いた。
「や、やめて、やめてください、あ、あ~……!あぁあッ……!」
懇願虚しくも挿入されたペニスが無遠慮にガツガツと最奥を突く。尾餅は泣きそうになってしまった。レイプされたことの喪失感も確かにあったが、何よりも強姦魔相手に吐精している自分に絶望したのだ。ごちゃごちゃとする頭の中でペニスの存在感はあまりにも大きかった。素直に喘いでいれば強姦魔は酷いことをするつもりはないのか、尾餅をなだめるようによしよしと頭を撫でてくる。ふざけるな、と言ってやりたかった尾餅だが、その思いは反映されず口からは喘ぎ声ばかりが漏れ出る。
(こんなことなら鎖原に怒らなければよかった、ちゃんと顔は隠してくれたのに必要以上に責め立ててしまった……。二人でいたら変なやつに絡まれることも、ましてやこんなふうに……レイプされることもなかったのに……。俺が外でオナニーする変態だからバチが当たったんだ、全部俺が悪い……!)
尾餅を襲ったのは一種の諦念だった。レイプをする方が悪いに決まっているが、その被害上で感じてしまっている自分を責め立てる思いだった。自分の喘ぎ声が酷くうるさく聞こえる、自分のことがろくでもない変態に思えて仕方ない。強姦魔の手がまるで恋人相手に普通のセックスをする真人間のように大切に尾餅のペニスを扱くので、快感に素直な尾餅はそれに声を震わせて射精をしてしまう。こんなことをするくせにペニスを弄る時は丁寧だなんて、真面目な人間が何かの拍子に限界を迎えてこのような愚行をしでかしているのではないかと尾餅はいらぬ推測をした。玉を揉まれると安心感にも似た快感が押し寄せてきて思わず目を瞑って感じ入りそうになる。尾餅は強姦魔相手に声を張った。
「やっ、優しくなんてするな!♡お前なんかに、お前みたいな汚い人間相手なんかに素直にイきたくない……!♡どうせならもっと手荒く犯せばいいだろう!♡意気地なし!♡」
「………………」
「あ゛ッ、あぅう゛!?♡」
バチンッ!という音と共に尾餅の尻に強い衝撃が走った。遅れてジンジンと熱を持って甘く痛むそこに、尻を思いきり叩かれたのだと悟る。それからすぐに尻ビンタの刑が始まった。バチンッ!バチンッ!と派手に音を鳴らしながら何度も何度も尻を平手打ちされる。そのたびに尾餅は「やめて!♡やめてくれ!♡」と自分で言ったことも忘れて強姦魔に慈悲を懇願した。それでも続く臀部へのビンタは酷く被虐心を打ちのめされる行為で、叩かれる時にビクンッと痙攣する腰の振動がペニスにも伝ってブルンッと揺れる。そうすると尾餅は壊れたように射精を繰り返すのをやめられなくなってしまって口からは嬉しそうな嬌声ばかりが響き渡ってしまうのだ。そのうち尾餅はひぐひぐと泣き出して強姦魔相手に自尊心など打ち捨てた情けないお願いをすることになる。先ほど啖呵を切った時とは偉い違いで、崩れ落ちそうになる足を何とか立てて鼻水をすすって「お願いじまず……♡」と頭を下げながら頼み込む。
「おと、音出さないで、バレちゃ、鎖原にバレちゃうぅ゛……♡やめて、こんなとこバレたら……静かに犯してぇ……♡」
「……?」
強姦魔が困惑しているのが伝わってくるが尾餅は必死だった。わざわざ犯行を隠蔽する手助けになるようなセリフを言っているのがこの時の尾餅には分かっておらず、この不可抗力な浮気を鎖原に知られないためにはどうすればいいかということしか頭にはなかったのだ。プピュプピュとアナルから吹き出す精液の音が間抜けに響く周辺で木々がザアザアと揺れている。強姦魔はしばらく手をウロウロさせて、それから尾餅の背中を優しくさすった。そこで聞き覚えのある声が聞こえる。
「尾餅くん?」
「ふぇ、?あ、鎖原……?どこ……やだ、いやだ、見ないでくれ……これ、俺これ無理やりされて……浮気じゃない……」
「いや今尾餅くんとセックスしてるの僕だよ、本当に気づいてなかった?」
「……え……?」
現実を受け止める勇気がないのかそのまま固まってしまった尾餅に鎖原がパッと目隠しを取る。そこにいたのは間違いなく鎖原本人で、自分でしたくせに今の状態の尾餅を酷く心配しているようであった。
「え、だってさぁ、僕一回喋ったじゃん!そこで何してるのって聞いたよね?その時に気づかなかった?」
「こ、声が違った!」
「ちょーっとダンディに喋ったんだよ!その方が雰囲気出るかと思って!まさかガチレイプになっていたとは……僕驚き」
「驚きはこっちのセリフだ!もう抜け!っひ、あ、ぁ、揺すらないで……っ♡」
「傷心エッチしようよ、慰めてあげる♡」
「いや今回はお前が悪い……!♡んぉ、お、おッ、イクッ……!♡」
だがしかし身体は素直なもので、相手が鎖原だとわかった尾餅は安心して絶頂を迎えるようになっていた。「ごめんね、ごめんね♡」と謝りながらパチュパチュと尾餅のアナルにペニスを出し入れする鎖原の表情が演技でもいいと思うほど酷く優しくて、先ほどめちゃくちゃに尻を叩かれたのが嘘のように丁寧に尻たぶをあやしてくる。機嫌を取るように正面に回された鎖原の手がコショコショと尾餅の喉をくすぐってくるので、その時に起こるゾワゾワとした快感に腹に力が入ってペニスを締め付けてしまう。尾餅は頬を膨らませて「ゆ、許さないぞ……そんなことしても……!♡」と頭を振って気を確かに持つ。「いいよ、あとで仕返ししてくれても♡」と鎖原が言うので尾餅は少し考えた。次の瞬間には今しているセックスのことで頭がいっぱいになり「イきそうぅ゛……♡」と低く唸って自分のペニスをグチュグチュと扱くのに忙しくなってしまったが。
「僕もイク……♡尾餅くん、中に出していい?♡」
「な、中は嫌だ、外、外にしてくれ……♡」
「尾餅くんの中以外にぶちまけちゃっていーの?僕の精子を?」
「あ、ひぅ、ひぃ……♡……や、やぁ、やだ……♡嫌だぁ、鎖原ぁ……♡」
「何が嫌なの?」
「せーし、外に出すのいやぁ……♡証拠残っちゃうだろ……?♡中に出して……♡」
「あはは、確かに!証拠が残っちゃうもんね?ああ、外でやったんだなーって。じゃあ中出ししても仕方ないもんね」
尾餅の尻を鷲掴む鎖原の指が肉に食い込む。ムッチリとした尾餅の尻はしっとりと汗ばんでいて、いつも尾餅が作ってくれる自家製の鶏ハムのようだと鎖原はこっそり思った。尻穴がめくれてペニスにすがりついてくる、真っ赤に充血したフチ周りが痛々しいほどに扇情的だ。泡立った我慢汁が太ももを伝って垂れていく、びしょ濡れの玉がずっしりと重く感じる。鎖原は汗に濡れた尾餅のうなじをベロリと舐めて味見したあとに続けてそこをがぶりと噛んだ。人体特有の塩気が舌にしびれて興奮に拍車をかける。「フー……♡フー……♡」と雄犬のような息遣いで尾餅の中に射精をする様子はさながら獣の交尾と同等のように見えて、尾餅はメス役として種付けられることを心から喜んでしまっていた。腹がどんどん熱く、重たくなっていく。内部から押し出されるようにして射精をしてしまう尾餅も、それが三十秒を超えれば一度に発射できる子種も尽きて長すぎる鎖原の射精に焦りがやってくる。身体をよじっても尻を振ってもハメ込んだ状態から解放してくれる様子のない鎖原に尾餅はビクビクと痙攣しながらやっとのことでセックスの終わりを頼み込んだ。
「も、抜いてっ抜いてっ!️♡抜いてくれ、それ以上出すな……!♡腹ちゃぷちゃぷになる、下したらどうするんだよ……!♡」
「赤ちゃん出来る」
「ふざけてんな!」
「あんっそんな怒鳴らないで♡もっと出ちゃう♡」
尾餅は困惑することがある。鎖原の行動の節々にはマゾっ気を感じられることが多々あるのに、酷いことをする時はそのまま容赦しないサドっ気もあるのが不思議なのだ。応用の利く人間であると常々思う。やっとのことで出ていった鎖原のペニスをちらりと見るとあれだけ出した後だというのにまだ半勃ちの状態で物足りなさそうに震えていた。自分も人のことは言えないが元気すぎるだろうとため息をつきたくなる。目には目を、歯には歯を、ペニスにはペニスを。そんなことを思いながら尾餅は鎖原をギロッと睨んだ。「ひゃあ♡激おこ♡」と反省の様子のない鎖原に命令する。
「鎖原、後ろ向け。アナルプラグもローターもいらない」
「えっなになに?はい、抜いたし向いたよ?」
「……よい、しょっ!」
「うわっ!え、ねぇこれって!?あ、あぁん!️♡深いところまでキてるぅ゛……っ!️♡」
いわゆる逆駅弁。それが尾餅が鎖原にした仕返しであった。鎖原とて百七十センチの平均的な身長はあるが、尾餅はそれに十センチを足した身長をしているためこの体位は手軽い。頭の後ろで荒い息をする尾餅に鎖原は耳の奥が溶けるようにその音に鼓膜を犯されているのを感じた。
「ねぇ、これご褒美っ?♡あっあぁん♡そんなに興奮しちゃったの?♡あ゛ッそこ好きッ♡お゛ッお゛ッお゛ッ♡激しいの好きッ♡ねぇ尾餅くんっ♡」
「うるさくするな、人が来るぞ……!あとこれはご褒美じゃない!仕置きだからな!」
「やだ~っ、尾餅くんがなんかエッチな言葉覚えてる♡それ僕以外に言わないでね?♡約束だよ?♡んぁッあッあッ♡」
「そんな機会お前以外にあると思うか!?ないだろ!」
「うわッ嬉しい!♡」
「喜ぶな!静かにしろ!」
鎖原の腹がたまらなく甘く疼く。重くねっとりした息を吐きながらその甘美な快楽に酔う。全細胞が歓喜するような至極の快感。経験豊富な鎖原であるがひとつのセックスにこれほどまでに夢中にさせてくれる相手には出会ったことがない。必死に声を噛み殺しながら尾餅のピストンに大人しく揺られるたびに勃起したペニスもぷるんぷるんと揺れた。遺伝子レベルで相性のいい相手というのは探せば見つかるものなのだな、と鎖原は尾餅との出会いを改めて嬉しく思うのだった。一旦は黙ったものの尾餅のペニスに犯されていると考えると腹の中の甘い思いは口からこぼれ落ちていく他にない。背中に電流が走ったような快感に「んひぎッ!♡」と鎖原が背を反らせても尾餅は鎖原を落とすことなく、むしろ先ほどまでよりも強く鎖原の裏ももを支える手に力を込めた。パッカリと開脚した股ぐらの真ん中で勃起したペニスが丸見えの状態になっている。もしこの状況を正面から見る者がいたらそれはそれは結合部までよく眺めることが出来ただろう。今度この体位を大きな鏡のあるラブホテルでヤッてもらうんだ、と鎖原は一人心の中で決めていた。大きなペニスで尻穴を蹂躙されるところをまざまざと見せつけられて、自分のペニスは間抜けにも上下に振れて情けない射精を繰り返す。そんな様子を見ることができたらもうそれは視覚だけで興奮してイッてしまうだろう!鎖原は鏡に映る未来の自分の醜態を想像してブルルッ……♡と這い寄ってくるようなアクメをキメていた。中を締め付けたことで尾餅のペニスがより一層いきり立った気がする。
「あーっやっぱり尾餅くんのチンポでかい!️♡マジイキするっ、デカチンで前立腺いっぱい潰してもらえるっ♡はぁ~、どこまでも最高のチンポ……♡僕のお尻と運命だねこれ♡」
「またお前はっ、俺を煽るようなことばかり……!ああそうだな、運命的ぴったりチンポ死ぬ気で食い締めろ!」
ぶちゅんっ♡と音がして尾餅のペニスが鎖原の結腸にハマった。内臓を無理やり押し広げられているような、苦しいのに弱点をピンポイントで押されたような気持ちよさがあって鎖原の身体からへなりと力が抜ける。カリ首のくびれで結腸の出入り口をぐぽぐぽとこじ開けて一番奥に精子を注ぎ込むと鎖原はガチガチと歯を鳴らしてその苛烈すぎる快感に耐えた。初めて尾餅のペニスのサイズで結腸を開けられた時には自分らしくもなく痛い痛いと泣いてしまったことを思い出す。それと同時に、ありえないくらいの快感が襲ってきてもう戻れないところまで連れてこられたのだと思ったことも。そのせいで鎖原の結腸に挿れることをしばらくは怖がっていた尾餅だが、鎖原はもう大丈夫、もっと奥にほしいと結腸の拡張に何度も尾餅を誘った。だんだん泣く割合よりも啼く割合の方が多くなっていって、百パーセント尾餅の結腸責めを快感として受け入れることが出来るようになった時の喜びといったら。完璧に繋がることが出来たようで、結ばれたのだと鎖原は痛くないのに泣いてしまった。その時にしたキスは酷く甘い味がしたのを覚えている。
「奥、はまってる……!♡しゅごい、ぴったんこだよ僕のお尻と尾餅くんのチンポ……♡はは、もう尾餅くん以外とエッチできないねぇ……♡っお゛、はげ、しぃ゛っ!♡あ゛ッあーッ♡イク♡イク♡尾餅く、もっと激しく、してぇ゛!♡僕のこと壊してほしいのぉ゛!♡」
「……クソ、AVみたいなセリフ言いやがって……」
ぷしゃあああっ♡と鎖原の吹いた潮が辺りの地面に染みを作った。奥を突かれるたびにぷしゃっ♡ぷしゃっ♡と飛び出す潮はなかなか止まることがなく、周りの木々にしてみればいい水やりだろう。水分を出した代わりとでもいうように精液が注ぎ込まれる、鎖原の腹は尾餅の子種でパンパンだった。中をぎゅんぎゅんと締め付けて、更に尾餅の子種を搾り取ろうと鎖原が腸内を動かす。まるで電動オナホールのようにぐねぐねと蠢く鎖原の中に、尾餅は「まっ、待て待て待て!」と焦ったような声を出した。
「なんだそれ!うわっ……なんだそれ!あッ、気持ちよ……ッ!♡ま、て、俺も出るから……ッ!♡」
「これ以上何が出るのぉ♡ひぃッいッい゛ッ♡僕お潮止まんない、お漏らしばっかりしてごめんなさいぃ♡ゆるゆる尿道でごめんなさい♡普段尾餅くんに弄ってもらってるからすぐしょぱしょぱ出しちゃうのぉ♡ごめんねぇ、お外でこんなことして環境破壊だ♡」
「……お、れも……潮吹く……っ!♡」
「えっ!?♡」
ぷしぃいいい~……っ♡と鎖原の中で音がしてあっという間に腹がきつくなる。まさか挿入されたまま潮を吹かれるとは思わず鎖原は未知の快感に「あッあッダメぇ!♡」と身をよじって抵抗した。「すまんっ……すまんっ……!♡」と繰り返しながらも鎖原の中から抜く気のない尾餅はじょばじょばと潮吹きを続ける。「はわわ……♡」と腹に溜まっていくチャポチャポした液体に鎖原は目を見開きながらもその行為を受け入れることにした。腹がぽっこりと膨れるほどまで潮を出されたあと尾餅のペニスがゆっくりと引き抜かれる。すると栓のなくなった鎖原の尻からはシャアアアア……と音を立てながら尾餅が出した潮が噴射された。流石にカアっと頬を赤く染める鎖原に気まずそうな尾餅の表情。「ふぁあああ……♡」とプルプル震えながら最後まで中の潮や精液を出しきった鎖原の尻からぷびゅっ♡びゅぷっ♡と恥ずかしい音が鳴るのを尾餅はごくりとつばを飲み込んで見つめていた。それからお互いの視線がパチリと合うとその場の雰囲気が軟化する。尾餅はポリポリと頬をかいた。鎖原はくねりと腰をくねらせて尾餅に仲直りのチャンスだとアピールをする。
「あー……反省したか?俺はした」
「最高だった♡怒られなければもう一回ヤリたいくらい♡」
尾餅が大きくため息をついた。ススス、と鎖原に近づいていってギュッとハグをする。エヘエヘと締りのない顔をしている鎖原が純粋にスキンシップを楽しんでいるのに対し尾餅はグスグスと鼻をすすって少し泣いていた。「ごめんねぇ、嘘だよ、もうしないよ」「……事前に許可があればいい」という会話にますます鎖原が笑顔になる。レイプごっこが二人の新たなプレイに加わった瞬間であった。それから地面に投げていた玩具を回収して、再びつけたオムツは冷たくなって湿っていた。とりあえず人に見せられる格好になったことに安堵する尾餅の袖を鎖原が引っ張って「ん♡」と唇を突き出す。ぐ、と息を詰まらせた尾餅が照れて強張った表情のままキスをした。ちゅくちゅく、という水音を鳴らしながら唾液の滴るキスをする。お互いの舌が歯列をなぞるたびに指先や肩がピクッと跳ねて、それぞれの手が服越しに乳首や尻を揉み始める。もう一回戦始まるか、という雰囲気の中鎖原の視界で何かがピカッと光った。尾餅が気づいていないようなので一旦くっつくのをやめてトントン、と靴を地面に叩きつける。
「うわ、今撮られたね」
「は?何に?」
「あそこにいる……あ、バレてるのに気づいた。逃げるつもりだ、盗撮だよ」
「えっ!?おい嫌だぞ!こんなところお前以外にオカズにされたくない!ど、どうする!?」
「ちょっと行ってくる」
「ええ!?」
ワタワタとしている尾餅を置いて鎖原は行ってしまった。昔顔が睨んでいるように見えるという理由だけで不良に絡まれて、その時喧嘩慣れしておらず一発も殴り返さなかったことを学校の先生なんかに褒められたな、という思い出が尾餅の中に蘇った。ギャーギャーと喚く盗撮犯に鎖原が何か大きな身振り手振りで説明している。そして盗撮犯の股間に向けてビッ!と指を差した。何か屈辱的なことを言ってこの行為の卑怯さを責めているのだろう。盗撮犯の顔が真っ赤になっている。今にも暴れだしそうだ、という尾餅の心配はすぐに現実になってしまいそうだった。
「あっ、危な……ビンタしたぞあいつ」
盗撮の罪を問い詰められ最後の抵抗とばかりに拳を振りかぶった相手よりも早く相手を平手打ちした鎖原に尾餅は「ほ~……」と息を吐いた。少し近づいてみると「正当防衛で~す」というおちゃらけた声。「男かよ!女みたいな顔しやがって!」と盗撮犯が捨て台詞を吐いてその場を逃げ出した。一体どんな顔をして盗撮犯とやり合ったんだとドキドキしていた尾餅に振り返った鎖原の顔は、いつも通りの笑顔だった。
「スマホ、取り上げてきた️♡」
「……お前が喧嘩してるところ初めて見た」
「喧嘩ってほどでもないよ、お話し合い️♡」
スマホのストラップに指を引っかけてクルクルと回したあと電源をつけた鎖原。光を当ててパスキーを指紋の跡で解除する様子に尾餅は感心したような声を上げる。何かそういうのは犯罪じみた可能性を感じるのだが鎖原に限って悪いことに使うということはないだろう。ポチポチと画面をタップする鎖原の手元が軽快で先程のことが怖くなかったのかと尾餅は意外な鎖原の豪胆さに驚いていたところだった。そしてパッと目の前に突き出されるスマホの画面。無駄に綺麗な画角で尾餅と鎖原のキスシーンが絵画のように写っていた。
「いやよく撮れてるねこれ。僕たちがイチャついてるとこ。僕自分のスマホに送っちゃお」
「やめろよ!」
「あとで尾餅くんにも共有してあげるね」
「……秘密フォルダに入れる」
「そうしな~」
そんな会話をしながら尾餅と鎖原は車へと戻っていった。辺りは日が落ちかけて施設や売店はシャッターが降りている。カラスの鳴き声が響く中、車に乗り込んで尾餅がエンジンキーを回した。ウ~ン……という普段にしてはいささか弱い音。「ん?あれ?なんだ?」という尾餅の困惑した声から何かトラブルの気配を感じ取った鎖原は「大丈夫?」と声をかける。
「……車、故障したかもしれない」
「えっ嘘。もう車屋さんやってなくない?」
「……明日の朝イチだな」
「でも今日夜暑くなるってよ」
「……いや?そうでもないって天気予報には……」
「……『熱くなる』ってよ?♡」
「……盛って熱くなるのは俺たちの勝手だからな、気象庁が知ってるわけないだろ」
言うまでもなく始まってしまった二人の熱帯夜にはこの事態を一番近く車の外で傍聴していた野良猫でさえも暑苦しいと言わんばかりに離れていってしまった。夜中一晩中ライトもつけずにガタガタと揺れる車を訝しむ人も多かったが何となく察して離れていったそう。後日カーセックスの件は伏せて不運にも故障した車で一晩を過ごしたことを車屋に伝えた二人が「大変でしたねぇ、そんなに虫に食われちゃって」と言われてお互いの首元を照れたように見やる、そんな旅の終わりだった。以下、二人の会話である。
「……お前がキスマークのつけ合いっこしようなんて言い出すから……!いくら何でもこんなに虫がいるわけないだろ、客の何人かは気づいてるぞ……!」
「いや~、ヤッてる時は暗くて分かんなかったけど朝になってみたらすごかったね!でも僕服の下もすごいよ、自分じゃ見えないけど多分腰の辺りとかもめちゃくちゃにつけられて……」
「だー!見せるな見せるな!いいから!分かった!悪かったから!だってお前が腰にキスすると特に喜ぶって知ってるから……!」
「ちょ、尾餅くん声大きいよ!恥ずかしい!それより車大丈夫だって?」
「鎖原、今日から俺たちの飯はもやしご飯だ」
「ぶっ、あはは!駄目だったんだ!いいよ、尾餅くんとならどんなご飯も美味しいよ。車、新しくなったらまた……心機一転、そこでシよ?♡」
「……悪くないな」
「へへ、やったぁ♡尾餅くん大好き♡」
「……俺も好き」
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