花の終わりはいつですか?

江上蒼羽

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side:妙香―18

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「暫く会わない間に雰囲気が変わったから」

「そ、そう?」


どの辺がどう変わったのか自分では分からない。


「あ、髪型とか?服装とかかな?会社の常務さんから身なりをキレイにした方がいいって言われちゃって……手入れもするようにしてる」

「あーなるほど。前よりずっと良くなったよ。ぐっと女度が上がったというか」

「あはは……ありがと」


何とも擽ったくて、照れを誤魔化す為にハーブティーを啜る。


「あと少し痩せた?顔回りスッキリとした気がする」

「え………そうかな?」


指摘されてそういえば……と思い出す。


「今まで穿いていたパンツが緩くなったかも……」

「やっぱり?シルエットが違うのよねー」


体重計には久しく乗っていないから、今自分の体重がどのくらいなのか把握していない。

けど、確かに埋まっていた鎖骨がうっすらと浮き上がってきているし、ベルトの穴が二つ分緩くなった。

これは嬉しい変化だ。


「事務員のつもりが何だかんだで使いっぱしりにされて動き回ってるからかな。あとだらだらお菓子を食べる暇もなくなった……から?」

「それかなり大きいよ」

「あと帰宅してから疲れちゃって、家事をこなすので精一杯だから食が前より落ちたかも」

「やだ無理しないでよ?それで、ご主人の反応は?」


旦那の反応は?と聞かれて、ここ最近の彼の様子を思い浮かべてみる。


「…………今までと同じ」


これといって変化なし。


「毎日顔合わせてればちょっとした変化なんて気付きもしないよね」

「ちょっとした変化どころじゃないのに……友達の旦那に失礼だけど、鈍感過ぎる」

「あはは、私に無関心なだけだよ」


自虐的に笑うと、知世は大袈裟に溜め息を吐いてみせる。


「妻の変化に気付けない、褒めもしない気が利かない男なんて浮気されても文句言えないんじゃない?」


知世の発言にドキッとさせられた。

私の反応をめざとく察知した知世が目を見開きながら私の顔を覗き込んでくる。


「どうかした?」

「あ………いや……別に…」


不自然に視線を彷徨わせる私を不審に思ったらしい知世が「妙香?」と迫ってくる。


「やっぱり何かあった?」


長い付き合いの親友に隠し事は出来ないし、させてくれない。

渋々口を開く。


「………軽い心の浮気、してるかも」

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